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参考になる取り組み

地域での取り組み
世田谷区の「食を通じた健康づくり」
区民や商店街との協働で食育を継続
  • 1 行政は区民の健康推進を事業に
  • 2 商店街から身近な食の環境づくり
  • 3 高校生が同世代に食育体験を情報発信
  • 4 区民が主体的に食育に取り組める支援を行う

世田谷区独自の栄養情報冊子を制作

東京都世田谷区では平成18年度に「健康せたがやプラン後期」として、健康づくりを区全体の活動へと展開させるために5地域の総合支所健康づくり課とともに施策を統合化。健康づくり支援態勢を整備し、区民のライフステージに応じた食育の推進と食環境の整備を図ることを重点的な事業として位置づけました。

食育の推進には区民参画、そして地域の大学、企業、商店街、NPO、教育委員会、学校等との連携が必要です。世田谷区では地域で食教育に携わる教員や栄養士、管理栄養士養成大学教員が情報交換する場「世田谷区地域の食環境づくり検討会」をいち早く設置し、厚生労働省・農林水産省決定の「食事バランスガイド」を参考に独自の「『食事バランスガイド』実践版」を制作。また、「食を通じた健康づくり」の主旨に賛同する企業、大学、団体、区民で構成するネットワーク「食のコミュニケーション会議」では、出前型食育講座など区民が実践できる取り組みを行っています。

「食事バランスガイド」実践版

「食事バランスガイド」を参考に世田谷区独自で制作した「『食事バランスガイド』実践版」。世田谷区役所の健康推進課、各総合支所の健康づくり課で配布しています

区民を健康にする食環境を商店街に提案

世田谷区では、食の環境づくりの推進として外食栄養成分表示事業(栄養サポート店事業)を実施しています。これは、地域商店街の協力を得、各商店街を通じて健康や食に関する情報を発信して地域区民の健康づくりを支援するという事業で、内容は、商店主と話し合ってお店にポスターやPOP、メニューへの「食事バランスガイド」表示や栄養成分表示、栄養情報などを提供するというもの。子どもたちの健康や中高年の生活習慣病予防など、区民の健康づくりへの協力を商店街役員会へ働きかけたことで区内の商店街全体の取り組みにつながりました。

そんな中、担当の玉川総合支所健康づくり課・田口寿美子さんらが苦労したのは、店舗メニュー。1食で“大人の一日分の主菜がとれてしまうメニュー”や“野菜類の量が少なく副菜として「食事バランスガイド」のSV数が表示できない”などがあったそうです。「副菜の小鉢をもう一品と思うのですが、価格が不安定な野菜などは定番メニューにはできないようです」と田口さん。

行政が個人の店舗に協働を依頼する場合、これらが踏み込めず苦しいこところですが、賛同した店舗の中には「メニューに「食事バランスガイド」のSV数値を表示するだけだとわからないから、コマのイラストも入れ、料理が出てくるまでの待ち時間に見てもらっては…」などと積極的に提案してくれるところも。現在、「食事バランスガイド」表示に協力している商店街は、栄養サポート店70商店街のうち、7商店街です。今後、各店舗の希望を聞きながら増やしていく予定です。

「食事バランスガイド」表示に協力している商店街

商店や飲食店と協働し、商店にSV数を表示して栄養情報を提供

区民が主体的に食育に取り組める支援を

現在行っているこれらの取り組みを区民に広く普及啓発するため「区内の大学に通う学生たちに栄養情報の作成を依頼したり、乳幼児健診や保育園などママ達が集まる場で『食事バランスガイド実践版』の配布やアンケートを実施していますが、食育に関心がある人は行政が思っているほど多くないようです。行政が何を伝えたいのかという方向性がぶれないようにし、今後もさまざまな媒体や講習会などで情報を発信して、栄養サポート店や給食施設が主体的に食を通じた健康づくりに取り組めるよう支援していきます」と話す枦山さんと田口さん。区民、大学、企業、商店街、NPO、教育委員会、学校等とより一層の連携を図っていくそうです。

取材日=2010年12月