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学校等と連携するには

超人シェフ倶楽部の「スーパー給食」の取り組み

学校で食育事業に取り組むためのポイント
  • ポイント1:学校が抱える課題と希望を明確にする
  • ポイント2:調理現場とのコミュニケーションを綿密に
  • ポイント3:地域や家庭との連携も視野に入れる

既に31校で一流のシェフが給食作りを

超人シェフ倶楽部は日本の食文化に関心の高いシェフたちが集まり、食育の普及、地産地消、味覚の再発見をテーマに設立された団体です。メンバーには、倶楽部の会長を務める「新宿割烹 中嶋」中嶋貞治シェフ、「アルポルト」の片岡護シェフやテレビでおなじみの「中国料理 美虎」五十嵐美幸シェフなど20人以上のメンバーがいます。

取り組みの一つ「スーパー給食」は、2007年、千葉県木更津市の小学校から始まりました。食文化の創造を目指す一流のシェフたちが、学校栄養士、調理員とともにメニュー作りから調理までを行うことで、子どもたちに本物の味を体験させ、食事への関心を高める機会を提供しています。

シェフと食べる給食の風景

シェフと食べる給食の時間

「学校では一企業との直接の連携は難しいと思いますが、我々のようなシェフの有志だと組みやすく、既に31校で実施しています。ほぼボランティアですから食品企業だけでなく協力してくれる企業は大歓迎。その際、課題を明確にしてくだされば、レシピなども考えやすいですね」と超人シェフ倶楽部専務理事の柳丈久さん。

学校の課題は残食率を減らすこと

学校からの要望で多いのは、豆やヒジキ、野菜など残食率の高い食材を使ったメニュー。そこで、丁寧にとっただし汁でうま味の強い食材と水煮大豆を炊き込んだ「豚ばら肉と高菜の炊き込みご飯」、なめらかなポタージュ仕立てで口当たりよく仕上げた「小松菜のスープ」など、工夫をこらしたメニューを作成。スーパー給食の日は、どの学校でも食べ残しが減るそう。「鯖と野菜の唐揚げ甘酢あん」は、サバ嫌いの児童が多いと相談があった学校で、わずか3%の残食率でした。

学校給食は予算が限られ、また、野菜はすべて火を通すなど独自のルールもあります。さらに、短時間で大量の料理をこなすことなど、スーパー給食もその制約の中でメニューを作成します。

シェフと調理現場のコミュニケーションも重要

調理現場の様子

大量の野菜を協力してカット

店で大人の客に料理を出すシェフの仕事と、給食の調理にかかわる栄養士、調理員の仕事は、同じ料理でも内容は大きく違います。シェフは自分が研ぎすましてきた職人の勘を大事にしますが、給食には厳密な計量が必須です。学校給食ならではの事情と、シェフのアイデアをうまくかみ合わせるには、綿密な打合せを重ねて理解を深め、コミュニケーションを取ることが最も重要だそうです。

当日は学校の調理員とともに、シェフも調理に参加。野菜をたくさん取り入れたスーパー給食のメニューは、下ごしらえに時間がかかります。大量の野菜をひたすら切りながら、シェフたちは調理員の仕事の苦労を実感し、また、調理員もシェフの技に興味を示すなど、互いに相手の仕事から刺激を受ける様子が見られます。

「給食だより」で保護者へのメッセージを

メニューが決定してからは試作、試食を行い、同時にスーパー給食の実施に合わせて家庭に配布する「給食だより」も作成します。給食だよりでは、シェフのメッセージやメニューのレシピを紹介し、協賛企業・団体名なども明記します。

給食だよりを見ながら話し合い、家族みんなで食を大切にする気持ちを育てていけるよう、親にもメッセージを発信していくことが大切です。スーパー給食の体験を家庭での食育にも生かし、子どものうちから本物の味を知り、いろいろな食材を味わうことは、体に優しい食生活への第一歩となることでしょう。

スーパー給食だより

レシピやメッセージを掲載した給食便り

地域との連携、食文化への貢献も

地場野菜など地域の食材も、積極的に取り入れています。東京都品川区立第二延山小学校では、品川発祥の伝統野菜「品川蕪」を使ったメニュー「若布(わかめ)と品川蕪のあんかけ」を作成しました。スーパー給食をきっかけに、学校が地元農家から野菜を仕入れるようになったり、生産者と子どもたちが顔見知りとなってあいさつを交わすようになるなど、地域の活性化にも貢献しています。

地域の生産者をじかに知ることも、子どもたちが食事や食材を大切に思う動機付けとなり、生産者の励みにもなるようです。

給食例1

地場野菜の「品川蕪」を使ったメニューの「品川蕪のあんかけ」。複雑な調味料をブレンドした「エスニック風ポタージュ」も、子どもの好奇心を刺激します

スーパー給食は「食べる」ことによる食育

出来上がった給食はシェフも一緒に食べます。その後の交流会ではシェフと子どもたちが、栄養バランスや食育、キャリア教育などの話で交流を深めています。

和食離れやひとりで食べる「孤食」など、食生活の変化が心身の健康に影響を及ぼす現状に、料理人としてできることは何か、という問いがスーパー給食の原点にあります。栄養バランスについての正しい知識を持ち、体に優しい食事の見本となるメニューを作り、そして、みんなで楽しく食べる。

柳専務は「スーパー給食は“食べる”ことによって、語彙の少ない小さな子どもにも食の大切さを伝えることができる体験型プロジェクトなのです。今後も多くの学校で実施していく予定です」と言います。

交流会の様子

交流会では真剣な表情でシェフの話に耳を傾けます

給食例2

小口切りにしたオクラをスープに星のように散りばめた楽しい演出。見た目の美しさも食欲をそそります

給食例3

ウコンごはん。珍しい食材や料理法も食の経験を広げます。ウコンの黄色があざやかなご飯と、野菜をたっぷり入れたひじきの煮物が目新しい

 

取材日=2010年12月

関連リンク
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