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農林水産省

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議事録

 

1 開会

2基調講演   放射線の健康影響~食品の安全性について考える~

3情報提供

4パネルディスカッション

   「食品中の放射性物質に関する現状と今後の取組~正確な理解のために」

5 閉会

 

 


議事

 

1 開会

司会(消費者庁・石川)

お待たせいたしました。ただいまから、食の安心・安全フォーラム「食品中の放射性物質に関する現状と課題~正確な理解のために~」を開催いたします。

本日の会は、消費者庁、内閣府食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省、京都府、そして京都市の主催に加えまして、京都府生活共同組合連合会、京都生活協同組合のご協力、そして今日この会場にお集まりいただいています皆様によって開催されています。

私は本日司会を務めます消費者庁消費者安全課の石川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

初めに、お手元の資料の確認をさせていただきます。資料の右上に資料ナンバーが書かれています。

まず、資料No.1として「放射線の健康影響~食品の安全性について考える~」がございます。資料No.2として「食品中の放射性物質問題に対する生協のとりくみ」、資料No.3として「京都における食品中の放射性物質検査状況」、資料No.4として「漫画で伝える放射線影響」、そして今後の取組みの参考とさせていただきますアンケートが2種類入っております。また、本日は特別に、会場の皆様のご意見やお考えの傾向を壇上から把握、お伺いするために赤と青の紙もお配りしてあります。この色紙は、パネルディスカッションの中で使うことにしておりますので、使い方についてはパネルディスカッションの中でご案内をさせていただきます。

不足の資料等がございましたら、お近くの者にお申し出ください。

続きまして、議事次第をご覧いただきたいと思います。本日の進行予定をお知らせいたします。

まず最初に、福島県立医科大学災害医療総合学習センター副センター長の熊谷敦史様から基調講演が60分ございます。続きまして、3名の方々からそれぞれ15分ずつ、順次情報提供をいただきます。発表順に申しますと、京都生活協同組合品質保証部の佐々木裕司様、京都府食の安心・安全推進課の津田義郎副課長、そして京都医療科学大学教授の大野和子様の皆様です。大野先生には、後半に行いますパネルディスカッションのコーディネーターもお願いしております。10分の休憩を挟みまして、15時30分からパネルディスカッションを行います。閉会は16時30分を予定しております。

本日、開催に当たって事前に皆様からご質問をいただいております。それらにつきましては、基調講演や情報提供の中で触れるように努めておりますが、時間の都合上、全てのご質問に答えることが難しい場合がございますので、あらかじめご承知おきを願います。

それでは、早速、基調講演のほうに移ります。演題として「放射線の健康影響~食品の安全性について考える~」、福島県立医科大学・熊谷敦史先生、よろしくお願いいたします。

 


2 講演

放射線の健康影響~食品の安全性について考える~
熊谷氏(福島県立医科大学)

皆さん、こんにちは。福島県立医科大学の熊谷と申します。

今日は、「放射線の健康影響~食品の安全性について考える~」ということで1時間お時間をいただきました。ここに書いてあるとおり、放射線の健康影響について、また特にその中でも食品についてというところをクローズアップしてお話しをしていきたいと思います。

私は、今福島県におりますけれども、もともとは外科医でありまして、震災前は長崎のほうで診療に当たっておりました。長崎はご存じのとおり被爆の県でありますので、私どもが手術をする患者さん、あるいはふだん接する患者さんも、その中に被爆者の方がいらっしゃるわけですね。というわけで、おのずと放射線というところに関心を持っている医療者は多いのですけれども、そういう縁で、被ばくと健康、そしてがんというところの勉強をさせていただく機会がありました。

もちろん、原爆被爆だけではなくて、日本には原発もあるということで、そういう原発事故が起きた時にどのような対応が必要なのかということを同時に準備といいますかトレーニング等を皆でやっているところに今回の震災がありまして、その震災の後から福島に関わることになって、今、震災から1年たってから福島県立医科大学で仕事をさせていただいているという背景があります。僕らは福島で暮らしているわけですから、僕らがふだん食べている食あるいは環境というものを実際にみんなで見ながら、どういうふうに考えていけるのかということを皆さんと一緒に考えているというのが私の今の日常ということになります。

それでは、大体1時間ぐらいということで話に入っていきたいというふうに思います。

〔スライド2〕
京都からはかなり遠く離れてはいますけれども、福島のことを背景にお話をいたしますと、原子力災害、今回原発から放射性物質を含む雲が飛んできた。それは福島に3月15日ぐらいに飛んできた。また、福島だけではなくて、東京などにも放射性物質を含んだ雲というのは届いたわけですね。そうしますと、僕らの身の回りに放射性物質が今までよりもたくさん、あるいは今までになかったようなものも飛んでくるということになります。それを吸ったり、あるいはその雲から落ちた雨が降った、雪が降ったということで地面に落ちて、土、水、そういったものから食べ物に放射性物質が入る。そしてその食べ物を僕らがもし食べれば内部被ばくをするというように、僕らの身の回りで放射性物質がぐるぐる回るような関係ができてきます。

というわけで、今でも、空気中の放射性物質を測ってみたり、あるいは土壌を測ってみたり、あるいは流れている水を測ってみたり、食べ物をそれぞれ測ってみたり、最終的にはつくった食事を測ってみたり、あるいは食べた僕らの体を最終的な判断として測ってみて、果たして本当に入ってきていないのか、入ってきているとしたらどれぐらいなのかということを、それぞれのところの放射性物質の量を測るということでリスクの管理をしていくことになるんですね。

もちろん、震災前、原発事故前は、そのデータはどうなんだとか、何を測ったらいいだろうかということは、実はほとんどの方が意識をせずに生活をしてきたわけです。こういうことを今福島で測らないといけないということは、僕らそこに暮らしている人間にとっては、言ってみれば非常にストレスなわけです。ただ、こういう放射性物質がそこにある可能性があるということ、今そういう状況なわけですから、そういう意味では、それぞれをきちんと測って、どれぐらいの量なんだ、あるいは出てこないんだということをきちんと見ていければ、それは僕らの身の回りのリスクというものをきちんと理解する手助けになるということで、そういう取り組みをしているわけです。

〔スライド3〕
一番最初に、お昼ご飯の後の時間で眠くなってしまうようなお話、題材になっちゃうかもしれませんけれども、放射線の基本的なところを説明したいと思います。 

今回問題になっている原発から出てきた放射性物質というのは、当然、放射線を出す力がある、つまり放射能を持っている物質ということになります。

ここにたき火の絵を描いていますけれども、僕らは放射線というのは五感では感じないですよね。熱い、冷たい、そういったことは分からないということで、僕らは非常にイメージがしにくいわけですから、かなり僕らの身の回りにあるようなものを使って例え話として説明をすることがよくあります。例えば懐中電灯から出る光だったり、あるいはたき火から出てくる光とか熱だったりというふうに例えています。

ここでは、たき火にくべるまきを放射性物質に見立てているんですね。放射性物質、まきが多ければ多いほど、放射線はそれだけ強いものが出てくる。たき火にいっぱいまきをくべれば、強い火が出てくるわけです。明るくもなるし、熱くもなる。そうすると、本当に近寄っていくと、温かいだけじゃなくて、やけどしちゃうということにもなってくる。というわけですから、出てきた放射線から受ける人体影響というものもまた考えなければいけません。

そうすると、ここに単位を少し書いていますけれども、今からするお話の中でちょくちょく出てくる単位として、放射性物質の量をベクレル(Bq)という単位で表します。例えば、この土には1kg当たり何ベクレル入ってます、あるいはイノシシの肉には1kg当たり何ベクレルのセシウムが入っていますというふうに使うわけですね。じゃあ、それは見れば分かるかというと、分かるわけではないので、出てくる放射線を測って、そしてそのベクレルを推定するというふうにするわけです。

じゃあ、僕らの人体の影響は、このたき火に近寄って温かいと思うのか、熱いと思うのか、いやいや、やけどしてしまうのか、いわゆる放射線による人体影響というのはどうやって表すのかというと、それを計算して表すのがシーベルト(Sv)という単位です。そういう関係になります。

〔スライド4〕
というわけですから、ベクレルという放射性物質の量から僕らの人体影響を考える上では、シーベルトという単位に翻訳をしてあげるという作業が、実はとても大事になります。 

福島に行かれると、京都からは少し想像が難しいかもしれませんけれども、ベクレルの値、この数字、情報というのは非常にあふれかえっているんですね。このお米はどうだとか、この桃はどうだとか、今年の柿には入っていないとか、入っているとか、そういった話があふれかえっています。しかし、そこから実際の健康影響というところに翻訳をしていくということが、実は1回1回大事ということにもなってくるわけです。

〔スライド5〕
そこで、僕が福島でよく聞く質問、もちろんこれは京都にいらっしゃる方もお感じになっていらっしゃる方は多いかもしれません。もし僕らの体の中に、体の回りをぐるぐる回っていた放射性物質、セシウムが入ってきたら、それは体の中にたまっちゃうんじゃないのか。 

〔スライド6〕
セシウムの半減期って、そういえば聞いたことがあると。物質によって半減期というのがあるんですね。放射線を出して、また別の物質に変わっていく、より安定した物質に変わっていく、そういう性質があります。その放射線を出すスピードというのは、物質によって違うんですけれども、セシウムというのは年単位の半減期があります。セシウム137になると、30年の半減期。そうすると、30年たたないと出ていかないんでしょうというふうに聞かれるわけですが、果たしてそれはどうなんだろうか。 

実はセシウムというのは、セシウム134も137も、僕らの体の中にあったり、食べ物に入っているカリウムという物質とよく似た性質があるということが分かっています。そうすると、カリウムというのは僕らの体の筋肉の中に主に存在しますから、体の中にもし入ってきたら、セシウムもカリウムと同じように筋肉に分布するということが分かっています。

半減期が比較的長い。もちろん、ほかの物質で言うと何億年とかいう半減期があったりして、セシウムに関しては何年なんですが、僕らの感覚からすると長いほうですね。何秒とか何日とかというわけじゃなくて、30年とかいう半減期なわけですから。そうすると、30年かかって放射線を出してくるというものですので、もし体の中に入ってきたら、全身に薄まって、時々放射線を出すというような格好になります。

体の中に入ってきたら、本当に距離がゼロだから、ものすごい影響を及ぼすんじゃないのかというふうに感じやすいんですけれども、実は筋肉というのは、体のあっちこっちに、全身にありますから、セシウムの場合は全身に薄まって入ってきて、しかも年単位の半減期ですので、その分、時間的には少しばらばらといいますか、低密度の被ばくということになるわけです。

〔スライド7〕
たまりっ放しなのかという質問ですけれども、実はおしっことしてセシウムは排せつされるということも分かっています。カリウムも実はおしっことして出ていくんですけれども、セシウムも、この表にあるように年齢によって違うんですが、おしっこになって出ていきやすいんですね。例えば1歳の赤ちゃんだったら、大体10日前後で体の中に一遍に取り込んだものの半分は出ていく。普通の大人の方であれば、二、三カ月で半分になる。おじいちゃん、おばあちゃんだったら三カ月ぐらいかかって半分になる。 

体の代謝と呼ばれる活動の勢いのよさですね。代謝の働きによって、体の活動が盛んな人はそれだけ、若ければ若いほど早くおしっこにして体の外に出すという働きが知られています。ですから、貯金箱のようにたまりっ放しというわけではないということが分かっているわけです。

〔スライド8〕
基本的な話を少しずつしていますけれども、放射線がどうして僕らの体に悪さをするのかというところを簡単に見てみます。 

今回の震災で相手にしているベータ線とかガンマ線と呼ばれる放射線については、DNAを傷つけるんですけれども、その途中でフリーラジカル(活性酸素)というものをつくることによって、それがDNA、遺伝子を実は傷つけるんだということが分かってきているわけです。

フリーラジカル(活性酸素)というものは、僕ら命あるものが、ほかの動物にしてもですけれども、日常生活、ご飯を食べて、糖分を燃やしてエネルギーにするという時、エネルギーをつくる時に実はつくっているんですね。実にたくさんの活性酸素を体の中でつくっています。もちろん、その活性酸素は、ふだんの生活の中では、DNAを傷つけないように一生懸命処理をされていくわけですけれども、一部はやっぱり遺伝子を傷つけていることが分かっています。

〔スライド9〕
そうすると、ふだん毎日毎日、放射線とは全然関係なしにフリーラジカルが遺伝子を傷つけるという大きな流れができているんですね。そこに放射線によるフリーラジカルがどれぐらい増えるのか、そうすると遺伝子の傷が少しでも増えるのかどうかというところが、放射線による健康影響があるのかないのかというようなことになるわけです。 

もともと、大きなフリーラジカルによる遺伝子の傷という流れがあるわけで、これはずっと長生きをしていると積み重なってくるわけです。もちろん、僕ら人間もばかじゃありませんから、遺伝子が傷つくんだったら修理をしましょうということで、修復機能というのがあります。遺伝子が傷ついたら、それをつなぎ合わせたり、補ったりということをやる。でも、それは成功もするけれども、たまには失敗もするということで、そういう失敗で傷というものが積み重なっていくと、病気につながる。長生きすればするほどがんにかかりやすくなるということは、そういうことなのです。

〔スライド〕
これはお配りしていませんが、日常生活による先ほどの活性酸素でどれぐらい遺伝子が傷ついているのかということを見てみますと、大体1日に100個に1個の細胞、あるいは10個に1個の細胞ぐらいで傷がついているということが分かっています。 

一方で、放射線を細胞に当ててどれぐらい遺伝子の傷ができるのかということを見てみると、年間100ミリグレイ。何だか分かりにくいですけれども、ミリというのは1000分の1という意味ですね。年間で100ミリグレイになるぐらいの放射線を当ててみると、細胞100個に1個ぐらいで遺伝子の傷が起きる。

ここではある一つの種類のDNAの傷に限って見ていますけれども、そういうところから見てみると、ここは途中で少し計算をしないといけませんが、日常生活で僕らの細胞が傷ついている、遺伝子が傷ついている傷というのを放射線でつくろうとすると、実は1時間当たり10から100マイクログレイと。この場合はグレイとシーベルトはほとんど同じぐらいに考えてもいいと思いますけれども、1時間当たり10から100マイクログレイぐらいの放射線、ガンマ線を浴びているのと同じぐらいのDNAの傷が僕らの日常生活、ふだん毎日毎日の流れでつくられているというところに、今回の被ばくによる影響がどれぐらい足されるのかなというのが、実際のところということになります。

言ってみれば、それなりの遺伝子の傷はいつもついていると。それを、いつも修復しよう、修理しようということを僕らの体は毎日毎日やっているということになります。

〔スライド10〕
細かい話を少し見てみましたけれども、結局のところ、がんになるんじゃないのという心配というのは非常に多いんですね。例えば、震災の1年後ぐらいに福島でアンケートをしてみると、ほぼ半数の方が今回の放射線の被害によって、自分はがんになるんじゃないかなというふうにお答えになっています。 

〔スライド11〕
あるいは、自分はいいと、自分はもういいんだけど、子どもが心配なんだというふうにおっしゃるお母さんもかなり多いですね。それは当然だと思います。子どものことを心配されるのは当然だと思います。 

じゃあ、その影響というのは果たして分かっていないのかというと、今までの研究の中で、広島と長崎に落とされた原爆の健康影響というのは、ずっと追跡調査がされています。その方々の追跡調査の結果から分かっていることを一つにまとめたのがこちらです。

〔スライド12〕

これはがんに関することですけれども、もちろん僕らは、放射線をこうやって原爆みたいにして浴びなくても、実はがんになっているわけです。それは何が原因で遺伝子に傷がついたのか、色々な原因があります。 

放射線とは関係なしに、がんになってがんで亡くなっている割合というのを緑色のところで示しています。横軸が放射線の量、浴びれば浴びるほど、がんによって死亡する人の割合がどうなるんだろうというのを見たグラフです。

そうすると、放射線を浴びようが浴びまいが変わらないレベルというのがあるんですね。大体30%ぐらい。3人に1人ぐらいは放射線とは関係なしにがんで亡くなっているというのが、今の日本人になります。そこに放射線を浴びてしまうということを考え合わせるとどうなるのか。

高い線量の時には、浴びれば浴びるほどがんで死ぬ人の割合が増えていくということが分かっています。浴びれば浴びるほど危ない。逆に言うと、少なければ少ないほどいいということになります。

じゃあ、どこまで少なくすれば、あるいはどれ以上浴びたら危ないのかということも大事になってきます。そこを見たのが赤の部分です。ずっと線量を下げていく、浴びる量を少なくしていって100ミリシーベルト。ミリシーベルトは1シーベルトの1000分の1です。100ミリシーベルトの量を浴びた場合に、実は0.5%がんで死ぬ人が増えるということが分かっているわけです。

0.5%増えると言われてもよく分からんと。どういうことかというと、ここの丸の中に書いてあることがその説明になります。

例えば1,000人ここにいらっしゃるとして、放射線なんか全然関係なしだとした場合に、今、何人の方ががんで亡くなるのかというと、大体300人ぐらいです。2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなるということに今はなっています。

しかし、放射線を100ミリシーベルト浴びるとどうなるか。0.5%増えるわけです。1,000人中の0.5%というと、5人です。そうすると、300人に5人増えるわけですから、305人ががんで亡くなることになります。倍の200ミリシーベルトを浴びると、それが1%増えるわけですから、300人が310人になるというような関係になるわけです。

この100ミリシーベルトというのは、低線量の被ばくということですけれども、それでもこれぐらいの影響があるということが分かっているわけです。

じゃあ、それよりも低い場合はどうなのか。福島の人々が被ばくした線量というのは、震災の年の線量を見ても、大体数ミリシーベルト程度というふうに考えられています。その数ミリシーベルトというのは、非常に低いほうですよね。そうすると、100以下の場合はどうなのかといいますと、破線になっているところです。点線になっているのはどういうことかというと、0.5よりも小さいということは分かっているけれども、正確な数字としては計算できないぐらい小さいということが分かっているわけです。

でも、100ミリシーベルトで0.5%ということは、例えば1,000人中なら5人、1万人だったら50人、10万人だったら500人、100万人だったら5,000人。どんどん全体の数を大きくすれば、それなりに非常に大きな数字になってしまう。それだけがんで死ぬ人が増えるのが100ミリシーベルトのラインなわけです。

そうすると、そこの半分とか5分の1とかであっても、それなりに大きな数になるんじゃないか、そしたらその影響は無視できないレベルと言えるんじゃないのかというふうに感じられるかもしれません。しかし、日本全国を見ますと今日はそのスライドは出していませんけれども、30%のところでぴっと引いた放射線と関係ないがんによる死亡というレベルが、実は地域によって10%ぐらい違います。35%ぐらいの地域もあるし、25%ぐらいの地域もある。そういうふうに大きくぶれている中で、この0.5以下の小さな違いというものはもう分からなくなってしまう、計算できなくなってしまうというのが、実はこの100ミリシーベルト以下ということになります。

ゼロというわけではありません。ここの以下がゼロだというふうに言っているわけではありませんが、見えないぐらい小さいということでもあるわけです。

それでは、30%の人たちは何でがんになって、がんで死んでいるのかというと、実は生活習慣の占める割合が非常に大きいわけです。

〔スライド13〕
先ほどのもう一つの質問、子どものことが心配です、子どものがんが心配なんですというお母さんの心配についてはどうでしょう。ごく自然な心配だと思います。実はこれは、原爆被爆者におけるがんの発がんリスク、がんになりやすさというものを見たものです。 

下に年齢が書いてありますが、何歳の時に被ばくをしたのか、10歳未満で被ばくした人、30歳代で被ばくした人というふうな分け方です。そしてそのそれぞれのグループが、5ミリシーベルトという線量よりも低い、例えば4ミリとか3ミリといった5ミリシーベルト未満の被ばくをした人に比べて、5~500ミリシーベルトの被ばくの人たちはどれぐらいがんになりやすいのかというのを見ています。

福島の人たちの被ばく量は、ほとんどの人が数ミリシーベルトというふうに考えられていますので、実はこのレベルよりもうちょっと低いのかもしれません。しかし、原爆被爆者の低線量被ばくと呼ばれる5~500ミリシーベルトの人たちのグループで見てみると、何歳で被ばくをしても、実は発がんの危険性、がんになりやすさというのに違いは見られないということが分かっています。

ただ、1,000ミリシーベルト以上の被ばくをした被爆者の場合には、子どもで被ばくをするとがんになりやすいということが分かってはいるわけです。しかし、今回の福島の原発事故に関して言うと、そういう高い被ばくをした人は、住民の方にはどうもいなさそうだということですので、実はこちらのほうが当てはまるだろうというふうに考えられています。 

〔スライド14〕
福島で実際に今問題になっているのは何なのかというと、最初のころは放射性物質が空気中に飛んでいたりしましたので、家の中にいてくださいというふうに言われたわけです。ですから、外で遊ばせると被ばくをしてしまうんじゃないかという心配をされる方が多くて、多くの子どもさんが家の中にじっとしていた。そうすると、肥満の割合がどんどん増えるわけです。

先ほど日常生活というお話をしましたけれども、日常の生活習慣による発がんリスクというものを見てみると、実は肥満というのは、肥満であるだけで、200ミリシーベルトとか500ミリシーベルトといった放射線の被ばくをした人と同じぐらいの発がんの危険性、がんになりやすさになってしまうことが分かっています。 

〔スライド15〕
外で遊ぶと被ばくをするんじゃないかと思って家の中にいたら、肥満になっちゃった。そうすると、よっぽど外で遊んでも被ばくしないようなレベルの被ばくと同じぐらいの発がんリスク、がんになりやすさになってしまうということですから、実は少しあべこべな対応ではないだろうかというふうに、医師の目からは見えるわけです。また同様に、運動不足であっても、あるいは野菜不足であっても、100ミリシーベルトといったところよりも高い発がんの危険性をもたらしてしまうわけですから、消費者とか生活者の視点からすると、バランスを持って対策を考えていかなければいけない、何か一辺倒ではどうもよくないようだということが見えてきます。 

〔スライド19〕
さて、福島の影響ということで、少し話の題材が変わりますけれども、福島で、先ほど少し触れたように、最初のころは空気中に放射性物質が飛んでいた。原発から飛んできたわけですから、飛んでいたわけですね。そうすると、福島に住んでいる人はこういう心配もまたあるわけです。空気を吸ったら内部被ばくしちゃうんじゃないの。それはつまり、福島県外の人たちの目から見ると、例えばそこに生えている野菜、果物の表面に放射性物質がくっつくんじゃないのという心配にもつながってきます。

〔スライド20〕
果たしてどうなのかということで見てみますが、こういう機械で空気中の放射性物質を調べるんですね。掃除機の根っこみたいなもの。ここに丸い輪っかがついていますが、ここから空気をがあっと吸い込んで、そこにフィルターをつけておいて、そこにひっかかった放射性物質をはかりましょうというわけです。実は、ここに書いているように、震災から1カ月の間は放射性物質がそれなりの値で検出されたんですけれども、1カ月たってからはほとんど飛んでいない。普通のはかり方だとまず検出されないぐらいのレベルに下がってしまいました。 

空気中には、実際のところゼロかと言われるとゼロではない。上から降ってきていないことは分かっていますが、福島市内のようにいわゆる放射性物質がより多く降った場所なんかでは、もちろん京都は関係ありませんが、セシウムの舞い上がりというのが少しはあります。しかし、ごくごくわずかであるということが分かっています。ですので、野菜にくっつくとか、果物にくっつくというようなレベルではないことが分かっています。

〔スライド21〕
また、水はどうなのか。もちろん、農業をする上で水って大事ですね。じゃあ、どうなのか。 

〔スライド22〕
例えばこれは水道水ですけれども、震災後の3月中は、ヨウ素というこの青で示したところが検出されていたことが分かっています。しかし、震災の1カ月後、4月以降になってからは、ヨウ素もピンク色のセシウムも出てこないということが分かっているわけです。こうやって毎日毎日測っているわけですけれども、ほとんど検出されないということが分かっています。 

〔スライド24〕
ただ、セシウムは何年もあるにもかかわらず出てこないという理由は何なのか。水道水からはほぼ検出されないという理由は何なのか。ここに書いているように、いわゆる土、砂じゃなくて、粘土を含んでいる土は、顕微鏡などで見ると、こういうふうなケイ素という物質のシート構造、つまり紙か板を重ねたような構造になっているということが分かっています。セシウムの粒は、その粘土のシートの間にがちっと固定されてしまう、そこにとどめられてしまうという性質を持っていることが知られています。こういう状態になると、水に溶けにくくなるということが分かっているわけです。 

植物というのは、土の中に根っこを張って養分を吸います。そうすると、水に溶けている形のものを吸いあげる、そういう性質があるわけです。

例えば、植物の話からちょっと離れて、川がありますね。福島市内にも阿武隈川という川がありますが、最近はよく雨が降りますけれども、泥水になるわけです。茶色の水になっちゃう。あの水をかばっとすくってきてセシウムを測ると、セシウムが出ます。あららと思うわけです。しかし、その水をろ紙でこして透明な水にする、つまり濁りをとる、浮かんでいる泥を取り除いて測ると、セシウムは出なくなります。あららと思って、こしたろ紙に残った泥を測ると、セシウムはばんばん出るんですね。ということは、セシウムは泥にくっついているのであって、水にはほぼ溶けていないということが分かります。

というわけで、震災後少しずつ時間がたってきて、土にあるセシウムが土そのものとがちっとくっつけられているように少しずつ変化をしてきているので、たとえその土で農業をして野菜をつくっても、なかなかセシウムというのは野菜に入りにくくなっている、そういうふうな特徴が分かってきています。

〔スライド26〕
もちろん、セシウムについては色々と情報が出ているわけで、ストロンチウムとかプルトニウムのほうが心配なんだと、あんまり情報が出ていないじゃないかという声も確かに聞きますし、感じます。

〔スライド27〕
ストロンチウム90というのは、ベータ線を出す核種ということで、ぱっと測るのは難しいんですね。さあ、この野菜はどうですかと持ってこられて、すぐ結果が出せない。プルトニウムについては、アルファ線を出す核種ということで、またこれもぱっと測って出すことが難しいというか、できない。1週間、2週間かかるわけです。そうすると、今の野菜がどうですとすぐ言えないし、給食の調査とかやっても、こういうのを測ることは、今日の給食には役に立たんわけです。というわけで、いつもセシウムとヨウ素のデータばっかり出てくるわけですけれども、そういう性質があると。

 〔スライド29〕
これは福島県の地図ですが、土の中のストロンチウムを測ってみるとどうかというと、実はストロンチウムはセシウムと同じように分布している。同じようにというのは、同じような地域に分布していることが分かっています。だから、ストロンチウムは原発事故で飛んできたんだなということが分かる。 

〔スライド30〕
しかし、ここに書いていますが、参考資料にグラフもありますけれども、震災前の10年間と比較すると、実は10年前のほうがストロンチウムの値は高かった。えっ、何でストロンチウムは事故前のほうが高かったのかと思われると思います。

〔スライド32〕
プルトニウムにしても、プルトニウムの分布を見ると、実は今回の震災の風の動きとは全然関係がないことが分かります。事故前と比べてみても、事故前のほうが高いんですね。震災前、事故前にあった量のほうが多かった。それはどうしてなのかというと、実は1960年代に、世界中でものすごい数の核実験をやっています。あれによって、プルトニウムやストロンチウム、もちろんセシウムも、そういったものが世界中にばらまかれて、いまだにこの日本の土にある。それから少しずつ少しずつ減ってきて、今回の震災があって、少しストロンチウムは先ほどの地図のように少し上がりましたが、10年前のほうがまだ高かったということが分かります。 

震災前の状態に返りたいという気持ちは当然だと思いますけれども、事このストロンチウムに関して言うと、10年前に返すと、もっと高くなっちゃうという非常に皮肉な状態というのがあるわけです。

今日お配りしている資料のうち、青い枠で囲んだものは、スライドには映さないものですが、参考にしていただくように準備をしています。

〔スライド43〕
さて、次にセシウムのことですけれども、こういう不安も聞くんですね。基準値を大分超えてしまった食べ物を食べさせてしまったので、がんになるんじゃないか。 

〔スライド44〕
食品の今のモニタリングというのは、先ほど言ったようにそれぞれの食品を測る、調べるということで、もし基準値を超えていたらストップされるという仕組みができています。

〔スライド45〕
じゃあ、その基準値の根拠、どうやって決められているのかということですが、例えばここに、今の基準値とは違いますが、震災の後1年間使われていた暫定規制値というのを載せています。一般の食品は1kg当たり500ベクレル、水と乳製品は200ベクレルという基準値でした。今はさらにこれの5分の1ぐらいになっていますけれども、大体500とか200がどうして決まったのかという背景が分かると、大体500というのはこんな感じなんだという肌ざわりが分かってくるんですね。 

温度だったら、大体お風呂が40度といったら、まあ普通かなと、42度といったら熱いねということが分かりますね。ちなみに、福島市にある飯坂温泉は48度もあって入るのが大変なんですけれども、48度といったら、そりゃあ普通の人は入れないよねというイメージが湧きます。しかし、放射性物質で500とかと言ったってさっぱり分からない。3桁だからすごく多いんじゃないかと思うわけです。

そこで、何でそういう基準値になったのかというのが、こちらの黄色の枠の中に書いてある説明になります。例えば成人、幼児、乳児と年代を分けてみると、先ほど途中でお話をしましたように、セシウムというのは年齢によっておしっこにして出すスピードが違ったんでしたね。赤ちゃんのほうが早くおしっこにして出す。体の中の割合をどんどん減らす力がある。しかし、成人、幼児、乳児が同じものを食べているのかというと、そうでもない。大人がミルクばかり飲んでいるわけでもありませんし、赤ちゃんが大人と同じ量の牛丼を食べられるわけでもない。そうすると、それぞれの年代によって、食べるもの、食べる量、割合が違うわけです。

そうすると、先ほどのおしっこに出すスピードというのと、食べるものの割合とか量を考えあわせて、どういう食材でどれぐらいの汚染、セシウムをどれぐらい含んでいたら、それを1年食べ続けたら1ミリシーベルトになるのかなというのを計算したのがこの数字ということになります。

ですので、例えばここに幼児で4,010と書いていますけれども、これはどういうことかというと、幼児が標準的な量の4,010ベクレル/kgの肉あるいは魚を、あるいは卵を1年間食べ続けると1ミリシーベルトになるんだということです。そういうふうに食品の種類ごとに分けたのがこの表で、この食品の中で一番低い数字をとって規制値にしたということですから、実は1kg当たり500ベクレルが暫定規制値でしたけれども、基準値の倍の1,000ベクレルのものを幼児が1年間食べ続けても、1ミリシーベルトの半分にしかどうもなりそうにないというレベルであることが分かります。だから、規制値を超えたらすぐ何か病気になっちゃうということではないんですね。そういうことがここから分かります。

〔スライド46〕
さらに、先ほどの200、200、500、500といった規制値から、10、50、100、100、100というふうに変えられて、今はこの規制値が適用されていることになります。ですから、かなり厳し目の規制値になっているんだろうなということは、先ほどの肌ざわりからするとお分かりになるかと思います。 

〔スライド47〕
ちなみに、世界の基準はどうなっているかということですが、日本が10、50、50、100と、一般食品が100であるのに対して、世界の基準は、大体1kg当たり1,000ベクレルとかなり高めの規制値になっています。じゃあ、これを単純に比較して日本はものすごく厳しいのかというと、実はそうでもありません。ここに書いているコーデックスとかEUは、日本と同じように、食品の被ばくは年間1ミリシーベルトまでにしましょうね、それを超えないようにしましょうねという基準であることには変わりがありません。 

なぜこんなに違っているのか。日本は食品の汚染割合を50%というふうに見込んでいるからです。えっ、それってどういうことというふうに感じられるかもしれません。

 〔スライド〕
これはお配りしていない資料になりますけれども、日本では、町で売っている食品のうち、便宜的に半分は全くセシウムが入っていない、残り半分にセシウムが入っている可能性があるというふうに考えているわけです。じゃあ、その半分にセシウムが入っていたら、どれぐらいの汚染があったら年間1ミリシーベルトになるだろうかというふうにして考えた結果は、ここにあるように1kg当たり100ベクレルということになります。 

乳製品とか、あるいは赤ちゃんが使うような乳児用食品については、全てにセシウムが入っていたと考えて、それをずっととり続けて1ミリシーベルトを超えないようにするにはどれぐらいに抑えないといけないか。そうすると、1kg当たり50ベクレルになったということです。

〔スライド〕
どうして半分が汚染されていない、半分が汚染されているという何か分からないようなことにしたのか。我が国の考え方というのをホームページから見てみますと、世界では、全てのものに入っているというのではなくて、実は1割の食品にセシウムが入っている可能性があって、9割は全然入ってないという考え方をしているわけです。1割の食品だけが汚染する可能性があると考えた時に、じゃあ、全体の中でどれぐらいの汚染に抑えておけばいいのか。同じ1ミリシーベルトにしましょうといっても、1割の食品しか汚染していないと考えると、実は基準値は高くなりますね。 

そういうことで、結果だけを見ると、世界では日本よりも緩めの基準になっているけれども、実は同じ1ミリシーベルトのリスクに抑えましょうという考え方は共通していることになります。

〔スライド50〕
さて、震災後の野菜なり果物なりといった食べ物の汚染状況はどうでしょうかというところを見てみます。事故の後、これは直後ですけれども、震災から3、4カ月の間は、いわゆる葉っぱものの野菜は、ほとんどは異常に低いレベル、25ベクレル/kgという汚染状況でした。ただ、一部には100ベクレル/kgを超えるという今の基準値を超えるものもありましたが、その後消えています。なぜこの時期だけあったのかというと、先ほど言ったように空中に放射性物質が飛んでいたので、その時野菜として生えていたものの表面にくっついてしまったというふうに考えられています。それ以降、また植え直すなどして、空中からはなくなって、根っこからの吸収だけに変わってからは、このように24年度、25年度はほとんどセシウムが検出された例はなくなっているということも分かっています。野菜からは最近はほとんど出ないですね。 

〔スライド52〕
果物はというと、福島は非常に果物の豊かな県で、今は桃がもうすぐ終わりかけですけれども、野菜に比べれば、それなりにセシウムの検出される率というのがありました。これは、果物の木の幹とか葉っぱとかについたセシウムが吸収されて果物に入ってくるということがあったからだと考えられていますが、その後、農家も頑張られまして、幹をはいだり、葉っぱを含んだ枝を短く刈り込んだりなどして、最近ではほとんど検出されなくなっている状況になっています。 

〔スライド53〕
お米に関しては、その収穫された全てを検査するという体制になっていて、このように、昨年度のお米に関しては1,000万袋余りを測って、28袋が100ベクレルを超えたという状況です。 

〔スライド56〕
汚染、汚染というイメージがある福島で、どうしてそんなに少ないのかというと、もちろん農家の努力があるわけですけれども、どういう特徴を生かしているかというと、これは田んぼの土壌中のカリウムの濃度が横軸、縦軸がお米に入っているセシウムの量です。見てみると、実は米の中にセシウムがばーんと入ってくる田んぼの特徴はというと、カリウムが低いということなんです。カリウムがいっぱい入っている田んぼでは、セシウムが米の中には入ってきているものは全然ないということが分かります。

先ほど言ったように、カリウムとセシウムというのは、よく似ている性質がある。人間の体もそうですが、植物もやっぱり同じように扱うんですね。カリウムというのは、窒素とリン酸とカリウムということで、肥料の中の大事な一つの要素です。そのカリウムを欲しい欲しいと思っている植物は、カリウムが足りない畑だと、セシウムをかわりに取り込んでしまうという性質がある。なので、今、福島の農家では、畑なり田んぼの広さに応じてカリウムをまくという対策をされています。

〔スライド58〕
じゃあ、魚はどうなんだということですが、福島でもシラス漁が再開されたというニュースが1カ月ぐらい前にありました。 

〔スライド60〕
これは福島の魚ですけれども、その種類、あるいは住んでいる場所によって全然傾向が違うぞということが見えてきました。底を泳いでいるような魚では、もちろん震災から時期を経ると、少しずつ減ってはきているんだなというのは見えますけれども、まだまだ検出されているものが相当数あるということが分かります。100ベクレルの一般食品の基準値を赤色で示していますが、それを超えるものはそんなに多くありません。でも、検出されるものもある。あるいは天然の川魚の場合には、それでもまだまだ検出もされるし、100を超えるのもそれなりに見つかるということが分かっています。 

〔スライド61〕
一方で、シラスみたいに海の表面を泳いでいるような魚はどうか。最初のころはすごくたくさんのセシウムが検出されて、大騒ぎだったわけですが、すっと下がって、今ではまず検出をされない、こういう特徴があります。また、さっき表に出していたように、カツオだの、サケだの、マグロだのサンマ、これからサンマの時期だと思いますが、そういうあっちこっち泳いで回るような魚はどうなのか。黒潮に乗ってどんどん上がっていくような魚は福島沖も泳いでいるに違いない。しかし、最初のころ少し検出をされた例はありますけれども、今はまず検出されないレベルになっています。 

〔スライド62〕
また、イカ、タコの場合も、明らかに傾向は底魚とは違うんですね。また、エビ、カニ、貝、海藻類といったものも、その種類、あるいは棲んでいる場所等の特徴によって、明らかな傾向というものが見えています。何でもかんでも入っているというわけではなくて、セシウムを含んでいる魚というのはある程度限られているということが分かってきたわけです。 

〔スライド63〕
次に、野生動物はどうなのか。ジビエブームということもあって、福島では、例えば熊の肉を食べるようなお店とかもありました。そうすると、例えばここにイノシシとか熊、キジとかヤマドリと色々載せていますけれども、今年の7月のデータとして出されている中では、それなりにやっぱり野生動物からはまだ検出をされるということで、食べないでくださいねというふうに言われています。 

〔スライド65、66〕
じゃあ、結局どうなんだ、何に入っているのかという話で年次ごとの推移を見ますと、赤枠で示しているように、特に検出されていたものとしては、キノコ・山菜類というところが見えています。そして、先ほどから少し強調していたように、キノコ・山菜類、さらに野生動物、海の魚の中でも底を泳いでいるような魚だったり天然の川魚、こういうところにはどうも入っているんだねというふうに分かってきたわけです。ただ、野菜からはまず検出されないということも分かってきています。 

〔スライド67、68〕
じゃあ、調理をしたらどうだろうかというわけで、日本全国のご家庭に依頼をして、厚生労働省が調査をした結果がこちらです。陰膳調査と書いているのは、5人家族だったら6人分つくってくださいというふうにお願いをして、1人分余計につくったものを出してもらうという調査で、それを1年間食べたと仮定して評価しましょうと。 

〔スライド69〕
そうすると、その結果の一つがこちらですけれども、食べ物の中に入っているわずかなセシウムを検出して、それを1年間食べ続けたとして、どれぐらいの影響があるのかをシーベルトに直したわけです。そうすると、岩手、栃木、茨城と、福島よりも周りの県のほうが実は高かったということが分かりました。じゃあ、周りのものも食べちゃだめなのか、東北のものはとにかくだめなのかというと、これだけを見ると何かそんな気がしてくるかもしれません。 

〔スライド71〕
しかし、実は僕らは、セシウムからだけ被ばくしているわけではない。食べ物にはカリウムというものがあって、実はカリウムの0.01%、すごく少ない割合ではありますが、必ず放射性のカリウムというのが入っていて、放射線を出しているんですね。そうすると、カリウムの被ばく量を上に足してみる。さっきはセシウムだけ見たので、こんな違いが分かりましたが、カリウムの違いのレベルで表をつくると、こんな感じになるわけです。

簡単に言えば、実はその合計で僕らは被ばくをしているわけですから、もちろんそれ以外のものも被ばくの原因にはなりますけれども、ここで見る被ばく量としては、非常にカリウムのばらつきというのは大きいんですね。セシウムの違い、あるいはありなしといったものは、カリウムのその時の食事のちょっとした違いで、完全に吸収されてしまっているというぐらいに、今は実はコントロールされているということが分かります。

〔スライド74〕
じゃあ、ストロンチウムとかプルトニウムはどうですかというと、これもまた幾つかの調査報告が国からも出されていますけれども、ストロンチウムについては検出されたものがあります。しかし、実は事故以前の範囲内である、前からあったんだという裏づけになっちゃったんですね。プルトニウムは実際は検出されていませんということで、その前に測ったものと実はデータは一緒という傾向であります。

〔スライド75〕
食品の汚染状況というのは、ここにまとめたとおりということで、見ておいてください。 

〔スライド77〕
じゃあ、僕らの体の中の実際の被ばくはどうなんだというところを見てみましょう。これは機械の一例ですけれども、実は福島に一番入っている装置です。こういうやつで調べる。じゃあ、何を見ているのかというと、体の中にセシウムなりが入っていると放射線を出してきます。体の前にある装置で体をスキャンして、その体から出てくるガンマ線を装置で拾ってみようということです。ただ、残念ながら、検出限界というものがあるんですね。これ以下だったら詳しい数字は分かりませんという検出限界があって、NDとかというふうに言われますが、300ベクレル以下だったら、検出限界以下というふうに言われる。決してゼロということは分からない、ゼロとは言ってくれない、そういう制約があるわけです。 

〔スライド〕
じゃあ、どうやって内部被ばくの評価をするのかというと、例えば原発の作業員とか、あるいは本当に1回だけぽんと飲み込むとか、吸い込むとかという危険性がある場合には、例えば横軸を時間として、縦軸を体の中の放射性物質の量だとした場合に、ある時に検査をして、これぐらい検出されました、何ベクレルですねということが分かるわけです。

じゃあ、それで何が言えるか。これだけでは何も言えない。1回だけ急性摂取、1回だけとったんだよということが明らかに分かっている場合には、何日前に吸い込んだんです、何日に飲み込んだんですというのが分かっていれば、どれぐらいのスピードで体からおしっこになって出ていったかというのが分かりますね。それを逆算して、最初の量というのを計算します。今一瞬だけ被ばくするわけじゃないので、それはずうっとその後まで、おしっこになって出て減りもするけれども、残っているやつからは放射線が出るわけだから被ばくをする。

〔スライド〕
そこのこの面積、何となく算数っぽくて嫌ですけれども、一番最初はそれなりに多くの被ばくをする。だんだん減ってきて、またずっとその先まで被ばくをするんだということで、ここの面積を計算すると、これが被ばく量ということになります。これを「預託実効線量」というふうに難しく言うんですね。いつまでを見るのかというと、50年後、あるいは70歳になるまでという計算をします。 

今の福島の状況はどうなのかというと、最初の1回だけというわけじゃなくて、食べ物にも入っているかもしれないよというふうに考えるわけです。もちろんそれは仮定の話ですけれども、毎日毎日少しずつ取り込んで今があるんだというふうに計算をする。その後は、なくなるまでとりあえず食べないことにして、今から50年後、あるいは70歳になるまでの計算をしますよと、こういうシナリオによって計算する範囲が違う。これが預託実効線量ということに、福島の今の場合はなります。何となく分かりにくいわけですけれども、結果はシーベルトという単位で表すんだということになります。

〔スライド78〕
1つの例を出しますと、福島の三春町という町の小・中学生1,400人ぐらいを震災から1年後、あるいは2年後に調査をした。その2年後の検査結果をここに紹介していますが、実は1,400人ぐらいを測って、全員が検出限界以下だったという結果でした。

 〔スライド80〕
これはどういうことを意味しているかというと、実はお母さんたちにアンケートをしてみると、米にしろ、肉にしろ、魚にしろ、野菜にしろ、キノコにしろ、福島のものを食べないと言っていらっしゃる方、福島県外産ばっかり買っています。それしか食べませんという人が青色です。半分ぐらいは福島県外産ばかりを食べている。半分ぐらいの人は赤色で、福島県産も食べています。あるいは中には、緑色の、自分のところでつくったものも食べていますという人もいます。皆さんそれぞれいろんな選択をしているんだけれども、結局、毎日毎日食べている食べ物にある一定のレベルの放射性物質というのはどうも入っていなさそうだということがわかったわけです

いろんな選択をするのは、当然それはそれぞれの人の対策ですから、それでいいんですけれども、いろんな選択のバリエーションはあったにせよ、結果としては変わっていませんよということが分かります。

〔スライド83〕
ちょっと不謹慎な質問ではあるんですけれども、1年間で1ミリシーベルト被ばくするためにはどれぐらいセシウムが必要なのか、どれぐらい食べると1ミリシーベルトの被ばくをするのかというと、実は万のレベル、何万ベクレルのセシウムが必要になるということが分かります。 

そうすると、今の基準値は1kg当たり100ベクレルでしたね。基準値超えの食品を何kg食べればいいのかというと、相当な量を食べないと1ミリシーベルトにはならないというぐらい、かなり厳しい基準でもあることでもあります。一遍に考えればですよ。

〔スライド84〕
また、こういう質問も来ます。ホールボディーカウンター検査で検出限界以下であっても、ゼロじゃないんでしょうと。

〔スライド85〕
ゼロにしたい気持ちも分かりますが、ゼロじゃないんでしょうという点で、じゃあ検出限界ぎりぎりのセシウムをもし体の中に持っていたらどうなのか。どれくらいの影響、シーベルトになるのかというと、実は10マイクロシーベルトと言われます。マイクロというのは、さらにミリの1000分の1ですから、非常に小さい値になります。どれぐらいなのかというと、皆さんが撮る胸のレントゲンの大体6分の1ぐらい。そう決まったわけじゃないんですけど、大体6分の1、7分の1ぐらいというレベルということが分かっています。

1960年代、核実験が盛んだった頃の日本人の成人男性というのは、皆さん大体500ベクレルを超えるレベルのセシウムを持っていたということが分かっているわけです。それだけ身の回りに飛んできていたんですね。その後ずっとたまりっ放しじゃないということは、すっと減ってきたことからも分かります。大気圏内の核実験で飛んできたころの人たちの平均というのは、実は今の福島県の人たちよりも相当高めということが分かります。

〔スライド88〕
そういうわけで、内部被ばくの検査のまとめとしますと、事故直後にミリシーベルトレベルの人が何人か出た、その少数出た人たちの聞き取り調査などから、どういう人から検出されたのかというところを見てみると、イノシシの肉を食べてますとか、川魚もどんどん釣って食べてますといった人たちからそういうレベルのセシウムが見えているんですね。しかし、そういう人であっても、結局はミリシーベルトレベルにとどまっていますので、100ミリシーベルトなんていう人はいないんです。そう考えると、基準というものがかなり実は厳しいところにあるということもまた分かります。

というわけで、私は、食品というものの健康影響ということを幾つかのデータを交えましてお話しさせていただきました。

〔スライド89〕
最後に一つつけ加えるといたしますと、健康影響という医学的な見地から分かっているのは、100ミリシーベルトというところなんですね。そこから実は安全の幅をとって、安全のために10分の1、そしてさらに個人差というものも考えて、結局100分の1というところに規制値が置かれていて、年間1ミリシーベルトというようなお話があります。一般の人たちは、この1ミリシーベルトを少しでも超えてしまうと、すぐ病気になるとか、がんになるとかというふうに考えてしまいがちですけれども、実は大きくこの幅がとってあるということを、規制の考え方ということでご理解いただきたいと思います。

〔スライド90〕
実際にまとめということで、最後のところにまとめています。今の状況等々を幾つかのデータから見てみると、実際には、このリスクのレベルというのはかなり低めになっているのではないだろうかというふうに考えられます。放射線のリスクのみを減らせばいいんだというふうに考えてしまうと、実は肥満がリスクになる、野菜不足がリスクになる、運動不足がリスクになるというように、ほかのリスクを高めてしまいかねないわけです。医者の観点からすると、医者の願い、あるいは医療者の願いというのは皆さんの健康でありますから、放射線をゼロにして、肥満になってがんになって死んでしまっては元も子もないわけです。

そういうわけで、バランスを持った判断というものをしていきたいなというふうに考えているところです。

ご清聴ありがとうございました。(拍手)

 

司会(消費者庁・石川)
熊谷先生、どうもありがとうございました。
続きまして、情報提供に移らせていただきます。 


 3情報提供
(1)「食品中の放射性物質問題に対する生協のとりくみ」
    佐々木氏(京都生活協同組合)

 

司会(消費者庁・石川)
まず最初に、京都生活協同組合品質保証部佐々木裕司様から、「食品中の放射性物質問題に対する生協のとりくみ」と題する情報提供をお願いいたします。どうぞ壇上にお上がりください。

 

佐々木氏(京都生活協同組合)

皆さん、こんにちは。京都生活協同組合の佐々木と申します。私のほうからは、演題にもありますように「食品中の放射性物質問題に対する生協のとりくみ」をご報告させていただきます。
まず、京都生協の考え方と取組みです。

〔スライド3〕

京都生協の考え方といたしましては、今回の原発事故は国レベルの緊急事態であることから、政府の定める判断・指示に沿った対応を行いますというのが、基本的な考え方というところです。
行政による検査というのは、地域ごと、品目ごとに網をかけた検査を進めており、基準外の検出が認められた農水畜産物については、その都度、出荷制限措置がとられているということであります。京都で言えば、例えば宇治市で何らかの基準値を超えるものが連続して起こった場合、その超えたものだけがとまるのではなくて、宇治市全体のものがとまってしまうような措置がとられています。

 行政が行った検査結果と京都生協やコープきんき事業連合が行った検査結果を比較しておりますけれども、ほぼ同様の結果となっており、行政の検査結果は正しく機能していると考えられるということです。

よく行政の検査結果は信じられないというような方もいますけれども、現在生協をはじめ、生協以外の流通業者さんも検査を行っています。行政の検査結果がもしうそならば、当然結果は一致せずに大問題に発展していると考えられますが、実際にはそういうことになっていないということです。

〔スライド4〕
今回の事故に対する取組みについて少し報告させていただきます。生協では、日本生活協同組合連合会、コープきんきと連携しながら、この問題に対する取組みを進めています。

〔スライド5〕
まず、食品中の放射性物質検査についてですけれども、日本生協連では、日本生協連のPB商品の原料の検査とか、その商品自体の検査を進めておりますし、あと一般家庭の食事に含まれている放射性物質の量についての調査も進めております。先ほども報告がありましたけれども、陰膳調査というふうなこともしておりまして、それについては後で紹介させていただきます。 

コープきんきでは、コープきんきに所属している生協の産直商品とか、一部加工食品ということで、原料原産地が福島のほうに近いところのそういった加工食品とか関心の高い加工食品の検査を進めているということです。

あと、生協でも全ての産直米とか福島に隣接する17都県で生産された青果物の検査を進めており、検査結果に問題がないことを確認しているというわけでございます。検査結果については、ホームページでも公開をしているというところです。

〔スライド6〕
そして、あとは専門家による学習会とか職員による学習会も行っているということです。今回の問題なんですけれども、専門家と言われている方々でもさまざまな意見があるということで、そういったところがやっぱり消費者もすごく混乱をしている部分があるのかなというふうに考えており、こうした事情から、放射性物質に関する学習会なんかも進めてきているということです。 

〔スライド7〕
ここから先ほどお話ししました日生協(日本生協連)による食品中の放射性物質の摂取量、陰膳調査について紹介させていただきます。 

〔スライド8〕
これは一番新しい情報なんですけれども、調査期間が2013年6月29日から2014年2月18日、実施数といたしましては388世帯435サンプルで行っており、そのうち福島県は153世帯200サンプルでの検査結果になっています。 

対象地域は、日本全国18都県のものの検査を行っています。

方法といたしましては、各家庭の2日分の食事(6食分と間食)を1サンプルとして、全て混合して測定というふうなことで検査を進めているというところになります。

〔スライド9〕
方法につきましては、スライドにあるように普段どおりの食事をもう1食分余分につくっていただきまして、これを1食分ずつパックして冷凍して検査センターに送ってもらうというところです。検査センターでは、こういったミキサーで均一に混ぜて、検査の試料とするというところです。 

〔スライド10〕
細かくした検体を容器にできるだけすき間なく詰めまして実際に測定をするということで、検出限界が1ベクレルでやっておりますので、大体1検体で14時間ぐらいかかるんですけれども、そうしたことで測定して、解析して、結果がどうなったのかというのを見ているというところです。 

こちらがその検査結果になっております。435サンプル中、7サンプルで今回の原発事故由来のセシウム134、セシウム137が検出されたというところです。

〔スライド11〕
どんな県から出てきたのかというと、福島県で6サンプル、宮城県で1サンプルの検体から何らかの放射性物質が出てきたというところになります。そのほかの県については、検出せずというふうな結果になったというところです。 

〔スライド12〕
こちらは、今回検出した7家庭の放射性セシウム摂取量と食事からの内部被ばく量というところをまとめたものになります。 

これがさっき検出した7サンプルの全ての結果なんですけれども、大体内部被ばく量で見ると、0.017から一番高い人で0.051という値が出てきているというところになります。これは2012年4月に施行された基準値の根拠、年間許容線量と書いてありますが、今回の原発事故が起こって食品からプラスアルファどれだけ1年間とってもいいですよというのが、1ミリシーベルト/年というふうに言われていますが、それと比較しても0.051ということですので、大体5.1%ぐらいにしかなっていないということになります。

あと、ここのデータにはないんですけれども、実際に今回の原発事故がなかったといたしましても、食品中から大体1年間で0.4ミリシーベルトぐらい被ばくしているというふうに言われております。と考えると、0.4ミリシーベルトですので、プラスとして10%ぐらい内部被ばく量がふえているということになっております。実際にこの上乗せ分を高いと考えるのか、低いと考えるかというところは、皆さんで考えていただきたい問題かなというふうに思っております。

もう1つ言わせてもらいますと、内部被ばく量のこの0.05ミリシーベルトなんですけれども、先ほどもちょっと説明があったかもしれませんが、集団検診での胸のレントゲン写真での1回の被ばくが大体0.05と言われているので、それと同等の値ということです。

〔スライド13〕
今回の調査結果からわかったことということで、少しまとめを書いています。435サンプル中428サンプルからは、検出限界以上の放射性セシウムは検出されなかったということになります。1ベクレル/kg以上の検出が見られたのは7サンプルで、県別では福島県が6サンプル、宮城県が1サンプルということがわかったということです。 

7つのサンプルを1年間食べ続けた場合の被ばく量は、0.017から0.051ミリシーベルト、現在日本で定められている追加の年間許容線量が1ミリシーベルト/年となっておりますので、年間許容量に対しては1.7から5.1%というふうなことがわかったということです。

京都で見てみますと、京都の空間線量はずっと以前から通常値になっております。しかし、福島県ではまだまだ高い地域もありますので、そういったところでは線量を下げるような早急な除染などの対策は必要かなというふうに考えているというところです。

〔スライド14〕
最後になりますけれども、参加された組合員の声です。実際にお母さん方、お父さんかもしれませんけれども、一生懸命ご飯をつくって、でも私のつくった食事はどうなのかなというところはやっぱり不安な方もいるということですが、実際のこういった陰膳調査をして出てきた生の声ということです。 

国内に出回っている食品がちゃんと国の基準をクリアしているものかどうかを再確認できる調査なので、これからも引き続きお願いしたいということで書いてあったり、日常放射能に気をつけたくても、目に見えるものではないので、検査結果を示していただけるのは非常にありがたいですといったお声、食べているものの結果がわかれば、一番の安心材料になりますといったお声もありました。

妊娠中の方からは、今まで以上に放射性物質には気を使っています。と言いながらも、今まで参加結果から大丈夫という自信もついておりますというお声もありました。今まで参加した結果というのは、今年でもう3年目の陰膳調査ということで、こういった方は毎年同じ方でどうなっているのかというのを確認していっているということです。

今回の調査をきっかけに、家族で放射能について話し合う機会ができましたといった、そんなお声なんかもいただいております。

ということで、私からは生協が行っている検査とか、あと日本生協連が行っている陰膳調査を少し紹介させてもらいました。

私からの報告は以上です。どうもありがとうございました。

 

司会(消費者庁・石川)

佐々木様、どうもありがとうございます。


(2)「京都府及び京都市における検査の状況について」
     津田(京都府)

司会(消費者庁・石川)
続きまして、京都府食の安心・安全推進課津田義郎副課長から「京都における食品中の放射性物質検査状況」についての情報提供です。どうぞ壇上にお上がりください。よろしくお願いします。

津田(京都府)

京都府食の安全・安心推進課の津田と言います。それでは、私から京都における食品中の放射性物質検査の概要について報告いたします。

〔スライド2〕
食品中の放射性物質検査につきましては、国と都道府県とが協力して行っております。このうち17都県の検査につきましては、国の監視のもとにしっかりした検査が行われており、その検査で合格したもののみが全国に流通しています。国と17都県の検査は、産地、品目、検査の方法や頻度について計画をつくり、それに基づいて検査が行われています。その結果、万が一基準値を超えるようなことがあれば、原子力災害対策特別措置法に基づきまして内閣総理大臣から都道府県知事に、出荷させないよう指示され、生産地での出荷は行われません。

出荷がとまった後も、引き続いて生産物の検査が行われ、問題ないということが確認された時点で、ようやく出荷が再開されます。この上で、京都では2種類の検査を行っています。最初は、府内産農林水産物の検査で、京都府と府内の市町村が協力して行っています。次に、京都府と京都市が行っております流通食品の検査です。このように、国と、東北、関東地域における産地検査、それから京都府、京都市の検査によって、府民の食の安心・安全ということで取り組んでいます。

〔スライド3〕
それでは、京都における検査について説明いたします。

検査をする材料につきましては、このように3つのところから採材しています。

最初に、流通食品です。これは消費者の皆さんが実際に買われる小売店の食材ということで、消費段階での採材です。次は、京都市中央卸売市場での農水畜産物です。京都には、京都市が設置しておられる全国でも大規模な市場がありますので、そこでの採材です。3つ目は、府内産農林水産物ということであります。これは実際に京都府内の農家が生産されておられる田んぼや畑の生産地からの生産段階での採材です。

〔スライド5〕
検査の体制について説明いたします。

最初は、流通食品の検査です。流通食品の検査につきましては、食品衛生法に基づきまして、京都市内の分につきましては京都市さんが、その他の市町村、宇治市とか京丹後市の分については京都府が担当して行っているというものであります。

検体数は、全体で年間460検体ということで、検査はそれぞれ府や京都市の検査機関で行っています。

〔スライド6〕
次に、京都市中央卸売市場での検査であります。農産物、水産物には、毎月6検体を12カ月、合計72検体、畜産物については、全頭検査を行っております。

検査機関は、京都市の衛生環境研究所です。

〔スライド7〕
次に、京都府産の農林水産物の検査であります。京都府におきましては、大気中や環境中の放射性物質の量は、特に異常はありませんが、京都府産の農林水産物の安心・安全ということで検査を行っております。

検査の対象としましては、府内の主な品目につきまして、収穫期、産地つまり市町村ごとに検体を採材しています。収穫期といいますと、1つの野菜でも夏に収穫され、さらに秋に収穫されというのもありますので、それぞれの時期に、産地ということでは、複数の産地、京都市でも、宇治市でも栽培されている場合は、同じ品目について複数の産地から採材しています。

検体数につきましては、主な品目50品目ということで、収穫期、産地ごとなどで複数採材している品目もありますので、全部で、350検体の検査体制となっています。検査は、京都府農林水産技術センターのスクリーニング検査機器、及び府の保健環境研究所の精密検査機器を組み合わせて検査を行っています。

〔スライド8〕
次は、検査結果です。まず、流通食品の結果です。先ほどの検査の計画に対して、昨年度の実績としては479検体の検査を行いました。その結果は一番下に書いてありますように、約98%に当たります471検体が不検出で、残りの8検体で検出されています。この結果は、ホームページでも公表しておりますが、1ベクレルから12ベクレルの範囲での検出です。

〔スライド9〕
次に、京都市中央卸売市場の農林水産物の検査結果です。検体数は、合計1万2,655検体です。農産物・水産物につきましては、114検体のうち、約95%になります108検体では不検出、残りの6検体は検出されておりますが、最大で42ベクレルということで、100ベクレルという基準値に比べると低い値になっています。畜産物については、数が多いためスクリーニング検査を行っておりますが、全て測定下限値未満で、精密検査に回さないといけないというようなレベルではない、又は、不検出でした。

〔スライド10〕
次に、府内産農林水産物の検査です。これは昨年度336検体を行い、全て不検出でした。

〔スライド11〕
このような検査結果の皆さんへのお知らせ方法ですが、京都府と京都市のそれぞれのホームページで公表しております。

〔スライド12〕
これは実際の京都府の流通食品の検査結果の画面であります。 

〔スライド13〕
これは京都府の府内産農林水産物の検査結果の画面であります。 

〔スライド14〕
これは京都市で行っている検査結果です。ここがトップページで市場での検査とか、京都市内での流通食品の検査結果などへリンクされています。 

〔スライド15、16、17〕
ホームページでの公表だけでなく、これは昨年度のこの場所での写真ですが、このようなフォーラムで報告させていただいたり、もう少し小規模で、より皆さんに理解していただきやすい形式で、京都府や京都市の施設で参加型リスクコミュニケーションや、このような講習会を行っています。

 〔スライド19〕
次に、検査の様子について少しご紹介いたします。 

これがゲルマニウム半導体検出器で、検査機器です。右側の箱のように見えているのが、いわゆる検査器の本体ということで、下に検出器が入っております。

それから、左側の大きなタンクですけれども、これは液体窒素のタンクです。検査機器自体は特に大きな電源が要るわけではないんですが、左側のこの液体窒素で検出器を冷やす必要がありまして、この液体窒素の補充などに経費と手間がかかっております。

〔スライド20〕
これは水産物での検査の事例です。中央市場の水産棟の中で材料の収去がされている様子です。特に事前連絡はせずに品目を決めて収去しています。 

〔スライド21〕
これは材料を検査するための準備をしているところです。検査は、可食部を検査するということになっておりますので、食べない内臓や骨などを取り除いている状況であります。 

〔スライド22〕
次に、フードプロセッサーに入れて処理しております。検査に当たっては所定の容器に詰めて検査するということになり、きっちり詰める必要がありますので、こういう形で細かく砕いています。 

〔スライド23〕
この右側に見えております透明の容器がマリネリ容器というもので、先ほどの検査機器で検査するための容器です。このような円筒型の容器にすき間なく詰める必要があります。もし、すき間があったり、詰め方がしっかり詰まっていなければ、検査の精度が悪かったり、検査の結果が出るまでに時間がかかってしまいます。 

〔スライド24〕
先ほどの検査機器の真ん中のところに材料を入れます。この状態で、ふたをして2時間程度静置して測定します。 

〔スライド25〕
先ほどの材料から放射線が出た場合は、このようなコンピューターでカウントして何ベクレルだという形で結果が出されます。スライドは以上です。 

それから、一つ補足でお話しさせていただきたいのは、事故が起こった直後に、よく人の体にかざすような検査機器で食品が検査されるような報道がありましたが、あの機器はあくまでも人体にどれだけ付着しているかを検査するものですので、食品の検査をするのとは全く違うということであります。

それから、本日の事前質問という形で、府内に検査を自由にできるところを設置してほしいという意見もありましたけれども、今見ていただきましたように検査には手間と暇もかかりますし、検査機器の維持という点からも、先ほど液体窒素の話もさせてもらったんですけれども、手間と経費がかかります。常に保守点検をしないといけないということもありまして、京都府内におきましては、行政が必要な検査をさせてもらっているということでありますので、ご理解いただければと考えます。

以上で私の報告を終わります。ありがとうございました。

司会(消費者庁・石川)
ありがとうございました。


 (3)「漫画で伝える放射線影響」資料紹介
     大野氏(京都府医療科学大学)

司会(消費者庁・石川)
それでは、情報提供の最後となります。本日後半で行いますパネルディスカッションのコーディネーター役もお願いしております京都医療科学大学教授・大野和子先生から「漫画で伝える放射線影響」の資料紹介です。大野先生、お願いします。 

大野氏(京都医療科学大学)
ご紹介ありがとうございました。皆様こんにちは。私は、島津学園、つまり島津製作所が85年前につくった放射線について教えるための大学の教授をしております。 

今回、紹介をさせていただく資料は、お手元の漫画です。漫画で読んでいただくことで放射線のことを正しく情報提供させていただこうという目的でつくりました。

今の時間、ちょうどお手元の赤い札がありますけれども、この明るさでちょっと字が小さくて読めないわという方、手ではなく赤い札を遠慮なく挙げてください。お一人ですか、お二人、3人、4人、5人、6人。やっぱりそうですよね。実は実際のサイズの半分に紙が節約されたようですので、普通の漫画のサイズになれば、皆さんに読んでいただけるのではないかと思います。

それでは中身は休憩の時間中に読んでいただきたいと思います。さて、これは実在する話です。実際に福島のある中学の理科の先生がこういう授業をしたということをもとにして漫画にしました。

漫画の骨子作成には、私たち放射線科の医師が中心になりました。京大病院、府大病院、滋賀の成人病センターの医療関係者たちが集まって放射線に関する内容を検討しています。私たちが毎日患者さんのために放射線を使っていますので、放射線のことを知っている放射線の専門医として、責任を持ってつくっています。

汚染した土をどこへ持っていくんだということが問題になってきたというのは、皆さんもご存じだと思います。それを子供たちが自分たちの校庭に埋めてくれと。埋めて深く置けば、土で放射線が遮られる。埋めたあと自分たちで測りました。子供たちは勉強したといって親を説得したのです。その後、ここの校庭は使えるようになっています。

ちゃんと勉強をして納得をして問題解決に成功した事例というのを、皆様方も子どもの純粋な気持ちになって、読んでいただければと思っております。

もちろんそれに反対した親もいましたし、それが嫌だといって転校させてしまった親もいたというのも事実です。色々な受けとめ方はありますが、多くの子どもたちは元気にそこで飛びはねることができるようになったということになります。

まず、色々なことが分からないという話がありました。先ほど来、熊谷先生も何度もおっしゃったんですけれども、基準値、規制値というものを超えると、どうなるか。罰せられます。罰せられるということは悪いことに決まっているというふうに、普通の人は当然思います。

でも、どうやって決めていったか。毎日1年間、上限値の放射能濃度、出荷停止になるぎりぎりのものを食べ続けても、体の中からの被ばくが上乗せ1ミリシーベルトになるように。上乗せです。ふだん私たちが食べているもの、普通に食べているものの中には、放射性物質が含まれています。それで既に1ミリシーベルト被ばくをしています。そのかわり、セシウムが入ったもの、それからさっき話題にでていたプルトニウムとか、色々入っても上乗せ1ミリシーベルトでおさまるようにというので基準を考えなさいということから規制値作成が始まったわけです。

日本中の国産の食べ物、福島県産というのは残念ながら5%ぐらいだそうですけれども、そうではなくて、日本中の食べ物全てが汚染されたというふうに仮定しなさい、一番大量に食べる世代の男子中高生がお腹いっぱい食べても安全だというふうに考えなさいとして、それが120ベクレルという値だったわけです。

その後、120は煩雑だから100にしましょうということを行政官の方がおっしゃって、これは会議の議事録にも残っていますけれども、100という話になったわけです。

ついこの間、100ベクレルを超えた福島の農産物に関する報道がありましたけれども、何が引っかかったか覚えていますか。赤トウガラシが引っかかったんですね。赤トウガラシを1kg食べるでしょうか。帰って家で袋を見ましたけれども、大体10gとかそんなもので売っていますね。

この100ベクレルをどれだけ食べたら1ミリシーベルトの内部被ばくになるのか。寺町の有名なお肉屋さんで基準値ぎりぎりだけれどもと言われたら、たぶん私はそんなことを考えずに絶対食べると思うんです。牛肉ばかり食べては健康に悪いですが、もし牛肉だったら、それからおにぎりを食べたら、どれくらいになると思いますか。ちょっと食べても大丈夫だというお話があったと思いますけれども、具体的にどうでしょうか。

牛肉だけにしたら750kgですから、枝肉を省くと2頭分です。2頭分食べると食べ過ぎでたぶん死にますけれども、2頭分を1度に食べてやっとです。おにぎりだったら5,000個です。たぶん誰も食べられないぐらいの量を食べて、1ミリシーベルトということになっています。

基準をつくる時に、高校生が満腹ということにして120としたのに、あっさり100にした。ということがあっての今の1ミリということなので、日本の基準というのは何か独特なものになっている。これが先ほど熊谷先生が示された諸外国と違う数値が出てきているという、日本の決め方の根拠ですので、私は基準値が守られていたら、極めて少ない放射性物質しか体に入ってこないのではないかなというふうに思っています。

先ほどプルトニウムの話が出ましたよね。10年前は多かった。確かにそうです。この当時に生まれた方、いらっしゃいませんか。実は私はこのくらいの時に生まれていて、最初にこれを知った時にがっかりしたんです。

日本中に核実験の黒い雨が降っていて、日本中の土の中にそういう核物質がある。じゃあ絶対その時に生まれた自分の娘は、日本の粉ミルクを飲んでいるからセシウムに被ばくすると思った。飯沼先生という立派な放射線物理の研究者がいます。その当時販売されている基準値もないころの粉ミルクをとりあえず全部測った。そうしたら、最高が400ベクレルぐらいのものがちゃんと小売店に並んでいた。これを飲んで子どもたちは大きくなってきた。この結果は「ランセット」というイギリスの著名な雑誌に書かれていて、1969年に発表されています。

おそらくはこの会場にいらっしゃる中の何割かの方々は、こういう粉ミルクで育った。私もがっかりました。でも、そういうものだと思ってあきらめるしかないというふうに思っています。

色々なところで放射線科医だから放射線のことを知っているんでしょうということでお話をさせていただきますと、基本的な事項を正確にご理解いただけるまでは、なかなか不安も消えないであろうし、どういうふうに判断したらいいのかということも分かっていただけないだろうということがだんだん判ってきました。このあと、その基本的な項目について時間の許す範囲でお話しします。

8項目くらいあります。何かそうだ本当に知らないと思うことがあれば、この勉強会の後、そこを中心に調べていただくなり、京都府さんとか私どものほうへお尋ねをいただければと思います。まず基本は自然界に放射線が満ちあふれている中で、人類が成長してきた、進化を遂げてきたということ。だから、身の回りは放射線がある。今、この部屋も締め切ってますよね。壁からラドンガスがふわふわ浮いて出てます。なので、吸って吐いてという中に、常に放射線を吸って吐いてというふうに、思ってくださいとは言いませんけれども、そういわれればそうだなというふうに思うようになっていただければ、自然放射線というのを受け入れられるんじゃないかなというふうに思います。

色々な基本事項の中で一番情報が不足していることがらに潜在がんというのがあります。

がんというのは、先ほどの講演で半分の人がかかるということを言われましたけれども、本当はもっと多いと思います。亡くなった時に解剖をさせていただくと、がんが見つかるということはいっぱいあります。がんになったまま寿命を全うできるというがんもあります。ですから、放射線科医のところにがんで紹介状を持っていらっしゃったとしても、すぐに治療をしないがんというのもあります。なかなか大きくならない、がん癌のために、おなかを開けて切ったり、放射線を当てて治療したりというリスクよりは、怖いかもしれないけれども、このまま持っていてください、そのほうが絶対安全ですということをお伝えする場合があるということです。

その最たるものが、甲状腺の腫瘍です。子どもの甲状腺を検査する時に、医学界は反対をしました。それはがんの中にはそのまま持ち続けていても寿命に関係がないがんというものも多く含まれている。もちろん甲状腺がんの中でも、寿命に関係するようながんになる方もいらっしゃいます。腫瘍は治すべきタイミングにきちんと治療をしましょうという趣旨をお伝えしている医療関係のホームページはたくさんあります

潜在がんなんて聞いたこともない言葉かもしれませんけれども、私たちは既に体の中には、私も持っているかもしれませが、がんのいわば芽を持っていながら生きているということをご了解いただければと思います。

妊婦さんに関するお話のところは前の講演でもいっぱいあったと思いますけれども、京都の中でもすごく心配して、福島県で子どもを産んじゃいけないよといって呼び戻したり、それからお金を送ってこっちにおいでよと言ってくださった方々もあったと思います。

その一番の情報の誤解というのは、一般市民と私のような放射線科医との基準値の差ではないかと思っています。一般市民は1ミリですが、私は50倍課せられているんです。もっとも日常業務でそこまでは浴びませんけれども、職業人になったとたんに、放射線のことが分かっているからということで50倍になります。赤ちゃんの健康影響を心配しなくちゃいけないのは、実は私たち専門職基準量のさらに2倍ですね、赤ちゃんの間に100ミリ受けてしまうと、ほんの少し悪影響が起こる可能性が出てきます。これをうまく伝えられなかったがために、福島県にいて2ミリ、3ミリお母さんが被ばくをしてしまうということで、1人だけ福島から京都に呼んでお産をしなさいよというふうになってしまう。すごく一生懸命やってくださったと思いますけれども、先にこの情報はお伝えしておきたかったと思っています。

内部被ばくのことも色々お話がありましたけれども、内部被ばくというのは、もともとは働く人を管理するためにできたものです。ちょっと難しい話ですが、あと2、3分ですのでしっかりと聞いてください。内部被ばくというのは、作業者の人が例えば1万ベクレル内部被ばくしたとします。そうすると、毎日毎日からだの内側から被ばくはし続けるんだけれども尿から出ていくので、確実にその量は減ります。どういうスピードで減るかということは分かっているので、50年後まで先回りして考えます。1万ベクレルのセシウムを体に入れた作業者の50年間の被ばくは0.13ミリシーベルトです。私たち放射線科医というのは最大で年間50ミリシーベルトなんですけれども、5年間で100ミリシーベルトまでとされています。50年間で働き続けてもいいよということですから、作業者は50年間で1,000ミリシーベルトに達します。びっくりするほど多いと思うかもしれませんけれども、作業者に課せられている基準は勤労中の合計が1,000です。

さっきの人は作業で0.13浴びたわけですよね。1000から引くと、998.7残りがあると、考えるわけです。これから毎日毎日浴びていくかもしれないけれども、50年間作業者として働く間に最終的に1,000。でも、この人は次の職場へ行くかもしれない。会社の管理する人が非常に大変にならないように、先回りしちゃおうということなんです。0.13というのは、作業者に0.13先に背負わせちゃうんです。背負う量が1,000になったら放射線業務から外れてねというのが、世界的に行っている管理の考え方になります。これを皆様方の生活にも適用しているので、何のこっちゃ分からない、難しすぎるという話になったのではないかと思っています。

今日たくさんお集まりいただいた方に、私たちが漫画をつくろうと思った一番のきっかけをお話しします。科学的に見ると、チェルノブイリ原発事故の影響よりも少ないということを国連もきちんと言ってくれています。

ところが、放射線影響は100倍以上とされるチェルノブイリ原発の最大の被害は、放射線による健康被害ではなくて、避難による精神的ストレスと人々の心のすさみだったということを、WHOも言っています。そして、福島で同じことが起きないように懸念していますが、残念ながら、これが福島で始まっています。

JR冨岡駅というのは、原発から10km、普通は簡単に入れないところです。ここに去年5月の段階、壊れてはいますけれども、白い車がありました。今入れるようになったんです。同じ車がめちゃくちゃないたずら書きにあいました。そんなすさんだ心が広がらないようにしなければなりません。つたない漫画ではありますけれども、どうぞ読んください。そしてニュートラル、ありのままに考えてください。まずは知るところから始めていただきたいと思っています。

以上で終わらせていただきます。

司会(消費者庁・石川)
大野先生、ありがとうございました。


 4 パネルディスカッション
 「食品中の放射性物質に関する現状と今後の取組~正確な理解のために」

 

司会(消費者庁・石川)
時間になりましたので、会を再開いたします。ここからはパネルディスカッションを始めます。 

皆様には、お配りしてあります赤と青の色紙をお手元にご用意いただいてご覧いただければと思います。

それでは、ここから登壇いたしますパネリストの皆様をご紹介いたします。皆様には、ご紹介の際に一言、短くご発言をいただければと思います。

まずは、消費者の立場からのご参加となります中本絵里様です。

中本氏
中本です。小学校4年生と6年生の女の子の母親です。今日は、消費者の意見を述べたいと思って参加をさせていただいております。よろしくお願いいたします。(拍手) 

司会(消費者庁・石川)
続きまして、私のお隣にいらっしゃいます京都市保健医療課日野唯行食品安全係長です。

日野(京都市)
京都市保健医療課で食品安全を担当しております日野と申します。本日はよろしくお願いいたします。(拍手) 

司会(消費者庁・石川)
続きまして、内閣府食品安全委員会事務局植木隆情報・勧告広報課長です。 

植木(食品安全委員会)
内閣府の食品安全委員会事務局の植木でございます。私、昨年も参加させていただきまして、今回が2回目になってございます。食品安全委員会というのは、食品の安全性を確保するために、リスク管理機関、厚生労働省や農林水産省とは独立した機関としまして10年ほど前に設置された機関でございまして、昨年は食品中の放射性物質による健康影響ということで基礎的なお話をさせていただきました。よろしくお願いいたします。(拍手) 

司会(消費者庁・石川)
続きまして、厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課の塩川智規健康影響対策専門官です。

塩川(厚生労働省)
塩川です。私ども厚生労働省では、先ほどの基調講演でもご紹介がございましたけれども、基準値の設定を行っております。大野先生からは不思議な決め方をされたというようなお話もいただきましたが、確かに計算を行いまして120となったのを100に切り下げたというところで、確かに分かりやすく言ってしまえば面倒くさいからということになるのかもしれませんが、管理のしやすさですとか、分かりやすさですとか、あとはより安全側にマージンを見積もると、そういった観点から100に切り下げて基準値を作っております。

また、厚生労働省の取組みといたしましては、先ほど生協さんからもご紹介がありましたけれども、流通品の中に含まれる放射性物質からの線量が実際にどれくらいあるのかといった調査を行ったりですとか、京都市等の自治体でも検査をされているというご紹介がございましたけれども、そういった検査結果を取りまとめて、日本中で行われている検査結果を取りまとめて公表を行ったりですとか、あとは国自らも流通品を買い上げて調査を行ったりですとか、そういった取り組みを行っております。

どうぞよろしくお願いいたします。

司会(消費者庁・石川)
続きまして、農林水産省消費・安全局道野英司消費者情報官です。 

道野(農林水産省)
農林水産省の道野と申します。よろしくお願いいたします。

農林水産省では、生産段階での栽培管理等々の放射性物質対策、風評被害ということで、実際には放射性物質が検出されないものや基準値以下のものも市場では差別を受けているというようなこともございまして、そういった対策を進めております。

今日は、確かに基準値の話はなかなか難しい部分もあるのかもしれないですけれども、現在放射性物質が検出されている品目というのは非常に限られているということであるとか、そこに至るまでに生産者サイドでセシウムの吸収抑制対策、果樹などの洗浄などの除染、そういった非常に大変な努力をされているというようなことも、皆さんに伝わればなというふうに考えております。よろしくお願いいたします。(拍手)

司会(消費者庁・石川)
そして、休憩前から引き続きまして、熊谷先生、佐々木様、津田副課長にもご登壇をいただいております。コーディネーターは、京都医療科学大学教授大野和子先生です。 

それでは、ここからは大野先生、よろしくお願いいたします。

大野氏(コーディネーター)
どうも皆さん、たくさん残ってくださってありがとうございます。 

まず、こちらの会場のことですけれども、公的な会場ですので、5時には空になっていなければいけないそうです。ですから、少し押しておりますけれども、1時間という当初の予定の範囲内でしか今日はできないということを、まず最初にご承知おきください。

それから、パネルディスカッションとありますが、パネルディスカッションって何でしょうか。パネルディスカッションと申しますのは、色々な思い、立場の違う人たちが集まって、壇上で討論をしていただくものということになっております。ただ、今回企画をいただきました時に、せっかくたくさんの方にお集まりいただくのですから、お集まりいただく方々がどんな意図で、それから何を一番お知りになりたいか、そういうことをわかった上でないと、専門家が分かってほしいことを討論しては、時間を潰して来てくださった皆様方のお役に立たないであろう、そう思って、入り口でシールを貼っていただきました。

まずは、その内容からご紹介させていただきたいと思います。前のほうに映っておりますけれども、今日参加された理由・目的は、25%、33%、26%という感じで3つに大きく分かれました。ちょっと時間があったから来たよという方も2、3人いらっしゃるようですけれども、それも立派な理由だと思います。

まずは青い部分、ここは放射性物質について不安だから来た、心配だから来たんだという方が、この会場に140人ぐらいでしょうか、いらっしゃるとのことですので、その4分1ぐらい、30人ちょっとの方がいらっしゃる。それから、赤と緑は大体同じような内容です。専門家とか行政がちゃんとやっていることを知りたいんだ、それからこれまでの検査の結果とかを知りたいんだ、情報が欲しいよと言って来てくださった方が、この会場に座っていらっしゃる方の6割程度。そういう形で座っていらっしゃるということになります。

ここでちょっと赤と青のパネルを出してください。パネルを使う練習ですが、どうぞ先生方も使ってみてください。今日十分満足のいく情報が得られた方は赤を、満足じゃないよという方は青を遠慮なく、どっちかを挙げてください。先生方もどうぞ、満足のいく情報提供ができたという人は赤を、イマイチだったかしらという方は青を。はい、じゃあ、赤か青か挙げてください。

青の方がすごく高く挙げてくださったんですけれども、ありがとうございます、6割5分ぐらい赤だったような気がします。

こちら側はどうでしたか。

――ちょっと自分たちに甘いかもしれませんね。かなり違っております。会場は65%ぐらいの満足度ですが、こちらは9割ぐらいの満足度になりました。


入り口でシールをつけていただいた項目の中で今日参加してくださった方の中に、1割ぐらい、ほかの人が何を心配しているのかを知りたいということを思っていらっしゃる方々がお越しでした。そういう方には、この結果がご満足のいただける内容ではないかと思うのですけれども、心配な事項に関する質問は7個あったんですね。この質問をどうして選んだか。過去にコープさんがやった会、それから京都府さんがやった会の中で、いっぱい質問を拾いました。その中の多かったものなんですね。

7個用意したんですけれども回答は5個に集中しました。、それが大体こんな感じでばらけてきました。トップはというと、水産物への影響を知りたい。その次、子どもへの影響を知りたいから、どういう検査をちゃんとやってくれているのかを知りたい。それから、放射線が人にどういう影響を与えるかということを知りたい。それから、放射性物質が入ったらどうなるのかということを知りたいという、このテーマでした。

さて、時間も押してまいりましたので、21%、19%、17%と僅差ですけれども、まずは1つずつ、このテーマについて専門の方々、それから消費者を代表する方々、食品を提供してくださっているコープの方とかに討論をしていただきたいと思っています。

人が言っていることというのは、聞き漏らすこともありますので、できる範囲で書いていきたいと思いますけれども、まずは、水産物の影響についてどうでしょう。コープの方からいきましょうか。今の水産物の状況はいかがでしょうか。水産物の状況がどの程度安全か、不安全かということをお話しいただけますでしょうか。その辺をテーマにいきたいと思います。

佐々木氏(京都生協)
私たちも、色々と国がやっている検査なんかも確認をしておりまして、その中では、福島では基準を超えたものは出荷制限措置等がとられているということは、確認をしています。ただ、やはり私どもも学習会なんかをする中で、やはり水産物の不安の声が多いという感じで、「福島のは大丈夫?流れてこないの?」といった不安の声が多いというのも事実です。実際の検査結果なんかを紹介すると、分かっていただけるんですけれども。 

報道なんかでトリチウムが出たとか、地下水が漏れているとかという部分については、やはり消費者の方としましてはまだ不安が多いのかなという部分で言えば、きちっとした情報を消費者のほうに伝える。伝わり切れていないのかなというところが消費者が不安を感じている部分と考えます。

大野氏(コーディネーター)
情報提供が国から伝わっていない、伝わり切れていないというご指摘だったのですけれども、中本さん、いかがですか。水産物を買う時に、宮城産とかを見ますか。 

中本氏
ここで言っていいのかどうかは分からないですけれども、消費者としては、できる限り汚染されたものをとりたくないというのが正直なところではあります。数字は出ていますけれども、これは管理と食品安全と分けて考えないといけないんですけど、まだ汚染水がきっちりと管理されていないということから、そういう不安から安心ができないということが食の不安というものにもつながっていっているので、買う時に、大丈夫だというふうには分かってはいるんですけれども、やはり少し戸惑ってしまうというか、手がとまってしまうというのが、正直なところ、ないとは言い切れないところです。 

大野氏(コーディネーター)
汚染水が処理されていない現状では、お魚を本当に食べていいのか不安だと。コープの方は、国からの情報をきちっとお伝えして、個別にお伝えすれば分かっていただけるということですけれども、水産物への不安の声が多い結果でした。 

この現状を突きつけられてと言ったら失礼なんですけれども、行政サイドから、まずは地元の京都としてはいかがでしょうか。本当に安心・安全ということに胸を張って--胸を張ってなんて失礼な言い方ですけれども、どのような対策をしていらっしゃるか、もう一度ご紹介をいただけたらと思います。津田さん、いかがですか。もちろん、こんなにも不安がられているのでショックだったというのであれば、その率直な意見を言っていただいてもいいですけれども。

津田(京都府)
京都で検査しているのにも2種類ありまして、府内産の水産物の検査は、丹後沖で採材されたものですので、それは東北地域から随分離れていますので、私たちも検出されないとは思っていますけれども、府民の皆様の不安解決という点から検査をしています。 

東北の方の水域でとられているものについては、流通食品としての検査を府と京都市が行っていますが、結果として、最大で42ベクレル/kgという値は出ております。安全というところから考えれば問題はないんですけれども、やはり安心という面では、不安を持たれているという声を私たちも直接耳にしておりますので、その辺は国のほうでしっかりと説明とか情報提供をいただいて、理解を得られるようにしていただきたいなと、不安起こすことのないようにしていただきたいと思っているところであります。

大野氏(コーディネーター)
行政の方、今日はたくさんの分野で来てくださっていますし、福島にお住まいの熊谷先生もいらっしゃいますけれども、京都ですら、水産物に関する関心が極めて高いということ。それから、東北の水産物から数値が出たということで、京都府内ですら不安感があるんだということに対して、何かそれを解消する手だてとかをお考えになっていらっしゃいますでしょうか。 

道野(農林水産省)
まず、汚染水問題の報道はされていますけれども、はっきりしたイメージを持っていない方もいらっしゃるかと思います。去年の5月に、福島第一原子力発電所は海のそばにありまして、そこの港の護岸から地下水が出ていて、高い値のトリチウムが出て、汚染水がしみ出てきているということが分かったわけです。 

汚染水はどこから来ているかというと、ご承知のとおり、事故でいろんな形で放射性物質が原発の中にある。一方で、燃料を冷却しなきゃいけないというようなことがあって、汚染水が第一原発の中に多々ある。そういった中で、汚染水が外に出ないようにさまざまな取り組みがされています。地下水バイパスというのを聞いた方もいらっしゃると思います。これは、山側から地下水の流れがあるわけですが、山側から地下水がどんどん入ってくると、どんどん汚染水が増えるわけですね。だから、それは増やさないようにしようということで、原発の手前で地下水をくみ上げて、汚染レベルが低いということを確認して海に流しています。今議論されていますけれども、今度は原発の中に実際にたまってしまった汚染水について、放射性物質を取り除いて処理をしていこうであるとか、トレンチという井戸の中にたまった汚染水を今後そういった手段を使って処理していこうというようなことが議論されている。

海側については、新たに護岸壁を強化して、もうかなり工事は進んでおり、対策が進められている。ただ、それで海の汚染はどうなのかということですけれども、原発の真ん前の海に関して言えば、やっぱり1ベクレル(/l)前後海水から出る時があります。ND、不検出の時もあるというのが現状です。

ただ、それは原発から離れれば外海と同じような濃度になってくるということで、通常20km圏内とよく言われますけれども、20km圏内は基本的に事故前から操業などはされていない海域です。その外で今現在福島県はモニタリングをやっていますけれども、もともと事故が起きた当初は、漁業を全域で自粛をしていました。それを、問題のないものに関して徐々に試験操業ということで漁獲をして、出荷していくということを少しずつ始めています。それはやはり皆さんの不安とか市場での評価とか、いろんなことの懸念があって、非常に慎重になっているというのが実際のところです。

今まで38魚種について試験操業していましたけれども、51に9月から増やすというようなことで、少しずつデータを見ながら増やしているというような状況になっています。

一方で、先ほど熊谷先生からお話があったような高濃度というか、要は基準値を超えるようなもので出荷制限のかかっているものも、魚種で言えばやはり40種以上あります。それは、底魚という底のほうにいたりとか、ほかの魚を食べる魚などです。

そういったことで、福島県の沖については原則自粛をしつつ、少しずつ試験操業で様子を見て出荷をしているという状況です。

それで、モニタリング検査としては、福島だけではなくて、隣の茨城と宮城、それからさらに隣の岩手と千葉といったところについても、こういった汚染が懸念される魚種については検査をしていますし、現にスズキだとか、それからクロダイだとか、捕食性といいますか、マダラもそうですけれども、そういったものについては一部出荷制限がかかっているようなものもあります。青森も以前マダラでかかったんですけれども、今は解除されています。

汚染といいますか、影響を受けている海域とか魚種とかというのは相当の検査をやっていますので、かなり分かってきている。そういう中で、特に福島についてはかなり慎重に、汚染がほとんどない魚種がかなりあるけれども、それに関しては慎重に試験的操業のもとに出荷しているというのが現状であります。皆さんに安心していただくというか理解していただくということについては、検査データにしろ、こういった措置にしろ、問題の内容についてきちっとやはり情報提供していくということが一番重要ではないかというふうに考えております。以上です。

大野氏(コーディネーター)

すごく長く、熱く語っていただいたんですけれども、ちょっと伺ってみましょうか。今はこんなことをしていますという話だったですね。今いただいたのは、京都府の方は府内産、実は丹後沖ってセシウムはほとんどいないはずなんですけれども、そこまでまだ検査をしているということです。東北の水産物は数値があるから不安感があるという声があるので、抜き打ちで検査をしていますというご案内でした。

それで、農林水産省の道野様は、汚染水がしみ出ていますと。しみ出ているということがわかったのが去年の5月で、山や川からの地下水を原発前で対策としてくみ上げます。そうしないと、どんどんどんどん原発の敷地内に地下水が入ってくるので、汚染しているところを通過してきれいだった水が汚染する前にくみ上げて捨てますということをおっしゃったんだと思います。

既にたまったものは取り除くようにして、護岸壁からも越えないようにしていますと。現状は、海水は1ベクレルぐらいたまに検出をされる時があります。原発から20km以上のところで試験的に採取をしているので、今のところきちっとモニタリングはしていますから、皆様方のところへは届かないはずですという、こういうお話だったと思うのですが、どうでしょう。この説明で、まあ、安心はできないけど、納得はしたわという方は赤を、説明がちょっと難しくて分からなかったという方は青を上げていただけますでしょうか。

――どうでしょう、青が半分ぐらいですかね。赤と青が半々ぐらいだと思います。これ、京都府さんが本当に困っていますということですね。今日の一番は、海水産物の影響がどうも報道では分かりません、一生懸命報道してくださっているんでしょうけれども分かりませんと。この現状を突きつけられて、ここで何か打つ手はないのかということをぜひぜひご意見を言っていただきたいと思うのですけれども、植木さん、いかがですか。ご苦労されている立場ですが、伝わっていないし、こうやってご説明をその場で受けてもご理解は半分程度という状況に関して、もう少しどのような点を改善していかなくてはいけないですか。

植木(食品安全委員会)
率直に申し上げて、お役所の場合には、自分と違う組織のことをどうのこうの言うのは非常につらいものがあるんですけれども、正直に申し上げて、やはり消費者の方が不安を感じているということであれば、そこはもう少し伝わる形で積極的に情報提供していくということは必要なのかなと思っております。

多分水産庁さんなんかは、ホームページ等で公表はしているのだと思いますけれども、それをもう少し分かりやすく伝えていく、そういう努力がもう少し行政のほうにも必要なのかなという感じは、率直に言って思いました。

大野氏(コーディネーター)
どうでしょう、せっかくなので、熊谷先生、中本様、何か案があればお教えいただけませんか。

熊谷氏(福島県立医科大学)
確かに、福島でお話をしていましても、水産物についてよく分からないと。野菜なんかは、自分たちでつくったものを持っていけばすぐはかれるけれども、福島は、いわゆる集会所あるいは公民館、あるいは何か行政の出先機関みたいなところは、もうあまねく線量をはかれる機械があるんですね。ですから、野菜とかはどんどんはかれるんですけれども、水産物に関しては本当によく分からないということで、やっぱり水産物は最後まで不安の対象であると思います。 

原発が本当に落ち着いているのかどうかというところが分かりにくい以上、どうしてもそこに不安がぬぐえないというのもよく分かる思いがします。

じゃあ、僕はどう考えていこうかと思っているかといいますと、先ほど僕の話の中でご紹介したように、色々これまでの調査というものも結果を探すのは結構大変ではあるんです。例えば福島県庁のホームページの奥の奥のほうまで探していくと、実はデータが出ていたりして、そういうデータを探していくと結構調べられている。そうすると、先ほどお見せしたように、どこに棲んでいるのかとか魚の種類によっての傾向というものも、この3年間の間に大分分かってきたということもあるので、そういうことに基づいて実は対策はされているんだなということも、僕らの目からは分かりにくい姿ではあるんですけれども、実はされているなあというのも見えてはきました。

ですから、こういう調査をしっかり続けてもらうと同時に、やっぱり分かりやすく発信してもらうというのも当然必要なのですが、もう一つは、生協の方々がされているように、あるいは僕が厚労省の結果を紹介したように、僕らの食べているものに本当に不安を感じている方がいらっしゃったら、それは調査に参加できるような仕組みができるように。みんながみんなする必要はないかもしれませんよね。だけど、不安を感じていらっしゃる方がいたら、その方が参加しやすいような仕組みができれば、実際に自分の目でデータが見られますから、そうしていくと、具体的な解決には近づいていくかなというふうに思います。

大野氏(コーディネーター)
中本様、何か分かりにくいとかそういうことに対して、どうやったら誰でも分かりやすくなるでしょう。 

中本氏
どうやったらというか、私は、自分の不安がどこから来ているのかという、不安がどういうものなのかということを説明しろと言われると、きっちりと説明ができないんです。なぜかというと、漠然とした不安を持っているからなんですね。 

多分、水産物が不安だというのも、原発そのものの現状が好転をしていなくて先が見えないという不安と多分ごちゃまぜになっているので、数字的に大丈夫だということが分かっていても、不安感が多分ぬぐえていないのだと思っています。

今日先生のほうから、こういうお魚はまだ数値が高いけれども、上のほうにいるお魚に関しては放射能のレベルは下がってますよというようなお話を聞くと、なるほどとか、あっ、腑に落ちるなということを何か感じて、すとんと何かが落ちるっていう感じがするんです。そういうことを繰り返していくことで一つずつ不安が減っていくということにつながっていくのではないかなというふうには考えています。

やはり一般の消費者がホームページの奥の奥まで探し今でデータを読み解いていくというのは不可能に近いと思いますし、そもそもデータの読み方が分からないというところもありますので、先生のような方にしっかりとデータを分かりやすく伝えていただくということが必要ということと、私たちもこういう会などに参加をさせていただいて知識を深めていくということが一番必要なのかなと感じています。

大野氏(コーディネーター)
随分長くこの問題を討論させていただきましたけれども、行政の方がたくさんいらっしゃいますので、私からもお願いがあります。大学で教えていて思うんですけれども、グラフって、会場の皆様方、もう中学、高校を出てからあんまり見ていないですよね、はっきり言って。それと表の中に数字が入っているのをだされても、どうしろって言うのっていうところだと思います。そこをもっと簡単に分かりやすく見ていただくためには、食品中の放射性物質のことをよく分かっている塩川さんや道野さんがおつくりになるのではなく、コープの皆さんとか、色々な方と協力しながらつくっていかれれば、もう少しいいものができるのではないかなというふうに思いました。 

今のところは、熊谷先生がおっしゃるように、ホームページの奥の奥まで行くと資料があるそうですので、探していただくしかないのかもしれません。

ただ、京都府さんについては、どうでしょうか。京都府の方がすごく一生懸命やっているのを私も知っているんですけれども、京都は色々測っているらしいということは、一応わかったという方は赤を挙げていただけますか。分からないわという方は、ブルーを挙げてください

--青の方が5人ですかね。京都府の方々は、ちょっと日ごろの苦労が報われたと思って、やる気が出たんじゃないかと思います。

私は、検査代金を知っていますけれども、実は詳しく測るという検査は、1回最低でも1万5,000円くらいします。1万5,000円もかかるんですね、1kg測るのに。それだけのお金を、税金を投入しているということも、もっとアピールしていかなくてはいけないのかなというふうには思っています。お金をかけて買っている安心だと思います。

さて、子どもに与える影響というところを熊谷先生のご講演の中で色々お話しいただけたんですけれども、どうでしょう、子どもに与える影響でもう少し追加をしておきたいようなことはありますか。壇上の一般的なサイドというと、コープの方とか、中本様とか、どうでしょう、もうちょっと聞いておきたいようなことはありますか。

佐々木氏(京都生協)
今日のお話の中で、セシウムについては子どものほうが早く半減期を迎えるよという話を聞かれて、ああ、そんなんやというふうに思った参加者の方も多いのかなというふうに思ったんですけれども、子どもの感受性という部分ですかね、それが高いよというような声もやっぱり聞いていますので、その辺のもっと詳しい情報なんかも提供いただけるといいのかなと思っております。 

大野氏(コーディネーター)
どうでしょう、子どものほうが放射線への感受性が高いのではないか。これは熊谷先生のお話の中であったと思うんですけれども、会場の皆様、覚えていますか。一回聞いた話でなかなか覚えられないと思いますので、聞いていらっしゃったと思うんですけれども、佐々木様に分かるように説明をしていただけますか。多分佐々木様は、熊谷先生の後でしゃべらなきゃと思って緊張していたので、聞いていなかったかもしれません。よろしくお願いします。 

熊谷氏(福島県立医科大学)
実は私の話の中では、原爆の被爆者の発がんのリスクというデータをご紹介している中で、子どもの時に被ばくをした人と、あるいは子どもではない時に被ばくをした人のがんになりやすさの違いというデータでご紹介しました。実際にお配りした資料の中には、被爆者の中でも低線量の被ばくの方々のリスクについてお示ししましたけれども、そこの中では、被ばく時の年齢、若くて被ばくをした人と年をとって被ばくをした人とで、低い線量の場合はがんのなりやすさに違いはどうも見られなかったようだということがわかったということをお伝えしました。

その後は口頭でお伝えしましたが、実は高線量の場合、1シーベルト以上、1,000ミリシーベルト以上の被ばくの場合には、子どもの時に被ばくした人は、年をとってから被ばくした人に比べてがんになりやすいということも実は分かっているというふうにお伝えしましたが、今回の福島の震災の後の被ばく量というのは、福島県民であっても数ミリシーベルトレベルということからしても、子どもは高い線量の場合にがんにどうやらなりやすいという、その科学的な事実ということは、今回の福島の事故の後にはどうも当てはまりそうにないなあということをご紹介したところだったのですね。

今回これはがんについてお伝えいたしましたけれども、そのほかにことについてもご心配なさっている方はいらっしゃると思うのですね。そういう点も含めて、今後ご紹介していければいいなというふうには思います。

大野氏(コーディネーター)
今後どのような形でご紹介されるんですか。

熊谷氏(福島県立医科大学)
例えば原爆の被爆者においては、がん以外の病気で、どれぐらい被ばくしたらそういう病気のリスクが上がるのかというようなことも実は研究はずっと続けられてはきているのですね。ただ、そういった場合には,実はがんよりも大分高い線量で病気になりやすくなると。一番なりやすいのがやっぱりがんなんですね。ということですから、まずは今のところは一番心配していて一番なりやすい病気であるがんについてご紹介していますけれども、幅を広げていける機会があれば、ほかの疾患についても伝えていけるようになるというふうには思います。

大野氏(コーディネーター)
今のご説明を聞かれて、中本様、どうですか、思い出されて大体納得されましたか。あるいは追加質問、もしくはこういうことを伝えなきゃ不安はとれないよとか、ありますか。

中本氏
今日のお話を聞かせていただいて、色々知らなかったことを知れたりとか、心配事というのは減ったことは確かなんですけれども、昔の子どもの何年生きるかという長さと、今の子どもがこれから先何年生きるかという長さはちょっと違うような気が私はしているんです。自分の子どもはこの先70年、もしかしたら80年、もっと90年生きるかもしれない、もっと日本人の平均寿命が延びていくかもしれないという中で、今のこういう低線量を浴びていくということは、どういうふうな影響が出てくるんでしょうか。 

熊谷氏(福島県立医科大学)
確かに、栄養状態がよくなっているという中で、寿命はもしかしたら変わるのかもしれませんね。しかし、その点について科学的なデータを僕は持っているわけではないので、なかなか正確に答えることは難しいんですけれども、個人的に感じていることからすると、実は今の日本の平均寿命というのは世界でトップクラスになっていて、その中核を占めていたのがいわゆる戦後生まれの世代ということでもあるので、そういうところからすると、例えば僕らの子どもが今の倍生きる、昔の人の倍生きるようになるかというと、実はそうでもないだろうというふうには思います。

そういう意味では、そう大きな違いというものは、そこにはないのではないかというふうに思いますが、これはあくまでも、僕が何かデータを持ってきていて、それに基づいて言っているわけではないので、そこははっきりとこうでしょうとは言えないところです。

大野氏(コーディネーター)
原爆が落ちたころは、みんな貧しくて栄養失調のような状態で被ばくをしたわけですから、さっき熊谷先生がおっしゃっていたがんになるほかの要因が山ほどあった人たちが60年間調査対象として検査を受け続けてくださっていてのデータです。こう考えると、寿命が当時の人たちより今の今後の子どものほうが長生きできるのか、できないのか分かりませんけれども、そんなに大きく違わないんじゃないかというのが熊谷先生のご意見なのだろうと思います。 

熊谷氏(福島県立医科大学)
もちろん、原爆の方のデータという中では、同じ条件の方同士を比べてあるわけなので、同じ年代の人の中で被ばくをした人と被ばくをしない人で比べている。そして、同じ時代に生きた人の中で、子どもの時に被ばくした人と年をとって被ばくした人の中で比較をしているわけですから、そういう意味では同じ土俵の比較をしているので、その土俵を今の子どもたちにかえてもそう変わらないのではないかというふうには思います。

大野氏(コーディネーター)
つまり、被ばく者と非被ばく者を分けてというちゃんとした調査体系でやっているということにおいては、さっき先生はリスクというお話をしてくださっていますが、リスク評価として使えるだろうというお話だったと思います。 

子どもの影響に関しては、もっと知りたいという方もいらっしゃるかもしれませんが、大体熊谷先生のお話の中であったことを振り返らせていただきました。

3番目は、どのような検査をしているのか。これはさっき伺いましたら、一応4人は不満というお答えでしたけれども、140人ぐらいいる中の130人ぐらいは府でやっている検査はわかった、何をやっているか大体わかったというほうに手を挙げてくださったのですけれども、会場に伺ってみましょう。どのような検査が行われているかというのをもうちょっと詳しく聞きたいという方は、赤を挙げてください。

さっきの検査の対象はおいしそうなカレイでしたね。1kgより大きいカレイのような気がしたんですけれども、1kg切った後の残りはどうするんでしょうね(会場笑い)。検査をきちんとやっていることがわかったから大体きちんと検査されていそうかなと思ったという方は、ブルーを挙げてください。お願いいたします。

――ありがとうございます。赤も少しはいらっしゃいますね。赤も確かにいらっしゃいまして、資料のほうは分かりにくいところもあったかと思いますけれども、限られた時間という中でいきますと、3番目に皆様方が知りたいことであったんですけれども、後は京都府さんに託してもよろしいですか、個別のお問い合わせがあればお受けするということで。

津田(京都府)
府と市です。 

大野氏(コーディネーター)
ごめんなさい。市のほうにも振ってくれということでしたけれども、府も市も大丈夫でしょうか。大丈夫でしたら、どうぞというお返事をしてください。市はまだお話しされておりませんでしたが、どこにどのようにお問い合わせすればいいですか。

日野(京都市)
京都市でございます。先ほどの情報提供のあり方につきましては、我々もホームページで掲載しております。先ほど京都府さんのほうからご案内いただきましたように、と畜施設におきましては、ほぼ毎日、全頭放射性セシウムの検査をしておりまして、その結果につきましても、ほぼ毎日公表いたしております。 

また、結果の出し方につきましては、ほかの自治体も多々ご苦労されていると聞いておりますので、そういったところのやり方なんかも見習いながら、より分かりやすく、いい情報提供に努めていきたいと考えております。

京都市内の食品の放射性物質に関するところにつきましては、今私が所属しております保健医療課というところにお問い合わせいただければ、ご説明ですとかご回答をさせていただくことは可能でございます。

津田(京都府)
中身が府と市に分かれているんですけれども、府内産農林水産物の検査と京都市以外の市町村での流通食品の検査は府が担当しております。これも食の安心・安全推進課と健康福祉部生活衛生課に分かれておりますけれども、電話でお尋ねいただく場合については、ヨイヨイ、ヨクナレと言っているんですけれども、414-4970に電話いただければ、どちらかが対応いたします。 

大野氏(コーディネーター)
京都府さんは、携帯電話だと市外番号も要りますので、075-414-4970までじゃんじゃんお電話をくださいということでございます。(会場笑い)時間は午前9時から午後5時までですか。

 津田(京都府)
そうです。 

大野氏(コーディネーター)
京都市さんは保健医療課ですが、電話番号を言っておきますか。 

日野(京都市)
京都市の保健医療課は、食品に限らず、いろんな業務をやっております。その中で、私ども食品安全担当が075-222-3429でございます。 

大野氏(コーディネーター)
ご興味のある方は控えていただいて、お電話をよろしくお願いします。 

あと15分ぐらい時間があります。残った2つのものが、放射線による人体への影響と、体内に入った放射性物質による内部被ばくの影響、蓄積ということです。

人体影響で何が一番心配かということですけれども、行政の方々も今まで色々なところで話をされてきたと思いますし、それからコープの方も消費者の方も、どうでしょう、何と何が心配でしょうか。どうぞ忌憚のないご意見をお願いします。放射線による人体への影響といったら、何を思い浮かべますか。

中本氏
先生から何度もご説明をいただきましたが、やはり私もがんにはなったことがないので、放射線を浴びるというか、放射線のあるものを摂取することによって内部被ばくをして、ずっと浴びているという体験をしたことがありませんので、すごく不安を感じています。 

もしかしたら自分の中でもともと持っているがんなのかもしれないんですけど、それが自分の中で、子どもの中で何かしらのがんになるんじゃないのかなという漠然とした不安を持っているんですけれども。

大野氏(コーディネーター)
今おっしゃった子ども等にということは、遺伝ということですか。 

中本氏
そういったものも多分あるとは思うんですけれども、原発の事故がなければ、そこに責任転嫁をして考えることはなかったとは思うんですけれども、全てがんになった場合に、あら、原発の放射線とかの問題だったのかなあと思ってしまうのではないかなというふうに考えているんですけど。 

熊谷氏(福島県立医科大学)
今おっしゃっていただいた内部被ばくで、大野先生のご説明にもありましたように、少しずつ減っていく、その減り方も大体分かってはいる。でも、減っていくけれども、あしたには全部消えてなくなるわけではなくて、ずっと減りながらでも、浴びながら、減りながらというような被ばくの仕方をするんだというお話がありましたね。そういうことって、今までなかったんじゃないのか。少なくとも意識したことはなかったということで、そこから生まれる、だから病気になったんじゃないのかという不安があるというお話をされました。 

お気持ちはよく分かりますね。内部被ばくを意識して生活したことなんか今までなかったわけですから。しかし、先ほど僕の説明の資料の中で、セシウムの被ばく量というのと同時に、今度は別の放射性物質、例えばカリウムによる被ばく量といったものもご紹介をしました。もちろんカリウムだけではないんですけれども、あそこでは例にカリウムを出しているわけですね。

僕らは、今回のセシウムの被ばく量よりも、コープさんのいわゆる陰膳調査で推定されたセシウムによる被ばく量よりも、実は多くの食品からの被ばくというものをずっとしているわけですね。ですので、別にセシウムからだけ被ばくをするわけではなくて、それ以上にもっと大きな被ばくというのが実は自然界の中にたくさんあって、そういう中で僕らはずっと暮らしてきたわけです。ですから、今回これで不安になるというのはもちろん分かるのですが、実はそうではないと。実はもっと多くの被ばくをもともとしていたんですよということは、今回の震災を機会に一つ僕らが学ぶことかなというふうに思っています。

このリスクということについては、リスクはどこにでもあるというのは確かにそうなんですね。気づいていなくても、リスクはリスクという中で、僕ら選択をおのずとしてきているわけですので、それが一つ目の前に突きつけられたという形でもあるということで、リスク社会の中でどう生きていくのかということを考え直す一つのいい機会なのかなというふうには思います。

大野氏(コーディネーター)
今のようなこと、コープさんも頑張っていらっしゃると思うんですけれども、ご経験上とか、会員様からの声のご案内もありましたけれども、どうでしょう、内部被ばくとか放射性物質による健康影響とかといった時には、やっぱり先ほどはがんと、それから次の子どもへのがんと遺伝の影響とかだったと思うんですが、がんについてのご質問とかは具体的にありますか、食べ物に関連して。 

佐々木氏(京都生協)
そうですね、がんとかという質問という部分よりは、どちらかというと消費者のところは、先ほどのリスクという考え方なんですけれども、やっぱりゼロリスクというのを求めてしまうところがあるのかなと思います。それで、我々も学習会をする時には、やはりリスク評価という考え方、そういうリスクはあるけれども、全体として見ればどのぐらいのリスクなのかという部分をやはり注意しながらリスクコミュニケーションをやっていっています。 

それと、組合員さんからのご意見の中で、内部被ばくのところで言えば、過剰に内部被ばくがあるんじゃないかと言うような団体さんもおられるというところで、そういったお話が出てくる時に少し困るので、その辺のところをどういうふうに考えたらいいのかなというのを教えていただければと思います。

大野氏(コーディネーター)
内部被ばくは危険だということを大きい声で言う団体さんからコープさんにお問い合わせがあった時、そういう団体から情報をもらった人に対しての返答の仕方に困るということだったと思うんですけれども、これは多くの行政の方がご経験があると思います。 

植木(食品安全委員会)
学問的な話は熊谷先生のほうがご専門だと思いますが、私からは、今日皆様方にお配りしている、消費者庁さんがつくりました「食品と放射能Q&A」というパンフレットがございますけれども、その12ページに、私たちが1年間に受ける自然放射線というのが載ってございます。内部被ばくが食物などから0.29ミリシーベルトとございますけれども、それよりも大きいのが、呼吸により、主にラドンから1.26ミリシーベルトということで、あとは内部被ばくではないんですけど、外部線量としては、宇宙からとか大地からとかございます。当然食品のことは心配だとは思いますけれども、それ以外にもこういうものから日ごろからばく露されているということは考えておく必要があると思います。 

あと、先ほどの熊谷先生のお話でセシウムとカリウムの話がございましたけれども、繰り返しになりますが、熊谷先生の71枚目のスライドで、放射性セシウムは赤ですけれども、その赤はグラフの下のほうにはいつくばっています。それで、これは自然・天然由来だと思いますけれども、放射性カリウムというものもありまして、こういうものは昔から我々は摂取していますので、そのことも十分考慮した上でいろんなことを考えなくちゃいけないのではないかなというふうに思ってございます。

大野氏(コーディネーター)
自然界に放射性物質があって、食べることが内部被ばくだということを理解してくださいというお話だったと思います。 

ちょっと本論から外れるんですけれども、配布資料12ページに、内部被ばくが0.29と書いてありますが、これは国際基準ですね。国際的に測った数値ですね。日本のものではないということはご理解いただかないといけないと思います。

日本で一番内部被ばくの高い県、普通に食べていて高い県は、四国の出身の方がいらっしゃいますよね、この中に。四国です。で、四国に住んでいる人たちが大体普通に食べていると、内部被ばくを1ミリシーベルトぐらいするんです。だから、国際平均よりもちょっと高いんですけれども、日本人は1ミリという感じです。そのかわり木造家屋に住んでいるので、自然界からの被ばくが諸外国、石畳のところとかに比べれば少ないということで、平均するとどっちも2から3ミリというような感じで思っていただければいいんじゃないかなと。全部足して2から3ミリぐらいというのが正確なところであろうと思います。

時間が少なくなってきましたが、今日これだけ行政も一生懸命やっていますということ、それから熊谷先生のお話もありました。それで、もう一回家に帰って熊谷先生の資料をくまなく読んでみようと、最初思っていたように人体影響とか内部被ばくとかを毛嫌いせずに、一回ちょっと勉強してみようかなという気になった方は赤を、もう内部被ばくと聞いただけで嫌いに決まってるじゃないの、もうみんなでだましてと思っている方は青を挙げていただけますか。全然構いませんので、どうぞ。

――ありがとうございます。だまし切られていない方が3人いらっしゃるということがよく分かりました。(会場笑い)

初めての話って、分からないですよね。私の近所の三条通りの八百屋のお姉さんは、今回の原発事故が起きた時に、「だまされた」って言ったんですね、食べ物に自然に放射線が入っているなんて学校で教えてこなかったのに、「うちら、そんなん売ってるの?」私に聞いてきました。本当にそれが市民の声だと思います。

3年たちましたけれども、学生でない私たちは、自ら動かなければもう知識をバージョンアップする機会がありません。だから、今日すごくたくさん、わざわざ熊谷先生がつくってきてくださった資料がカラーで用意されていますよね。せっかくの資料ですので、どうぞおうちに帰って読み返していただきたいと思います。また、食品に関して、先ほど電話番号を教えてくださった方々のところに今日の内容に関するお問い合わせをしても、できる範囲内で答えてくださるんじゃないかなと思いますし、分からない場合は、京都市の食品安全委員会とか、そういうところの議題にも上ると思いますので、ぜひ今日のパネルの内容を活用していただければ、初めの一歩にしていただければと思います。

それでは、パネルディスカッションの部分を終わらせていただきます。先生方、どうもありがとうございました。(拍手)


5 閉会

 

司会(消費者庁・石川)
大野先生、そして壇上の皆様、熱心なご議論をありがとうございました。また、会場の皆様も円滑な進行にご協力いただきまして、ありがとうございました。

お手元にお配りしてありますアンケートは2種類ございますけれども、回収箱を出口に用意してありますので、お帰りの際にぜひお入れください。

また、お手数ですけれども、資料No.4「漫画で伝える放射線影響」につきましては、現在まだ完成前でありまして、この会場で特別にお配りしたものですので、この会場をお帰りになる際に回収をお願いしたいと思っています。完成原稿が見たいわという方に関しましては、議事次第に完成原稿に関するお問い合わせ先を書いておりますので、ぜひご納得していただいて、回収にご協力をお願いいたします。 

また、本日、せっかく先生たちがいらっしゃっていますので、どうしてもこれを聞きたいという方がもしいらっしゃれば、まだ5分ぐらい時間に余裕があると思いますので、会場の前のほうで先生たちがご質問を受けますので、もし質問がある方はお聞きいただきたいと思います。

本日は長時間にわたりありがとうございました。これにて会を閉会いたします。(拍手)

 

 

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課
 担当者:情報発信企画・評価班
 代表:03-3502-8111(内線4474)

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