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更新日:平成22年5月17日
担当:消費・安全局消費・安全政策課
「特定の貿易上の関心事項」では、輸出国が、ある輸入国のSPS措置が自国からの輸出に悪影響を与えていると考える場合に、その輸出国が懸念を提起し、輸入国の見解を求めることができます。
WTOの会合で提起することにより、同様の問題意識を持つ国の支持を受けたり、同席するコーデックス委員会、OIEやIPPCと情報を共有したりすることができ、SPS措置に関連する貿易問題の解決促進の場として利用されています。
二国間の貿易に関する紛争解決のために、WTOには、「パネル」と呼ばれる仕組みを含む司法的手続である紛争解決手続きが定められています。しかし、この紛争解決手続きを使って問題解決をしようとすると、問題解決までに数年といった長期間を要することから、より簡便に貿易問題の解決を促進することを目的として本議題が設置されました。本議題が設置された第6回会合(1996年6月)以降、加盟国間で活発なやりとりが行われています。
具体的にはどのようなやりとりがなされるのでしょう。
会議では、まず、ある輸入国のSPS措置を取り上げたい国(提起国)が、その措置の問題点を説明し、その輸入国に対し、SPS措置の解除の要請や科学的根拠の説明を要求します(例えば「A国は、鳥インフルエンザ発生国から豚の輸入を停止しているが、このような取扱は国際基準に基づいておらずSPS協定違反である!」など)。
これに対し、提起された国(応答国)から、回答がなされます。回答は、科学的根拠等、そのSPS措置の正当性の説明であったり、ニ国間協議を行う用意がある旨の表明であったりします(例えば「鳥インフルエンザが豚に感染し、ウイルスが変異し、ヒトに感染するリスクがあるからである。しかし問題解決のために、お互いの国の専門家同士が話し合う用意はある。」など)。
この際応答国が注意すべきことは、もし、応答国の措置に対し、提起国以外の国も同様の不満を持っている場合には、その第三国がその場で提起国を支持する旨を表明できることです。また、関連する国際基準を作成した国際機関から説明がなされる場合もあります(例えば、OIEから、「鳥インフルエンザ発生国からの豚の貿易を停止する科学的根拠は認められていない。」と説明するなど)。
具体的にどのような案件が提起されているのか、第47回SPS委員会会合(2010年3月開催)での例を紹介します。
| 提起した国 | 提起された国 | 案件の内容 |
|---|---|---|
| カナダ | 台湾 | BSE措置 |
| コスタリカ | 米国 | 18インチ以上の観賞用植物の輸入禁止措置 |
| ブラジル | フランス |
仏領ギニアからのスターフルーツ輸入に係る ミバエの侵入リスク |
| ブラジル | マレーシア | 植物及び植物製品の輸入規制 |
| 米国 | EU | 人工着色料の警告表示措置 |
| 提起した国 | 提起された国 | 案件の内容 |
|---|---|---|
| 中国 | 日本 | 農薬の最大残留基準値(MRL) |
| 中国 | 米国 | 調理済み家きん製品の輸入禁止 |
| EU | 特定せず | BSEによる輸入制限 |
| 米国 | インド | 鳥インフルエンザによる輸入制限 |
| ブラジル | 南アフリカ共和国 | 生鮮豚肉の輸入制限 |
| コロンビア | ベネズエラ | 検査及び植物・動物衛生証明書発行の中断 |
| 中国 | 米国 | 手工芸木工製品の輸入規制 |
SPS委員会事務局は、提起された特定の貿易上の関心事項を定期的に分析し、まとめています。最新の分析資料は以下からダウンロードできます。
上記の資料によると、SPS委員会が始まった1995年から2010年3月までに245件の特定の貿易上の関心事項が提起されています。提起した又は提起された回数の上位5ヶ国はそれぞれ以下のとおりです(出典:SPS-IMS)。
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提起した国・回数 |
提起された国・回数 |
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|---|---|---|---|---|
| 1位 | 米国 | 72回 | EU | 59回 |
|
2位 |
EU | 61回 | 米国 | 32回 |
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3位 |
アルゼンチン | 33回 | 日本 | 23回 |
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4位 |
中国 | 23回 | 中国 | 16回 |
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5位 |
カナダ | 22回 | オーストラリア | 16回 |
これまでは先進国が先進国に対して懸念を提起するケースが多く見られましたが、近年では先進国が途上国を提起するケースが増えてきています。
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動物衛生が対象となっている案件がもっとも多く4割、植物防疫と食品安全が同じ程度で3割弱となっています。ただし、食品安全の問題でもあるBSE関係の牛肉貿易案件は動物衛生にカウントされています。
分野別の貿易上の懸念(1995-2009年)

動物衛生案件を疾病別に見てみると、TSE(牛でいうBSE)、口蹄疫(FMD)と鳥インフルエンザ(AI)で約7割を占めています。
動物衛生および人獣共通感染症に関する貿易上の懸念(1995-2009年)

提起された案件が解決したときには、提起国がSPS委員会に対し、解決したことを報告します。提起国は、懸念が解決されるまで何度でも同じ案件を提起できます。
これまでに提起された案件のうち、約3割が解決(あるいは部分的に解決)したとの報告がなされていますが、残りの7割は解決の報告がなく、未解決となっているようです。案件が解決されない場合、司法的な紛争解決手続きに移行することもあります。
解決された貿易上の懸念(1995-2009年)
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