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(2)農産物中のカドミウム濃度低減対策の推進

農作物は根を通じて土壌中のカドミウムを吸収しますが、この吸収を抑制したり、土壌中のカドミウム量を減らすことで、農産物中のカドミウム濃度を下げることが可能です。 

農林水産省では、国産農産物中のカドミウム濃度を低減し、国民の食品を通じたカドミウム摂取量を低減するため、

1)省内に対策検討チームを設置し横断的な対策を検討するとともに、

2)生産段階において農産物中のカドミウム濃度を低減する技術の研究開発を進め、

3)開発された技術を各産地が実証・普及する取組を消費・安全対策交付金等の予算措置で支援し、

生産現場での低減対策を推進しています。

 カドミウム低減技術の開発は、独立行政法人の農業環境技術研究所や農業・生物系特定産業技術研究機構を中心に、大学、都道府県試験場、民間企業等と協力しながら進めており、現在、様々な低減技術が開発されています。

ここでは、農林水産省が生産現場での検証、普及を進めている技術の概要と、それに向けた農林水産省の取組を紹介します。

 

(参考)食品のカドミウム対策検討チーム(PDF:76KB)(平成19年8月9日現在) 

a) 水稲による土壌中のカドミウム吸収抑制技術の体系化・普及

土壌中のカドミウムは、化学的に様々な状態で存在していますが、その化学的状態によって、農作物の根から吸収される量が大きく変わります。その性質を利用し、土壌中のカドミウムを農作物に吸収されにくい化学的状態に変えることによって、水稲が土壌から吸収するカドミウムの量を抑制することが可能です。

 

具体的には、以下のような方法があります。

ア.水田では、田んぼに水を張って土壌を酸素不足の状態(還元状態)にすると、カドミウムは土壌中の硫黄と結合して根から吸収されにくい状態になります。具体的には、稲穂の出る前後3週間ずつ、水田に水を張った状態を保つことで、水稲が土壌から吸収するカドミウムの量を減らすことができます。

イ.よう成りん肥やケイ酸カルシウムなどのアルカリ性の資材を散布して土壌のpHを高めることによって、土壌中のカドミウムを植物が根から吸収しにくい状態にします。

水稲による土壌中のカドミウム吸収抑制技術の説明図 

しかしながら、この技術の適用に当たっては、以下の点に留意する必要があります。
  • こまめな水管理状態の確認が必要です。
  • 水田土壌の条件などによって、効果に差異があります。
  • 土壌改良資材については、土壌の状況に応じて投入量の検討が必要です。また、単独では十分な効果が期待できないことから、水管理を基本に必要に応じて組み合わせて用いることが重要です。

適用事例

よう成りん肥を水田に散布し、稲穂の出る前後3週間ずつ、田んぼに水を張った状態に保ちました。

適用事例 玄米中カドミウム濃度 (ppm)
対策実施前 対策実施後
ケース1 0.84 0.10
ケース2 0.75 0.05未満
ケース3 0.52 0.57
ケース4 0.82 0.79
※ケース3及び4については、出穂期前後に田面が露出したことなどが原因で、カドミウムの吸収抑制効果がうまく発揮されませんでした。

技術の普及

農林水産省は、上記の様な技術的留意事項も含め本技術の詳細を「水稲のカドミウム吸収抑制対策のための対策技術マニュアル(PDF:183KB)」としてとりまとめ、各地域の気象や土壌などの条件に合わせた普及を推進しています。

現在、全国の4万haを超える水田で吸収抑制対策が取り組まれています(平成21年度米流通安心確保対策事業の実績より)。

b) カドミウム吸収が少ない品種の選抜・育成

これまでの研究結果から、大豆などの農作物では、品種によって土壌からのカドミウム吸収量が大きく異なることが分かっています。

カドミウム吸収量の低い品種を選抜・育成し、その品種を普及することでその農作物中のカドミウム濃度を減らすことが可能になります。

大豆の品種によるカドミウム吸収の違い

大豆品種によるカドミウム吸収の違いの比較例

農林水産省では、大豆について、品種によるカドミウムの吸収の違いや資材の投入による吸収抑制技術を、「大豆のカドミウム吸収抑制のための技術確立マニュアル(PDF:470KB)」にとりまとめ、地域の条件に応じた技術の確立、検討を推進するとともに、その費用を支援しています。

c) 新たな土壌浄化技術

農地土壌に含まれるカドミウムの量を減らすことで、農作物が土壌から吸収するカドミウムの量が減少します。現在、カドミウムに汚染された農地の浄化対策としては、汚染されていない土壌を、汚染された土の上に乗せる「客土」が主に用いられています。しかし、この方法は非常にコストが高いうえ、汚染されていない土を他の場所から採取する必要があるといった問題があります。このため、農林水産省では、より低コストで、かつ機動的に実施することが可能な土壌浄化技術を開発してきました。

植物を用いた土壌浄化技術

この技術は、土壌中カドミウムの吸収量が大きい植物(以下、「浄化植物」といいます)を栽培し、土壌中のカドミウムを吸収した浄化植物を収穫することで農地土壌を浄化する対策です。収穫した浄化植物は、含まれているカドミウムを大気等の環境中に拡散させずに回収可能な施設で焼却処理します。

 

これまで、カドミウムの吸収効率が高い植物の選抜や育成、吸収効率を高めるための栽培方法の確立、収穫した浄化植物の処理技術等について研究を進め、浄化植物として土壌中のカドミウム吸収量が非常に高い水稲品種を用いる技術が開発されています。

  

土壌浄化技術のイメージ

農林水産省では、農業環境技術研究所とともに、各地域において本技術を導入する際に必要となる情報を、「植物による土壌のカドミウム浄化技術確立実証事業実施の手引(PDF:719KB)」にとりまとめ、地域の条件に応じた技術確立、普及を推進するとともに、その費用を支援しています。

薬剤を用いた土壌浄化技術

薬剤を用いて土壌中のカドミウムを水に溶けやすい化学的状態に変化させた後、農地土壌を水で洗浄することで、土壌中のカドミウム濃度を減らすことができます(洗浄に用いた薬剤や水は、排水処理装置でカドミウム等を回収してから処理します)。

農林水産省では、これまで、環境に悪影響を与えずに効率的にカドミウムを回収する薬剤の選定や洗浄の方法、洗浄水の処理技術などについての研究を進め、現在、薬剤に塩化第二鉄を用いる技術が開発されています。

 

   土壌洗浄技術の概要 

土壌洗浄技術の概要

農林水産省では、農業環境研究所とともに、各地域において本技術の有効性や適用性を検証する際に必要となる情報を、「薬剤による土壌のカドミウム浄化技術確立実証調査計画指針(PDF:422KB)」にとりまとめ、各地域における検証を推進するとともにその費用を支援し、本技術を全国に普及するにあたって必要となるデータの蓄積を進めています。

d) コメ中のカドミウム濃度低減のための実施指針の作成(平成23年8月)

農林水産省では、適切な指導の下で生産段階における低減対策が推進されることを期待し、上記でも紹介した低減技術に関する研究開発や有効性の評価の成果等をもとに、農家に営農指導する立場にある者(普及指導員、行政担当者、営農指導員等)を対象として、コメ中のカドミウム濃度低減のための実施指針を作成しました。本指針では各地域においてカドミウム低減対策を導入する際の検討事項や手順について体系的に整理しています。詳しくは、「コメ中のカドミウム濃度低減のための実施指針(PDF:1,000KB)」をご覧ください。

e) プロジェクト研究の実施状況

農林水産省では、紹介したような低減技術の開発を進めるため、次のようなプロジェクト研究を行っています。

現在実施中のプロジェクト

カドミウム汚染土壌における野菜等の品目別カドミウム濃度の解明と吸収抑制技術の開発(PDF:327KB,外部リンク)」(平成19~21年度)
全国のカドミウム汚染地域で栽培される野菜等のカドミウム濃度の低減を図るため、野菜の多品目・多品種にわたるカドミウム濃度の解明を行うとともに、土壌pH上昇による可食部カドミウム濃度低減の要因解明とアルカリ資材・化学肥料の部分施用等の耕種的な管理による吸収抑制技術の導入効果を評価し、地域条件に適したカドミウム吸収抑制技術の開発を進めています。

「生産・流通・加工工程における体系的な危害要因の特性解明とリスク低減技術の開発」(平成20~24年度)

畑作物(小麦、大豆、野菜)類のカドミウム濃度の低減を図るため、植物浄化技術(ファイトレメディエーション)や薬剤を用いた土壌洗浄技術といった土壌浄化技術やカドミウム低吸収品種や資材等を利用したカドミウム吸収抑制技術などのリスク低減技術の開発を目的として研究を進めています。

これまでに実施したプロジェクト

「農用地土壌から農作物へのカドミウム吸収抑制技術等の開発に関する研究」(平成12~14年度)

カドミウム吸収の少ない品種の検索、水管理や土壌改良資材の施用などによる水稲のカドミウム吸収抑制技術を開発しました。(これらの成果を活用して「水稲のカドミウム吸収抑制対策技術マニュアル(PDF:183KB)」、「大豆のカドミウム吸収抑制のための技術確立マニュアル(PDF:470KB)」をとりまとめらています。)

農用地土壌のカドミウムによる農作物汚染リスク予測技術の開発(PDF:562KB)」(平成14~16年度)

農用地土壌のカドミウム濃度やpHなどから農作物がカドミウムによって汚染される恐れを予測する技術を開発しました。(これらの成果を活用して、「土壌の理化学データに基づく農作物カドミウム汚染リスク予測技術確立実証調査計画指針(PDF:390KB)」をとりまとめています。)

カドミウムを除去するファイトレメディエーション技術の開発(PDF:638KB)

カドミウムを吸収しやすいソルガムを用いて農用地(畑地)からカドミウムを回収し土壌を浄化する技術を開発しました。(水田を対象としたファイトレメディエーション技術は、現在実施中の「農林水産生態系における有害化学物質の総合管理技術の開発」で取り組まれています。)

リスク管理型研究「農産物中カドミウムの収穫前段階の効率的モニタリング手法の開発(PDF:255KB)」(平成17~18年度)

収穫前の水稲の穂から収穫後の米のカドミウム濃度を把握するためのサンプリング方法など農産物中のカドミウム濃度をより迅速に把握するモニタリング手法の開発しました。

農林水産生態系における有害科学物質の総合管理技術の開発(外部リンク)」(平成15~19年度)

水稲を対象とした水田土壌浄化技術(ファイトレメディエーション)、薬剤を用いた水田土壌洗浄技術など土壌のカドミウム濃度に応じた土壌浄化技術を開発するとともに、土壌浄化と農作物のカドミウム吸収抑制技術を組み合わせた総合的なリスク管理技術を開発しました。(これらの成果を活用して、「植物による土壌のカドミウム浄化技術確立実証事業実施の手引き」、「薬剤による土壌のカドミウム浄化技術確立実証調査計画指針」をとりまとめています)

 「『食品に含まれるカドミウム』に関連するQ&A」(厚生労働省)での関連Q&A [外部リンク]

お問い合わせ先

消費・安全局農産安全管理課
ダイヤルイン:03-3592-0306
FAX:03-3580-8592

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