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農林水産省

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今後の肥料を考えるシンポジウム~肥料制度の見直しなど、改めて土から考える~

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農林水産省では、土づくりに役立つ堆肥や産業副産物由来肥料の活用とともに、農業者のニーズに応じた柔軟な肥料生産が進むよう、肥料に関する法制度の見直しを行っています。関係者の皆様と一体となって見直しを進めるため、「今後の肥料を考えるシンポジウム~肥料制度の見直しなど、改めて土から考える~」を開催しました。本シンポジウムでは、肥料をめぐる状況と見直しの方向について説明したほか、有識者や民間企業、農業者の先進的な取組の紹介、来場者を交えたパネルディスカッションを行いました。

日時:令和元年7月3日(水曜日)13時00分~16時00分
場所:TKP赤坂駅カンファレンスセンター 13階 ホール13A
参加人数:431人

シンポジウム開催チラシ(PDF : 198KB)

開会挨拶

吉川農林水産大臣画像

𠮷川 貴盛   農林水産大臣

  • 将来にわたり我が国の農業生産を確保するためには、改めて土に立ち返り、肥料などを活用した土づくりに取り組むことが重要である。
  • 農林水産省としては、農家がそれぞれの作物や土壌に応じて肥料を適切に選択し、土づくりや、肥料のコスト低減などが進むよう、肥料取締法の改正等の見直しを全力で取り組んでいくところ。
  • 本シンポジウムを通じ、肥料の新たな可能性を考え、農業生産現場に役立つ新たな肥料の生産や活用に取り組んでほしい。

第1部  基調講演

安岡農産安全管理課長画像

安岡 澄人   農林水産省消費・安全局農産安全管理課長
「肥料をめぐる状況と見直しの方向について」

  • これまでの制度見直しの経緯と見直しの方向性を説明。地力の低下など土壌の悪化が問題となる中で、有機・副産物肥料の利用が進む環境づくりを進めたい。原料管理制度の導入などにより農家が安心して肥料を利用できるようにするとともに、堆肥と化学肥料の配合を可能にするなど新たな肥料の生産・利用を進めやすくするなどの見直し等を検討中。制度改正に対する期待を改めて認識。現場のニーズを踏まえながら見直しを進めたい。

農林水産省配布資料(PDF : 1,224KB)
農林水産省講演資料(PDF : 782KB)

金田氏画像

金田 吉弘   秋田県立大学教授
「日本の農耕地土壌の課題と肥料制度見直しに期待すること」

  • 水田への堆肥の投入量の減少や田畑輪換の継続による地力の低下、有効態りん酸の過剰蓄積、塩基バランスの乱れによる生育障害や収量の低下などが近年問題となっている。これらに対応するため、堆肥等の有機物を施用しやすい環境を整えるため、制度見直しは重要。

金田氏講演資料(PDF : 1,535KB)


大竹氏画像

大竹 久夫   一般社団法人リン循環産業振興機構理事長
「欧州肥料法改正の動き」

  • 欧州では、今年6月に肥料法が改正。改正は、今回の我が国の見直しと同様に未利用副産物を活用した肥料に関する制度整備。循環型社会の形成、EU域内流通可能な肥料の認証手続きの簡略化によるコスト低減、厳しいカドミウム規制値の導入などによる過度な輸入りん鉱石依存からの脱却等を目的としており、3年後の施行を目指すとしている。

 

第2部  肥料をめぐる民間企業と農業生産現場の最新の取組

浅野氏画像

浅野 智孝   朝日工業株式会社農業資材本部開発部長
「国内資源の肥料原料化への取組みと課題について」

  • 継続的な肥料生産のためには肥料原料を輸入資源に依存しすぎないことが重要であるが、国内の未利用資源は肥料制度やその運用上、使用しにくい状況のため、制度・運用の見直しが必要。
  • 混合堆肥複合肥料は土壌の緩衝作用や省力化等の面で有用な肥料であるが、制約が多いので、牛ふん堆肥等が使用しにくく、制度の見直しに期待したい。

浅野氏講演資料(PDF : 961KB)

山本氏画像

山本 正信   富士見工業株式会社代表取締役社長
「堆肥は古くて新しいもの」

  • 堆肥と化学肥料が配合できるようになると、土づくりの促進や施用回数の低減に大きく貢献することになるので、肥料取締制度の見直しに期待したい。
  • 配合肥料の原料として堆肥を活用するビジネスモデルを考えている。そのためには、ペレット化などの散布性をよくすることが鍵。低コストな技術の開発などにも期待したい。

山本氏講演資料(PDF : 1,673KB)

砂子氏画像

砂子 幸二   富士通株式会社Akisaiビジネス部エキスパート
「スマート農業の展開と肥料情報の活用について」

  • 成分や名称といった肥料登録情報や土壌マップ等の情報をクラウド上にオープンデータ化して整備することで、圃場特性に対応した精度の高い土づくりや施肥設計が可能となる。

砂子氏講演資料(PDF : 4,560KB)
分割版1(PDF : 1,499KB)分割版2(PDF : 1,378KB)分割版3(PDF : 1,245KB)分割版4(PDF : 1,977KB)分割版5(PDF : 1,408KB)

講演冒頭で以下の動画を上映しました。
(富士通株式会社HP 食・農クラウドAkisaiご紹介)
https://jp.fujitsu.com/solutions/cloud/agri/movies/mv-agri.html(外部リンク)

佛田氏画像

佛田 利弘   株式会社ぶった農産代表取締役社長
「肥料制度見直しによる生産現場のイノベーション創出」

  • 肥料コスト負担が増加する一方で、規模拡大や農産物価格の低下などの中で土づくりを行う余裕のない農家が増えているのが実状。肥料は、農業において重要であるものの、農業者からの注目度が低い。一方で肥料及び肥培管理には様々なイノベーションの可能性があり、農家の利潤動機に沿ったイノベーションを創出することが重要。肥料制度の見直しが実効性のある形で現場に還元されるためには、農家が副産系肥料を使用したりすることで、生産コストの削減が目に見える形で達成される必要がある。

佛田氏講演資料(PDF : 1,800KB)

第3部  パネルディスカッション

パネルディスカッションの冒頭で、肥料関連4団体(全国農業協同組合連合会、一般社団法人全国肥料商連合会、全国複合肥料工業会、日本肥料アンモニア協会)から、制度見直しに対する要望等の発表を行いました。その後、会場からの質問に答える形でパネルディスカッションも行いました。パネルディスカッションの参加者及び主な意見は以下のとおりです。

<コーディネーター>
 ・農林水産省消費・安全局農産安全管理課長 安岡 澄人

<パネリスト>
 ・秋田県立大学教授 金田 吉弘 氏
 ・一般社団法人リン循環産業振興機構理事長(早稲田大学客員教授) 大竹 久夫 氏
 ・朝日工業株式会社農業資材本部開発部長 浅野 智孝 氏
 ・富士見工業株式会社代表取締役社長 山本 正信 氏
 ・富士通株式会社Akisaiビジネス部エキスパート 砂子 幸二 氏
 ・株式会社ぶった農産代表取締役社長 佛田 利弘 氏
 ・一般社団法人全国肥料商連合会専務理事 西出 邦雄 氏
 ・全国農業協同組合連合会耕種資材部技術対策課長 小林 新 氏
 ・全国複合肥料工業会事務局長 桝田 太三郎 氏
 ・日本肥料アンモニア協会理事事務局長 成田 義貞 氏


<肥料関連4団体からの制度見直しに対する要望>

  • 現在の肥料取締法の「取締」の名称は、危険な物質である印象を与え、名称が実態にそぐわないものになっている。
  • 法律名の見直しを検討してほしい。各種手続きを簡素化する一方で、表示などの農業者にとって必要なルールは残すべき。
  • 制度の見直しにより、農業者への新たなリスク負担や肥料製造・流通段階での混乱が生じないよう配慮してほしい。
  • 公定規格の簡素化、普通肥料と特殊肥料の配合規制の緩和、保証票の表示方法の簡略化等は進めるべき。


<パネルディスカッションの主な意見>

  • 水稲に対する地力の低下の影響は農業現場でも見られる。特に、冷害や異常高温の際、堆肥施用の効果は、未熟米の発生を抑える等の形で発揮される。鶏ふんの連用圃場では、鶏ふん無施用の化学肥料のみの圃場と比較すると収量で大きな差が出ている。【金田氏】
  • EUの肥料法の改正の経緯としては、2010年のEUの成長戦略で循環型経済を目指す方針を打ち立て、2015年のアクション・プランの中で肥料法の改正が盛り込まれた。【大竹氏】
  • 下水汚泥からのりん酸の回収がEUで進む理由としては、スイス・ドイツでは下水汚泥を農地に散布することは禁止され、焼却処分やりんの回収を義務付けており、それらの費用は下水処理場のサービスを受ける市民が負担していることなどが挙げられる。【大竹氏】
  • 現在、どのような品質の堆肥であれば混合堆肥複合肥料の原料に活用できるかを、農林水産省の委託事業でマニュアル化している。最も重要なのは水分で、低水分の堆肥を製造するのが重要。【浅野氏】
  • 畜産の盛んな地域では処理しきれない量の家畜ふんが生じており、朝日工業ではそれらを低コストで引き受けている。肥料業者が低コストで肥料開発を行いつつ、畜産業者にも処理費用の軽減といった形でメリットを感じてもらえることが重要。【浅野氏】
  • 民間・行政が協力し、できるだけコストのかからないペレット化技術を開発することが重要。【山本氏】
  • 行政は、届出情報や保証票の情報など、農家が現場でほしいデータをデータベースとして整理し提供してほしい。【砂子氏】
  • 農家がほしい情報と肥料メーカーのほしい情報のバランスをとっていくのが自分たちの役割。肥料の散布圃場・散布方法・効果と気象情報・収量データを関連づけることで真の効果が発揮される。【砂子氏】
  • 20kg袋で肥料を扱う時代は終わるのではないか。労力負担を考えると肥料の提供の仕方などから根本的に考えるべき。【佛田氏】
  • 施肥の作業体系や機械体系の見直しが全く進んでいない。肥料メーカーと機械メーカーの連携がほとんど見られない。肥料メーカー、機械メーカー、栽培技術者、農家の4者がシナジー効果を発揮し、施肥しやすい体系を構築していく必要がある。【佛田氏】
  • コスト意識が重要。肥料の配合の自由度が高まっても、肥料価格が下がらないと実際には使われないことになるのではないか。米1kgあたり最低でも5円のコスト低減が求められる。【佛田氏】
  • 農業現場で、土壌の実態を気づいてもらうためには、生産者、メーカー、試験機関の情報を「見える化」し、共有することが必要。【金田氏】
  • 農家の意識向上のためには、栽培暦を配らないのもありではないか。また、官主導ではなく、民主導のデータ収集が必要。【佛田氏】
  • こうした取組については成功事例を作りだし、それをベンチマークとし、普及させていくことが重要だ。【佛田氏】

<会場の様子>
パネルディスカッションの様子(左から砂子氏、浅野氏、山本氏、金田氏、大竹氏、佛田氏)
パネルディスカッションの様子(左から安岡、小林氏、西出氏、桝田氏、成田氏)


パネルディスカッションの様子(左から砂子氏、浅野氏、山本氏、金田氏、大竹氏、佛田氏)
パネルディスカッションの様子(左から砂子氏、浅野氏、山本氏、金田氏、大竹氏、佛田氏)


会場全体の様子
会場全体の様子

添付資料

シンポジウム開催概要(PDF : 220KB)

お問合せ先

消費・安全局農産安全管理課

担当者:中村・児島
代表:03-3502-8111(内線4508)
ダイヤルイン:03-3502-5968
FAX番号:03-3580-8592

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