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農林水産省

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アクリルアミドの健康影響

  • アクリルアミドがヒトの健康に与える有害な影響としては、神経に対する毒性が以前から知られていました。アクリルアミドを取り扱う工場や工事現場などで、事故により労働者が大量にアクリルアミドを吸入したり、接触したりしてしまった場合に、手足が震える、感覚が麻痺するなどの神経障害あったことが報告されています。動物試験でも、ある一定量以上のアクリルアミドを飲み水に溶かして与え続けると、神経組織の形態変化といった影響が出ることが観察されています。
  • 動物試験では、アクリルアミドを長期間にわたって与えたときに、アクリルアミドの摂取量が多いほど発がん率が増えることが報告されています。アクリルアミドが動物で発がんを引き起こす原因は、アクリルアミドが細胞の中の遺伝子を傷付けるためと考えられています。ヒトがアクリルアミドを摂取した場合も同じように遺伝子を傷付ける可能性があるため、アクリルアミドはヒトに対しておそらく発がん性がある物質と考えられています。
  • ヒトを対象とした調査研究においては、食品などからのアクリルアミドの摂取量と発がんとの因果関係は、これまで行われてきた多くの調査研究では確認されていません。しかし、食品から摂取するアクリルアミドが多い人では、ある特定の発がんリスクが高くなることを報告した論文も一部発表されています。各個人が食品から摂取するアクリルアミドの量を推定することはとても難しく、食品にはアクリルアミド以外にも多くの化学物質が含まれているため、食品からのアクリルアミド摂取量と発がんの因果関係を明らかにするのは簡単ではありません。 なお、職業上の理由からアクリルアミドを体内に取り込んでしまった場合についても、発がん性については確認されていません。
  • 食品からアクリルアミドを摂取することによる消費者の健康影響については、食品中の汚染物質のリスク評価を行う国際機関であるFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が、発がん性や神経影響の懸念があるという結論を2005年に出しています。2010年2月に行われた最新のデータに基づくリスク評価でも、前回と同様に発がん性や神経毒性の懸念があるというに結論になりました。詳しくは、詳細編をご覧下さい。
  • 食品からアクリルアミドを摂取することによる日本人の健康への影響については、2016年4月5日に食品安全委員会が、発がん以外の影響については極めてリスクは低いとする一方、発がんのリスクについては公衆衛生上の観点から懸念がないとは言えないという結論を出しています。 詳細は食品安全委員会のウェブサイト[外部リンク]をご覧ください。

関連情報 

詳細編:アクリルアミドの健康影響

詳細編:JECFAの評価と勧告