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農林水産省

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食品中のアクリルアミド低減に向けた取組み

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なぜ食品のアクリルアミドを低減する必要があるのか

  • 食品汚染物質のリスク評価を行う国際機関であるFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、2005年に世界中から収集した科学的なデータに基づいて、食品を通して摂取するアクリルアミドがヒトの健康に悪影響をおよぼす可能性があると評価し、食品中のアクリルアミド濃度を低減するための取組みを継続するよう各国に勧告しました。JECFAは、2010年に最新のデータに基づいて食品中のアクリルアミドに関してリスク評価を行いました。この結果、毒性や摂取量に関する最新のデータから、食品中のアクリルアミドによって健康に悪影響を生じる可能性があることがあらためて示されました。
  • 日本では、2002年に独立行政法人食品総合研究所(当時)や国立医薬品食品衛生研究所が、いち早く食品中のアクリルアミドの分析に取り組み、その結果を公表しました。その後、2003年からは農林水産省が、国内で販売されている食品に含まれているアクリルアミドの実態調査や、各種調査研究を実施しています。これらの調査結果から、日本で食べられている食品にも、諸外国の食品と同じぐらいの量のアクリルアミドが含まれていることが明らかになっています。これまでの調査で、アクリルアミドが検出された食品には、米菓、インスタント麺、ほうじ茶、麦茶など日本特有のものも数多くあります。
  • アクリルアミドは、食品にアミノ酸、糖類が多く含まれていると、高温での加熱によって意図せずして生成してしまいます。また、アクリルアミドは遺伝子を傷付ける作用を持っていることから、例えごく微量であったとしても健康に影響を及ぼす可能性を否定できないため、この量までなら食品を通して食べても大丈夫という許容量を決めることができません。
  • ヒトの摂取許容量を決めることができないため、食品中のアクリルアミド濃度の基準値は、ほぼすべての国で設定されていません。しかし、消費者の健康被害を未然に防止するという観点から、食品から摂取するアクリルアミド量を少なくするためには食品に含まれているアクリルアミド濃度をできる限り低くする必要があるということが、国際的に食品安全行政機関と食品事業者の共通認識となっています。
  • 食品中のアクリルアミド濃度の低減は、特に欧米諸国においては食品事業者による自主的な取組みが中心となって熱心に行われています。 国際機関(コーデックス委員会)でも食品中のアクリルアミド低減の取組みを促進するための国際規格(食品中のアクリルアミド低減のための実施規範)が2009年に採択されました。
  • 日本においても、国際機関によるリスク評価結果や低減のための実施規範を踏まえて、食品に含まれているアクリルアミドを低減し、アクリルアミドによる健康への悪影響を未然に防止することが必要です。そのため、農林水産省は各種調査研究を進めるだけでなく、アクリルアミド低減の必要性について食品事業者に周知し、自主的な低減努力を促すための説明会等を開催しています。また、国内の食品事業者だけでなく、消費者もできる範囲でアクリルアミド低減の取組みを推進していく必要があります。

食品から摂取するアクリルアミドを減らすためにはどうすればいいのか

食品から摂取するアクリルアミドを減らすためには、2つの考え方があります。

1. 食品に含まれているアクリルアミドの濃度を減らすこと

食品に含まれているアクリルアミドの濃度を減らすことは、食品事業者が自ら率先して取り組むべきことです。食品中のアクリルアミド濃度を減らすために実践すべき方策は、国際規格としてコーデックス委員会が策定した実施規範に示されています。その中から、食品に含まれるアクリルアミドの量を減らすために有効と考えられる対策を3点ご紹介します。これらの一部は消費者も家庭で調理する際に、参考にしていただけます。

適切な原材料を選択すること

加熱によってアクリルアミドに変化する食品成分の含有量は、野菜や穀物の種類によって異なります。また、同じ作物でも品種によってもそれらの含有量が異なります。そのため、アクリルアミドに変化する食品成分(具体的にはアスパラギンというアミノ酸とブドウ糖、果糖などの還元糖)が少ない原材料を選ぶと、加熱したときにできるアクリルアミドを少なくできる可能性があります。

また、アクリルアミドができやすい食品として知られているじゃがいもは、低温で保存するとアクリルアミドができる原因となる食品成分のひとつであるブドウ糖と果糖が増えてしまいます。そのため、低温で長期貯蔵されたじゃがいもを、例えばフライドポテトのような高温調理に使用することは避けるべきです。

貯蔵によって、アクリルアミドの原因となる食品成分が増える野菜やいも類は、揚げる、炒める、焙るなどの高温調理を避けるか、貯蔵方法を工夫することで原因となる食品成分を増やさないようにすることが重要となります。例えば、高温調理に用いるじゃがいもについては、冷蔵庫に入れないで、6℃以上を保つように保存すればある程度、糖の増加を抑えることができます。

このように、適切な品種を選択することや適切に保存された原材料を使用することで、加熱加工・調理によって生成するアクリルアミドを低減できる可能性があります。

原材料の配合比率や組成を見直すこと

アクリルアミドは、食品原材料に含まれている食品成分(具体的にはアスパラギンというアミノ酸とブドウ糖、果糖)が高温での加熱で化学変化してできることが知られています。食品事業者は、食品のレシピを見直して、それらの食品成分の比率を減らすことができないか検討してみましょう。例えば、小麦粉と米粉では、米粉の方がアスパラギンの濃度が少ないため、小麦粉の一部を米粉に置き換えることでアクリルアミドを低減できる可能性があります。使用する糖類を、ブドウ糖や果糖からショ糖に替えることでもアクリルアミドを低減できる可能性があります。アクリルアミドができる化学反応を妨げる物質やアクリルアミドの元となる食品成分を分解する酵素を加熱の前にあらかじめ原材料に添加する方法も研究されており、その一部はすでに実用化されています。

調理加工条件、特に加熱条件を見直すこと

アクリルアミドは、食品を高温で加熱することによってできるため、加熱していない生の食品には含まれていません。そのため、アクリルアミドが少なくなるように、加熱時間、加熱温度を検討し、食品本来の色や風味を保ちつつ、アクリルアミドの生成が最小となる最適な条件を設定します。一般的に、「焼く」、「揚げる」、「炒める」、「焙る」などの方法ではアクリルアミドができやすく、一方で「煮る」、「茹でる」などの方法ではアクリルアミドができにくいことが知られています。アクリルアミドは、食品中の水分が少なく、かつ、高温で加熱した場合に最もできやすくなりますので、食品を高温で、長く加熱しすぎないことが何よりも重要です。また、調理するときの食品の大きさや形状は、加熱時における食品内部の温度上昇に影響します。食品を加熱前に水にさらしておくことや下ゆですることは、食品の水分含有量を増やし、アクリルアミドの原因となる水溶性の食品成分の量を減らす効果があります。このように、加熱条件そのものだけでなく、加熱前の加工条件も、加熱によってできるアクリルアミド濃度に影響します。

フライドポテトを例に、アクリルアミド濃度ができるだけ低くなるように配慮した作り方をご紹介します。

フライドポテトの作り方

食品を加熱し過ぎないことは大切です。しかし、アクリルアミドができないようにしたいあまり、食品が加熱不足にならないように気をつけてください。十分に加熱していない食品は、食中毒の原因となる場合があります。加熱して食べることが想定されている食品の場合、食品の中心部までしっかりと火を通すことは、食中毒を防ぐために必須です。

2. アクリルアミドが含まれる食品を食べる量を減らすこと

確かにアクリルアミドが含まれている食品を食べる量を減らせば、食品から摂取するアクリルアミドを減らすことは可能ですが、実際に実行するのは簡単ではありません。なぜなら、アクリルアミドが含まれている食品は、私たちの身の回りに数多く存在しており、私たちはそれらの食品から多くの必要な栄養を摂取しているからです。

アクリルアミドが含まれている食品を食べる量を極端に減らしてしまって、栄養バランスが崩れるようなことがあっては絶対にいけません。まずは、偏った食生活にならないように気をつけましょう。揚げ物や脂肪の多い食品の摂取を控え、野菜や果物を多く含む食品をバランス良く食べることは、アクリルアミドの低減にも有効です。

なお、上記で紹介した、食品事業者、消費者のそれぞれが、食品からのアクリルアミドの摂取量を減らすためできることを詳細編では具体的に解説しています。

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