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農林水産省

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食品事業者ができること

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更新日:令和5月9月19日

食品安全は食品事業者の責務

食品事業者は、食品の安全性の確保について第一義的な責務を有しています(食品安全基本法第8条)。また、消費者の健康や安全といった「消費者の安全衛生の保護」は事業者の社会的責任のひとつとして、ISO26000の中にもうたわれています。食品事業者は、自主的にアクリルアミドの低減に取組むことが望まれます。

農林水産省は、現在実施している各種調査研究や情報提供を通じて、そのような食品事業者の自主的な低減取組を支援しています。

食品中のアクリルアミドを低減するための指針

消費者の健康保護に向けて、農林水産省では、食品関連事業者が自主的に行う食品中のアクリルアミド低減の取組を支援するため、食品関連事業者向けに食品中のアクリルアミド低減対策についての指針をまとめています。特に、ばれいしょ加工品や穀類加工品を製造、調理、販売している事業者におかれましては、是非ご活用ください。

食品関連事業者向け「食品中のアクリルアミドを低減するための指針」(2013年11月策定)

食品事業者ができる対策のポイント

「食品中のアクリルアミドを低減するための指針」の中から、食品事業者ができるアクリルアミド低減の主なポイントをご紹介します。

1.高温加熱でアクリルアミドに変化する成分(アスパラギンと還元糖)が少ない原料を使う、または、原料配合比率を見直す

原料中に含まれるアクリルアミドに変化する成分(アクリルアミド前駆体:アスパラギン還元糖)の濃度が低ければ、加熱によって生成するアクリルアミドの濃度は低くなります。

【主な対策の例】

  • アスパラギン及び/または還元糖濃度の低い原料農産物を調達する
    同じ種類の農産物でも、品種や生産条件等により、アスパラギンや還元糖の濃度は大きく異なり、原料農産物に含まれる前駆体の濃度が低ければ、加熱によって生成するアクリルアミドの濃度は低くなります。ばれいしょ加工品中のアクリルアミド濃度と原料ばれいしょ中の還元糖濃度の間、穀類加工品中のアクリルアミド濃度と原料穀類中の遊離アスパラギン濃度の間には、それぞれ正の相関があることが分かっています。
  • 低温糖化する農産物の場合、原料農産物の貯蔵及び保管温度を適切に管理する
    ばれいしょなどの低温糖化の生じやすい加工用農産物を貯蔵、保管する場合は、低温糖化が生じない温度(例:ばれいしょの場合 8℃以上)に管理し、還元糖濃度の増加を抑制することが重要です。
  • 食品に使用する糖類の種類を見直し、還元糖の使用割合を低減する
    加熱前の原料に還元糖を多く含む甘味原料を使用している場合、還元糖の割合が少ない甘味原料で代替すれば、最終製品中のアクリルアミド濃度を減らせる可能性があります。

農林水産省は、穀類加工品を製造する食品関連事業者の皆様がアクリルアミド低減対策を検討する際の参考にしていただけるよう、平成25年度に穀類中の遊離アスパラギンの含有実態を調査しました。調査結果についてはこちらをご覧ください。
また、農林水産省では、食品関連事業者が自主的に穀類中の遊離アスパラギン濃度を把握する際に活用できる分析法プロトコルを開発するため、研究事業を実施しました。研究成果については、こちらのページの「アクリルアミド濃度の目安となる指標等の開発(穀物中の遊離アスパラギンの分析法プロトコルの開発)」をご覧ください。

2.風味・食感の形成や殺菌に必要な以上に、高い温度、長い時間で加熱しない

一般的に、加熱温度が高いほど、また、加熱時間が長いほど、食品中のアクリルアミド濃度は高くなります。

【主な対策の例】

  • 意図的に強く焼き目や焦げ目をつけることを避ける
    一般的に、穀類やばれいしょなどの前駆体を含む食品を意図的に焦がしたり、焼き色を強くつけたりすると、アクリルアミドがより多く生成しやすくなります。
  • できるだけ均一な薄い色になるよう加熱する
    食品の種類によっては、加熱後の食品の着色度とアクリルアミド濃度との間に正の相関が認められるものがあり、焼き色や揚げ色がアクリルアミド濃度の目安となる場合があります。そのような食品の場合は、最終製品の基準色を設定し、それよりも色が薄くなるようにすれば、最終製品中のアクリルアミド濃度を一定水準以下に抑制できる可能性があります。
  • 加熱後、余熱を速やかに取り除く
    食品を120℃より高い温度で加熱した際、加熱終了後に食品の温度が120℃以上を保っており、かつ、前駆体が食品中に残っている場合は、余熱でもアクリルアミドが生成する可能性があります。加熱終了後の製品を速やかに冷やすことでアクリルアミドの余分な生成を抑制できる可能性があります。

※200℃を超えるような高温で加熱する一部の焙煎食品(コーヒー豆、麦茶など)では、ある一定以上の温度または時間で加熱すると、加熱で生成する量よりも分解や揮発で消失する量が上回ることにより、アクリルアミド濃度が低くなることが報告されています。

3.適用が可能であれば、必要に応じて、アクリルアミド生成抑制効果のある食品添加物を使う

食品添加物には、アクリルアミドの生成を抑制する効果や機能をもつものがあります。ただし、使用する際は、風味や食感に影響する可能性があることに留意してください。

【アクリルアミドの低減に有効な食品添加物の主な例】

  • 有機酸
    アクリルアミドの生成反応であるアミノカルボニル反応は一般的にpHが高くなるほど促進されます。有機酸は食品のpHを下げることによりアクリルアミドの生成を抑制します。
  • 二価の陽イオン
    アクリルアミド生成経路における主要な中間体の生成を抑制することにより、アクリルアミドの生成を抑制します。
  • アミノ酸
    ある種のアミノ酸(システイン、グリシン等)はアミノカルボニル反応において、前駆体のアスパラギンと競合することにより、アクリルアミドの生成を抑制します。
  • アスパラギナーゼ(アスパラギン分解酵素)
    前駆体のアスパラギンをアスパラギン酸とアンモニアに加水分解することで、アクリルアミドの生成を抑制します。

国際機関や諸外国で策定された実施規範・ガイドライン

コーデックス委員会は、2009年、主にばれいしょ加工品と穀類加工品を対象とした、「食品中のアクリルアミド低減のための実施規範」を採択しました。各国は、この規範にのっとって食品中のアクリルアミド低減を推進しています。なお、農林水産省が策定した「食品中のアクリルアミドを低減するための指針」も、この規範に準拠しています。

「食品中のアクリルアミド低減のための実施規範」(CXC 67-2009)
Code of Practice for the Reduction of Acrylamide in Foods (PDF : 471KB)(英文)
食品中のアクリルアミド低減に関する実施規範(PDF : 321KB)(和文)
※コーデックスにおける検討に関する詳細はこちら

EUの食品業界連合である欧州食品飲料産業連盟(Food Drink Europe)は、ばれいしょ加工品、パン・ビスケット類、朝食用シリアル等の食品中のアクリルアミドについて、中小企業でも実行可能な低減技術をまとめたパンフレット(アクリルアミドの道具箱)を公表しています。このパンフレットで紹介されている技術は、まだ研究段階のものから実用化されているものまで、多岐にわたっています。日本国内でも同様の技術が適用できるとは限りませんが、低減対策を検討する際の参考にすることができます。

その他にも事業者向けのガイドラインを策定している国・地域があります。諸外国の取組みについては、こちらをご覧ください。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

 担当者:化学物質管理班
代表:03-3502-8111(内線4459)

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