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食品事業者ができること

更新日:2011月10月17日

食品安全は食品事業者の責務

食品事業者は、食品の安全性の確保について第一義的な責務を有しています(食品安全基本法第8条)。消費者の健康を、食品事業者の社会的責任のひとつとして、自主的にアクリルアミドの低減に取組むことが望まれます。

農林水産省は、現在実施している各種調査研究や情報提供を通じて、そのような食品事業者の自主的な低減努力を応援したいと考えています。

食品供給行程ごとに、アクリルアミド低減のためのヒントをまとめました。

生産段階

食品中におけるアクリルアミドの主要な生成経路には、アスパラギン還元糖が関係しています。農産物中に含まれるそれらの量を少なくすることで、加熱した時にできるアクリルアミドの量を少なくできる可能性があります。

例えば、じゃがいもは品種によって還元糖の量が異なります。そのため、還元糖ができにくい難糖化性の品種の育成は、アクリルアミド低減対策における課題のひとつとなっています。近年は、加工用じゃがいもとして民間で育種された「キタヒメ」、「ノースチップ」、「スノーデン」などの難糖化性の品種が一部地域で導入されています。
また、農産物中の還元糖やアスパラギン含有量は、品種だけではなく土壌の種類、肥培管理条件や環境、気象条件によって変化するとの報告があります。これらについては、多くの要因が関係していることから、さらなる研究が必要です。

コーデックスの実施規範では、次のような低減措置が推奨されています。

ばれいしょ

  • 地域及び季節間差を考慮し、合理的に達成しうる範囲でできるだけ還元糖濃度が低い馬鈴薯品種を選択すること。
  • 入荷した馬鈴薯の還元糖濃度を測定すること、又はそれらのテストフライを行うこと(揚げ色は淡い黄金色(light golden color)を目標とすること)。

小麦

  • 硫黄が欠乏している土壌は避けること、又は十分に施肥すること。
  • 過剰な窒素施肥は避けること。

流通・貯蔵段階

農産物に含まれている還元糖の量は、貯蔵や流通の過程で変化することがあります。そのため還元糖が増えないように適切に貯蔵することは、加熱したときにできるアクリルアミドの量を低減するために有効です。

例えば、じゃがいもは低温で長期貯蔵すると、デンプンが還元糖に変化して、還元糖の量が増えます。ですから、高温で調理するじゃがいもを長期貯蔵する場合には6~8℃以上での保存が適しています。ただし、鮮度が落ちやすくなりますので管理には注意が必要です。低温貯蔵により還元糖が増えたじゃがいもは、約15~20℃で3週間程度処理することで再び還元糖を減らすことができ、その結果、高温で調理したときのアクリルアミドの生成量を減らすことができます。

コーデックスの実施規範では、次のような低減措置が推奨されています。

ばれいしょ・馬鈴薯加工品

  • 6℃未満で貯蔵された馬鈴薯の使用は避けること。農場から工場までの貯蔵条件を管理し、気温が低い場合には馬鈴薯を冷気から保護すること。
  • 入荷した馬鈴薯を氷点下となる屋外に一晩中など長時間にわたって(保護なしに)放置しないこと。
  • 低温貯蔵された馬鈴薯は、より高い温度(例:12~15℃)で数週間かけて(還元糖濃度などを)元の状態に戻す(リコンディショニング)こと。

製造・加工段階

食品製造・加工事業者は、可能な範囲で受け入れ原材料の品種や生産・流通履歴、還元糖やアスパラギンの含有量を把握して、その原材料が調理条件に適したものか確認すると良いでしょう。

例えば、還元糖が多いじゃがいもはアクリルアミドが生成しやすくなります。また、野菜も種類によってはアスパラギンを豊富に含むものがあり、高温で調理するとアクリルアミドが生成します。また、アクリルアミドの生成抑制に効果がある食品原材料や逆に生成反応を促進してしまう食品原材料もあります。従って、食品の栄養価や風味・品質を維持しつつ、アクリルアミドの生成が最小限になるよう加工食品の原材料の配合比を見直したり、還元糖やアスパラギンを減らすための処理を行うこともアクリルアミドの低減に有効です。

コーデックスの実施規範では、次のような低減措置が推奨されています。

ばれいしょ加工品

  •  ドウから製造される馬鈴薯を主原料とするスナックの場合は、もし可能であれば、馬鈴薯の一部を、より還元糖/アスパラギン含有量が少ない(米粉のような)他の原材料で代替すること。
  • 還元糖の添加を避けること。(例えば焼き色付け、香辛料の保持又はコーティングを目的として)
  • アスパラギナーゼの添加は、アスパラギンを低減させることにより馬鈴薯ドウ製品のアクリルアミドを低減させる場合がある。
    (注:我が国においては、アスパラギナーゼは食品添加物として認可されていないため、現時点では食品にアスパラギナーゼを使用することはできません。)
  • 加工前におけるフライドポテトのピロリン酸ナトリウムによる処理及び馬鈴薯製品のカルシウム塩のような2価又は3価の陽イオンによる処理は、アクリルアミド低減に寄与しうる。

穀類加工品

全般:

  • 使用する小麦粉の種類を検討すること。精製度が高い小麦粉は、全粒粉よりもアスパラギンの含有量が有意に少ない。しかしながら、全粒粉の含有量を少なくすれば、最終製品の栄養価は低下するだろう。
  • 小麦粉の一部を米粉で代替することを検討すること。

ビスケット類、焼き菓子:

  • アンモニウムを含む膨張剤を使用している場合は、例えばカリウム、ナトリウムを含有する膨張剤など他の膨張剤に替えることを検討すること。
  • ジンジャーブレッド製造においては、果糖をブドウ糖に替えること。
  • アスパラギナーゼの添加はアスパラギンを低減し、それによりクッキーやクラッカーのようなハードタイプの小麦ドウ製品のアクリルアミドが低減することが示されている。
    (注:我が国においては、アスパラギナーゼは食品添加物として認可されていないため、現時点では食品にアスパラギナーゼを使用することはできません。)

パン:

  • レシピに還元糖の使用を避けること。
  • 炭酸カルシウムなどカルシウム塩の添加は、アクリルアミド生成を低減しうる。

朝食用シリアル:

  • 加熱加工段階における還元糖を最小限にすること。例えばローストナッツ、ドライフルーツなど他の材料のアクリルアミド含有濃度への寄与を検討し、それらがアクリルアミド量を大きく増やす可能性がある場合には、その原材料が必要かどうかを検討すること。

一般に、アクリルアミドの生成には、加熱時間や加熱温度が大きく影響します。加熱の時間が長ければ長いほど、温度が高ければ高いほど、アクリルアミドの生成量が増えます。
また、加熱に必要な時間や温度は、食品の大きさや形状、一回に調理する分量なども関係します。例えば、食品の表面積が体積に対して大きくなると、加熱したときに食品の温度が上がりやすく、アクリルアミドができやすくなります。一度に大量の食品を調理すると、加熱に必要な時間が長くなりアクリルアミドができやすくなります。そのため、調理の温度や時間だけでなく、食品の大きさ、形状なども考慮する必要があります。
コーデックスの実施規範では、次のような低減措置が推奨されています。

ばれいしょ加工品

フライドポテト:

  • 調理前に還元糖濃度を低減するため、カットした馬鈴薯を湯がくこと(ブランチング)。ブランチング工程の後半において酸性ピロリン酸ナトリウムを添加しpHを下げることで、さらに濃度を低減しうる。
  • 太めにカットすること。より細くカットしたもの(8×8mm)よりも14×14mmにカットしたものの方が、アクリルアミド濃度が低い。
  • もし適切であれば、フライドポテトを下揚げすること。

ポテトチップス:

  • 黄金色(golden yellow)の製品を製造するため、時間、温度及び加熱装置の設定を最適化すること。
  • もし装置があれば、還元糖が多い馬鈴薯の加工に、真空フライヤーを用いること。
  • 高温瞬間フライが使用されている場合には、急速冷却を推奨する。
  • 焦げたチップスを取り除くため、製造ライン上でカラー選別を行うこと。

穀類加工品

全般:

  • 焼きすぎないこと。

パン:

  • 焼き工程の時間-温度プロファイルを調節すること。すなわち、製品の水分含有量が少なくなる最終段階の温度を低くすること。
  • パン生地の発酵させる時間を長くすること。

クリスプブレッド:

  • 最終的な水分含有量を調整すること。
  • 発酵させないクリスプブレッドでは、加工温度及びオーブンを通る速度を調整すること。

朝食用シリアル:

  • 焼きすぎたり、焦がしすぎたりしないこと。製品が均一な焼き色になるよう管理すること。

食品中のアクリルアミド低減の国際的な動向について

Food Drink Europeは、じゃがいも加工品、パン・ビスケット類、朝食用シリアル、コーヒー中のアクリルアミドについて、中小企業でも実行可能な低減技術をまとめたパンフレット(アクリルアミドの道具箱)を公表しており、ここには他にも様々なアクリルアミド低減技術が掲載されています。このパンフレットに紹介されている技術は、まだ研究段階のものから実用化されているものまで、多岐にわたっています。日本国内でも同様の技術が適用できるとは限りませんが、低減対策を検討する際の参考にすることができます。

コーデックス委員会は、2009年、主にじゃがいも加工品と穀類加工品を対象とした、「食品中のアクリルアミド低減のための実施規範」を採択しました。各国は、この規範にのっとって、食品中のアクリルアミド低減を推進していくことになります。

[参考文献]

Code of Practice for the Reduction of Acrylamide in Food (CAC/RCP 67-2009)

De Wilde T., De Meulenaer, B., Mestdagh, F., Govaert, Y., Vandeburie, S., Ooghe, W.,Fraselle, S., Demeulemeester, K., Van Peteghem, C., Calus, A., Degroodt, J. andVerhe R., Influence of Fertilization on Acrylamide Formation during Frying ofPotatoes Harvested in 2003, J. Agric.Food Chem., 54 (2), 404 -408, (2006)

Muttucumaru, N., Halford,N., Elmore, J., Dodson, A., Parry, M., Shewry, P. and Mottram, D. Formation ofHigh Levels of Acrylamide during the Processing of Flour Derived fromSulfate-Deprived Wheat, J. Agric. FoodChem.54(23), 8951-8955, (2006)

Chuda, Y., Ono, H., Yada,H., Ohara-Takada, A., Matsuura-Endo, C., and Mori, M., Effects of physiologicalchanges in potato tubers (Solanum tuberosum L.) after low temperature storageon the level of acrylamide in potato chips. Biosci. Biotechnol. Biochem. 67,1188-1190, (2003)

De Wilde, T., De Meulenaer, B., Mestdagh, F., Govaert, Y., Vandeburie, S., Ooghe,W., Fraselle, S., Demeulemeester, K., Van Peteghem, C., Calus, A., Degroodt, J.and Verhe, R. Influence of Storage Practices on Acrylamide Formation during PotatoFrying, J. Agric. Food Chem., 53 (16), 6550 -6557, (2005)

高附巧、根本了、佐々木久美子、米谷民雄:農産物の加熱調理によるアクリルアミドの生成  食品衛生学雑誌  45(1) 44-48, (2004)

Food Drink Europe:アクリルアミドの道具箱(Acrylamide Toolbox)

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