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用語解説(五十音順)

 アクロレイン

分子式C3H4O、分子量56.06の化学物質。毒劇物取締法では劇物に指定されています。工業用ではメチオニン、アリルアルコール、グリセリン、グリタルアルデヒドの合成原料として用いられています。動物性や植物性の油脂を加熱することによりグリセロールの脱水素反応が起き、食品中でも微量に生成することが知られています。

 アスパラギン

アスパラギンは、たんぱく質を構成するアミノ酸の一種です。側鎖にアミド基(-NH2)を持っているのが特徴です。アスパラガスの芽の抽出液から最初に単体として分離されたことからこのような名前がついています。生体内ではアスパラギン酸から生合成されます。必須アミノ酸ではありません。アミノ酸には食品中ではタンパク質を構成しているものと、アミノ酸が単体で存在しているもの(遊離アミノ酸)があります。アクリルアミドの生成に関係していると考えられているのは、遊離アスパラギンです。

 アミノカルボニル反応(メイラード反応)

アミノカルボニル反応は、食品の色や風味の生成に関係している私たちにとても身近な化学反応で、褐変反応(食品が茶色に変化する化学反応)の1つです。食品に含まれる還元糖、ケトン、アルデヒドとアミノ酸、ペプチド、たんぱく質を加熱すると、きつね色や焦げ色の褐色物質が生成します。例えば、パンをトーストしたり、クッキーを焼いたりすると、生地の表面がきつね色に変化し、香ばしい風味がついたり、肉や魚を調理すると焦げ色が付くのもアミニカルボニル反応の一種です。また、みそやしょうゆは、熟成させるとだんだんと濃色になり、風味も増しますが、これもアミノカルボニル反応によるものです。発見した学者の名前を英語読みして、「メイラード反応」とも呼ばれています。

 ALARAの原則

国際的に汚染物質の基準値作成の基本となっている、食品中の汚染物質を“無理なく到達可能な範囲でできるだけ低くすべき(ALARA: As Low As Reasonably Achievable)”であるという考え方です。コーデックス委員会で食品中の基準値等のリスク管理措置を検討する際には、この考え方に基づき消費者の健康が確保されていることを条件に、生産や取引の不必要な中断を避けるために食品中の汚染物質の通常の濃度範囲よりもやや高いレベルを考慮します。もちろん、適切な生産技術や手段により可能な範囲で汚染しないように生産、製造することが前提となっています。

 遺伝毒性発がん性

DNA中の塩基配列の異常やDNA鎖の切断といった、遺伝子のDNAに直接作用してDNAの損傷を引き起こし、遺伝子変異を誘発する作用を指します。体細胞の遺伝子のDNAが損傷することで、発がんが誘発される可能性があります。

発がんと遺伝毒性発がん物質

 疫学調査

病気の発生等とその原因と考えられるもの(有害化学物質の摂取など)との間に存在する関連性を証明するために、ヒトの特定の集団内を対象に、病気の発生率や死亡率など健康に関わる影響の頻度や発生時期などから統計学的に調査することです。

 FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)

FAOとWHOが合同で開催する専門家会合として1956年から活動を開始しています。FAOとWHOの加盟国及びコーデックス委員会に対する科学的な助言機関として、添加物、汚染物質、動物用医薬品などの安全性評価を行っています。通常年2回開催されており、添加物と汚染物質で1回、動物用医薬品で1回となっています。

 化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)(正式名称は「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」)

有害性のある様々な化学物質の環境への排出量を把握することなどにより、化学物質を取り扱う事業者の自主的な化学物質の管理の改善を促進し、化学物質による環境の保全上の支障が生ずることを未然に防止することを目的として制定された法律です。

対象となる化学物質は、人の健康や生態系に有害なおそれがあるなどの性状を有するもので、環境中にどれくらい存在しているかによって「第一種指定化学物質」と「第二種指定化学物質」の2つに区分されています。第一種指定化学物質は、人の健康や生態系に悪影響を及ぼすおそれがある、自然の状況で化学変化を起こし容易に有害な化学物質を生成する、オゾン層を破壊する、のいずれかの有害性の条件に当てはまり、かつ環境中に広く継続的に存在すると認められる物質です。

 還元糖

還元糖とは、アルデヒド基(-CHO)やケトン基(-CO-)など特定の官能基を持つ糖類を指します。ブドウ糖(グルコース、右図参照)、果糖(フルクトース)などのすべての単糖類が含まれます。また、麦芽糖(マルトース)などの一部の二糖類も含まれます。還元糖はアミノ酸のアミノ基とアミノカルボニル反応を起こします。

なお、ショ糖(砂糖の主成分)は、ブドウ糖と果糖が結合したものですが、その結合の仕方のせいで、還元性はありません。

 コーデックス委員会(Codex委員会)

コーデックス委員会は、消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的として、1962年にFAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関であり、国際食品規格の作成等を行っています。日本は1966年より参加しています

コーデックス委員会

 国際がん研究機関(IARC)

世界保健機構(WHO)の一機関で、発がん状況の監視、発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的として活動しています。発がん性が疑われている物質(agent)を5段階に分類しており、アクリルアミドは、上から2番目のグループ2Aとされています。

グループ2A「ヒトに対しておそらく(probably)発がん性がある物質」

 実施規範(Code of Practice)

いろいろな活動の中で守るべき規範を指します。食品の分野では、近年、一次生産から消費にわたって安全対策をとり、最終産物の安全を確保するという考え方(フードチェーンアプローチ)が有力になってきました。この考え方に従って、生産・製造・流通の現場で守るべき規範が定められるようになり、中には管理目標値を含むものもあります。こうした傾向に従い、コーデックス委員会でも、微生物や化学物質による汚染を生産・製造・流通段階において防止・低減することが重視され、実施規範に関する議論が活発になっています。実施規範が遵守されれば、食品の汚染レベル全体が下がるので、基準値を定めて食品を検査し、違反食品のみを取り締まるよりも有効な安全対策となります。同時に、行政コストや時間の節約も期待できます。コーデックス委員会では、アクリルアミドの他に、食中毒やかび毒のリスク管理のための実施規範も議論され、採択されたものもあります。

 生殖・発生毒性

生殖細胞の形成から、交尾、精子・卵子の発生・成熟、受精、妊娠、分娩、次世代の発育、成熟に至るまでの一連の過程のいずれかの時期に作用して、生殖や発生に有害な影響を及ぼす毒性。親世代の生殖能に及ぼす影響を生殖毒性、子世代に及ぼす影響を発生毒性といいます。

 職業暴露

ある物質を吸収したり、吸入したり、触れたりすることを暴露(ばくろ)といいます。職業によっては、ある特定の物質に接する機会が一般人よりも多くなり、その物質の暴露が大きくなります。このような職業による特殊な労働環境下における暴露を職業暴露といいます。

 トータルダイエットスタディ

リスクの推定には、危害要因による健康への悪影響の性質を評価するとともに、人がどの程度その危害要因を摂取しているか(摂取量)を推定する必要があります。この摂取量の推定方法の一つが、トータルダイエットスタディです。

トータルダイエットスタディに関するガイドライン

 毒劇物取締法(正式名称は「毒物及び劇物取締法」)

毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締を行うことを目的として制定されている法律です。毒性の強さを判定基準に基づいて、「毒物」、「劇物」及び「特定毒物」に分類しています。毒性が強いものを毒物、毒性がやや弱いものを劇物としており、毒物の中でも特に毒性が強いものを特定毒物としています。

 暴露幅(Margin of Exposure: MOE、暴露マージンともいう。)

用量-反応評価の結果から導き出した無毒性量などの閾値やそれに相当する用量(NOAELやBMDLが用いられます。)と摂取量の大きさの違いを数的に示す指標で、両者の比として求められます。食品を通して非意図的に摂取する遺伝毒性発がん物質の場合には、リスク管理の優先付けを行う手段として用いられています。例えば、アクリルアミドの平均摂取量(0.001 mg/kg体重/日)と発がんに対するBMDL(0.3 mg/kg体重/日)の暴露幅は、MOE=BMDL(0.3)÷摂取量(0.001)=300 と算出されます。

 

暴露幅(MOE)の考え方
暴露幅をリスク評価にどのように使うかについては、その毒性の強さや不確かさを考慮してリスク管理者が判断する必要があります。発がん性以外の健康影響には、動物実験から求めたNOELやNOAELと摂取量の間の安全係数は、種差と個人差を考慮して100が用いられるのが一般的です。しかし、遺伝毒性がある発がん性物質の場合には、例え1分子というわずかな量の場合でも細胞のDNAに直接作用して遺伝子の突然変異をもたらす可能性があり、それが原因となって発がんを引き起こすと考えられていることから、毒性が発現する最小の量(閾値)を設定することはできないと考えられており、遺伝毒性発がん物質の暴露幅の解釈については議論が行われています。
例えば、欧州食品安全機関(EFSA)の場合は、BMDLと摂取量の間の暴露幅が10,000以上の値であれば、“国民の健康への懸念が低くリスク管理の優先度が低い”としています。しかし、10,000という数字を、健康への懸念を引き起こす閾値、又はリスク管理措置を取るべき基準とみなすべきではないとしています。暴露幅が大きい値である(懸念が小さい)からと言って、リスク管理措置の検討(ALARAの原則に則った措置を含む)をやめるべきではないとしています。
JECFAも同様の解釈をしており、10,000という数字を境界として明示してはいないものの、暴露幅が10,000以上のものは“ヒトの健康への懸念は低い”としており、MOEがそれよりも小さいものは“懸念がある”としています。JECFAは、暴露幅に基づく評価や解釈を受け入れるかどうかはリスク管理者の判断であるが、リスク評価者(JECFA)は暴露幅算出の際の不確かさや変動性を考慮し、暴露幅の妥当性を判断する指標をリスク管理者に示すべきであろうとしています。
[参考文献]
Barlow et al. (2006). Risk assessment of substances that are both genotoxic and carcinogenic. Report of an International conference organised by EFSA and WHO with support of ILSI Europe. Food & Chem Toxicol, Vol 44(10): 1636-50.
O’Brien et al. (2006). Approaches to the risk assessment of genotoxic carcinogens in food: a critical appraisal. Food & Chem Toxicol, Vol 44(10):1613-35

 

 ベンチマーク用量信頼下限値(BMDL)

複数の発がん性に関する動物試験から、用量-反応曲線を描きます。その95%信頼限界の上限、下限曲線を描きます。用量-反応曲線で対照群に比べてある一定の割合だけ腫瘍の発生(発がん)が増加する投与量(これをベンチマーク用量(BMD)と言います。)の安全側(95%信頼下限)の信頼限界値をBMDLといいます。この方法では少ない動物数の試験でも検出感度の補正ができ、より安全側からの推定ができます。増分の取り方は10%、5%、1%などが用いられます。少ないほど安全側にたった推定値となります。JECFAでは腫瘍が10%増加する用量(BMDL10)を採用しています。

ベンチマーク用量信頼下限値のグラフ

 出発点(Point of Departure: POD)

動物試験から得られた用量-反応評価の結果を、摂取量が小さいヒトに外挿し、用量が小さい場合における健康影響を推定する際の、毒性の基準となる出発点となる値を指します。通常、NOAELやBMDLのことを指します。

 無作用量(NOEL)

複数の動物群を用いて被験物質の投与量を変えて毒性試験を行い、生物学的なすべての影響が対照群に対して統計学的に有意な差を示さなかった最大投与量です。

たとえば血清中GOT(肝細胞、筋細胞中の酵素)の軽度な変動であっても統計学的有意差があり、かつ用量依存性があれば「影響あり」とみなされため無作用量が求められますが、生物学的に毒性とはいえないので、最近では生体にとって有害であると思われる反応に限定した無毒性量(NOAEL)を評価に使うことが多い。

 リスク管理

すべての関係者(消費者、食品事業者、生産者など)と協議しながら、リスクを低減するための施策について技術的な実行可能性、費用対効果などを検討し、適切な政策・措置を決定、実施、検証、見直しを行うことです。

 リスク評価

食品中に含まれる危害要因を摂取することによって、どのくらいの確率でどの程度の健康への悪影響が起きるのかを科学的に評価することです。

濃度単位の説明

 μg/kg(マイクログラム・パー・キログラム)

1μg/kgは、1キログラムの中に1マイクログラム(100万分の1グラムです。)の物質が含まれていることを表します。身の回りのものに例えて濃度を表すと、10トン積みの大型トラック100台の荷物の中の1グラムと同じです。1μg/kgは、0.001mg/kgに相当します。

 mg/kg(ミリグラム・パー・キログラム)

1mg/kgは、1キログラムの中に1ミリグラム(千分の1グラムです。)の物質が含まれていることを表します。身の回りのものに例えてこの濃度を表すと、1トン積みの小型トラック1台の荷物の中の1グラムと同じです。1mg/kgは、1000μg/kgに相当します。

 

お問い合わせ先

消費・安全局消費・安全政策課
食品危害対策班
代表:03-3502-8111(内線4451)
ダイヤルイン:03-3502-5722
FAX:03-3597-0329

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