このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

クロロプロパノール類に関する日本の取組

  • 印刷
平成24年10月12日更新

 

農林水産省では、食品に含まれているクロロプロパノール類を、「農林水産省が優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質のリスト」に位置づけています。食品の安全性を向上させるため、科学的なデータに基づいて業界を指導し、できる限りその濃度を低くする対策を進めています。

 これまでに実施してきた取組

食品中に含まれるクロロプロパノール類の含有実態調査

農林水産省では、国際的な動向を踏まえ、我が国でのクロロプロパノール類のリスク管理措置の必要性を検討する際に必要となる基礎データを収集するため、まずは平成16年度から平成18年度までの3カ年で、酸加水分解植物性たん白(以下、このページでは「アミノ酸液」といいます。)及びしょうゆ中に含まれるクロロプロパノール類の含有実態を調査しました。

この調査結果から、食品中に含まれる主たるクロロプロパノールである3-MCPDについて、次のことが確認されました。

  • 日本のしょうゆ生産量の8割以上を占める本醸造方式で製造されたしょうゆは、原材料としてアミノ酸液が使用されないため3-MCPDが含まれないこと
  • 混合醸造方式及び混合方式で製造された、アミノ酸液を含むしょうゆであっても、その9割以上はクロロプロパノール類の低減措置が講じられたアミノ酸液が使用されており、そのようなしょうゆに含まれる3-MCPD濃度はとても低いこと
  • 製造工程で「アルカリ処理」と呼ばれるクロロプロパノール類の低減対策を講じたアミノ酸液は、そうでないものと比較して3-MCPDの濃度がとても低いこと

この調査で得られたしょうゆ中の3-MCPD濃度と平均的な日本人のしょうゆ摂取量から、日本人がしょうゆから摂取する3-MCPDの一日の平均的な摂取量を試算すると、0.002~0.005  μg/kg体重/日と推定されました。これは国際的な専門機関が設定した、ここまでなら一生涯にわたって摂りつつけても健康への影響がないと推定される安全の目安となる摂取量(これを「耐容摂取量」と言います。)の2  μg/kg体重/日の1%未満であることから、通常の食生活ではしょうゆ由来の3-MCPDによる健康リスクは無視できるほど小さいと考えられます。 

しかし、アミノ酸液が混合された混合醸造方式又は混合方式のしょうゆの中には、数点だけですが3-MCPDの濃度がとても高いものもあることが判明しました。例えば、特定の銘柄のしょうゆに愛着があり、その銘柄しか使わない人がいたとします。その銘柄がたまたま高濃度の3-MCPDを含んでいた場合には国際的な専門機関が設定した耐容摂取量を上回る場合があり、その状態が一生涯に渡って続いた場合には、健康に悪影響が発生する可能性が懸念されることがわかりました。

そこで、平成20年6月、農林水産省は、消費者の健康被害の発生を未然に防止する観点から、アミノ酸液及びしょうゆの製造工程で、クロロプロパノール類を低減するための対策を徹底するよう関係業界を指導しました。(通知文(PDF:74KB)

平成21年度及び23年度には、製造工程の改善によるクロロプロパノール類の低減対策の効果を検証するための調査を行いました。その結果、アミノ酸液及び混合醸造方式又は混合方式の しょうゆ中の3-MCPD濃度は平成18年度と比べて大幅に低くなり、3-MCPDの摂取量は最大に見積もった場合でも国際機関が設定した耐容摂取量を超えなくなるなど、対策が有効であることが確認されました。一方で、低減対策に取り組んでいない製造業者や低減対策の効果が十分現れていない製造業者があったため、このような業者において低減対策を徹底させるよう関係業界を指導しました。(通知文(PDF:73KB)

なお、これらの調査結果の詳細については、《含有実態調査結果の概要について》をご覧ください。

 

クロロプロパノール類の摂取量の推定(トータルダイエットスタディ)

クロロプロパノール類は、主に酸加水分解植物性たん白に含まれていますが、酸加水分解植物たん白を含まない食品からも検出されています。また、アミノ酸液はしょうゆの他にも、様々な食品の原材料として用いられています。そこで、日本人が食品全般から摂取しているクロロプロパノール類の総量や我が国でクロロプロパノール類を含む食品の種類を把握するため、トータルダイエットスタディを平成17~19年度に実施しました。

クロロプロパノール類を含む可能性がある、脂質を含む食品群(穀類、いも類、豆類、種実類、野菜類、魚介類、肉類、乳類、油脂類、菓子類、調味料・香辛料類)を対象に、マーケットバスケット方式で3-MCPDの測定を行いました。その結果、実際に3-MCPDが検出されたのは、調味料類と魚類の2つの食品群のみで、その他の食品群からは検出されませんでした。この結果、平均的な食生活の下での3-MCPDの摂取量は2.0~4.7  μg/日であると見積もられました。これは国際的な専門機関が設定した耐容摂取量の2~5%と小さいことから、平均的な食生活においては3-MCPDによる健康リスクは無視できるほど小さいと考えられました。

 

食品中のクロロプロパノール類低減に向けた取組

ALARAの原則

国際的に、汚染物質の基準値を設定する際の基本となっている考え方に、食品中の汚染物質を“無理なく到達可能な範囲でできるだけ低くすべき(ALARA: As Low As Reasonably Achievable)”であるというものがあり、ALARAの原則と呼ばれています。

コーデックス委員会が食品に含まれる汚染物質の基準値等のリスク管理措置を検討する際には、この考え方に基づき、消費者の健康が確保されていることを条件に、生産や取引の不必要な中断を避けるために食品中の汚染物質の通常の濃度範囲よりもやや高いレベルを考慮します。この際には、適切な生産技術や手段により、可能な範囲で汚染しないように生産、製造された食品の濃度データに基づくことが前提となっています。そのため、コーデックス委員会では、基準値の設定よりも適切な生産・製造の指針を示す実施規範の策定が優先的に行われており、こうした対策が有効でない場合や十分でない場合には基準値の設定が検討されます。

 

低減のための適切な製造技術の導入

1970年代後半にアミノ酸液などの酸加水分解植物性たん白にクロロプロパノール類が含まれていることが発見されて以降、我が国のアミノ酸液業界ではクロロプロパノール類の濃度を低減するために、製造工程や製造方法を改良し、世界に先駆けて対策が行われてきました。その結果、クロロプロパノール類の濃度が低いアミノ酸液の製造を可能とする一連の技術が確立されました。その中でも、たん白質を酸加水分解した後に「アルカリ処理」と呼ばれる工程を行うことが特に有効であることが、農林水産省が行った実態調査で確認されました。

なお、これらの日本の産業界で開発されたアミノ酸液に含まれるクロロプロパノール類の低減技術は、コーデックス委員会が策定した実施規範においても採用され、国際標準として世界中で用いられています。

 

製造工程における安全性向上対策の推進

日本で使用されているアミノ酸液の多くは、すでにクロロプロパノール類の低減措置が導入されており、クロロプロパノール類の実態調査やトータルダイエットスタディの結果からは、食品に含まれるクロロプロパノール類による健康リスクは無視できるほど小さいことが確認されています。

しかし、まだ一部のアミノ酸液を自家調製しているしょうゆ事業者では低減技術の導入が遅れており、過去の調査結果では3-MCPD濃度が高いしょうゆをとり続けた場合には、国際機関が設定した耐容摂取量を超える可能性があることもわかりました。そのため、平成20年6月に、関係業界に対して、アミノ酸液及びアミノ酸液を含むしょうゆの製造工程において、クロロプロパノール類の低減対策を徹底するよう、文書指導を行い、主要産地において技術指導や意見交換を実施するなど、食品事業者による自主的な取組の推進を図ってきました。(通知文(PDF:74KB)

平成21年度及び23年度には、製造工程の改善によるクロロプロパノール類の低減対策の効果を検証するための調査を行い、これまでの取組がクロロプロパノール類の低減に有効であることを確認しました。一方で、低減対策に取り組んでいない製造業者や低減対策の効果が十分現れていない製造業者があったため、このような業者において低減対策を徹底させるよう関係業界を指導しました。(通知文(PDF:73KB)

今後は、業界団体と連携し、低減対策を実施していない製造業者に対する個別指導の強化を図るとともに、すでに低減対策を実施しているものの3-MCPDのさらなる低減が期待できる製造業者には、風味への影響や経済的コスト等も考慮しつつ、一層の安全性の向上対策に取り組むよう促します。

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader