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農林水産省

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ブロイラー鶏群から製造された中抜きと体のカンピロバクター濃度調査

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 作成日:平成29年3月31日

2.1.1.2. 食鳥処理場

2.1.1.2.6 ブロイラー鶏群から製造された中抜きと体の菌濃度調査(平成26年度)

ブロイラー鶏群から製造された中抜きと体のカンピロバクターの濃度を把握するために、食鳥処理場3か所において、4~5処理日にわたり、計28鶏群の盲腸内容物や中抜きと体を対象にカンピロバクターの調査を行いました。また、対象鶏群の中抜きと体を冷却するために使われる冷却水の衛生状態を把握するために、冷却水を各鶏群の処理中間時に採取し、遊離残留塩素濃度の測定と、カンピロバクター及び一般生菌の調査を行いました。

その結果、カンピロバクター陽性の12鶏群から製造された中抜きと体は、88%からカンピロバクターが分離され、その濃度の平均は5.0×102 cfu/と体でした。一方、カンピロバクター陰性の16鶏群から製造された中抜きと体は、1%からカンピロバクターが分離され、その濃度は定量限界値(5.0×102 cfu/と体)未満でした。冷却水の遊離残留塩素濃度は1.0~95.0 ppmの範囲内で、冷却水からカンピロバクターは分離されませんでした。

(1) 目的

ブロイラー鶏群から製造された中抜きと体のカンピロバクターの濃度や汚染率を把握する。さらに、中抜きと体の冷却のために使われる冷却水の衛生状態を把握する。

 

(2) 試料採取

食鳥処理場3か所(A~C17)において、平成26年7月~10月の間の4~5処理日を選び、第1鶏群(1番目に処理される鶏群)及び第2鶏群(2番目に処理される鶏群)を調査対象(計28鶏群)としました。各鶏群から、中抜き工程において10羽分の盲腸内容物(1鶏群につき試料10点)、冷却後に5羽分の中抜きと体(1鶏群につき試料5点)を採取しました。

また、冷却水は、各鶏群の処理中間時に、冷却水槽から採取しました(1鶏群につき試料1点)。 

17 食鳥処理場名A~Cは、他調査の結果で用いられている食鳥処理場名と関連ありません。

 

(3) 微生物試験・その他の試験

盲腸内容物、冷却水及び冷却後の中抜きと体を試料としてカンピロバクターの定性試験(3.1.1.1(1)3.1.1.2(3)3.1.1.5(2))及び定量試験(3.1.2.13.1.2.23.1.2.3)を実施しました。盲腸内容物の試料10点のうち1点でもカンピロバクターが分離された鶏群は、カンピロバクター陽性と判定しました。分離されたカンピロバクターは、生化学的試験及びPCR法により菌種(Campylobacter jejuni, C.coli)を同定(3.1.3.1)しました。また、菌株の同一性を確認するため、薬剤感受性試験(3.1.3.3(2))及びMLST法(3.1.3.4)を行いました。

冷却水については、一般生菌の定量試験(3.5.1.1)を行いました。また、食鳥処理場において、遊離残留塩素濃度の測定(3.6.1)を事業者の方に依頼しました。

 

(4) 結果

今回、調査対象となったブロイラー鶏群の43%(12/28)がカンピロバクター陽性でした。また、カンピロバクター陽性の各鶏群内の、鶏個体のカンピロバクター保有率は、10鶏群で100%(10/10)、1鶏群で80%(8/10)、1鶏群で10%(1/10)でした。カンピロバクターを保有している鶏個体の97%(106/109)では、盲腸内容物中の菌濃度は1.0×104 cfu/g以上でした。

カンピロバクター陽性の12鶏群から製造された中抜きと体は、88%(53/60)からカンピロバクターが分離され、その菌濃度の平均は5.0×102 cfu/と体でした。カンピロバクター陽性の9鶏群の中抜きと体からは、それぞれの鶏群の盲腸内容物から分離されたカンピロバクターと同じ性状(菌種、薬剤感受性及びMLST法によるST番号)の菌が分離されました。

一方、カンピロバクター陰性の16鶏群から製造された中抜きと体は、1%(1/80)からカンピロバクターが分離され、その菌濃度は定量限界値(5.0×10 cfu/と体)未満でした。なお、この陽性の中抜きと体が製造されたカンピロバクター陰性鶏群はその処理日の第1鶏群であり、カンピロバクター陽性鶏群の後に処理されたものではありませんでした。

冷却水(各鶏群の処理中間時)については、遊離残留塩素濃度は1.0~95.0 ppmであり、カンピロバクターは分離されませんでした。一般生菌は冷却水の54%(15/28)から分離され、その濃度は1~12 cfu/mLでした。

 

指導者・事業者の皆様へ

食鳥処理場3か所において、カンピロバクター陰性鶏群から製造された中抜きと体のカンピロバクター汚染濃度及び汚染率は、陽性鶏群のものと比べて低い傾向がみられました。過去の調査(2.1.1.2.2)でも同様の傾向がみられたため、農場で鶏群のカンピロバクターの保有率を下げることによって、食鳥処理場へのカンピロバクターの持ち込みを減らし、さらに中抜きと体のカンピロバクター汚染濃度や汚染率を減らせることが期待できます。

また、冷却水(各鶏群の処理中間時)は、遊離残留塩素濃度の範囲は1.0~95.0 ppmであり、カンピロバクターは分離されませんでした。

ブロイラー鶏群のカンピロバクター保有率は約5割(2.1.1.1.12.1.1.2.4)であったため、食鳥処理場は、受け入れる生鳥はカンピロバクターに感染しており、その結果、処理ラインが汚染される可能性があることを考慮して、衛生対策を実施する必要があります。厚生労働省は、食鳥処理場における衛生管理措置及び食鳥検査や、食鳥処理場におけるHACCPの導入を推進しています。

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