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農林水産省

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 平成28年3月31日公表

平成26年度調査結果(バター、マーガリン、ショートニング、ラード、魚油を主成分とする食品、調製粉乳等)

農林水産省は、平成26年度に実施した食品中の3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルの含有実態調査の結果を取りまとめました。平成25年度より点数を増やして調査を行った結果から、我が国で流通している油脂の含有率が高い食品等に含まれること、その濃度は海外での報告よりも低い傾向であることを改めて確認しました。
両物質については、今後、国際的なリスク評価が予定されています。農林水産省は、本実態調査結果が活用されるよう、国際機関にデータを提供します。

調査の背景

農林水産省は、3-MCPD脂肪酸エステルについて、「農林水産省が優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質のリスト」及び「食品の安全性に関する有害化学物質のサーベイランス・モニタリング中期計画」(平成22年12月22日公表)の中で、「リスク管理を継続する必要があるかを決定するため毒性や含有の可能性等の関連情報を収集する必要がある化学物質」とし、平成23~27年度の期間内にサーベイランス(問題の程度や実態を知るための調査)を実施しています。
また、グリシドール脂肪酸エステルについては、近年、食用植物油脂にグリシドール脂肪酸エステルが含まれているとの報告があったこと、3-MCPD脂肪酸エステルと同時に測定できる分析法が確立されており、一緒に分析する方が効率的であること等から、優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質のリストに加えるべきか検討する必要があり、あわせて調査を行いました。

平成25年度に食用植物油脂及び油脂の含有率が高い食品等(バター、マーガリン、ショートニング、ラード、魚油を主成分とする食品、調製粉乳等)について、3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルの含有実態を調査しました。その結果、海外と同様、我が国で流通している食品にも含まれること、その濃度は海外での報告よりも低い傾向であること、が分かりました。

調査の目的

平成25年度の調査で試料点数が少なかった油脂の含有率が高い食品等について、試料点数を増やして調査し、その濃度傾向を確認することを目的としました。

調査対象食品

 油脂の含有率が高い食品等(バター、マーガリン、ショートニング、ラード、魚油を主成分とする食品*1、調製粉乳等*2):計190点

1 精製魚油を主成分とするソフトカプセルタイプの食品(いわゆる健康食品)で、精製魚油以外の油脂や食品を混合していないものが該当します。
2 乳児用調製粉乳、フォローアップミルク、特殊用途育児用粉乳が該当します。

試料採取方法

市販品を、小売店又はインターネット販売サイト等を通じて、平成26年10月~平成27年2月の期間に購入しました。

調査対象物質及び分析法

食品中の3-MCPD脂肪酸エステル、グリシドール脂肪酸エステルには、結合している脂肪酸の違いによりいくつかの種類があります。含有実態調査では、間接分析法*を用いて、結合している脂肪酸の種類を区別せず、遊離した3-MCPD濃度(3-MCPD脂肪酸エステルの総量)及び遊離したグリシドール濃度(グリシドール脂肪酸エステルの総量)を測定しました。

また、直接分析法*を用いて、結合している脂肪酸ごとのグリシドール脂肪酸エステル5種類(パルミチン酸グリシジル、ステアリン酸グリシジル、オレイン酸グリシジル、リノール酸グリシジル及びリノレン酸グリシジル)の濃度を測定しました。

  • 間接分析法*としてDGF Standard Methods Section C-Fats C-VI 18 (10)、直接分析法*としてJoint AOCS/JOCS Official Method Cd28-10を用いました。分析法の妥当性確認結果はこちら(PDF:400KB)をご覧ください。
  • データの信頼性を確保するため、分析は、内部精度管理及び外部精度管理を行っている分析機関に委託しました。

調査結果の概要

今回の調査から、平成25年度の調査と同様、我が国で流通している油脂の含有率が高い食品等に3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルが含まれること、またその濃度は、海外での報告よりも低い傾向であることを改めて確認しました。

(1)間接分析法による3-MCPD脂肪酸エステル(遊離した3-MCPD)濃度の調査結果

油脂の含有率が高い食品等に含まれる3-MCPD脂肪酸エステル(遊離した3-MCPD)濃度の調査結果は、表1-1(油脂中の濃度に各試料の油脂含有率を乗じて算出した濃度)、表1-2(食品から抽出した油脂中の濃度)のとおりです。

食品から抽出した油脂中の濃度を測定したところ、

  • 調査試料190点のうち、157点(83%)が定量限界以上の濃度でした。
  • バターについては、全ての調査試料が定量限界未満の濃度でした。
  • マーガリンについては調査試料50点中49点(98%)が、ショートニングについては調査試料30点中22点(73%)が、ラードについては全ての調査試料が、魚油を主成分とする食品については調査試料30点中29点(97%)が、調製粉乳等については調査試料40点中37点(93%)が、定量限界以上の濃度でした。
  • マーガリン、ショートニング、魚油を主成分とする食品については、これまで海外で報告されている濃度より、やや低い傾向にあることが改めて確認できました。
  • ラードについては、これまで海外で報告されている濃度より、やや濃度が高い試料もありました。
  • 調製粉乳等については、これまで海外で報告されている濃度範囲(0.6 – 3.0 mg/kg 油脂当たりの濃度)と比べてやや低い傾向にあることを確認しました。一方、ドイツで実施された最新の調査結果では調製粉乳中の3-MCPD脂肪酸エステル濃度が下がっていることが報告されています(0.19 – 1.22 mg/kg 油脂当たりの濃度)*5。この結果と比べると、今回の調査結果ではやや濃度が高い試料もありました。

さらに、調製粉乳等について、飲用状態における濃度を把握するため、各調査試料について各製品の表示に従って調乳した液体の濃度を算出したところ、カナダで実施された調査結果で報告されている濃度範囲(<0.006 – 0.089 mg/kg(2012年)、<0.006 – 0.080 mg/kg(2013年))*6と同程度であることがわかりました。

 

表1-1 油脂の含有率が高い食品等に含まれる3-MCPD脂肪酸エステル(遊離した3-MCPD)濃度の概要(単位:mg/kg 食品中の濃度*1

食品名 試料点数 最小値 最大値 平均値(MB)*2 中央値*3

バター

20

<0.07

<0.07 

0.02 

-

マーガリン

50

<0.2  

2.9

0.7  

0.6  

ショートニング

30

<0.2  

3.9

1.1  

0.9  

ラード

20

  0.16

 0.51

0.24

0.21

魚油を主成分とする食品

30

<0.08

4.0

1.3  

1.0  

調製粉乳等*4

40

<0.04

 (<0.003)

0.6

 (0.07)

0.2  

(0.03)

0.2  

(0.02)

      

乳幼児用調製粉乳

15

<0.06 

 (<0.003)

0.6 

  (0.07) 

0.2  

(0.03)

0.2  

(0.03)

フォローアップミルク

12

<0.04 

 (<0.005)

0.2 

 (0.03) 

0.2  

(0.02)

0.2  

(0.02)

特殊用途用育児用粉乳

13

<0.04

  (<0.003)

0.3  

 (0.05) 

0.2  

(0.03)

0.2  

(0.03)

1 バター、マーガリン及び調製粉乳については、油脂中の濃度に各試料の油脂含有率を乗じて、食品中の濃度を算出しました。
2 検出限界未満の濃度を検出限界の1/2、検出限界以上定量限界未満の濃度を定量限界の1/2として算出しました。
3 複数のデータを、数値が小さい方から順番に並べた時、ちょうど中央にくる値のことです。50%を超える試料が定量された場合についてのみ記載しています。
4 (括弧内の数字)は、各製品の表示に従って調乳した際の液体中の濃度を記載しています。各製品の食品中の濃度に調製粉乳等の使用量を乗じて、できあがり量(お湯を加えた後の液体量。比重を1と仮定)で除して算出しました。
5 Wohrlin F. et al. Occurrence of fatty acid esters of 3-MCPD, 2-MCPD and glycidol infant formula. Food Additives & Contaminants: Part A. 2015, 32(11), 1810-1822.
6 Becalski A. et al. A pilot survey of 2- and 3- monochloropropanediol and glycidol fatty acid esters in baby formula on the Canadian market 2012-2013. J. Food. Compos. Anal. 2015, 44, 111-114.

 

 表1-2 油脂の含有率が高い食品等に含まれる3-MCPD脂肪酸エステル(遊離した3-MCPD)濃度の概要(単位:mg/kg 油脂当たりの濃度*1) 

食品名

試料
点数

定量限界
未満の点数*2

最小値 最大値

平均値
(MB)*3

中央値*4

 (参考)海外で報告
された濃度範囲

バター

20

20 

<0.08

<0.08 

0.03

-

 <0.05*5

マーガリン

50

1

<0.2  

3.6

0.8  

0.8  

   0.4      -   4.5*6

   1.3      -   7.3*7

ショートニング

30

8

<0.2  

3.9

1.1  

0.9  

   8.6*8

(95パーセンタイル)

ラード

20

0

  0.16

  0.51

0.24

0.21

<0.1      -   0.3*6

魚油を主成分とする食品

30

1

<0.08

4.0

1.3  

1.0  

  0.7      - 13*5

  1.5      -   5.5*7

調製粉乳等

40

3

<0.2  

2.1

0.9  

0.8  

  0.6     -    3.0*6

  0.19   -    1.22*9

      

乳幼児用調製粉乳

15

1

<0.2  

2.1

0.9  

0.8  

フォローアップミルク

12

1

<0.2  

1.2

0.8  

0.8  

特殊用途用育児用粉乳

13

1

<0.2  

1.7

1.0  

1.0  

     マーガリン、ショートニング、調製粉乳等:検出限界= 0.05 mg/kg、定量限界= 0.2 mg/kg
     バター、ラード、魚油を主成分とする食品:検出限界= 0.04 mg/kg、定量限界= 0.08 mg/kg
1 バター、マーガリン及び調製粉乳については、各食品から抽出した油脂中の濃度を記載しています。
2 調査した試料のうち、定量限界未満のものが何点あったのかを記載しています。
3 検出限界未満の濃度を検出限界の1/2、検出限界以上定量限界未満の濃度を定量限界の1/2として算出しました。
4複数のデータを、数値が小さい方から順番に並べた時、ちょうど中央にくる値のことです。50%を超える試料が定量された場合についてのみ記載しています。
5 Kuhlmann. J. Determination of bound 2,3-epoxy-1-propanol (glycidol) and bound monochloropanediol (MCPD) in refined oils. Eur. J. Lipid Sci. Technol. 2011, 113, 335-344.
6 Weißhaar. R. Fatty acid esters of 3-MCPD: Overview of occurrence and exposure estimate. Eur. J. Lipid Sci. Technol. 2011, 113, 304-308.
7 Jedrkiewicz R. et al. Determination of 3-MCPD and 2-MCPD esters in edible oils, fish oils and lipid fractions of margarines available on Polish market. Food Control. 2016, 59, 487-492.
8 Analysis of occurrence of 3-monochloropropane-1,2-diol (3-MCPD) in food in Europe in the years 2009-2011 and preliminary exposure assessment. EFSA journal 2013, 11(9), 3381.
9 Wohrlin F. et al. Occurrence of fatty acid esters of 3-MCPD, 2-MCPD and glycidol infant formula. Food Additives & Contaminants: Part A. 2015, 32(11), 1810-1822.

 

(2)間接分析法によるグリシドール脂肪酸エステル濃度(遊離したグリシドール)の調査結果

油脂の含有率が高い食品等に含まれるグリシドール脂肪酸エステル(遊離したグリシドール)濃度の調査結果は、表2-1(油脂中の濃度に各試料の油脂含有率を乗じて算出した濃度)、表2-2(食品から抽出した油脂中の濃度)のとおりです。

食品から抽出した油脂中の濃度を測定したところ、

  • 調査試料190点のうち、110点(58%)が定量限界以上の濃度でした。
  • バターについては、全ての調査試料が定量限界未満の濃度でした。
  • マーガリンについては調査試料50点中35点(70%)が、ショートニングについては調査試料30点中24点(80%)が、ラードについては全ての調査試料が、魚油を主成分とする食品については調査試料30点中25点(83%)が、調製粉乳等については調査試料40点中6点(15%)が、定量限界以上の濃度でした。
  • マーガリン、調製粉乳等については、これまで海外で報告されている濃度より、やや低い傾向にあることが改めて確認できました。
  • ショートニングについては、これまで海外で報告されている濃度と同程度であることが確認できました。
  • 魚油を主成分とする食品については、これまで海外で報告されている濃度より、やや濃度が高い試料もありました。

さらに、調製粉乳等について、飲用状態における濃度を把握するため、各調査試料について各製品の表示に従って調乳した液体の濃度を算出したところ、カナダで実施された調査結果で報告されている濃度範囲(<0.010 – 0.070 mg/kg(2012年)、<0.010 – 0.040 mg/kg(2013年))*5より、やや低い傾向にあることがわかりました。

 

表2-1 油脂の含有率が高い食品等に含まれるグリシドール脂肪酸エステル(遊離したグリシドール)濃度の概要(単位:mg/kg 食品中の濃度*1

食品名 試料点数 最小値 最大値 平均値(MB)*2 中央値*3

バター

20

<0.05

<0.05 

0.02

-

マーガリン

50

<0.2  

1.9

0.4  

0.3  

ショートニング

30

<0.2  

3.9

0.9  

0.6  

ラード

20

  0.08

 0.61

0.23

0.22

魚油を主成分とする食品

30

<0.06

2.0

0.79

0.74

調製粉乳等*4

40

<0.04

   (<0.0006)

0.1

 (0.02)

0.02

 (0.003)

-  

 

      

乳幼児用調製粉乳

15

<0.06 

   (<0.0007)

0.1 

  (0.01) 

0.03 

 (0.003)

-  

 

フォローアップミルク

12

<0.04 

   (<0.0006)

0.1 

   (0.008) 

0.01

 (0.001)

-  

 

特殊用途用育児用粉乳

13

<0.04

   (<0.0006)

0.1  

 (0.02) 

0.02 

 (0.003)

-  

 

1 バター、マーガリン及び調製粉乳については、油脂中の濃度に各試料の油脂含有率を乗じて、食品中の濃度を算出しました。
2検出限界未満の濃度を検出限界の1/2、検出限界以上定量限界未満の濃度を定量限界の1/2として算出しました。
3 複数のデータを、数値が小さい方から順番に並べた時、ちょうど中央にくる値のことです。50%を超える試料が定量された場合についてのみ記載しています。
4 (括弧内の数字)は、各製品の表示に従って調乳した際の液体中の濃度を記載しています。各製品の食品中の濃度に、調製粉乳等の使用量を乗じてできあがり量(お湯を加えた後の液体量。比重を1と仮定)で除して算出しました。
5 Becalski A. et al. A pilot survey of 2- and 3- monochloropropanediol and glycidol fatty acid esters in baby formula on the Canadian market 2012-2013. J. Food. Compos. Anal. 2015, 44, 111-114

 

 表2-2 油脂の含有率が高い食品等に含まれるグリシドール脂肪酸エステル(遊離したグリシドール)濃度の概要(単位:mg/kg 油脂当たりの濃度*1) 

食品名

試料
点数

定量限界
未満の点数*2

最小値 最大値

平均値
(MB)*3

中央値*4

 (参考)海外で報告
された濃度範囲

バター

20

20 

<0.06

<0.06 

0.02

-

 <0.025*5

マーガリン

50

15 

<0.2  

2.3

0.5  

0.4  

 <0.15    -   5.0*6

ショートニング

30

6

<0.2  

3.9

0.9  

0.6  

   0.1      -   4.2*7

ラード

20

0

  0.08

  0.61

0.23

0.22

              -  

魚油を主成分とする食品

30

5

<0.06

2.0

  0.79  

0.74

<0.1       -   1.2*5

調製粉乳等

40

34  

<0.2  

0.7

0.1  

-  

<0.1      -    2.6*8

<0.15    -    1.30*9

      

乳幼児用調製粉乳

15

13  

<0.2  

0.4

0.1  

-  

フォローアップミルク

12

11  

<0.2  

0.3

0.1  

-  

特殊用途用育児用粉乳

13

10  

<0.2  

0.7

0.1  

-  

     マーガリン、ショートニング、調製粉乳等:検出限界= 0.05 mg/kg、定量限界= 0.2 mg/kg
     バター、ラード、魚油を主成分とする食品:検出限界= 0.03 mg/kg、定量限界= 0.06 mg/kg
1 バター、マーガリン及び調製粉乳については、各食品から抽出した油脂中の濃度を記載しています。
2 調査した試料のうち、定量限界未満のものが何点あったのかを記載しています。
3 検出限界未満の濃度を検出限界の1/2、検出限界以上定量限界未満の濃度を定量限界の1/2として算出しました。
4複数のデータを、数値が小さい方から順番に並べた時、ちょうど中央にくる値のことです。50%を超える試料が定量された場合についてのみ記載しています。
5 Kuhlmann. J. Determination of bound 2,3-epoxy-1-propanol (glycidol) and bound monochloropanediol (MCPD) in refined oils. Eur. J. Lipid Sci. Technol. 2011, 113, 335-344.
6 Crews C. Fatty acid esters of chloropropanols and glycidol in foods – analysis and exposure. International Association for Food Protection European Symposium on Food Safety, 2012 May 21-23,Warsaw. http://www.foodprotection.org/downloads/meetings/program-activities/programs/colin-crews-fatty-acid-esters-of-chloropopanols-and-glycidol-in-foods-analysis-and-exposure.pdf
7 Haines T. et al., Direct Determination of MCPD Fatty Acid Esters and Glycidyl Fatty Acid Esters in Vegetable Oils by LC-TOFMS. J. Am. Oil Chem. Soc., 2011, 88, 1-14.(直接分析法による分析値。)
8 Weißhaar. R. Fatty acid esters of 3-MCPD: Overview of occurrence and exposure estimate. Eur. J. Lipid Sci. Technol. 2011, 113,304-308.
9 Wohrlin F. et al. Occurrence of fatty acid esters of 3-MCPD, 2-MCPD and glycidol infant formula. Food Additives & Contaminants: Part A. 2015, 32(11), 1810-1822.

 

(3)直接分析法によるグリシドール脂肪酸エステルの調査結果

油脂の含有率が高い食品等に含まれる結合脂肪酸ごとのグリシドール脂肪酸エステル濃度及びそれらの合計値(グリシドールに換算した濃度)は、表3-1(油脂中の濃度に各試料の油脂含有率を乗じて算出した濃度)、表3-2(食品から抽出した油脂中の濃度)のとおりです。

食品から抽出した油脂中の濃度を測定したところ、

  • バターでは、5種類のグリシドール脂肪酸エステルが全ての調査試料で定量限界未満の濃度でした。
  • マーガリン、調製粉乳等については、これまで海外で報告されている濃度より、やや低い傾向にあることが改めて確認できました。
  • ショートニングについては、これまで海外で報告されている濃度と同程度であることが確認できました。 

なお、魚油を主成分とする食品については、平成25年度の調査(PDF:743KB)では、直接分析法で測定した濃度(5種のグリシドール脂肪酸エステル濃度の合計値(グリシドールに換算した濃度))の平均値は0.02 – 0.07 mg/kgであり、間接分析法で測定した濃度の平均値(0.22 mg/kg)と比較して、大幅に低い結果となりました。これらの食品には、直接分析法が分析対象とする5分子種以外のグリシドール脂肪酸エステルが含まれている可能性があると考えられました。このため、平成26年度の調査では間接分析法による測定のみ行い、直接分析法による測定は行いませんでした。

 

表3-1 油脂の含有率が高い食品等に含まれるグリシドール脂肪酸エステル濃度(グリシドールに換算した濃度)の概要(単位:mg/kg 食品中の濃度*1

食品名 試料点数

5種のグリシドール脂肪酸エステル濃度の合計値

(グリシドールに換算した濃度)

最小値(UB)*2

最大値(UB)*2

平均値(LB)*3

平均値(UB)*4

バター

20

 0.03

   0.03 

0     

0.03

マーガリン

50

0.1 

1.5

0.4  

0.4  

ショートニング

30

0.1 

3.6

0.8  

0.8  

ラード

20

 0.05

 0.19

0.03

0.08

調製粉乳等

40

 0.01

 0.07

0.01

0.03

      

乳幼児用調製粉乳

15

 0.02

 0.07

0.01

0.04

フォローアップミルク

12

 0.01

 0.04

0.01

0.02

特殊用途用育児用粉乳

13

 0.01

 0.04

0.01

0.03

1バター、マーガリン、調製粉乳については、油脂中の濃度に各試料の油脂含有率を乗じて、食品中の濃度を算出しました。
2 検出限界未満の濃度を検出限界、検出限界以上かつ定量限界未満の濃度を定量限界として、最小値(UB)及び最大値(UB)を算出しました。
3 定量限界未満の濃度をゼロとして算出しました。
4検出限界未満の濃度を検出限界、検出限界以上定量限界未満の濃度を定量限界として算出しました。

 

 表3-2 油脂の含有率が高い食品等に含まれる結合脂肪酸ごとのグリシドール脂肪酸エステル濃度の概要(単位:mg/kg 油脂当たりの濃度)

食品名

試料
点数

パルミチン酸グリシジル(C16:0-GE)

リノレン酸グリシジル(C18:3-GE)

定量限界
未満の点数*1

最小値

最大値

平均値
(UB)*2

中央値*3

定量限界
未満の点数*1

最小値 最大値

平均値
(UB)*2

中央値*3

バター

20

20

 <0.10

<0.10 

0.03

-

20

 <0.10

<0.10

0.03

-

マーガリン

50

  6

<0.2 

2.3

0.6  

0.5

50

<0.1 

<0.1  

0.04

-

ショートニング

30

10

<0.2 

4.9

0.9  

0.6

29

<0.1 

0.1

0.04

-

ラード

20

18

<0.10

 0.20

0.06

-

20

<0.10

<0.10 

0.03

-

調製粉乳等

40

40

 <0.2  

<0.2   

0.16

-

 40

<0.1  

<0.1   

0.03

-

      

乳幼児用調製粉乳

15

15

 <0.2  

<0.2   

0.16

-

 15

<0.1  

<0.1   

0.03

-

フォローアップミルク

12

12

 <0.2  

<0.2   

0.15

-

 12

<0.1  

<0.1   

0.03

-

特殊用途用育児用粉乳

13

13

 <0.2  

<0.2   

0.17

-

 13

<0.1  

<0.1   

0.03

-

 

食品名

試料
点数

リノール酸グリシジル(C18:2-GE)

オレイン酸グリシジル(C18:1-GE)

定量限界
未満の点数*1

最小値

最大値

平均値
(UB)*2

中央値*3

定量限界
未満の点数*1

最小値 最大値

平均値
(UB)*2

中央値*3

バター

20

20

 <0.10

<0.10 

0.03

-

20

 <0.10

<0.10

0.03

-

マーガリン

50

10

<0.2 

1.4

0.4  

0.3

  1

<0.1 

4.2

1.1  

1.0

ショートニング

30

11

<0.2 

2.1

0.5  

0.6

  0

 0.1 

8.4

1.8 

1.0

ラード

20

19

<0.10

 0.11

0.07

-

10

<0.10

 0.40

0.17

-

調製粉乳等

40

40

 <0.2  

<0.2   

0.1  

-

   8

<0.1  

0.5 

0.2 

0.2

      

乳幼児用調製粉乳

15

15

 <0.2  

<0.2   

0.1  

-

   3

<0.1  

0.5 

0.2 

0.2

フォローアップミルク

12

12

 <0.2  

<0.2   

0.1  

-

   3

<0.1  

0.4 

0.2 

0.1

特殊用途用育児用粉乳

13

13

 <0.2  

<0.2   

0.1  

-

   2

<0.1  

0.5 

0.2 

0.2

 

食品名

試料
点数

ステアリン酸グリシジル(C18:0-GE)

5種類のグリシドール脂肪酸エステル濃度の合計値

(グリシドールに換算した濃度)

定量限界
未満の点数*1

最小値

最大値

平均値
(UB)*2

中央値*3

最小値
(UB)*4

最大値
(UB)*4

平均値
(LB)*5

平均値
(UB)*2

バター

20

20

 <0.10

<0.10 

0.03

-

0.03

 0.03

0.00

0.03

マーガリン

50

21

<0.2 

1.2

0.3  

0.4

0.1  

1.8

0.5  

0.5 

ショートニング

30

14

<0.2 

2.0

0.5  

0.5

0.1  

3.6

0.8  

0.8 

ラード

20

19

<0.10

 0.11

0.05

-

0.05

 0.19

0.03

0.08

調製粉乳等

40

40

 <0.2  

<0.2   

0.1  

-

0.1  

0.2 

0.04

0.1 

      

乳幼児用調製粉乳

15

15

 <0.2  

<0.2   

0.1  

-

0.1  

0.2 

0.05

0.1 

フォローアップミルク

12

12

 <0.2  

<0.2   

0.1  

-

0.1  

0.2

0.04

0.1

特殊用途用育児用粉乳

13

13

 <0.2  

<0.2   

0.1  

-

0.1  

0.2

0.05

0.1

バター、ラード:検出限界= 0.03 mg/kg , 定量限界= 0.10 mg/kg

マーガリン、ショートニング、調製粉乳等:C16:0-GE:検出限界=0.05 mg/kg, 定量限界=0.2 mg/kg

 C18:3-GE:検出限界=0.03 mg/kg, 定量限界=0.1 mg/kg

 C18:2-GE:検出限界=0.07 mg/kg, 定量限界=0.2 mg/kg

 C18:1-GE:検出限界=0.02 mg/kg, 定量限界=0.1 mg/kg

 C18:0-GE:検出限界=0.05 mg/kg, 定量限界=0.2 mg/kg

1 調査した試料のうち、定量限界未満のものが何点あったのかを記載しています。
2 検出限界未満の濃度を検出限界、検出限界以上定量限界未満の濃度を定量限界として算出しました。
3 複数のデータを、数値が小さい方から順番に並べた時、ちょうど中央にくる値のことです。50%を超える試料が定量された場合についてのみ記載しています。
4 検出限界未満の濃度を検出限界、検出限界以上かつ定量限界未満の濃度を定量限界として、最小値(UB)及び最大値(UB)を算出しました。
5 定量限界未満の濃度をゼロとして算出しました。

 

今後の対応

(1)リスク評価への貢献

今後、3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルについて国際的なリスク評価が予定されています。本実態調査の結果が活用されるよう、国際機関(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA: The Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives))にデータを提出します。

 

(2)リスク管理に必要な情報収集・調査

農林水産省は、3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルに関する以下の知見等について、積極的に国内外の情報を収集します。

  • 3-MCPD脂肪酸エステルやグリシドール脂肪酸エステルの毒性や体内動態に関する知見
  • 3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルのリスク推定を行うために用いることが適切な毒性指標値
  • 加工食品に含まれる食用植物油脂、バター、マーガリン及びショートニング等の消費量に関するデータ
  • 各国・地域の3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルのリスク評価の状況
  • 食品中の3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルの含有実態に関するデータ(調理工程における濃度の増減に関するデータを含む)
  • 加工食品中の3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルの分析法
  • 調製粉乳について、油脂の抽出法の改良等による分析法の向上(添加回収率の改善)
  • 食事由来の3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルの摂取量を推定するための調査(トータルダイエットスタディ)
  • 食品中の3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステル濃度の低減技術

 

 

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

担当者:製造流通安全企画班
代表:03-3502-8111(内線4459)
ダイヤルイン:03-6744-2135
FAX番号:03-3597-0329

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