ホーム > 消費・安全 > 食料・農業・農村基本計画(平成17年3月閣議決定)(抄) ―消費・安全局関連―
1.食料の安定供給の確保に関する施策
(1) 食の安全及び消費者の信頼の確保
国民の健康の保護を最優先とした施策の展開により、食の安全や、消費者の食に対する信頼を確保する。
ア リスク分析に基づいた食の安全確保
リスク分析の考え方に基づき、有害な微生物や化学物質等が人の健康に与える悪影響の確率と程度について科学的な評価を行い(リスク評価)、その結果に基づき、食品によるリスクを低減するための措置を、その実効性等も考慮して実施する(リスク管理)。リスク評価とリスク管理を行う際には、関係者と情報・意見の交換を行い、施策に反映させる(リスクコミュニケーション)。
[1] 農場から食卓までのリスク管理の徹底
(ア)生産段階における取組
農薬等生産資材の使用基準を必要に応じ見直すとともに、その遵守の徹底を図る。また、農産物や食品に含まれる有害な物質については、リスクの程度や汚染状況の実態調査を行い、その結果に基づいて適切なリスク管理を実施する。さらに、平成18年度までに、主な作物別のGAP(適正農業規範)の策定と普及のためのマニュアルを整備し、各地域や作物の特性等に応じたGAPの策定と、これに基づく農業生産・出荷等、農業者・農業団体や事業者による自主的な取組を促進する。
(イ)製造段階における取組
食品安全管理に精通する人材育成や食品安全に係る製造技術情報の提供等の支援を通じ、食品事業者のHACCP(危害分析重要管理点)手法の導入を推進するとともに、食品安全マネジメントシステム(ISO22000)の普及・啓発を行う。
(ウ)流通段階における取組
平成16年10月に策定した卸売市場整備基本方針に基づき、平成18年度までに卸売市場における品質管理の高度化に向けた規範策定のためのマニュアルを作成し、卸売段階、仲卸段階、配送段階等における規範の策定と普及・定着を促進する。
(エ)輸入に関する取組
水際における動植物検疫体制の充実や輸入食品の検査の強化等を図るとともに、輸入農産物のリスク管理に関する情報の収集・提供や、輸入野菜等の残留農薬の調査等の取組を強化する。
(オ)家畜防疫体制の強化
家畜の伝染病の発生を予防する観点から、平成16年9月に策定した飼養衛生管理基準を周知徹底し、これに即し、畜産農家における家畜の衛生管理の向上を図る。また、特定家畜伝染病防疫指針に基づき、国、地方公共団体、関係機関等が連携して、家畜の伝染病の発生及びまん延防止等に取り組む。
[2] リスクコミュニケーションの推進
食品の安全性確保に関する施策等の策定に国民の意見を反映し、その過程の公正性及び透明性を確保するため、消費者、農業者、事業者等の関係者に分かりやすい情報を積極的に提供するとともに、関係者間の意見交換を密に行う。
[3] 危機管理体制の整備
食品安全に関する緊急事態が生じた場合には、関係府省が連携して、問題食品の消費者等への供給の停止や問題食品の発生の防止に関する措置を速やかに講じる。このため、緊急事態の発生要因ごとの個別対応マニュアル等を平成17年度までに整備するなど、食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省等、関係行政機関の連携の下、体制を整備する。
[4] 研究開発の推進
科学的原則に基づいた食品安全行政の推進の観点から、リスク管理措置を検討する上で必要となるモニタリングやリスク低減技術の開発等を強化するため、産学官の連携による調査研究を実施する。
イ 消費者の信頼の確保
食品表示の信頼確保のため、国、地方公共団体や消費者による日常的な監視の充実、DNA分析技術の活用等により食品表示の適正化を推進する。
生産・加工・流通の各段階において、食品の生産や流通に関する情報が追跡・遡及できるトレーサビリティ・システム(生産流通情報把握システム)について、牛肉のトレーサビリティ制度を適切に運営するとともに、牛肉以外の食品についても、農業者・食品産業事業者による自主的な導入を促進する。
また、消費者に生産・流通履歴を始めとした農産物・食品の情報が正確に伝わるよう、JAS法に基づく規格と表示の充実を図る。具体的には、食品の生産履歴に関する情報に対する消費者の関心の高まりに対応し、平成17年度には農産物について、平成18年度には一部の加工食品について、それぞれ生産情報公表JAS規格を制定するほか、新たに流通情報に関するJAS規格を制定するための制度改正等に取り組む。さらに、従来の有機農産物及び有機農産物加工食品に加え、平成17年度に有機畜産物に関するJAS規格を制定する。
食品表示をさらに分かりやすいものに改善するため、「食品の表示に関する共同会議」において、食品の表示基準全般について見直しを進める。その一環として、加工食品の表示方法について、特色ある原材料の表示の充実や一括表示様式の弾力化を図ることとし、加工食品品質表示基準を改正する。
また、主な原材料の原産地表示を進めることとし、平成18年度までに生鮮食品に近い加工食品の全てについて原則として表示を義務付けるほか、表示対象品目以外の品目についても表示を推進する。さらに、平成17年度に外食における原産地等の表示のガイドラインを整備し、これに基づき、外食産業による自主的な原産地等の表示の取組を促進する。
このほか、個々の事業者が果たすべき法令遵守(コンプライアンス)の徹底を図るため、食品産業や農業団体による行動規範の策定を促進する。
(2) 望ましい食生活の実現に向けた食育の推進
国民一人一人が自らの食の在り方を見つめ直し、食について考える習慣を身に付け、生涯を通じて健全な食生活を実現するための取組を推進する。
ア 関係者と連携した国民運動としての食育活動の推進
食について自ら考え、判断ができる能力を養成する食育を、関係者との十分な連携の下で、様々なメディアを活用しつつ、国民的な運動として推進し、食品の安全性、食事と疾病との関係、食品に含まれる栄養素の働き、食文化、地域固有の食材及び農林水産業・食品産業等についての適切な理解を促す。このため、学校給食の一層の活用を通じた地場産農産物の利用の促進等を図るとともに、農林水産業に関する体験機会の提供等を促進するなど、若年層や高齢者層、子育て世代等の対象に合わせ、様々な形での実践的な取組を実施する。加えて、食料資源の有効利用、環境への負荷の低減といった観点から、食品の廃棄や食べ残しの減少を促進する。
こうした食育の推進に当たっては、都道府県・市町村段階において、教育、医療、保健、農業、食品加工・外食等様々な関係者間の連携の強化を促進する。
イ フードガイド(仮称)の策定と活用
国民の食生活の改善に向け、特に、30~60歳代男性の3割が肥満である状況の改善や、単身者や子育て世代への栄養・食生活に関する正しい知識の普及を推進する。このため、国民一人一人が食生活の問題点を把握し、健全な食生活の実現に向けた具体的な行動に結び付けることができるよう、適正な食事の摂取量を分かりやすく示したフードガイド(仮称)を策定する。
また、食品産業が、外食メニュー、小売店等の売場、食品の包装等でフードガイド(仮称)を活用することを促進するためのマニュアルを平成17年度に策定し、その定着を図る。
さらに、食育の一環として、関係者と連携し、性別、年齢別等、対象を明確化した上で、フードガイド(仮称)の活用を中心に普及啓発活動を展開する。