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更新日:2012年6月26日

トランス脂肪酸について国際的に行われている取り組み

国連食糧農業機関(FAO)、世界保健機構(WHO)を中心に、脂肪及び脂肪酸に関して食品からの摂取目標量の設定や栄養表示についての議論が行われており、トランス脂肪酸も栄養素の一つとして検討の対象になっています。以下に、その概要をお知らせします。

コーデックス委員会(FAO/WHO合同食品規格委員会)

食品表示部会及び栄養・特殊用途食品部会

コーデックス委員会では、食品表示部会(CCFL)と栄養・特殊用途食品部会(CCNFSDU)の2つの部会が、コーデックスの栄養表示ガイドライン(CAC/GL 2-1985)に関連して、トランス脂肪酸についての検討を進めています。
第26回総会(CAC)(2003年7月)では、脂質に関する強調表示の方法について栄養表示ガイドラインの改訂が行われました。脂肪酸の含有量及びその種類、またはコレステロールの含有量に関して強調表示する際には、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸及び多価不飽和脂肪酸並びにコレステロールの含有量の表示が義務付けられましたが、トランス脂肪酸の含有量表示が必要な場合については、各国の規制に委ねられることになりました。

第29回総会(2006年7月)では、栄養表示ガイドライン及びその他の関連するコーデックス文書におけるトランス脂肪酸の定義として、同ガイドラインに次のものが追加されました。

少なくとも1つ以上のメチレン基で隔てられたトランス型の非共役炭素-炭素二重結合を持つ単価不飽和脂肪酸及び多価不飽和脂肪酸の全ての幾何異性体

(第39回CCFL(2011年5月)では、トランス脂肪酸の由来や最新の科学的知見を考慮したトランス脂肪酸の定義の見直しが提案され、このことについてCCNFSDUに意見を求めることが合意されました。第33回CCNFSDU(2011年11月)で議論した結果、新しい科学的知見が十分でないことから、現時点では定義を見直す必要はないとされました。)

近年は、2004年にWHOが策定した「食事、運動及び健康に関する世界的な戦略」を実施するために、FAOとWHOが策定した行動計画案(CL 2006/44-CAC)を元に、CCFL及びCCNFSDUにおいて検討が進められています。この戦略の中では、「総脂肪からのエネルギー摂取に上限を設け、脂肪酸の摂取を飽和脂肪酸から不飽和脂肪酸に切り替えると共に、トランス脂肪酸を削減する」ことを推奨すべきとされています。また、「政府は、加工食品の食塩含有量、水素添加油脂の使用並びに飲料及び菓子類の糖類含有量を削減を推進するための追加的な措置を検討すべき」ことも記載されています。

第34回総会(2011年7月)には、任意又は義務的に常に表示される栄養成分リストに関する栄養表示ガイドラインの改定案が最終採択され、常に表示する栄養成分のリストに飽和脂肪酸、ナトリウム及び総糖類が追加されたほか、欄外に注釈として「トランス脂肪酸の摂取量の水準が公衆衛生上懸念される国においては、栄養成分表示においてトランス脂肪酸を表示することを考慮する必要がある」との記載が追加されました。

また、現在CCFLにおいて、栄養及び健康強調表示の使用に関するガイドラインに関し、トランス脂肪酸の強調表示に関する記載の追加について検討されており、第40回CCFL(2012年5月)では、以下のことが合意されました。

  • トランス脂肪酸フリーの表示をする際の条件設定についてCCNFSDUに意見照会すること
  • トランス脂肪酸の分析方法に関し、AOCS Ce 1h-05が食品中のトランス脂肪酸に適用できるか、また、AOAC 996.06をトランス脂肪酸のType2の分析方法(reference method)とすることが適当かCCMASに対して諮問することを検討するよう、CCNFSDUに要請すること

  

コーデックス委員会の個別食品規格におけるトランス脂肪酸

コーデックス委員会で策定された食品規格には、トランス脂肪酸に関する規定を含むものがあります。

  • オリーブオイル及びオリーブポマースオイルのコーデックス規格(CODEX STAN 33-1981

ガスクロマトグラフィーによる脂肪酸組成として、総脂肪酸に対するトランス脂肪酸の割合について規定があります。

  • 乳児用調製乳及び乳児用特殊医療用調製乳(CODEX STAN 72-1981

トランス脂肪酸の含有量は、総脂肪酸の3%を超えてはならないとされています。

 

食事、栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会合 

2002年に開催された「食事、栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会合」は、生活習慣病の予防のための目標値(下表)を盛り込んだ報告書を2003年に公表しています。

その中で、トランス脂肪酸は冠動脈性心疾患のリスクを増やす確実な証拠があるとして、平均摂取量を一日当りの総エネルギー摂取量の1%未満とする目標が示されました。これらを受けて、WHOはトランス脂肪酸の削減を含む、「食事、運動及び健康に関する世界的な戦略」を2004年の第57回総会で採択しました。

集団の栄養摂取目標の範囲(脂質に関する部分のみを抜粋)

食事要因

目標(%は総摂取エネルギーに対する割合)
総脂肪 15-30%

飽和脂肪酸

10%未満

多価不飽和脂肪酸

6-10%

n-6系多価不飽和脂肪酸

5-8%

n-3系多価不飽和脂肪酸

1-2%

トランス脂肪酸

1%未満

一価不飽和脂肪酸

総脂肪の目標(15-30%)から、飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の総量を引いた値
コレステロール 300 mg/日未満

(注)これらの目標値は、世界的に見た場合の目標であり、そのまま日本人に適用できるわけではありません。運動量や年齢、性別によっても目標値は変化します。日本人の食事摂取基準はこちらです。

 トランス脂肪酸に関するWHOの最新の科学的知見 

WHOは「食事、運動及び健康に関する世界的な戦略」の実践の一つとして、トランス脂肪酸に関する科学的知見の更新を行いました。この中では、トランス脂肪酸を代替することの実行可能性のほか、疫学的及び実験的な見地からのトランス脂肪酸の健康影響についても検討が行われました。2007年に開催された専門家会合で主要論文について評価が行われ、次に掲げる6つの総説が作成されました。

  1.  General historical background of the work related to TFA and the Global Strategy. 
  2.  Health effects of TFA: Experimental and observational evidence. 
  3.  Quantitative effects on cardiovascular risk factors and coronary heart disease risk of replacing partially hydrogenated vegetable oils with other fats and oils. 
  4.  Feasibility of recommending certain replacement or alternative fats. 
  5.  Assessing approaches to removing TFA in the food supply in industrialized countries and in developing countries. 
  6. Summary and conclusions of the Scientific Update.

これらの総説は、次の雑誌にフリーアクセスとして掲載されています。

European Journal of Clinical Nutrition, Volume 63, (Supplement 2), May 2009

この中の「概要及び結論」の総説では、集団内の平均的なトランス脂肪酸摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満とする現時点の勧告は、集団内の摂取量の分布が十分に考慮されておらず、危険な水準の多量のトランス脂肪酸を摂取している人々の健康を保護する必要があるという事実を踏まえて、見直しが必要かもしれないことも認められたとも報告しています。

人間栄養における脂肪及び脂肪酸に関するFAO/WHO合同専門家会合  

FAOとWHOは人間栄養における脂肪及び脂肪酸の分野における、大幅な進展について再調査するため、2008年11月に専門家会合を開催しました。新生児及び乳幼児の成長・発達における、特に長鎖脂肪酸の必須栄養素としての脂肪、脂肪酸の役割や、健康の維持及び非伝染性疾患の予防との関連について検討し、2010年に暫定概要報告書を公表しました。この報告書では、総脂肪とトランス脂肪酸を含む各種脂肪酸と主な健康影響や疾患との関連について、最新の科学的知見に基づく証拠の強さに応じて、「確実」、「おそらくあり」、「可能性あり」、「不十分」の4つに分類しました。その証拠の分類の概要は次の表のとおりです。

なお、この専門家会合の報告書におけるトランス脂肪酸という用語は、「植物油の水素添加で生じる典型的な炭素数が18で炭素二重結合が一つのトランス異性体である、食品に含まれる主要なトランス脂肪酸」のことを指しているとしています。

 

証拠の強さ

脂肪/脂肪酸

確実 おそらくあり 可能性あり 不十分
総脂肪   ・CHDの発症、致死性CHD、がん又はがんの亜型との関連なし   ・糖尿病、メタボリックシンドローム関連因子、体重/肥満のリスク
飽和脂肪酸 C12:0-16:0の飽和脂肪酸
・シス型の不飽和脂肪酸と比較してLDLコレステロール及び総コレステロール/HDLコレステロール比を上昇
・炭水化物と比較して、LDLコレステロールを上昇させるが、総コレステロール/HDLコレステロール比には影響なし
  ・糖尿病のリスク上昇 ・高血圧、体重/肥満のリスク
一価不飽和脂肪酸 飽和脂肪酸と代替した場合、LDLコレステロール及び総コレステロール/HDLコレステロール比を低下   ・メタボリックシンドローム関連因子のリスクを低下 ・糖尿病、体重/肥満、CHDの発症、がん又はがんの亜型のリスク
多価不飽和脂肪酸 ・飽和脂肪酸と代替した場合、LDLコレステロール及び総コレステロール/HDLコレステロール比を低下
・リノレン酸とα-リノレン酸は必須
・飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸で代替するとCHD発症リスクを低下
  ・メタボリックシンドローム関連因子、糖尿病リスクを低下
・トコフェノール摂取量が低い場合に高摂取で脂質過酸化反応を上昇
・欠乏症予防のための個別の最低必要量は不明
・体重上昇/肥満、糖尿病、がん又はがんの亜型のリスク

n-6系

多価不飽和脂肪酸

・飽和脂肪酸と代替した場合、LDLコレステロール及び総コレステロール/HDLコレステロール比が低下
・リノレン酸は必須
・メタボリックシンドローム関連因子及び糖尿病リスクを低下 ・欠乏症予防のための個別の最低必要量は不明 ・体重/肥満、糖尿病、がん又はがんの亜型のリスク

n-3系

多価不飽和脂肪酸

・(EPAとDHA)致死性のCHDの発症リスクを低下
・αリノレン酸は必須
  ・CHD発症、心臓発作リスクの低下
・欠乏症予防のための個別の最低必要量は不明
 
トランス脂肪酸 ・飽和脂肪酸、シス型の不飽和脂肪酸と比較してHDLコレステロールを低下させ、総コレステロール/HDLコレステロール比を上昇
・CHD発症リスクを上昇
・致死性CHD及び心臓性突然死リスクを上昇
・メタボリックシンドローム関連因子及び糖尿病リスクを上昇
  ・体重/肥満、糖尿病、がん又はがんの亜型のリスク

また、上記の証拠に基づいて、成人、乳幼児及び子供の別に、食事からの栄養所要量についても勧告しています。トランス脂肪酸については、反すう動物由来と工業由来を合わせた総トランス脂肪酸の上限摂取量をエネルギー摂取量の1%未満とする勧告値が示されました。

専門家会合ではトランス脂肪酸について相当な時間を費やし、議論したことが報告されていますが、大部分は「トランス脂肪酸に関するWHOの最新の科学的知見」の報告書からの引用であることが述べられています。

出典:人間栄養における脂肪及び脂肪酸に関するFAO/WHO合同専門家会合(WHOのサイトFAOのサイト

 

第66回 国連総会 非伝染性疾患の予防及び対策に関するハイレベル会合

2011年9月、第66回国連総会において、非伝染性疾患の予防及び対策に関するハイレベル会合が行われました。本会合では、特に経済発展上等において生じる課題、社会的又は経済的な影響に注目し、心臓発作、脳卒中、がんなどの非伝染性疾患の予防及び対策について議論され、非伝染性疾患の現状や取り組むべき事項が示された政治宣言が採択されました。この宣言の中で、トランス脂肪酸については以下の記載があります。

 

 

出典:非伝染性疾患の予防及び対策に関する国連総会ハイレベル会合における政治的宣言 (国際連合, 2011)

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