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米国の連邦政府は、トランス脂肪酸について加工食品の栄養表示を義務づけています。また、部分水素添加油脂の食品への使用規制を決定しました。この規制は2018年6月18日から開始されます。

栄養表示

加工食品の栄養表示について、既に義務表示項目であった総脂肪、飽和脂肪酸(1993年~)、コレステロール(1993年~)の含有量に加え、2006年1月からはトランス脂肪酸の含有量も表示義務項目としました。

トランス脂肪酸が表示義務項目となったのは、全米薬学協会/全米科学アカデミーが「トランス脂肪酸の摂取はできるだけ少なくするべき」と提言したことを受け、米国食品医薬品庁(FDA)がトランス脂肪酸の表示について検討した結果です。FDAは、トランス脂肪酸を、「不飽和脂肪酸であって、トランス配位である非共役二重結合を1つ以上持つ物質」と定義しています。また、トランス脂肪酸の摂取量を測定するためにAOACインターナショナル の分析方法(AOAC法996.06)、又は同等以上の妥当性が確認されたものを推奨しています。米国では、トランス脂肪酸の含有量を1人前(Serving size)あたりで表示するルールとなっており、トランス脂肪酸含有量が1人前あたり0.5 g未満の場合には、栄養表示に「0 g」と表示することができます。

食生活におけるアドバイス

FDAは、トランス脂肪酸の栄養表示を実施するにあたり、トランス脂肪酸の栄養表示についての解説を公表しています。その中で、栄養学的に十分な食事を取りながら、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸及びコレステロールの摂取を低く抑えるために、消費者が日常的に取り組める実践的な助言として、次のようなことを挙げています。

  • 食品の比較をするために、栄養表示を確認しましょう。そして、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールが少ないものを選びましょう。
  • 代替油脂を選びましょう。食事の中に含まれる飽和脂肪酸、トランス脂肪酸を一価及び多価不飽和脂肪酸に替えましょう。不飽和脂肪酸は適切な量を摂取する限り、LDLコレステロールを増やしませんし、健康に良い側面もあります。一価不飽和脂肪酸の摂取源としてはオリーブ油や菜種油が、多価不飽和脂肪酸の摂取源としては大豆油、とうもろこし油、ひまわり油、ナッツや魚などの食品が挙げられます。
  • 植物油(やし油(ココヤシ油)及びパーム核油は除きます。)やソフトタイプのマーガリンをもっと選びましょう。なぜなら、これらの飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールの合計量は、固形タイプのショートニング、ハードタイプのマーガリン及びバターを含む動物性油脂よりも少ないからです。
  • 魚を食べましょう。ほとんどの魚は、畜肉よりも飽和脂肪酸が少ないです。サバ、イワシ、サケのような魚は、心疾患の予防効果について研究が進められているω3脂肪酸を含みます。
  • 鶏肉(皮を除く、揚げていないもの)や豚や牛の赤身(見える脂質を除いたもの、揚げていないもの)といった、脂肪のない肉を選びましょう。
  • 外食したり、注文する場合は、調理の際にどのような油脂が使われているのかといったことについて注文前に質問しましょう。
  • 表示カロリーに注意!全ての油脂源は1グラム当たり9キロカロリーと高く、もっとも大きなカロリー源となっています。それと比較して、炭水化物やたんぱく質は1グラムあたり4キロカロリーしかありません。
  • 飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールの摂取を低く保つために、消費者ができる行動は次の2つです。
    1. 商品を比較するときには栄養表示を見ること。栄養学的に十分であることを前提に、飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の総量が少なく、コレステロールが少ない食品を選びましょう。
    2. 可能であれば、オリーブ油、菜種油、大豆油、ひまわり油及びとうもろこし油のような一価及び多価の不飽和脂肪酸含有割合が高い別の油脂に替えましょう。

1人前(Serving size)あたり

人間が通常一回に食べる食品の分量を「1人前(Serving size)」と決めています。米国の場合、「1人前」の基準量はFDAが決定したリストに従っており、全国的な食品消費サーベイランスに基づいて作成されています。

食用の部分水素添加油脂の食品への使用規制

FDAは2015年6月16日に、部分水素添加油脂(注)をGRAS(一般的に安全と認められる)の対象から除外する規制を決定しました。

(注)「トランス脂肪酸がGRASの対象から除外された」や「トランス脂肪酸の食品への添加が禁止された」との報道がありますが、GRAS対象から除外されたのは、トランス脂肪酸を含む”部分水素添加油脂”です。加工食品の製造工程で、トランス脂肪酸自体を食品に添加しているわけではありません。

この決定の概要は以下のとおりです。

  •  部分水素添加油脂(※1)は、食品への使用に関してGRAS(※2)とは認められない。 
  •  天然由来のトランス脂肪酸だけを含む油脂はこの規制の対象外。
  •  飼料についてはこの規制の対象外。
  •  食品事業者は、部分水素添加油脂を食品に特定の方法で使用したい場合、その使用方法において、合理的な根拠をもって無害であることが保証できるデータとともに、食品添加物としての使用をFDAに申請し、認可を受ける必要がある。
  •  2018年6月18日から規制を開始(3年間の猶予期間)。

※1 FDAは、部分水素添加油脂を、ヨウ素価4超(ISO3961又はこれと同等の分析法で分析する必要)の水素添加された油脂と定義。
(完全水素添加油脂やほぼ完全に水素添加された油脂は対象外)

※2 Generally Recognized As Safe(一般に安全と認められる)の頭字語。米国における食品添加物等の規制に関する制度の一部(1958年~)。米国では、GRAS制度により、科学的手続を経て安全であると一般的に認められるか又は一般的に使用されていた経験(1958年以前から使用)に基づき安全であると一般的に認められれば、GRASの対象となり、食品添加物としての認可を受けることなく食品への使用が可能。

GRAS制度における”safe”は、能力を持った科学者(科学的トレーニングを受け、安全性評価についての経験から適切とみなされる専門家)達が根拠をもって確実に、当該物質が「意図された使用範囲において無害である」とみなすことと定義。また、「一般に安全と認められる」との認識の構築には、当該物質の使用の安全について専門家の間でのコンセンサス(合意)が必要。

今回は、部分水素添加油脂が一般に安全であると言えるかという点に関し、専門家間の合意が得られなかったため、GRASの対象から除外する決定がされている。

GRAS制度においては、それまで使用されていたとしても、新しい科学的知見によって専門家の合意が得られなくなったこと等を理由として、特定の物質の使用に係るGRAS認定は取り消される場合がある。

例えば、過去には栄養成分に関する物質であっても、ヒトの健康への悪影響の可能性を考慮してGRASの対象から外された物質もある。
(例:ビタミンK様の働きをする物質、アミノ酸)

(参考)今回の決定に当たり、FDAは、摂取量推定や、リスクとベネフィットの計算を行っています。詳しくはこちらをご覧ください。

参考リンク