農業・食料関連産業の経済計算の概要
統計の目的
食料供給に関係する各種産業の経済活動を数量的に把握し、我が国の全経済活動における位置づけを明らかにするとともに他産業と比較すること等を目的として作成しているもので、考え方及び推計方法は、「産業連関表」及び「国民経済計算」に準拠している。
統計の沿革
昭和27年度 : 「農業及び農家の社会勘定」として作成開始
昭和61年度 : 農家以外の食料に関する関連産業を含める形で改定
平成15年度 : 食品製造業の内訳を表章
平成27年 : 平成23年基準に改定及び推計期間の変更(年度→暦年)
統計の作成方法
食料供給に関係する各種産業が生産する品目(輸入原材料を用いて国内で生産された品目を含む。)(具体的には別表1~3を参照)を対象とし、おおむね5年ごとに作成される「産業連関表」を基準(ベンチマーク)とし、最新の「産業連関表」が公表された際には当該「産業連関表」に基づいて基準改定を行い、遡及して計数を再推計している。
- 国内生産額
財については各品目の生産量に生産者価格を乗じて算出した額又は工場出荷額を、サービスについては売上高等(関連流通業は商業マージン及び国内貨物運賃)を、公共事業については事業費(土地取得及び用地補償にかかる分を除く。)を計上。 - 国内総生産
「産業連関表」の作成の対象となっている年次を基準年とし、基準年については、「産業連関表」の中間投入及び付加価値率(ただし、最新の「産業連関表」の概念に調整)から、中間年(産業連関表が作成されている年次以外の年次)については、「産業連関表」を基準とし、「農業経営統計調査」(農林水産省)や「工業統計調査」(経済産業省)等の推移から推計。
別表1 「農業及び食料関連産業の経済計算」の推計範囲(PDF : 113KB)
別表2 「農業の経済計算」の推計範囲(PDF : 102KB)
別表3 「食品製造業の経済計算」の推計範囲(PDF : 109KB)
用語の解説
- 国内生産額
生産された財及びサービスを生産者が出荷・提供した時点の価格(生産者価格(消費税を含む。))で評価したもの。 - 国内総生産
「国内生産額-中間投入」であり、「付加価値額」に相当し、「GDP(Gross Domestic Product)」に対応する概念(中間投入とは、生産のために投入された財・サービスの費用をいう。)。 - 農業生産額
農業の国内生産額である。すなわち、農業生産活動の結果得られた生産物を生産者価格(販売金額からその出荷・販売に要した経費を控除した価格)で評価した額に、総務省「日本標準産業分類」等に準じて農業サービス(稲作共同育苗、青果物共同選果等)の売上高等を合計した数値であり、いわば広義の農業の国内生産額を表している。
なお、農業サービス及び種苗、飼料作物等の中間生産物を含み、加工農産物を含まないという点で、「生産農業所得統計」における「農業総産出額」とは推計対象が異なる。 - 中間投入(農業)
農業生産に投入された財・サービスの費用である。具体的には、種苗(畜産動物の種付け料及びもと畜費を含む。)、肥料、飼料、農薬・医薬品、農機具修繕(小農具の購入及び農用自動車の修繕を含む。)、農用建物修繕、光熱動力、賃借料・料金等のサービス、その他諸資材等の諸経費であり、購入、自給のいかんを問わない。 - 農業総生産
「農業生産額-中間投入」であり、「付加価値額」に相当する。 - 固定資本減耗
建物、農機具等の固定資産について、通常の使用に基づく価値減耗(減価償却)及び資本偶発損を評価した額である。 - 間接税
財・サービスの生産、販売、購入又は使用に関して生産者に課せられる租税及び税外負担で、税法上損金算入が認められ、その負担が最終購入者へ転嫁されるものであり、消費税、自動車重量税、固定資産税等が該当する。 - 経常補助金
産業に対して支払われるものであること、産業の経常費用を賄うために交付されるものであること、財・サービスの市場価格を低下させると考えられるものであることの3つの条件を満たす経常交付金を範囲とする(ただし、生産額に含まれているものは除く。)。
なお、生産者が、金融機関から融資を受ける際に、政府が利子の一部を負担する「利子補給金」として補給される補助金は、国民経済計算の概念に合わせ金融業への補助金として取り扱い、農業への補助金とはみなさない。 - 農業純生産
「農業総生産-(固定資本減耗+間接税-経常補助金)」であり、概念上、「雇用者所得」及び「営業余剰」の合計で、家族労働(経営主を含む。)に係る所得もこれに含まれている(「概念図」参照)。
なお、「生産農業所得統計」における「生産農業所得」とは、概念及び推計の方法が異なる。
概念図(PDF : 117KB) - 農産物の販売
農業経営体から農業経営体以外へ販売された農産物の価額であり、食用として自家消費されたものも含まれている(農業経営体から農業経営体へ販売された財・サービスの額は次の「11 中間生産物等」に含まれる。)。 - 中間生産物等
農業に(再)投入された財・サービス(種子、農業サービス等)の価額である。 - 動植物の成長
資産動物(乳用牛)の成長増加分及び果樹、茶等資産植物の成長増加分の評価額である。 - 農産物の在庫純増
未処分農産物の物量的増減を期中平均価格で評価したものである。 - 農業総資本形成
国民経済計算における総資本形成に対応するもので、「農業総固定資本形成」と「在庫純増」からなっている。 - 農業総固定資本形成
農業生産のため新規に取得した固定資本及び既存の固定資本に付加される価値額であり、「土地改良」、「農業用建物」、「農機具」、「動植物の成長」からなっている。 - 土地改良
圃場整備、かん排水、農用地造成等のための投資額である。 - 農業用建物
農業用建物の取得及び大規模な増・改築のための投資額である。 - 農機具
農業機械及び自動車の農用分(中古品を含む。)の取得並びに大規模修繕のための投資額である。 - 在庫純増
13と農業資材(農機具を除く。)の物量的増減を期中平均価格で評価したものである。
利用上の注意
- 基準改定等(過年次の数値の再推計)について
おおむね5年ごとに「産業連関表」が公表されるたびに基準改定を行っている。 平成27年は平成23年「産業連関表」をベースに基準改定を行うとともに、推計期間の見直し(年度→暦年)、推計対象、表章等の一部を見直し、過年次についても再推計を行った。 したがって、平成28年3月に公表した「平成25年度農業・食料関連産業の経済計算」(平成17年基準)の数値とは連続しないため、平成25年以前の数値を利用する場合には平成23年基準により作成した数値を利用されたい。 - 概算値について
最新の年次の数値は概算値である。なお、確定値は、新たに利用可能となった基礎統計を反映させて、再推計を行い、1年後に翌年の概算値と併せて公表する。 - 統計数値について
表章単位未満を四捨五入したため、合計値と内訳の計が一致しない場合がある。
利活用事例
食料・農業・農村白書等において、農業・食料関連産業の動向等を把握するための指標として利用されているほか、農業・食料関連産業に係る政策の検討に利用されている。
お問合せ先
大臣官房統計部統計企画管理官
担当者:総合解析班
代表:03-3502-8111(内線3580)
ダイヤルイン:03-3502-5631