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農林水産省

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生産農業所得統計の概要

統計の目的

農産物の産出額及び農業が生み出した付加価値額である生産農業所得を推計し、農業生産の実態を金額で評価することにより明らかにし、農政の企画やその実行のフォローアップに資する資料を提供することを目的としている。

統計の沿革

農業所得統計の推計は、国土総合開発法(昭和25年5月)の制定を契機に、国土開発計画の開発目標基準設定のための作業の一環として試算的に推計が始まり、大幅な推計範囲や推計方法等の改正を昭和34年に第1次改訂、昭和39年に第2次改訂として行い現行の推計体系となった後、昭和30年まで遡及して推計した。
昭和45年以降の改訂等については、基本的な推計方法は従前を踏襲しつつ、昭和46年からの稲作転換対策の実施に伴う「米生産調整奨励補助金」等については、国民所得統計等では取り扱われている実情を踏まえ、昭和47年から補助金等を含む「生産農業所得」とした。
昭和48年に「農業所得統計」から「生産農業所得統計」に名称を変更し、昭和49年に沖縄県を加えて統計表章を行っている。
なお、都道府県別推計の生産農業所得については、平成18年までは市町村を単位として推計していたが、平成19年より都道府県を単位とした推計に改めた。
令和4年に植物生長額の推計に用いていた植物資産評価標準の作成を廃止したことから、植物生長額の推計方法を令和4年から改めた。

推計期間

当年1月から当年12月までの1年間である。
ただし、暦年をまたいで生産される野菜、果実等は年産区分とする。
また、年産単位の経常補助金については、上記の推計期間を越えて支払われるものについても計上している。

推計範囲

農業生産活動により生産される農産物(山林用苗木を含み、きのこ類の栽培及び蚕種の生産を除く。)及び主として自家生産した原材料を使用して生産した加工農産物であり、主な品目は「推計の対象とした農産物の範囲」のとおりである。推計範囲の品目を対応する日本標準産業分類の概念で示すと次図の矢印の範囲となる。
なお、都道府県別推計において個別推計の対象とした品目の範囲は、前年の都道府県別農業産出額において、都道府県ごとの産出額がおおむね5,000万円以上であった農産物及び加工農産物とした。

推計範囲

統計の作成方法

  1. 農業総産出額及び生産農業所得(全国推計)

    (1)概要
    農業総産出額は、全国を一つの推計単位とし、農産物の生産量及び価格に関する諸統計等を用いて、農業生産活動による最終生産物の品目ごとの生産量(全国計)に、品目ごとの農家庭先販売価格(全国平均)(消費税を含む。)を乗じた額を合計して求めたものである。
    また、生産農業所得は、農業生産活動によって生み出された付加価値であり、農業総産出額から物的経費(減価償却費及び間接税を含む。以下同じ。)を控除し、経常補助金を実額加算して求めたものである。

    農業総産出額と生産農業所得の概念図

    (2)推計方法
    ア 農業総産出額

    農業総産出額=Σ(品目別生産量 × 品目別農家庭先販売価格)

    ただし、品目別生産量は、作物統計調査、畜産物流通調査等から得られた生産量から、再び農業に投入される種子、飼料作物等の中間生産物を控除した数量であり、品目別農家庭先販売価格は、都道府県別推計(都道府県別農業産出額の合計)から算出した品目別価格である。

    (ア)肉用牛
    肉用牛産出額は、次式により、と畜頭数に在庫増減分を加算し、これに成牛と畜価格を乗じて求めている。

    肉用牛産出額

    (イ)乳用牛のうち乳牛及び乳用子牛
    a 乳牛
    乳牛の産出額は、次式により、子牛の生産及び成長による増加分を成畜頭数に換算し、これに価格を乗じて求めている。

    乳牛の産出額

    b 乳用子牛

    乳用子牛(雌及び雄)と畜頭数×乳用子牛価格

    (ウ)豚
    豚の産出額は、次式により、と畜頭数に在庫増減分を加算し、これに肉豚価格を乗じて求めている。

    豚産出額

    (エ)採卵鶏
    採卵鶏の産出額は、次式により、廃鶏羽数に在庫増減分を加算し、これに廃鶏価格を乗じて求めている。

    採卵鶏の産出額

    イ 生産農業所得

    生産農業所得

    ただし、~~部は農業経営統計調査(営農類型別経営統計)の結果から算出する。
    注:物的経費には、減価償却費及び間接税を含む一方、雇人費、地代、利子割引料を含まない。

  2. 農業産出額及び生産農業所得(都道府県別推計)
    (1)概要
    農業産出額は、都道府県を推計単位とし、農産物の生産量及び価格に関する諸統計等を用いて、都道府県別の品目ごとの生産量に、品目ごとの農家庭先販売価格(消費税を含む。)を乗じて求めたものであり、全国推計における農業総産出額と同様の概念である。
    また、生産農業所得は、農業生産活動によって生み出された付加価値であり、農業産出額から物的経費を控除し、経常補助金を実額加算して求めたものであり、全国推計における生産農業所得と同様の概念である。
    しかしながら、全国推計とは次のような違いがあるため、都道府県別推計の合計値と全国推計の農業総産出額とでは、必ずしも一致しない。

    ア 都道府県別推計では、他の都道府県に販売された中間生産物(最終生産物となる農産物の生産のために再び投入される農産物をいい、種子や子豚等が該当する。)を農業産出額に計上するが、全国推計では、中間生産物の一切を農業総産出額に計上しない。
    なお、都道府県別推計における中間生産物の移出入は次のとおり取り扱う。
    (ア)自都道府県で生産され、農業に再投入した中間生産物は、自都道府県の農業産出額から控除する。
    (イ)他都道府県に販売した中間生産物は、自都道府県の農業産出額に計上する。
    (ウ)他都道府県から購入した中間生産物は、自都道府県の農業産出額から控除しない。

    イ 都道府県別推計では、牛馬は成長過程(子牛、育成牛等)の流通段階ごとの育成差益を農業産出額に計上するが、全国推計では、最終生産物(と畜された牛馬)のみを計上する。

    (2)推計方法
    ア 農業産出額
    次式のとおり、品目ごとに(ア)により把握した生産量に、(イ)により把握した価格を乗じて推計し、それらを合計して求めている。

    品目別産出額=品目別生産量×品目別農家庭先販売価格

    また、加工農産物については、加工によって新たに付加された価値(加工農産物の製品としての産出額からその原料となった農産物の産出額を控除したもの)のみを産出額に計上するため、次式により算出している。

    加工農産物の産出額=(加工農産物の製品生産量×加工農産物製品価格)-(加工農産物の原料数量×加工農産物の原料価格)

    なお、都道府県合計の農業産出額は、都道府県別農業産出額を積み上げて求めている。

    (ア)生産量
    農産物及び加工農産物の生産量は、作物統計調査、畜産物流通調査等の生産量統計を基礎資料としているが、生産量統計のない農産物で地域的に重要な農産物の数量及び中間生産物の移出入量については、地方公共団体、卸売会社、農業団体等への情報収集により推定している。

    (イ)価格
    地方公共団体や農業協同組合への情報収集を基本とし、各種業務情報や統計情報も利用して推定した農家庭先販売価格(農業経営体が出荷した時点の消費税を含む価格)であり、価格情報に諸経費(市場手数料、集出荷団体経費等)が含まれている場合には控除している。

    a 農産物
    地方公共団体や農業協同組合への情報収集を基本とし、米の産地品種銘柄別相対取引価格、麦・大豆の産地品種別価格等の各種業務情報、青果物卸売市場調査(産地別)、農業物価統計調査等の統計情報も利用して推計している。

    b 植物生長額
    各樹木の生長額を次式により推計し、それらを合計して求めている。

    樹木生長額

    c 畜産物
    地方公共団体や農業協同組合への情報収集を基本とし、食肉卸売市場調査、農業物価統計調査等の統計情報も利用して推計している。
    なお、子牛、子馬等、成長過程にあるものが販売された場合には、それぞれの農家庭先販売価格を適用している。
    また、育成牛馬及び廃牛馬の価格は、次式による育成差益等を適用している。
     ・育成牛馬の育成差益=育成牛馬の価格-育成する当歳の子牛馬の価格
     ・肉用牛の育成差益=肉用牛価格-肥育用もと牛価格
     ・廃牛馬の処分差益=廃牛馬価格-(明け3歳の育成牛馬の価格×2分の1)
    注:廃牛馬の処分差益の計算において、廃牛馬価格から育成牛馬の明け3歳時点の価格の2分の1の額を差し引くことにしているのは、繁殖牛馬や役牛馬が廃用される場合の残存価格(肉部分)を成畜時価に対する割合の2分の1とみなし、実際の廃牛馬価格との差を処分差益として、当期の生産に計上しているためである。

    d 加工農産物
    地方公共団体や農業協同組合への情報収集を基本とし、都道府県別茶期別荒茶価格の業務情報も利用して推計している。

    イ 生産農業所得
    農業産出額から物的経費を控除し、経常補助金を実額加算したものであり、次式により算出している。
    (ア)部門別生産農業所得の推計

    部門別生産農業所得の推計

    ただし、~~部は農業経営統計調査(営農類型別経営統計)の結果から算出する。

    (イ)生産農業所得の推計
    (ア)で求めた部門別生産農業所得を合計し、経常補助金を加算して求めている。
    また、都道府県合計の生産農業所得は、都道府県別生産農業所得を積み上げて求めている。

    ウ 農業産出額特化係数
    農業産出額特化係数とは、都道府県ごとの農業生産の特徴を部門別産出額の構成比で示したものであり、時系列を追うことで部門構成の変化や主産地化の推移を検討することができる指標である。

    農業産出額特化係数

    エ 分析指標
    参考として、農業産出額に占める生産農業所得の割合及びしいたけ、えのきだけ等栽培きのこ類(林業)生産の産出額を含めた農業産出額を掲載している。

推計の対象とした農産物の範囲

推計の対象とした農産物の範囲

利用上の注意

1 全国推計の値と都道府県別の値の利用について
全国推計と都道府県別推計では、前者は都道府県間で取り引きされた種苗、子豚等の中間生産物が計上されていないが、後者には計上されている。したがって、全国に占める各地域(全国農業地域、都道府県)の農業生産のシェアを分析する場合等には都道府県別推計の合計値を利用し、我が国の農業生産を部門別・品目別に分析する場合等には全国推計値を利用されたい。

2 消費税の取扱いについて
農業総産出額等の金額に関する推計結果には消費税を含んでいる。

3 統計表で計と内訳が一致しないのは、表示単位未満を四捨五入したためである。

4 統計表中に用いた記号は、次のとおりである。
「0」、「0.0」、「0.00」:単位に満たないもの(例:0.4%→0%)
「-」:事実のないもの
「…」:事実不詳又は調査を欠くもの
「x」:個人又は法人その他の団体に関する秘密を保護するため、統計数値を公表しないもの
「△」:負数又は減少したもの
「nc」:計算不能

5 秘匿措置について
本統計は、様々な統計情報等から推計した加工統計であり、推計に用いた一次統計において秘匿措置がされているものについては類推される可能性を排除できないことから、「x」表示としている。
また、情報収集先から秘匿要請があったものについても、同様に「x」表示としている。
なお、全体(計)からの差引きにより秘匿措置を講じた当該結果が推定できる場合には、「x」表示としている。

6 本統計は加工統計であり、推計元となる基礎データに訂正等が生じた場合は、遡及後の統計表を掲載します。また、遡及の経過は「更新情報」として掲載しています。

利活用事例

1 農業諸施策、地域振興計画の策定・評価等の資料。

2 国民経済計算、産業連関表、県民経済計算等の作成のための資料。

3 激甚災害制度における激甚災害指定基準のための資料。

お問合せ先

大臣官房統計部経営・構造統計課
担当者:分析班
代表:03-3502-8111(内線3635)
ダイヤルイン:03-6744-2042