被害調査の概要
調査の目的
- 被害応急調査
農作物に重大な被害が発生した場合に、地方交付税のうち特別交付税の算定、天災融資法等の適用、その他災害対策の企画・立案、実施等の資料を速やかに作成することを目的とする。 - 共済減収調査
農業共済制度における損害の額の認定審査、その他災害対策の企画・立案、実施等の資料を作成することを目的とする。
調査の沿革
「作物統計調査」は、昭和22年(1947年)に開始され、昭和25年(1950年)に「作物調査」として総務大臣による指定統計の指定がなされ(昭和46年に「作物統計」に名称変更)、その後、調査対象品目の見直しや調査手法の見直し等を行いつつ、現在に至っている。
なお、作物統計のうち、被害調査では被害応急調査(令和3年まで)と共済減収調査(平成30年産まで)を実施している。
被害応急調査は、農作物に重大な被害が発生した場合に被害の実態を明らかにし、災害応急対策の基礎資料を作成するため、昭和39年(1964年)から作物統計として実施している。なお、令和3年をもって調査を終了している。
共済減収調査は、農業共済制度における損害の額の認定審査のための資料を作成するため、昭和30年産水・陸稲及び32年産麦類から作物統計の農作物減収調査として実施している。その後、平成14年(2002年)に調査体系が見直され、果樹共済基準筆調査(昭和49年開始)及び畑作物減収調査(昭和54年開始)と共に共済減収調査に統合され、全ての調査が作物統計として実施されることとなった。なお、農業共済制度の見直し等により平成30年産をもって調査を終了している。
調査の根拠法令
統計法(平成19年法律第53号)第9条第1項に基づく総務大臣の承認を受けて実施した基幹統計調査である。
調査の体系
調査の対象
- 被害応急調査
農作物に被害が発生又はその可能性があると認められる区域内にある作物及びその栽培の用に供される土地とし、対象作物は全農作物とする。 - 共済減収調査
(1)水稲
共済金額がおおむね50億円以上の都道府県を調査対象都道府県とし、一筆方式又は半相殺方式により引き受けら
れている地域の筆を調査の対象とする。
(2)麦類
小麦、二条大麦、六条大麦及びはだか麦を対象に共済金額がおおむね10億円以上の都道府県を調査対象都道府県
とし、一筆方式により引き受けられている筆を調査の対象とする。
(3)ばれいしょ
共済引受農家戸数がおおむね100戸以上かつ共済金額がおおむね1億円以上の都道府県を調査対象都道府県とし、
全相殺方式により引き受けられている農家を調査の対象とする。
(4)豆類
大豆、小豆及びいんげんを対象に共済引受農家戸数がおおむね100戸以上かつ共済金額がおおむね1億円以上の
都道府県を調査対象都道府県とし、一筆方式又は半相殺方式により引き受けられている筆又は農家を調査の対象
とする。
(5)果樹
みかん、指定かんきつ、りんご、ぶどう、なし、もも、かきを対象に共済引受農家戸数がおおむね100戸以上かつ
共済金額がおおむね1億円以上の都道府県を調査対象都道府県とし、半相殺方式(減収総合方式又は特定危険
方式)及び樹園地単位方式(減収総合方式又は特定危険方式)により引き受けられている筆を調査の対象とする。
抽出方法
- 被害応急調査
設定なし - 共済減収調査
(1)水稲
ア 減収標本単位区の抽出
減収標本単位区は、水稲調査の作況標本単位区をそのまま用いる。
イ 減収標本実測筆及び減収標本見積り筆の抽出
減収標本筆は、実測筆は水稲調査の作況標本筆を共用し、見積り筆(実測筆を基準に被害の種類や程度、
穂数、もみ数等を観察し収量を見積る筆)は当該単位区内の筆から無作為に6筆を抽出する。ただし、当
該単位区内の筆が6筆未満の場合は、当該単位区内の全ての筆とする。
(2)麦類
ア 減収標本単位区の抽出
(ア)減収標本大字の抽出
共済組合の共済細目書に基づき作成した減収標本大字抽出表を用いて大字ごとの実測麦の概略共済
引受面積(率)に比例した確率比例抽出法により、減収標本実測筆数の大字を抽出する。
(イ)減収標本単位区の抽出
(ア)で抽出した減収標本大字ごとに1単位区を作付け見込みの情報等に基づき作成した減収標本単
位区抽出表からランダム抽出法により抽出する。
イ 減収標本筆の抽出
(ア)減収標本実測筆
減収標本実測筆は、アの(イ)で抽出した減収標本単位区から実測麦別に1筆をランダム抽出法によ
り抽出する。
(イ)減収標本見積り筆
減収標本見積り筆は、減収標本単位区内の共済引受筆から4筆を無作為に抽出する。ただし、当該単
位区内の共済引受筆が4筆未満の場合は、当該単位区内の全ての筆とする。
(3)ばれいしょ、大豆(半相殺方式)、小豆及びいんげん
ア ばれいしょ及びいんげん
共済組合連合会から提出された資料に基づき作成した標本農家抽出表を用い、標本農家数の共済加入農
家をばれいしょは用途区分別、いんげんは品種区分別にその共済引受面積に比例した確率比例抽出法に
より抽出し、標本農家とする。
イ 大豆及び小豆
共済組合連合会から提出された資料に基づき作成した標本農家抽出表を用い、標本農家数の共済加入農
家をその共済引受面積に比例した確率比例抽出法により抽出し、標本農家とする。
ウ 大豆(一筆方式)
共済組合連合会から提出された資料に基づき作成した標本筆抽出表を用い、標本筆数の共済加入筆をその
共済引受面積に比例した確率比例抽出法により抽出し、標本筆とする。
(4)果樹共済基準筆調査
共済組合連合会から提出された資料に基づき調査対象作物別、引受方式別、種類等別及び樹齢階層別に調査農
家抽出表を作成の上、半相殺方式は、調査対象作物別種類等別及び樹齢階層別に、調査農家抽出表に基づき調
査農家を共済引受面積に比例して抽出する。さらに調査農家について、代表的な樹齢を設定した園地の中から
果樹共済基準筆を抽出する。
樹園地単位方式は、調査対象作物別種類等別及び樹齢階層別に調査農家抽出表に基づき果樹共済基準筆を共済
引受面積に比例して抽出する。
調査事項
- 被害応急調査
災害等を受けた全作物の災害種類別の作付面積及び被害量とする。 - 共済減収調査
共済基準減収量及び共済基準減収量に係る作付面積とする。
調査の時期
- 被害応急調査
農作物に重大な被害が発生したときに実施する。 - 共済減収調査
水稲、麦類、ばれいしょ及び豆類は収穫期とする。
果樹のうち減収総合方式は収穫期、特定危険方式は暴風雨襲来時とする。
調査の方法
- 被害応急調査
調査対象に対する職員の巡回・見積り等による。なお、甚大な被害、長期に及ぶ被害など特異な場合は、被害見積り基準とするため、典型的な被害ほ場を被害応急調査筆として調査し、被害面積及び被害量を見積ることとしている。 - 共済減収調査
(1)水稲、麦類、ばれいしょ及び豆類
減収調査標本筆に対する職員又は統計調査員の実測調査の方法による。
(2)果樹
果樹共済基準筆に対する職員又は統計調査員の実測調査の方法による。
集計・推計方法
- 被害応急調査
職員の巡回・見積り等により集計する。なお、被害応急調査筆を設置した場合は、以下の方法によって集計する。
(1)災害種類別の作付面積
被害応急調査筆の実測調査から求めた災害種類別の被害面積率を職員による巡回・見積りによって補完し、
これを作付面積に乗じて決定する。
(2)災害種類別の被害量
(1)の実測調査から求めた災害種類別の作付面積に対応する10a当たり被害量を職員による巡回・見積りの
結果によって補完し、これに災害種類別の作付面積を乗じて決定する。 - 共済減収調査
(1)水稲及び麦類
調査事項について、減収調査標本筆の実測調査結果を、職員又は統計調査員による巡回・見積りにより補完
して取りまとめを行った。
(2)ばれいしょ及び豆類
調査事項について、減収調査標本筆の実測調査結果を集計して取りまとめを行った。
(3)果樹
調査事項について、果樹共済基準筆の実測調査結果を集計して取りまとめを行った。
用語の解説
- 被害応急調査
(1)損傷
気象的原因、生物的原因その他何らかの原因が作用したために生じた作物体の異常な状態をいう。
作物体の異常な状態とは、直接的な損傷としては風水害による「倒伏」、病原菌等による「病斑」、害虫
による「食害」等、間接的な損傷としては異常低温等の生理的障害による茎数の減少、粒数の減少等がある。
(2)基準収量
被害調査の基準とする収量で、農作物にある被害が発生したとき、その被害が発生しなかったと仮定した
場合に収穫されるものと見込まれる収量をいう。
(3)被害
ほ場において栽培を開始してから収納(その定義については、(7)参照)がされるまでの間に災害等に
よって農作物に損傷を生じ、基準収量より減収した状態をいう。したがって、損傷があっても減収が認め
られないものはこれを被害とはみなさない。
(4)被害面積
農作物に損傷を生じ、その被害が発生しなかったと仮定した場合に収穫されると見込まれる収量から減収
した面積をいう。
(5)被害量
農作物の栽培が開始されてから収納されるまでの期間に、災害等によって損傷を生じ、その被害が発生しな
かったと仮定した場合に収穫されると見込まれる収量から減収した量をいう。
(6)被害見込金額
被害量に各農作物の単価を乗じて算出したものである。各農作物の単価の算出方法については、都道府県ご
とに以下のとおりである。
ア 水稲
生産農業所得統計の最近5年間の推計採用価格のうち、最高及び最低を除く3か年平均に「相対取引加重平
均価格」(全国出荷団体と卸売業者等の主食用米の相対取引における1等米の数量及び価格により加重平均
した「相対取引価格」を、産地品種銘柄ごとの検査数量により加重平均したもの)を基に算出した変動率を
乗じて算出した。
イ 小麦、二条大麦、六条大麦及びはだか麦
生産農業所得統計の最近5年間の推計採用価格のうち、最高及び最低を除く3か年平均に「指標価格」((社)
全国米麦改良協会における入札取引結果について、産地品種銘柄ごとの落札価格を落札数量により加重平
均したもの)を基に算出した変動率を乗じて算出した。
ウ 大豆
生産農業所得統計の最近5年間の推計採用価格のうち、最高及び最低を除く3か年平均に「落札加重平均価
格」((財)日本特産農産物協会における入札取引結果について、産地品種銘柄ごとの落札価格を落札数量
により加重平均したもの)を基に算出した変動率を乗じて算出した。
エ 葉たばこ
生産農業所得統計の最近5年間の推計採用価格のうち、最高及び最低を除く3か年平均に直近年の行政価格
等の変動率を乗じて算出した。
オ 上記以外の農作物
生産農業所得統計の最近5年間の推計採用価格のうち、最高及び最低を除く3か年平均で算出した。
(7)収納
農作物が収穫され、保存又は販売をし得る状態にして収納舎等に入れられた状態をいう。そのため、水陸稲、
麦類の場合の刈取り後にほ場、稲架等で乾燥中のもの及び長雨 等のため未乾燥のまま収納舎に入れたものは、
収納とみなさない。 - 共済減収調査
(1)農業共済制度
農業保険法(昭和22年法律第185号)に基づいて国の農業災害対策として実施される公的保険制度をいう。
(2)共済引受方式
ア 一筆方式
筆ごとの減収量により損害を把握する方式である。
イ 半相殺方式
(ア)減収総合方式
農家単位で被害筆ごとの減収分のみにより損害を把握する方式である。
(イ)特定危険方式
最大風速13.9メートル毎秒以上の暴風雨又は最大瞬間風速20.0メートル毎秒以上の暴風雨等の特定
の被害による損害が共済の対象となる引受方式である。
ウ 樹園地単位方式
(ア)減収総合方式
筆ごとに損害を把握する方式である。
(イ)特定危険方式
最大風速13.9メートル毎秒以上の暴風雨又は最大瞬間風速20.0メートル毎秒以上の暴風雨等の特定
の被害による損害が共済の対象となる引受方式である。
エ 全相殺方式
引受農家単位ごとに筆の増収分及び減収分を相殺した損害が共済の対象となる引受方式である。
(3)指定かんきつ
果樹共済において、はっさく、ぽんかん、ネーブルオレンジ、ぶんたん、たんかん、さんぼうかん、清見、
日向夏、セミノール、不知火、河内晩柑、ゆず、はるみ、レモン、せとか、愛媛果試第28号及び甘平を総称
したものである。
(4)共済金額
被害が生じた場合に支払われる共済金の最高限度額である。
(5)品種又は栽培方法等による区分
果樹共済において、同一の作物であっても品種等によって収穫時期及び被害の発生等に差異があることから、
作物ごとに品種等により定めている区分であり、その区分単位で引受が行われている。
(6)共済基準収穫量
その年の天候を平年並みとして、肥培管理なども普通一般並みに行われたときに得られるいわば平年の収穫量
であり、筆ごとに定められ、被害があったとき損害評価の基準として支払共済金の額の算定の基準となるもの
である。
(7)共済基準減収量
被害筆について、当該筆の収穫量が共済基準収穫量を下回った数量をいう。
調査票
利用上の注意
- 統計数値については、下表の方法によって四捨五入しており、合計値と内訳が一致しない場合がある。
- 表中に用いた記号は次のとおりである。
「0」:単位に満たないもの(例:0.4ha→0ha)
「-」:事実のないもの
「…」:事実不詳又は調査を欠くもの
「x」:個人又は法人その他の団体に関する秘密を保護するため、統計数値を公表しないもの
「△」:負数又は減少したもの - 秘匿方法について
統計調査結果について、生産者数が2以下の場合には調査結果の秘密保護の観点から、該当結果を「x」表示とする
秘匿措置を施している。
なお、全体(計)からの差し引きにより、秘匿措置を講じた該当結果が推定できる場合には、本来秘匿措置を施す
必要のない箇所についても「x」表示としている。 - 被害応急調査は、被害応急調査の結果として取りまとめた災害等のうち、被害見込金額が全国計で10億円以上の災
害等については、その概要を全国・都道府県別に原則として被害が発生した当該四半期毎に公表しています。また、暦年で取りまとめた全ての災害等について、翌年の3月頃公表しています。
利活用事例
- 被害応急調査
(1)地方交付税のうち特別交付税を算定する際の資料
(2)天災融資法の適用を判断する際の資料
(3)協同農業普及事業交付金を算定する際の資料 - 共済減収調査
農業共済における農業共済組合連合会当初評価高の認定審査のための資料。
Q&A
- 被害応急調査
(1)被害応急調査とは
Q 被害応急調査はどのような調査ですか。
A 被害応急調査は、農作物に重大な被害が発生した場合に実施している不定期の調査です。
調査対象は、農作物に被害が発生又はその可能性があると認められる区域内にあるすべての作物及びその土地
であり、調査方法は、地方農政局等の職員が関係機関から被害情報を収集するとともに、被害地帯を巡回し、
被害面積及び被害量を見積もっています。
Q 被害応急調査ではどのようなことを調べるのですか。
A 被害応急調査は、気象災害等を受けた全作物の災害種類別の被害面積及び被害量を調査しています。
Q 被害応急調査の結果からどのようなことが分かるのですか。
A 被害応急調査の結果、災害種類別の被害面積及び被害量が作物別・都道府県別に分かります。
また、作物別に設定した単価を被害量に乗じて被害見込金額を算出しており、被害見込金額の総額が10億円
以上の災害については、作物類別・都道府県別の被害見込金額も併せて公表しています。
Q 被害応急調査の結果はどのように利用されているのですか。
A 被害応急調査の結果は、地方交付税のうち特別交付税の算定する際の資料、天災融資法の適用を判断する際の
資料、協同農業普及事業交付金を算定する際の資料、その他災害対策の企画・立案、実施等の資料として利用
されています。
(2)調査方法について
Q 被害応急調査はどのように行われているのですか。
A 地方農政局等の職員が関係機関から被害情報を収集するとともに、被害地帯を巡回し、被害面積及び被害量を
見積もっています。
Q 被害応急調査の対象はどのように選ばれるのですか。
A 被害応急調査は、農作物に被害が発生又はその可能性があると認められる区域内にあるすべての作物及びその
土地を対象に実施しており、標本調査ではないので、調査対象を抽出・選定しているものではありません。
(3)結果の公表について
Q 調査結果の公表状況を教えてください。
A 被害応急調査の結果として取りまとめた災害等のうち、被害見込金額が全国計で10億円以上の災害等について
は、その概要を全国・都道府県別に原則として被害が発生した当該四半期毎に公表しています。
また、暦年で取りまとめたすべての災害等について、翌年の3月頃公表しています。
(4)その他
Q 都道府県が取りまとめている被害調査結果との違いは何ですか。
A 農作物等に被害が発生した場合の被害調査は、都道府県による「農林水産業被害報告」と農林水産省による「被害
応急調査」があります。都道府県による「農林水産業被害報告」は、国会等への被害状況の報告や災害発生直後の
応急対策の検討等に活用されています。
一方、農林水産省による「被害応急調査」は、天災融資法等の発動の検討など国として災害対策を行う際の基礎資
料として活用されており、災害の実態を的確に表した全国統一の調査基準に基づく資料が要請されています。
両者の結果にかい離が生じる場合がありますが、これは、(ア)調査方法や調査基準が異なること、(イ)被害額
の算定に用いる単価に差が生じる場合があること、などが考えられます。 - 共済減収調査
(1)共済減収調査とは
Q 共済減収調査はどのような調査ですか。
A 農業共済事業のうち農作物共済、果樹共済及び畑作物共済における損害の額について国が行う認定審査のための
資料を作成すること目的とした調査です。
Q 共済減収調査はどのようなことを調べるのですか。
A 10a当たり収量、共済基準減収量及び共済基準減収量に係る作付面積を調査しています。
Q 共済減収調査はの結果はどのように利用されているのですか。
A 農業保険法に基づき実施されている共済事業において、農作物に災害が発生した際に国が再保険金を農家に
支払う際の審査・認定の基礎資料として利用されています。
(2)調査方法について
Q 共済減収調査はどのように行われているのですか。
A 地方農政局等の職員又は統計調査員による減収標本(見積り)筆に対する実測又は見積り、また水稲及び麦類
減収調査においては、減収標本筆調査の補完と非実測調査地帯の減収面積、減収量等の把握のため、巡回・見
積りを行っています。
Q 共済減収調査の対象はどのように選ばれるのですか。
A それぞれの調査において基準があり、また調査対象となる引受方式により引受られている筆から、共済引受面積
に比例した確率比例抽出法により抽出し、標本筆を選定しています。
(3)その他
Q 被害応急調査との違いは何ですか。
A 共済減収調査は、国が共済に加入した農家へ再保険金を支払う際の審査・認定資料として利用されるため、共済
に加入している農家のほ場で被害発生の有無にかかわらず、減収面積、減収量等を把握しています。(暴風雨共
済は、暴風雨発生の都度調査)
一方、被害応急調査は、国として緊急的な災害対策を行う際の資料として活用されているため、重大な被害が発
生した場合に、当該災害が発生したと認められる全ての地域において、発生した災害種類別の被害面積、被害量
を迅速に把握しています。
Q 共済減収調査は過去の結果と比較できますか。
A 共済の引受状況等が毎年異なることから、過去の調査結果と単純に比較することはできません。
Q 統計表に示されている数字は、どうやって計算されていますか?回答のない場合もあると思いますが、調査結果
に誤差などはありますか?
A 統計調査の結果には、必ず何らかの誤差が生ずることは避けられません。例えば調査対象者の誤回答や未回答な
どによる誤差があり、これを「非標本誤差」といいます。非標本誤差には、調査を行う段階で発生する次のよう
なものがあります。
- 回答をしなかった事により生ずる誤差(「非回答誤差」)
- 集計の際の誤りによる誤差(「データ処理による誤差」)
- 調査員や委託先の質、調査票のデザイン、回答者のミスなどによる誤差(「測定誤差」)
(非回答誤差)
集計対象となる調査項目について、調査対象者のミスや回答しづらいもの、あるいは意図的に回答を拒否する場合
があり、回答漏れによる誤差を「非回答誤差」といいます。本調査は、職員又は統計調査員による実測又は見積り
により調査を行っていますので、該当しません。
(データ処理による誤差)
調査票の回答内容を電子化して、これらを集計するまでの段階で発生する「データ処理による誤差」があります。
このうち代表的な誤差は、データを電子化(データパンチ)する際にパンチする人間が介在するため、この段階で
入力ミスなどのヒューマンエラーが発生する可能性があります。パンチミスのヒューマンエラーを防ぐ手法として
「ベリファイ」というものがあります。これは、調査票のデータを並行して2人の違う人が入力し、それぞれのデー
タを照合することで入力ミスを検出する方法です。この方法により、入力ミスはほぼなくなります。本調査では、
データ入力者以外の者が調査票と入力内容を確認しています。
(測定誤差)
もともと測定誤差とは、自然科学の分野で、ものの大きさや重さなどを測定する際に発生する誤差のことで、その
原因は測定機器の不完全さ、測定者の能力による違い、測定条件の変動などによるものです。
調査の分野でも、測定機器に相当する調査票のデザインや言葉遣いによって回答者が質問を誤解して事実と異なる
記入をした場合の誤差、測定者である調査員の面接の拙さや委託先の質による誤差、測定条件である調査方法(郵
送調査か調査員調査かなど)による誤差など様々な測定誤差があります。本調査では、測定者である職員や統計調
査員に対する研修・指導の徹底などを行い、これらの測定誤差をできるだけ減らすように努めています。
非標本誤差に関する研究分析は、国の統計調査についての研究や大学等の学術機関における研究など様々な
分析報告があります。
(参考) 国民生活基礎調査の非標本誤差の縮小に向けた研究会(厚生労働省)[外部リンク]
お問合せ先
1 被害応急調査
大臣官房統計部生産流通消費統計課
担当者:企画班
代表:03-3502-8111(内線3684)
ダイヤルイン:03-3501-4502
2 共済減収調査
大臣官房統計部生産流通消費統計課
担当者:普通作物統計班
代表:03-3502-8111(内線3682)
ダイヤルイン:03-3502-5687
担当者:園芸統計班
代表:03-3502-8111(内線3680)
ダイヤルイン:03-7644-2044