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平成18年度 食料・農業・農村白書への掲載候補となった事例

白書への事例掲載は、独自の情報収集や各地方農政局等からの協力を得て行っています。
下記事例は、優良な事例ながらも紙面スペースの関係や白書の記述と適合しないなどの理由により掲載されなかったものです。

【食料】 食品の安全食育地産地消ベンチャー

【農業】 担い手集落営農女性の参画高付加価値化機能性農産物地域ブランドバイオマス輸出環境保全

【農村】 鳥獣害食農連携共生・対流地域活性化

【食料】

食品の安全 

1 三重 四日市市 食品の安全 安全にこだわった共同組合
四日市市は、かぶせ茶の栽培面積が全国1位であるが、これまでの自園自製方式ではコストが高く閉園に追い込まれる農家も出てきた。そこで、水沢地区の7農家を正組合員として平成2年に「水沢かぶせ会製茶共同組合」を組織した。現在は生葉処理に加え、安全・安心のブランド化のための「誓約書」や「管理記録表」の提出、茶業界の県内工場では唯一のHACCP手法の導入を行うなど、引き合いは増加傾向にある。
2 宮崎 西都市 食品の安全 独自の基準・取組による残留農薬対策
付加価値向上を図る観点から、平成11年から農協で残留農薬検査機器を導入し、独自に設定した基準値を超えた場合は出荷を止める取組を開始した。当初は出荷自体を停止することで抵抗もあったが、厳格に取り組んだ。ポジティブリスト制度導入後は、農協購買部で農薬を購入する農業者に使用する作物を確認して適切な農薬を紹介している。また、農家への講習会・座談会に計500回以上行ったり、農家同士のコミュニケーションを密にしたりすることによってドリフトのリスクを回避している。

食育 

1 兵庫 宝塚市 食育 オリジナルの教材を使用した主婦による食育出前講座
日頃から物を選ぶ力を身につける消費者教育が重要と感じていた主婦が、平成9年「C・キッズ・ネットワーク」を結成し、生協や小学校の家庭科の授業に赴き、出前講座を行っている。幼児・小学生向け、中・高校生向け、一般・指導者向け、高齢者向けの各講座を用意しており、例えば、高齢者には一手間かけることで栄養バランスも味も良くなる惣菜等を紹介している。また、教材はメンバーが知恵を出し合って作ったオリジナルで、簡単な栄養バランス計算で不足しているメニューの指導等を行っている。

地産地消 

1 群馬 沼田市 地産地消 学校給食における地産地消
地場産農作物を給食に取り入れ、地域や農業について理解を深めてもらおうと、平成13年に市や農協等が構成員となって「市学校給食地場産農産物等利用促進協議会」を設立した。現在、市内の23校の小中学校等へ給食を提供している。また、農家の指導の下、収穫体験を毎年行っており、農作物の生育や地場産農作物への理解を深め、農家との触れ合いもできている。給食センターでは、生徒向けに地元農作物の来歴や品種等を紹介したチラシを作成している。
2 富山 富山市 地産地消 米消費拡大を目的とした農協によるコンビニエンスストアの運営
地元農協では、米の消費をいかに拡大するかを検討した結果、地元ローカルのコンビニエンスストアでの加工用利用が好調であったことから、独自にコンビニエンスストアを運営することとした。現在では弁当、おにぎりに使用する米の一部が管内産米となっている。現在のところ、当初の見通りほど管内産米の売上げは増加していないが、売り先が見え、自身が作った米を使った弁当等が実際に店頭に並ぶことで、生産者の生産意欲の向上につながっている。
3 岐阜 関市 地産地消 地産地消の推進に向け工夫する直売所の取組
地域活性化を目的として、地元農家5人が平成15年に農業経営、直売所の運営等を行う有限会社を設立し、長年耕作放棄地となっていた農地で露地・施設野菜の栽培を行っている。社員3人がいずれも30~40歳代のUターンか新規就農者である。また、直売所は地産地消を基本とし、出荷登録農家は地域内の者で、かつ農家自身で商品の陳列を行うことを原則としており、消費者と接する機会ができるようにしている。さらに加工・販売、農業収穫・加工体験、市民農園の管理運営も行い、経営の多角化にも努めている。
4 奈良 五條市 地産地消 地産地消のこだわり豚肉・手作りハムの提供
昭和50年にUターンで養豚業に就農した夫婦が、地元農家と協力して昭和58年に手作りハムのグループを立ち上げ、現在市内への月2、3回の配達や大阪等都市部への直売を行っている。平成9年にはレストランを手作りで建設し、ソーセージづくり体験等のイベントも通じながら地産地消のこだわりの豚肉・手作りハムを提供している。また、毎年豚の解体を行い、命をいただいているという意識をもってもらうことを目的としたイベントを開催している。
5 和歌山 橋本市 地産地消 大規模直売所での販売による地産地消
以前から個人の直売所は多数あったが、店番等の手間が掛かることから地元農協に対して大規模直売所設置の要望があり、平成15年に直売所を開設した。地域ブランドとしてのPRや消費者との接点になるといった効果の他にも、農村女性が小規模に栽培した野菜を出荷することで多くの品目が出荷されたり、耕作放棄地の減少や地域農業の活性化につながる効果も現れている。自分で設定した価格で物が売れることも農家のやりがいにつながっている。
6 鹿児島 日置市 地産地消 直売所での販売による地産地消
都市住民との交流と農村活性化を目的に、平成14年、直売所「チェスト館」が建設された。従来の農産物の販路は農協や無人販売所等であったが、農家にとっては自分で値段を付けられることが何よりの魅力となっており、会員農家数は470人にのぼる。来所者数もオープン時の12万人から平成17年には38万人と順調に伸びている。

ベンチャー 

1 岐阜 安八町 ベンチャー ベンチャー企業が農業に参入して成功
大阪に本社がある大手電機会社は、安八町内で平成14年から農業ビジネスに取り組み始め、16年には空き倉庫2000平方メートルを利用した屋内閉鎖型水耕栽培プラントを建設し、野菜の栽培を行っている。無塵服を着用して作業を行うとともに、工場内で人工蛍光灯を利用した栽培等によって、一般のハウス栽培で2か月かかる生育期間を40日に短縮させるなど、食の安全性や生産性の向上を図っている。
2 愛知 弥富市 ベンチャー ベンチャー企業が農業に参入して成功
弥富市の会社経営者は、大学在学中に若者の社会参加や社会貢献について考え、農業を通じて社会貢献を行う会社を設立した。現在市内に農地を借り、4アールのビニールハウスで完全無農薬・無化学肥料・高設土耕栽培によって野菜の試験栽培・研究を行うほか、13アールの果樹園でイチジクを栽培している。インターネット等で収穫物を販売するほか、収穫体験や野菜栽培キットの販売、野菜づくり教室、炭焼きを応援する事業も行っている。
3 兵庫 神戸市、宍粟市、たつの市 ベンチャー 地元産バジルの契約栽培及び加工食品の開発、製造、販売
これまでバジル・ペーストを米国より購入していた食品関係の株式会社が、食の安全・安心や地産地消を考慮し、平成16年に県内でバジル葉の契約栽培を実験的に始めた。同年は品質のばらつきが大きく期待通りにはならなかったが、17年には県産農産物の利用拡大と高付加価値化を目指し、トレーサビリティーにも取り組み、良質で均質化したバジル葉を主体に、兵庫県産にこだわったジェノベーゼソースの販売が行えるようになった。

【農業】

担い手 

1 北海道 南幌町 担い手 法人化して経営規模拡大
個人での規模拡大には限界があるため、南幌町の農家4戸で平成15年に有限会社を設立。現在、キャベツ、水稲、小麦等で計103ヘクタールを経営している。また、九州でも農地を借用しており、夏は北海道、冬は九州と年間を通じてキャベツが生産できる体制となっている。このような道県を超えた取組は、借用先である九州の地域における農地の有効活用にも貢献している。
2 岩手 北上市 担い手 人材を育成して規模拡大
当初3.3haの自作地経営を行っていた農業者が、作業委託希望の増加から規模拡大を目指して昭和61年に有限会社を設立、平成17年度には水稲65ha、麦類100ha、豆類200ha、キャベツ31haの計330haを受託し、肉牛160頭を飼養している。従業員は全国各地から募集し、平均年齢は30代後半である。スタッフとラインを兼任するチーム制を導入して技術習熟に要する作業に十分時間を割けるようにしている。
3 千葉 成田市 担い手 若者を積極的に雇用することで、農業経営の改善や地域農業の振興を図る取組
成田市で有機農産物の生産を行う業者は、平成9年より組織の活性化と就農者支援も兼ねて研修生の受け入れを行っている。研修修了者はこれまでに50人を超えており、そのうち17人が新規収納者となり、5人が同社の社員となっている。複数の農家で研修を行うため、自分に合った農業経営を見つけることができ、流通業務研修も行うため、市場に評価される農産物の販売方法を学べるといった利点もある。また、研修費が支給されるため、営農が軌道に乗るまでの生活費を工面することができる。
4 岐阜 中津川市 担い手 独自の認定制度創設による担い手の育成
合併前の中津川市では、平成16年に「中津川市元気なやる気農業者認定制度」を創設し、中津川市水田農業推進協議会において作成した水田農業ビジョンの中で担い手を明確化し、担い手の増加を目指した。産地づくり交付金において振興作物の集積作付に対する面積助成、市単独事業で農用地利用集積の実績による面積助成といった取組を行っているが、今後さらに農業者への制度の普及を行い、担い手のさらなる増加に結び付けることが課題となっている。
5 香川 観音寺市 担い手 Iターンの若者を積極雇用
平成8年に青果会社を脱サラして、農地も農機具も栽培技術もない状態から就農し、当初は土地が40aしか借りられなかったが、次第に借入により規模拡大し、15年に法人化するまでになった。18年現在、水稲7ha、レタス10haなど合計35haを作付けし、地域農業でも中核的な存在となっている。その経営法を学びたいと県外からの視察依頼も殺到し、平成13年頃からはIターンの若者を多数受け入れ、3年間の技術習得した者の中から新規就農者も出ている。
6 福岡 北九州市 担い手 意欲ある若者を正社員とすることで労働意欲が向上
露地野菜産地である若松地区は、高齢化や単価低迷による経営難で耕作放棄地が増大していたため、地域農業の持続的発展のため、平成5年に地域の中核的農家3人が有限会社を設立し、現在はキャベツ23ha、スイカ10ha、トマト40a、キュウリ30aと県内でも例を見ない大規模経営を行っている。農作業の繁忙期には、比較的単純な作業の技術を短期間で取得できて即戦力となる、若者を中心に補完できるシステムを創設し、常時雇用者で意欲のある者は正社員に採用して生産技術取得や労働意欲を高めている。

集落営農 

1 岐阜 郡上市 集落営農 各機関の連携による円滑な法人化
郡上市美並地域の集落営農組織は、4つの組織が新たに農業法人として発足したが、それぞれの規模が小さかったため「美並町農業生産法人連絡協議会」を設立して横の連携を図ることとした。農協や市、普及センター等が連携して数十回の会議や座談会を行い、それぞれが的確に動いたことで円滑な法人化が実現した。
2 滋賀 東大江市 集落営農 一集落一農場方式による集落営農
東近江市糠塚地区では品目横断的経営安定対策の担い手要件を充足するため、平成17年に農事組合法人「万葉の郷ぬかづか」を設立した。同地区には土地持ち非農家を含む51戸が存在するが、同法人は全農家とほぼ全農地を対象とする一集落一農場方式の集落営農組織で、農協の営農指導が手薄になっている中、個人の栽培技術不足を補う等の効果も出ている。農地や農業用水路等の維持保全は、自治会や老人会等も入った「糠塚町資源保全協議会」を中心に取り組んでいる。
3 山口 田布施町 集落営農 市町村の境界を越えた集落営農
同町小行司地区は周辺市町村との境界に位置し、水稲主体の営農を展開している。ほ場整備を機に高齢者が耕作から引退したことで営農の継続が危ぶまれたため、農事組合法人を設立し集落営農を開始した。組合員の平均年齢が70歳と高齢ではあるが、営農活動以外にも森林ボランティアと連携した間伐や炭焼きの実施、蛍の保護など環境活動にも積極的に取り組んでいる。市町村の境界を越えた一集落一農場を基本としており、農家や非農家に関係なく地区住民が共同作業に参加するなど地域の一体感も醸成されている。
4 熊本 あさぎり町 集落営農 大規模集落において短期間で集落営農組織を発足
あさぎり町竹野地区は191戸で農地面積が108ヘクタールの集落であるが、品目横断的経営安定対策の対象とならない農家が多かったため、集落営農に取り組むこととした。集落の気運も高まったため、町と農協と連携して毎月寄り合いを開催し、大規模な面積ながらもわずか半年という短期間で「竹野集落営農生産組合」を立ち上げた。

女性の参画 

1 北海道 上川地域 女性の参画 地域を越えて農村女性が連携し高付加価値化
北海道の上川地域には各地区ごとに農村女性の活動団体があり、味噌や漬け物等の加工販売を行っているが、平成12年に各地区間の情報交換を通じた地域活性化を図る観点から「上川管内農村女性ネットワークほほえみ」が設立され、さらに16年には商品の販売促進等を目的に「ほほえみ起業隊」が結成された。広域的な連携により、情報交換と加工品の販売拡大にむけた起業活動の研修等の実施や各地域の加工品を起業隊で工夫を凝らし、箱詰めしてセット販売する等、農業所得向上のための取組を行っている。
2 北海道 千歳市 女性の参画 農村女性が中心となった観光農園・農家レストラン
千歳市で夫と農業を営んでいる女性が、経済的に自立したい、そして都市住民に農村景観を楽しんでもらいたいとの思いから摘み取りイチゴ観光農園と農家レストランを開いた。地域の仲間も影響を受けて「いちご生産組合」が設立され、看板作りやマーケティング研修等、地域全体による環境整備等、態勢を充実させている。同レストランは平成17年度の売上げが当初の8年から438%増と、貴重な収入源であり経済的自立に寄与している。
3 新潟 十日町市 女性の参画 農村女性による農産物の直売・加工組織の運営
十日町市の川西地区で、平成16年8月、地元農家のお母さん達23人で運営する「千年の市 じろばた」が誕生した。農産物直売と地元食材を使った料理を提供する農家レストランの運営、あんぶ(野菜、山菜を具に入れた米粉の団子)の加工・販売を行っている。また、集荷した野菜は地元学校給食に供給するなど、地産地消の発信基地となっている。

高付加価値化 

1 北海道 苫小牧市 高付加価値化 地元産米と水を使用した日本酒造り
平成13年に中小企業家同友会の会合で地産地消が話題にあがり、全国で表彰も受けた苫小牧のおいしい水道水と厚真町のおいしいお米から地酒を造ることになった。小樽の酒造会社に依頼して造った全国初の水道水で作った純米酒は1年目に4,000本、2年目に5,000本を売り上げた。16年からは吟醸純米酒へレベルアップさせ7,300本を完売させている。近年はにごり酒やおつまみも販売しており、加工品の製造、販売促進を地元企業に依頼し、地域の活性化を図ることとしている。
2 山形 三川町 高付加価値化 「しそ巻き」を利用して所得向上
三川町の農業者は、農産物加工による所得向上を図るため、昭和57年ごろからしその葉の栽培・加工・販売を一貫して手がけている。販売額は米としそ巻きで半々程度であるが、水稲に関しても米ぬか散布による除草等に取り組んでおり、17年には水稲415アール中、有機栽培米が235アール、特別栽培米が170アールとなっている。
3 福島 二本松市 高付加価値化 「なめこ」を利用した農家レストラン等
旧東和町のなめこ栽培農家は、なめこ価格が低迷するなか、欧州での農家民宿研修、調理師免許を持つ息子の就農がきっかけとなって農家レストランを開店することとなった。レストランでは、なめこを使ったミックスピザやサラダ、手作り豆腐等の豊富なメニューを提供するとともに、菓子パン加工や農産物加工にも取り組んでいる。現在では、口コミで評判が広がるなど、地元だけでなく地域外からのお客さんも増加している。
4 群馬 川場村 高付加価値化 桑園の代替としてのブルーベリー栽培
川場村では、かつて農家の9割が養蚕を営んでいたが、価格の低下により、桑園に替わる農産物を探していた。当地区では、リンゴも盛んに栽培されているが、高い位置での作業がなく、リンゴの加工施設を活用できること等から、約20年前にブルーベリーの栽培を始めた。市場には出荷していないが、観光客やリピーターへの直接販売等で販売しており、収入は安定している。
5 石川 白山市 高付加価値化 牛乳を利用した高付加価値化
地元消費者に安全で安心な農畜産物を提供するため、酪農家6戸と耕種農家1戸が集まって地元食材食品工房を平成17年に設置した。地元産牛乳を使用したジェラートアイスの商品開発を行ったほか、地元産農産物を利用したお弁当の販売を行っている。今後とも地産地消による販路の拡大や地元の雇用確保を図っていくこととしている。
6 石川 小松市 高付加価値化 農村女性が中心となった地元野菜、農産加工品の販売
「食と農を考える女性の会」では、地元特産の野菜や農産加工品を広く市民にPRして食べてもらうことにより、地域農業を元気にしていこうという目的のもと、地元の農産物や農産加工品の製造・販売を行っている。これに加え、小中学生を対象とした大根、キャベツ等のは種から収穫までの体験学習の講師も務めている。今後は、生産者と消費者の更なる交流促進を図るとともに、新たな商品開発を行い、起業を目指すこととしている。
7 石川 金沢市 高付加価値化 ブランド野菜の新たな販路開拓に向けた商品開発の取組
JA金沢市五郎島さつまいも部会では、品質向上に努めるとともに、いち早く「五郎島金時」の商標を取得するなど、ブランド化に取り組んできた。近年は、販路拡大のため、菓子類を中心としたいも加工品の開発に取り組むとともに、平成18年には、鹿児島県の酒造会社と協力して焼酎の開発・販売を行った。その結果、五郎島金時のファン層が拡大し、ブランド価値の向上にもつながっている。
8 福井 福井市 高付加価値化 直売所と農家レストランの複合施設
福井市で複合的食文化提案施設として平成17年に開業した有限会社は、フェイストゥフェイス、共生、安心、安全、誠実の5つを経営理念とし、これに賛同する多くの生産者が集まっている。直売所、米パン工房、農家レストランを経営の柱としており、食育のあり方や食品表示の考え方等について勉強会も開催し、多くの消費者が参加している。1日当たり直売所来店者数は220人と以前の4倍程度に増加しており、農家レストランには月3,000人が来客するなど好評を博している。
9 三重 御浜町 高付加価値化 柑橘類の生産・販売と果皮を利用した加工品の生産・販売
平成6年に3戸の農家の共同出資により有限会社を設立し、化学農薬の使用を軽減した柑橘類の栽培を行うとともに、ジュースの加工・販売も行っている。ジュース製造後に大量廃棄されるみかんの皮(年間約75トン)を有効利用するため、化粧品会社と共同で育毛剤の開発に取り組み、平成17年に独自ブランドとして販売を開始し、18年には医薬部外品として認められた。現在は、テレビコマーシャルを行い、インターネット等で販売している。
10 滋賀 米原市 高付加価値化 大規模稲作経営からの多角化戦略
稲作(20ha)、小麦(10ha)、ブルーベリー(1ha)の複合経営を行っている農家が、農業の高付加価値化を図るため、平成12年にブルーベリー25アールを植栽し、16年よりブルーベリーの観光農園をオープンし、他府県からも多くの摘み取り客が来園している。また、岡山県の業者と提携してブルーベリーのジュース、ソース、ジャム等の加工品の製造・販売を行っている。
11 広島 世羅町 高付加価値化 インドネシアの健康食品「テンペ」の消費拡大を促進
地元農産物を使用した味噌やお菓子の生産・販売を行う「世羅高原6次産業ネットワーク」は、大豆を発酵させた健康食品であるインドネシアの伝統料理「テンペ」の存在を知り、新たに「大豆に付加価値を付けた商品」の開発を目指し、平成14年に「テンペの会」を発足させた。その後試行錯誤の末テンペの商品化に成功し、現在では年間2万パックを生産し、ネットワーク会員の直売所や道の駅で販売している。また、テンペの認知度を上げるためパンフレットを作成・配布するなど、その普及にも力を注いでいる。
12 福岡 宗像市 高付加価値化 テンペを利用した六次産業化
大豆の生産地である宗像市では、農協女性部に大豆加工品であるインドネシアの伝統料理「テンペ」を製造・販売するグループが平成15年に結成され、16年には「むなかた育ちのテンペ」として商品化した。現在はあられやかりんとう、クッキー等バリエーション豊かな商品を開発しており、地元直売所で販売されている。
13 宮崎 川南町 高付加価値化 生産・加工・販売まですべて農業者が行った豚肉の提供
昭和47年より養豚業を行ってきた有限会社は、平成元年から営業店舗を開店し、豚肉の加工・販売を行ったが、慣れない営業に苦労し、負債を抱え、販売から撤退した。しかし、販売業者との利益配分がうまくいかなかったため、再び自ら販売することとし、新営業店舗を建設して豚肉の販売と、ハム・ウインナーをその場で味わえるレストランの設置によって、安全・安心な肉や加工品を提供している。
14 沖縄 宮古島市 高付加価値化 農産物のブランド化や加工による付加価値付与
三つ葉、チンゲン菜等の水耕栽培を行う有限会社(平成10年設立)では、販路を独自開拓して農産物を島外、加工品を島内へ出荷していたが、大手スーパーと契約したことを契機として需要に対応できるようにするため、平成15年には同社へ農産物を納品する生産組合を発足し、契約栽培農家である200人が組合員となった。商品を差別化し登録商標を取得したブランド品とした出荷、規格外農産物をスライス・みじん切りにして付加価値を付けた出荷など工夫を重ねている。

機能性農産物 

1 石川 七尾市 機能性農産物 特産野菜の「中島菜」を利用した商品開発
旧中島町で古くから特産野菜として栽培されてきたアブラナ科の一種「中島菜」は、生産量の伸び悩みから、血圧調整機能成分が多く含まれ、血圧上昇抑制がある中島菜の特性を利用して、産学官連携により乾燥チップや粉末を開発し、消費の拡大を図っている。現在では生産量が徐々に増加しているが、需要に対応しきれておらず、栽培農家への種子の配布や作期の拡大により、生産量の増加を図っている。
2 岐阜 下呂市 機能性農産物 「レッドビート」を利用したアイスクリームを商品化
平成元年に健康をテーマとした南飛騨国際健康保養地構想がスタートし、健康を食の面から捉えた活動が盛んになったため、健康美容食品のレッドビートの栽培が始まった。レッドビートは抗酸化作用成分を多く含むものの、一般にはあまり知られておらず、臭みも強く味がほとんどなく、食材としての利用が困難であった。このため、一度ジャムに加工してアイスクリームに練り込むことで食べやすく、見た目もきれいなピンク色のレッドビートアイスクリームを完成させた。
3 鳥取 北栄町 機能性農産物 地元特産物のスイカの廃棄物を活かした加工品づくり
すいかは北栄町の特産物であるが、ひび割れや糖度不足で出荷できないものは選果場で多数廃棄されていたため、地元農協に加工施設が整備されたことをきっかけに女性グループが廃棄すいかの商品化に乗り出した。当初は製品化に苦労したが、県の研究施設との連携や勉強会を重ね、現在では「すいか糖」「すいかジャム」等の加工品を生産・販売している。すいか糖は、すいかに含まれるリコペン等の成分が腎臓病や高血圧の改善に効果があると期待されており、同グループでは県外の製薬会社へ契約販売も行っている。

地域ブランド 

1 北海道 幌加内町 地域ブランド そばを利用した地域ブランド化
幌加内町は全国一のそば作付面積を誇るそば産地であるが、玄そばの状態で系統経由で道外に一元出荷されるため「幌加内」という地名が見えなくなってしまい、日本一の産地であってもその知名度はかなり低い現状にあった。このため平成18年にブランド化を目指し、「幌加内そば」として地域団体商標を申請したほか、祭りの開催やイベントへの出店等でPRを図っている。今後、ブランドの定着を目指すとともに、他地域でもそばの生産が拡大していることから、より一層そばの安定的な収量を確保する必要がある。
2 北海道 旭川市 地域ブランド 多種の食品加工業者による地域ブランド開発
旭川市には多種の食品加工業者があるが、業界間の連携があまりなかったため、平成12年に横断的組織として「旭川食品加工協議会」を設立した。会では業界を超えた旭川のブランド商品を開発しようと、平成16年から水田転作で作付されている大豆に注目し、農家に枝豆品種を作付してもらい、それを原料に各業者が商品を開発するなどの取組を行っている。また、市では「地域ブランド食品開発事業」を創設し、駅前での試食販売会やアンケート調査を支援するなど、地元ブランドの育成を図っている。
3 鹿児島 霧島市 地域ブランド 昔作られていた黒酢を利用した地域ブランド
旧福山町では、江戸時代から食酢を生産していたが、第二次世界大戦前後に大幅に業者が減少した。しかし、昭和40年頃からの自然食品ニーズの高まりを契機として、昭和58年「福山町米酢協議会」の発足に続き、平成2年には「鹿児島県天然つぼづくり米酢協議会」が発足し、農水省の地域特産品認証制度第1号に認定された。壺の中でじっくり一年寝かせる伝統的製法にこだわっており、黒酢ブームにより生産量は現在1,000キロリットルと増加傾向で推移している。

バイオマス 

1 新潟 三条市 バイオマス 米を原料とするバイオエタノール製造・利用
JAにいがた南蒲原は、米を原料とするバイオエタノール製造・利用に関する調査事業に全農とともに取り組んでいる。平成17年度には生産者への意向調査やプラントの設置条件等の調査を行い、18年度には超多収品種米の栽培実証試験等を行っている。今後は実用化に向けて更なる生産コストの低減等が課題となっている。
2 富山 富山市 バイオマス 廃食用油を利用したBDF(バイオディーゼル)の製造・販売
平成17年に、富山市内の廃棄物処理業者、廃食用油回収業者等が共同出資してBDF(バイオディーゼル)を製造する株式会社が設立された。原料として県内大手スーパー、給食センター等から出る廃食用油を利用し、将来、富山市の家庭用廃食用油の回収事業の展開により増産を目指す。現在、市のゴミ収集車に燃料提供して実証試験を行っている。また、民間の運輸会社へ供給している。

輸出 

1 山形 輸出 全農による県産農産物の輸出
農産物の産地間競争の激化やニーズ変化に対応するため、全農山形県本部では国外へ新たな販路を求める取組を始め、ニーズ把握・販路開拓のための試験的な輸出や認知度向上への取組を行っている。サクランボやモモ等多彩な果物を旬に応じてリレー的・長期的に香港や台湾を中心に輸出しており、輸出量は平成16年度の約110トンから、17年度には約320トンへ増加するなど、品目、輸出先も広がりを見せている。
2 千葉 多古町 輸出 香港へ安全・安心にこだわりを持つ野菜を輸出
日系商社が香港の在留邦人から「日本産の安心できる野菜を仕入れて欲しい」との依頼を受け、味・安心・安全にこだわりを持って野菜をインターネットで販売している有限会社2社と協力し、平成15年から野菜の香港輸出を始め、翌年にはシンガポールへの輸出を開始した。顧客には届いた野菜の状態をデジタルカメラで撮影してもらい鮮度を確認しているほか、荷物の取扱いが丁寧な航空会社を利用したり、現地の配送の仕組みを工夫するなど、品質の確保に努めている。
3 千葉 成田市 輸出 香港へ生鮮野菜を輸出
成田市で有機や特別栽培による農作物の生産・加工・販売を行う業者は、香港で農薬に対する不安が出ていたことを知り、平成6年、在留邦人向けに生鮮野菜の輸出を開始した。現地には日本のような宅配システムがなく、配送途中の品質低下が問題となったため、配送の指導や保冷パックを入れるなどの対応を行った。10年にはシンガポールへの輸出を開始し、16年には1,000人の顧客を抱えるまでになった。現地のテレビの料理番組で日本の野菜を紹介するなどのPR活動も行っている。
4 新潟 輸出 県産ブランドの東アジア等への輸出
国内消費の低迷を受け、平成16年に県内生産者や行政、県内外の流通業者等からなる「新潟県農林水産物輸出研究会」を発足し、農産物輸出の可能性について検討を行った。その結果、新潟ブランドとして評価の高い米、梨、柿、切り花の4品目を、主に東アジア市場をターゲットとして輸出することとした。様々なルート・チャネルを活用して、これまで台湾への米輸出を始め、ロシアへの切り花輸出が継続的に行われることになるなどの成果が現れてきている。
5 福井 輸出 県産ブランドの輸出
県と県農協連では、福井産農林水産物の輸出可能性を調査し、県産農産品のブランドイメージを向上させるため、香港へ米、スイカ、トマト、メロンの試験的な輸出を行った。初年度の平成17年には米を3.4トン、スイカを1.3トン輸出した。米については、通年販売につながっており、継続的出荷が可能となっている。また、スイカについても2年続けて輸出されるなど定着に向けた取組を進めている。
6 滋賀 近江八幡市、東近江市、安土町 輸出 新技術を用いたヒノヒカリの有利販売
平成15年、斑点米カメムシの防除に化学農薬を使用しない新技術を用いた米作りを行っている地域の大規模専業農家が中心となって、地元農協にヒノヒカリ特許栽培生産部会を設立した。作付農家数・面積は当初の13戸・20haから43戸・82haと増加している。また、台湾への輸出を継続して行うこととなり、滋賀県独自の「環境こだわり農産物認証制度」の取組とも併せて、市場においてコシヒカリと同等価格で流通するなど有利な販売を実現している。
7 島根 松江市八束町 輸出 地元特産物であるぼたんの台湾輸出
八束町の特産物「八束ぼたん」は昭和35年頃から欧米への輸出を行っていたが、近年、中国産との価格競争の激化から、平成17年より高貴な花として珍重する習慣のある台湾への輸出に取り組むこととなった。栽培技術の改良により、開花時期を調整できるようになったため、最需要期である旧正月でも開花させ、出荷が可能となった。台湾の地元新聞等でも八束ぼたんが大きく取り上げられており、今後の本格的な輸出が期待されている。
8 熊本 玉名市 輸出 販路拡大に向けた果実輸出の取組
生産者手取りの向上に加え、長引く価格低迷による生産意欲の減退が懸念される生産者等への刺激剤の意味も込め、地元農協が果実の台湾・香港への輸出を行うこととし、業者や上部団体に頼らず、組合員自らが台湾へ行って直接量販店と商談をしたり、倉庫でみかんのパック詰めを手伝うなどの取組を行った結果、台湾へのみかんや香港へのいちごについては、台湾の百貨店等に販路が拡大した。

環境保全 

1 山形 庄内町 環境保全 環境保全型農業による米のブランド化
合併前の旧余目町は水稲作付と畜産業が盛んであり、地元農協では平成15年から、たい肥を利用した減農薬・減化学肥料による特別栽培米の生産を推進している。現在特別栽培米の生産農家が6割を占めていることから、県では、国の環境規範に加え、地域性や生産状況を考慮した「エコエリアやまがた環境規範」を策定し、エコファーマーを面的に広げて山形ブランドの確立を図っている。
2 福島 喜多方市 環境保全 非農家も含めた農村景観の維持
伝統的な農村地域の喜多方市では、昭和50年に市営団地が建設され混住化が進展したが、年3、4回の会合を開き地域住民のコミュニケーションを深めることで、農村景観は地域共有の財産であるとの認識が醸成されている。農道、農業用水路の管理には、非農家も含めた地域住民が協力して当たっており、農地・水・環境保全向上対策のモデル地区となっている。
3 新潟 津南町 環境保全 農協が主導して取り組む「循環型エコファーマー」
JA津南町では、県内大手スーパーと食品会社から発生した野菜くずをたい肥化し、野菜生産に使用してもらう「循環型エコファーマー」に取り組んでいる。エコファーマーは平成14年の取組当時35人だったが、平成18年現在123人と増加している。ただし、一般消費者にはエコファーマーの認知度が低いことなどから、取組が価格に反映できていない。安全・安心面でのPRをさらに進めるため、全生産者が記帳を行っている生産履歴についてホームページでの公開について検討している。
4 兵庫 豊岡市 環境保全 コウノトリと共生する水田づくり
豊岡市は、特別天然記念物「コウノトリ」の生息地として知られているが、90年代からコウノトリ野生復帰の取組とともに、野生生活に必要なドジョウやフナを田に戻す「コウノトリと共生する水田づくり」を開始した。冬場も田に水を張る"冬季湛水"を行うなど「コウノトリ育む農法」が確立され、現在、110haがこの農法を行っており、無農薬タイプは通常の4割増、減農薬タイプでも2割増の価格で販売され、需要に追いつかない状態であり、同農法により生産された酒米を使った日本酒も販売されている。

【農村】

鳥獣害 

1 愛知 岡崎市 鳥獣害 鳥獣駆除を目的としたNPO法人の設立
近年、岡崎市ではイノシシやシカの農作物被害が増加するなか、猟友会会員の高齢化で捕獲体制が脆弱化してきたため、鳥獣駆除を目的としたNPO法人を設立した。同法人では、オリやワナを開発して市場価格の半値で販売したり、イノシシやシカの肉を地域のイベントで活用したりするなどの活動を行っているが、メディアで報道されたことで器具販売申込や講習依頼が全国から寄せられている。イノシシの肉を特産品として販売するための処理施設、保管場所等の整備が課題となっている。

食農連携 

1 福島 会津若松市 食農連携 地元産にこだわった弁当づくり
近年、健康づくりへの関心が高まる中、コンビニ弁当の需要が増加していることから、会津地域の市町村が出資して設立した「あいづふるさと市町村圏協議会」では平成16年度から、食をテーマにした地域振興として地元産にこだわった弁当づくりに取り組んでいる。販売は順調であり、減農薬栽培を行う地元農家グループと最低買取量の契約を結ぶなど、作付段階から提携を図っている。農家も自分たちの作った物の販売される姿が見え、生産意欲が向上している。
2 三重 四日市市 食農連携 地元産食材にこだわったうどんづくり
地元の製麺会社が、伝統的な地域名産「伊勢うどん」を三重県産小麦で作りたいと研究を重ね、補助事業を受けながら平成11年に開発を成功させ、三重県の地域特産品として認証された。また、市の高柳地区が以前より栽培していた赤米の活用方法を模索していると聞き「赤米入り細うどん」の開発に成功し、契約取引を行うなど農業との連携を深めている。
3 岡山 津山市 食農連携 「地消地産」をモットーにした産学官民の連携
津山市の外郭団体である「つやま新産業開発推進機構」は平成8年に設立され、食品産業や地域産業であるステンレス加工など4つのクラスターの形成を目指している。機構では産学官民(「民」は消費者)の連携により、食品分野において「つやま夢みのり」のブランド確立に成功し、バイヤーから高い評価を受ける商品を次々に開発している。販路開拓のため、特にバイヤーとの連携を重視し「地消地産」をモットーに取り組んでいる。
4 熊本 錦町 食農連携 奨励作物の「かんしょ」を利用した焼酎づくり
町の観光協会では、平成8年から地元酒造会社と連携して、町内農産物を原料にしたリキュール類の開発に取り組んでいた。また、町では耕作放棄地の増加に歯止めをかけるため、栽培が容易で自然災害に強いかんしょの栽培も進め、地元産かんしょを使った芋焼酎を開発し、平成17年から販売を開始した。かんしょは町内大規模農家と単年度栽培契約を結んでおり、これまで7万本の焼酎を生産している。

共生・対流 

1 宮城 大崎市 共生・対流 農業・農村と観光が連携した地域づくり
鳴子温泉では、近年観光入込数が減少したため、各分野が危機感を持ち、平成16年に温泉旅館や農家等が連携し「鳴子ツーリズム研究会」を設立した。無農薬の米作り・集落の取材交流体験パンフレット作成、冬の鳴子の暮らしを再発見する「スローライフ週間in鳴子」を開催したほか、「田んぼ湯治」、「湯治クラインガルテン」、「鳴子の米プロジェクト」など、町内農業関係者と観光関係者が連携した特徴的な取組が行われるようになり、交流拡大とともに住民による地域資源の見直しにもつながっている。
2 秋田 仙北市 共生・対流 農業体験の受け入れから農家民宿へ発展
旧西木村の女性農業者は、昭和56年から農業体験者の受入を行っていたが、リピーターや口コミにより受入が増加したため、平成8年に農家民宿を開業した。現在では中高生の体験学習を年5、6回受け入れ、農作業を体験してもらっているほか、一般の宿泊者にはのんびりとした農村生活を体験してもらっている。季節の食材で料理を提供することにより、廃れていた郷土料理の再現や野菜栽培技術の向上にもつながっている。
3 福島 猪苗代町 共生・対流 学習旅行生に対する食育教育
「いなわしろ体験学習推進協議会」の会員である地元ホテルの料理長が、地産地消に携わった際、福島の食の素晴らしさを知ったことがきっかけで食育をテーマとしたグリーン・ツーリズムを行うようになった。修学旅行で訪れた生徒等に地元料理を提供し、地域の食を理解してもらう取組のほか、親子料理教室や生産者向けの料理講習会も開催している。年間2万人を受け入れ、うち2,000人が食育・農業体験を行っている。
4 福島 鮫川村 共生・対流 農山村体験を生かした「共育」と雇用の創出
鮫川村のNPO法人は、「土、自然から学び共に生きよう」をメインテーマとして、村の豊かな自然環境を活かして共に育つ「共育」を目指し、子ども達や都市住民に農山村体験や野外体験等のメニューを提供しており、こういった活動を通じて雇用の創出が図られ、現在ではフリーター経験者を含む10人が社員となって様々な交流活動を行っている。
5 茨城 大洗町 共生・対流 地元関係機関が連携して開催する体験活動
国、県、町、大学、農協、漁協等は、大洗の自然環境を利用して体験実習を行うことで、自然や人とふれあうことの大切さを知るとともに、地域の活性化につながればと平成15年に「観光・教育・地域作り」を目的とするNPO法人を設立した。ライフセービング教室等のアウトドア活動を行うとともに、インドア活動として親子料理教室を行い、地元で水揚げされた魚の料理を通じて、旬の魚のおいしさを再発見し、魚嫌いが解消されるなどの効果が現れている。また、要請に応じ講演する「出前講座」が増えている。
6 茨城 北茨城市 共生・対流 公共の宿を拠点施設としたグリーン・ツーリズム
北茨城市は平成12年、豊かな自然資源・歴史等と農林水産業を結びつけて地域産業の振興につなげようと、グリーン・ツーリズムの拠点施設として公共の宿をオープンさせた。また、16年にはどぶろく特区として認定され、どぶろくを製造する農家民宿を主体にどぶろく祭りを開催するとともに、子どもたちの漁業体験学習を実施するなどにより、交流活動が活発になり、地域の活性化が図られている。
7 福井 越前市 共生・対流 エコグリーン・ツーリズムの拠点となる農家民宿
越前市の農家民宿は、エコグリーン・ツーリズムの拠点となっているが、平成17年に福井県が食品衛生法規制を緩和した後、食事の提供が可能となり、既存民宿の食事提供開始や新規開業が進み、平成19年6月現在で7軒の農家民宿のうち6軒が食事提供を行っている。利用客も17年の年30人から18年には153人と大きく増加している。
8 長野 飯田市・下伊那郡 共生・対流 第三セクターによる農業・農村体験活動
飯田・下伊那地域は、高齢化や地元産業の停滞を打開するため、平成13年に市町村やJAの共同出資で第三セクターを立ち上げ、交流・体験事業を主体とした活動を始めた。小中学校を対象に「本物・体験」をコンセプトとした農業・農村体験学習等を行っており、体験後も交流が続くことが多い。17年度は109校17,000人の修学旅行生を、それ以外の一般参加者も200団体、6,000人受け入れている。この10年間で訪れた修学旅行生は15万人に上る。
9 長野 飯山市 共生・対流 健康と観光が融和したグリーン・ツーリズム
ウインタースポーツの集客が落ち込んできた平成8年頃から、市、JA、地元企業・団体が中心となって新たにグリーン・ツーリズムを始めたことにより、来客数を回復させた。その後、健康と観光の融和を目指し、17年に「飯山市森林セラピー協議会」を設立、18年には「森林セラピー基地」の認定を受けた。施設の常駐スタッフにより、四季を通じて様々な森林体験を開催している。今後は運動・温泉・食事による健康増進プログラムが受けられる予定。
10 静岡 伊豆市 共生・対流 グリーン・ツーリズムによる地域興し
伊豆市大見地区は、観光地伊豆半島の中で観光資源に乏しかったが、その分自然や里山が多く残されていたため、農業者や行政等が協力してグリーン・ツーリズムによる地域活性化を図ることとなった。平成11年に国民宿舎を借り上げて滞在型グリーン・ツーリズムを推進させ、16年には拠点施設を建設し、特産品販売やわさびの栽培体験等の取組を行った。17年度には都市部の小学生をはじめとする13団体1,200人と、300人の家族連れが農業体験を行い、640人が豆腐作りを体験している。
11 京都 綾部市 共生・対流 NPO法人による一工夫加えた農業・農村体験プログラム
平成12年に市が主体となり、都市農村交流の拠点として任意団体「里山ねっとあやべ」を設立し、平成18年にはNPO法人化した。田舎暮らし体験ツアーから活動を開始したが、活動を続けるなかで、都市住民のニーズは単なる農村・農業体験ではなく「地域に入って、地域の役に立つ体験」に魅力を感じる人が多いと気づいたことから、例えば「そば塾」において、そば栽培の苦労も体験してもらう計5回のプログラムとしている。30代前後の若者が、将来の農村生活を視野に参加するケースが多くなっている。
12 和歌山 紀の川市 共生・対流 農業体験希望者を全国各地から受入
農産物直売所を開設して消費者の交流を行っていくなかで、もっと地域の自然や農業を知ってもらい、食の大切さを伝えようと、地元農協に平成15年「体験農業部会」が設立された。学生や企業の研修を受け入れ、16年に150人だった受け入れ人数は18年に1,000人を超える見込みとなるほど増加している。受入農家からも「農業や地域のことを伝えることに喜びを感じる」といった声があり、消費者と生産者の両方が農業・農村の魅力を再発見している。
13 鳥取 智頭町 共生・対流 グリーン・ツーリズムの受入先として、集落でNPO法人化
智頭町新田地区は、17戸52人からなる集落で、盛んだった林業が材木価格の低迷により衰退し、人口減少や高齢化も進展していた。このようななか、平成2年に大阪の生協からの要請を受け、農業体験事業等を開始した。交流参加者からの要望で、廃れていた地域伝統の人形浄瑠璃も復活させ、現在では多数の講演を行うほどである。同集落では、これらの取組の継続のため、また、更なる地域活性化のため、全国でも珍しい集落によるNPO法人を設立した。財政状況は厳しいが、自立できる集落を目指している。
14 島根 松江市八雲町 共生・対流 市民のニーズに応じた市民農園の開園
旧八雲町が平成4年に開設した市民農園(160区画、1区画30m2)が好評であったため、16年に新たな市民農園に宿泊施設を併設した滞在型体験農園をオープンした。農園では、学校や給食センター等と連携し、野菜栽培講習会や農業体験、給食センターへの野菜供給、実習圃場の設置等の活動を行っており、農業体験や食育教育に参加した児童は食に対する理解を深めている。
15 高知 梼原町 共生・対流 グリーン・ツーリズムを通じて食や農への関心を喚起
平成14年に都市農村交流に取り組んでいた住民を中心に、これまでの取組を踏まえ、新たなグリーン・ツーリズムの受入組織を設立した。千枚田オーナー制度や旬のものづくり、農家体験民宿のメニューを用意しており、特に農業体験やふるさとの味体験を通じて、野菜の旬を知らない子ども達に旬の野菜の本当のおいしさを知ってもらい、食や農への関心を高めてもらおうとしている。以前は200人程度だった受入数が、体験メニューを増やしたことで年間2,000人にまで増加するなど体験者からも好評である。
16 福岡 直方市 共生・対流 有機農法で育てた農産物を提供する農家レストラン
元農協職員が「体に良い物を食べれば健康になる」と考え、有機農法に取り組んだ事を契機として、現在では2.2haの水田で有機農法と、50aの畑で旬の野菜を常時10種類栽培しており、収穫物は直売所で販売している。また、平成9年からは自然食レストランをオープンさせ、安全・安心な野菜を多く使った健康食メニューを提供している。今後は、有機農法の体験できる農家民宿の経営も検討している。
17 沖縄 伊江村 共生・対流 修学旅行生を対象とした民泊事業
体験型ツアーを希望する本州の学校を平成15年に受け入れたところ、地元に戻った後の生徒の生活態度が改善されたため、継続要望があがり、本格的に観光協会民泊部会で受入れをはじめ、現在農家等82戸が登録している。子ども達はさとうきびの収穫、家畜の世話等それぞれの家庭で作成したメニューに取り組んでいる。受入資質の維持・向上のため作成した会則等のもと、18年には83校、12,000人が参加した。生徒に提供する食事の食材等は家の近くの小売店で買うよう指導しており、地域活性化にもつながっている。

地域活性化 

1 北海道 由仁町 地域活性化 ハーブを利用した地域活性化
由仁町は札幌市や空港に近く比較的良い立地条件であるが、町の知名度が低かったことから、町では平成7年に「ハーブのあるまちづくり」計画を立て、平成13年には植物園や苗販売等を行う施設が開園した。この施設を中心として、町民の中でハーブの勉強や生産を通じた親睦を深める機会が創出され、また、地元雇用の創出や関連産業への効果等、地域経済の振興にも貢献している。
2 福島 いわき市 地域活性化 「そば」を特産作物とした地域活性化
いわき市の三和町永井地区では、平成14年に地区内農家127戸で「地区営農改善組合」を設立し、農用地利用集積等による効率的で生産性の高い農業経営の実現を図るとともに、集団転作のそばを活用した地域活性化の取組を展開している。現在では、転作作物の大半がそばとなり、そばを活用したイベントやそば打ち教室の開催、そばオーナー制度による都市住民との交流とともに構成員がそば屋を開店するなど、農業の高付加価値化を図っている。
3 石川 能登町 地域活性化 直売所や宿泊所を利用した地域活性化
能登空港の建設計画に伴い、地元協議会で新たな地域活性化策として、平成13年に農産物直売所を開設した。16年には加工施設を建設し、直売所で農産加工品の販売を開始した。また、18年には廃校となった小学校を利用した交流宿泊所を設立し、地域の有志が組織するNPO法人が運営を行っている。直売所の売上げは順調に伸びており、地域では、直売所の主要品目である山菜やきのこ等の資源管理に取り組むようにもなった。
4 長崎 大村市 地域活性化 核となる専業農家達による地域農業の活性化
大村市の地域農業活性化を図るため、平成5年に「農業農村活性化協議会」が設立されたが、核となる専業農家が不可欠との結論に至り、平成10年に有志8戸による有限会社を設立した。地元農産物を使った様々な体験ができる拠点施設を中心に、地産地消と地域農業の活性化を目指し、直売所やアイス・パン工房、農村レストラン、収穫体験等様々な取組を行っている。年間44万人が訪れており、長崎県の代表的な体験型農業施設となっている。

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