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農林水産省

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(2)食料消費と食料生産の動向 ア 食料消費の動向

(回復がみられている経済状況のなか、個人消費は低迷)

近年、我が国の経済状況は、13年から続いていたデフレを脱却しつつあり、実質GDP(国内総生産)(*1)の増加率は、17年度で2.4%で4年連続のプラスとなるなど(*2)、経済成長の安定性が高まり、景気の回復がみられる。

しかしながら、勤労者世帯の可処分所得が伸び悩むなか、消費支出も抑えられ、個人消費の低迷がうかがわれる。18年は、将来への不安から貯蓄する傾向の強まりや天候不順の影響等から消費支出は大きく減少し、平均消費性向も5年ぶりに低下している(図1-24)。

*1 [用語の解説]を参照。

*2 内閣府「国民経済計算」。支出側の数値。データ(エクセル:14KB)

(消費支出に占める選択的な支出の割合が上昇し、食料支出の割合は低下)

近年、消費支出のうち、携帯電話や旅行への支出の増加等を背景に、交通・通信費、教養娯楽費(*3)といった選択的な支出の割合が上昇している(*4)。このようななか、消費支出に占める食料費の割合(*5)は、緩やかな低下傾向で推移しており、実質的な食料費も減少傾向となっている。その要因として、食品小売業における業態間の競争激化により、食料品の小売価格が低下していること等から、家計において食料費の支出が抑えられ、その分を選択的な支出に振り向けられる状況となっていることも考えられる。

このようななか、我が国の国民1人1日当たりの総供給熱量は、8年度をピークに現在では、2,573kcal(17年度)となっており(*6)、既に飽和状態に達しているとみられる。

*3 交通・通信費には、自動車等購入費、自転車購入費、自動車維持費、通信費が含まれ、教養娯楽費には、教養娯楽用耐久財費、教養娯楽用品費、書籍・他の印刷物費、宿泊料、パック旅行費、月謝類等が含まれる。

*4 総務省「家計調査」データ(エクセル:17KB)

*5 エンゲル係数。一般的に生活水準が高いほどエンゲル係数は低いとされている。

*6 農林水産省「食料需給表」データ(エクセル:14KB)

(消費品目や消費形態が変化してきた我が国の食料消費)

我が国の食料消費は、高度経済成長期以降の国民所得の伸び等を背景に、量的な拡大とともに食生活の多様化が進展し、消費品目も大きく変化してきた。17年度の国民1人当たりの品目別消費量は、45年前の昭和35年度と比べ、肉類や牛乳・乳製品を含む畜産物は4.3倍、油脂類は3.1倍に増加しているのに対し、米は大きく減少している(図1-25)。

また、消費品目の変化に伴い、我が国の食料の消費形態も変化してきた。「家計調査」における食料関係の収支項目分類の変遷をみると、畜産物や油脂類の消費増加を反映して、食料消費支出への収支項目分類が新設・細分化されており、時代の変遷とともに、食料の消費形態が変化してきたことがうかがわれる(表1-3)。

(食料の消費形態の変化により食料自給率は昭和60年ごろからさらに低下)

このような食料の消費形態の変化は、特に昭和60年ごろにみられた農産物輸入の増大や輸入品目の変化とも関連していると考えられる。

例えば、この時期、果実や肉類等の輸入率が大きく上昇しており(*1)、また、円高の進展による輸入農産物の価格低下等の影響を受け、冷凍調理食品やそう菜といった食品の製造業や外食産業が大きく成長しており(*2)、食の外部化の進展(*3)もみられた。

こうしたなか、我が国の食料自給率(供給熱量ベース)は、昭和60年ごろからさらに低下し、元年度には50%を切り、10年度に現在と同水準の40%まで低下しており、食料の消費形態の変化が食料自給率の低下にも影響を及ぼしているとみられる。

さらに、ファストフードやコンビニエンスストアも定着してきており、食料の消費形態の変化は、ライフスタイルの変化にも影響を及ぼしてきたと考えられる。

*1 図1-12参照

*2 経済産業省「工業統計調査」、(財)外食産業総合調査研究センター「外食産業統計資料集」データ(エクセル:18KB)データ(エクセル:14KB)

*3 このころの食の外部化率は、昭和60年の35.3%が5年後の2年には41.2%と大きく上昇している。

(ライフスタイルの変化とともに夫婦共働き世帯が増加)

食料の消費形態の変化とともに、国民の1日の時間配分も変化しており、仕事、家事といった拘束時間は減少し、レジャー、教養といった自由時間が拡大するなど(*4)、個人の自由、やりがい、生きがいを重視するライフスタイルへと変化してきたことがうかがわれる。

また、女性の社会進出が進展しており、女性の年齢階層別労働力率は年々平準化し、男性の構造に類似してきていることから、就業における男女共同参画の進展がうかがわれる(図1-26)。さらに、夫婦共働き世帯数が増加し、近年では、夫のみが有業の世帯数を上回っている(*5)。夫婦共働き世帯では、夫のみが有業の世帯に比べ、可処分所得が21.5%(18年)多くなるなど(*6)、家計の安定度が増し、経済的なゆとりも生まれている。

*4 NHK放送文化研究所「国民生活時間調査」データ(エクセル:14KB)

*5 総務省「労働力調査」。非農林業雇用者の世帯の数値である。データ(エクセル:15KB)

*6 総務省「家計調査」。農林漁家世帯を除く。データ(エクセル:15KB)

(単身世帯の増加を中心に世帯構造が変化)

ライフスタイルの変化がみられるなかで、我が国の世帯構造も変化してきている。

我が国の一般世帯数は年々増加しており、17年では4,906万世帯となっている(*1)。世帯構造別にみると、夫婦のみ世帯や単身世帯の数が大きく増加し、三世代世帯の数が減少している(図1-27)。

特に、17年の単身世帯が占める割合は、25年前の昭和55年から10ポイント上昇し、一般世帯全体の3割に至っている。地域別には、東京都の一般世帯に占める単身世帯の割合が最も高く、17年で43%となっている(*2)。このような単身世帯の増加等を背景に、一般世帯全体の平均世帯人員数は減少しており、現在では2.5人(17年)となっている。

*1、2 総務省「国勢調査」データ(エクセル:17KB)

(ライフスタイルの変化による食の外部化が進展)

このようなライフスタイルの変化は、国民の食事スタイルにも影響を及ぼしていると考えられる。例えば、食事の支度・片付けの簡便化、時間の短縮化を求める動きや、夫婦共働き世帯の増加によるこれら世帯の可処分所得の増加、平均世帯人員数の減少に伴う家庭内調理のスケールメリットの低下等から、家計における外食や調理食品の利用割合が高まり、食の外部化が進展してきたと考えられる。

また、国民の間に広がる、家庭では味わえないような料理を楽しみたいという美食志向の増大やレジャー・娯楽の種目として外食が定着していること(*3)もその一因として考えられる。

*3 (財)社会経済生産性本部「レジャー白書」。余暇活動の参加人口で外食(日常的なものを除く)は、長年第1位の余暇活動種目であり、レジャー・娯楽の種目として外食は、安定的に高い位置付けとなっている。データ(エクセル:16KB)

(単身世帯における食の外部化の高まり)

単身世帯における18年の年平均1か月1人当たりの食料消費支出は、3万7千円であり、2人以上世帯(2万2千円)の1.7倍となっている(*1)。その内訳をみると、単身世帯では、外食と調理食品で食料消費支出の50%を占め、所得が高い階層ほど外食への支出割合は顕著に上昇し、対照的に食材等の支出割合は低下している(図1-28)。

*1 総務省「家計調査」データ(エクセル:16KB)

(若い世代ほど高い食の外部化)

また、単身世帯では、男女ともに年齢が低い階層ほど外食への支出割合が高くなっている(図1-29)。これは、仕事を含め外出する機会が多い若い世代では、友人・同僚等との交際や美食志向等から外食する傾向がみられ、特に男性では、外食を日常の食事形態としている割合も高いこと(*2)がその一因として考えられる。

一方、60歳以上の階層、特に女性では、食材等への支出割合が過半を超えているが、これは、家事を行っている者が若い世代と比べ多いこと等が関係していると考えられる。

*2 (株)日立情報システムズ「ビストロメイトリサーチ 外食全般に関する実態調査」(17年9月公表)。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県で働き、月に1回以上夕食を外食ですませる20~49歳の男女を対象としたアンケート調査(有効回答数206)。データ(エクセル:14KB)

(今後とも食の外部化は高まる可能性)

今後、単身世帯数は、高齢単身世帯を中心に一層増加することが見込まれており、人口減少局面に入っても、その増加は止まらないことが予測されている(*1)。

このようななか、食の外部化傾向が高い若い世代が、将来、現在の年齢階層が高い世代のように食の外部化傾向が低くなるとは単純には言い切れない面もある。また、単身世帯の増加により一般世帯の平均世帯人員の減少が見込まれること等から、今後、我が国における食の外部化はより進展する可能性が考えられる。

*1 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(15年10月公表)。データ(エクセル:15KB)

(消費者の潜在的な志向に対し食品産業への輸入品仕向割合は上昇傾向)

食に対する消費者の意識・意向をみると、健康・安全志向や手作り志向とともに、国産志向も高くなっており(*2)、国産品を評価する潜在的な志向があることがうかがわれる。

しかしながら、加工食品や外食への輸入品仕向割合をみると、最近では外食への国産品仕向割合が高まる動きもみられるが、総じて上昇傾向で推移しており、加工食品では、輸入された食材・製品が原材料の半分以上を占めている状況にある(図1-30)。

*2 農林漁業金融公庫「中食や外食の利用に関するアンケート調査」(15年8月公表)。全人口の年代構成比に応じて、各年代層から無作為に抽出した1,250名を対象として実施(回収率64.0%)データ(エクセル:16KB)

(食品産業と農業の連携が重要)

食品産業にとって、農業は重要な原材料の調達先であり、また、農業にとっても食品産業は農産物の重要な販売先であるなど、産業の発展を図るうえで互いに重要な存在である。

このため、食品産業と農業が連携を図りつつ、消費者ニーズに即し、国産品の割合を高めていく取組が重要である。食品産業側も、近年、積極的に取り組まれている地域ブランド化への取組に対し、高い関心を示すなど(*3)、原材料に国産品を使用したいという意向もうかがわれる。

このような取組は、食の外部化の進展状況等を踏まえれば、我が国の食料自給率の向上にも寄与するものであると考えられる。

*3 (財)食品産業センター「平成17年度食品企業動向調査」(18年3月公表)。全国食品産業協議会会員450企業を対象としたアンケート調査(回収率70.9%)。データ(エクセル:15KB)

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