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農林水産省

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(2)食料消費と食料生産の動向 イ 食料生産の動向

(昭和60年ごろを境に減少してきた我が国の農業生産)

我が国の農業生産は、経済成長や人口の増加に伴って食料需要が増大するなか、昭和60年ごろまでは拡大してきたが、その後減少傾向に転じ、現在に至っている(図1-31)。

また、農業外の産業への労働力の流出、農地の転用、耕作放棄地(*1)の増加等により、農業就業者数、耕地面積や耕地利用率(*2)は縮小傾向で推移している。

*1 [用語の解説]を参照。

*2 耕地利用率=作付延べ面積/耕地面積×100

(農業総産出額は昭和60年から減少傾向)

我が国の農業総産出額(*3)は、国内需要が増大した畜産物や、米の生産調整等を背景に作付面積が拡大した野菜の産出額が増加するなど、多様な広がりをみせながら増加し、ピーク時の昭和59年には11兆7,171億円となった(*4)。しかしながら、需要が減少している米の産出額を中心に、昭和60年以降、大きく減少している(図1-32)。

*3 [用語の解説]を参照。

*4 農林水産省「生産農業所得統計」

(野菜、果実をはじめ、消費量と生産量のバランスに崩れ)

主要品目別に消費量と生産量の関係をみると、米では、消費量、生産量ともに減少が続いているものの、消費量と生産量が総じて均衡がとれた形で推移している(図1-33)。

一方、野菜、果実では、昭和60年度前後から消費量と生産量にかい離が生じはじめ、消費量と生産量に大きな差がみられる形で推移している。また、肉類や牛乳・乳製品についても、消費量と生産量に徐々にかい離が生じており、近年では、生産量の伸びが鈍化しているなかで、消費量と生産量の差が大きくなってきている。

このように、我が国の農業生産は、野菜、果実、肉類、牛乳・乳製品といった品目について、消費量と生産量のバランスが崩れてきている。

(食生活の多様化に対応できなかった国内農業生産)

消費と生産のバランスが崩れた背景には、我が国の食生活の多様化に伴う食料の消費形態の変化に国内の農業生産が対応できなくなってきたことが一因として考えられる。

特に、昭和60年以降の急速な円高の進展や農産物貿易の自由化の流れのなかで、国産品に比べ、安価で一定量を確保できる輸入品が増加したことは、外食や調理食品の利用が増加してきた当時の食料の消費形態の変化に照応したものであり、国内農業生産の減少にも大きく影響を与えたと考えられる。

(生鮮食品への仕向が多い我が国の農業生産)

国内農業生産が食生活の多様化に対応できなかった要因として、農産物の出荷・流通体制の問題が考えられる。国産農水産物における生鮮食品への仕向割合をみると、昭和55年以降、わずかに減少しているものの、現状においても6割以上を占めている(図1-34)。

このため、生産側は市場での評価を高めるため、出荷時期や規格の調整を優先し、その結果として食品産業の業務用需要に的確に対応できず、食品産業が輸入品の使用割合を高めてきたと考えられる。

(消費者や実需者のニーズを的確に把握した農業生産の展開が重要)

このようななか、今後の農業生産は、時代の変遷とともに変化する消費者や実需者のニーズを的確に把握し、主要な販売先である卸売市場等における販売額の向上に努めていくとともに、食品産業との連携も強化していく必要がある。

また、農産物直売所への出荷、食品製造業・小売業との契約生産、独自の加工品の製造・販売の取組を通じた農業所得の向上を図ることや、輸入品や他地域の産品との差別化を図るための地域ブランド化に取り組むことが重要である。

さらに、近年、グローバル化が進展するなかで、今や市場は国内だけにとどまるものではなく、海外に向けても、我が国の高い栽培技術で生産された農産物等の販路を積極的に開拓していくことも重要である。

(国内農業の発展は国民一体となって取り組む重要な課題)

農業は、食料を供給する役割だけでなく、その生産活動を通じて国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、気候の緩和、文化の継承等様々な役割を有している。

このため、様々な取組から需要に即した農業生産の持続的な発展を通じ、食料自給率の向上と食料の安定供給を確保することは、世界の食料需給の動向や輸入に大きく依存する我が国の食料事情等を踏まえれば、国民一体となって取り組むべき重要な課題である。

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