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農林水産省

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(1)食品の安全確保の取組

(農場から食卓までの安全確保が必要)

安全な食品を消費者に供給するためには、生産段階から消費段階にわたって安全確保の取組を行うことが必要である(図1-44)。

図1-44 生産段階から加工・流通段階にわたる安全確保の徹底

(問題を未然に防止するリスク管理が重要)

食品の安全を確保するには、問題・事故への事後対応ではなく、健康への悪影響を未然に防ぐために、食品、飼料等に含まれる有害物質の毒性や分布の実態を把握して健康への悪影響を最小にするリスク管理が重要であり、これは国際的な共通認識となっている(図1-45)。

このため、17年に「農林水産省及び厚生労働省における食品の安全性に関するリスク管理の標準手順書」が作成され、科学的原則に基づくリスク管理が開始された。この手順書に基づき、ヒ素やアクリルアミド等を優先的にリスク管理すべき有害化学物質とし、食品や飼料中の含有実態の調査が実施されている。これらに基づき、事業者に対する食品生産方法についての指導・助言や、消費者に対する摂食指導といったリスク低減のための取組を行っていくこととされている。

図1-45 リスク分析の枠組み

(残留農薬等のポジティブリスト制度の導入)

これまでの食品衛生法の規制では、残留基準が設定されていない農薬等が食品から検出されても、原則としてその食品の販売等を禁止することが困難であった。

このため、国民の健康保護の観点から、18年5月29日より食品中に残留する農薬等に関するポジティブリスト制度が施行され、残留基準が定められていない農薬等が一律基準(0.01ppm)を超えて残留する食品の販売等を禁止することとされた(図1-46)。

図1-46 食品に残留する農薬等に関するポジティブリスト制度の導入

(生産現場での農薬の適正使用の取組が重要)

ポジティブリスト制度施行前に既に基準が設定されていた農薬については、従来の基準が維持されたため、生産者は従来どおり、適用される農作物ごとに適正に農薬を使用することが重要である。一方、適用されない農作物では、一律基準(0.01ppm)が適用されることがあるため、農薬を散布するときは隣接する他作物に飛散しないよう注意することが必要となる。具体的には、風のないときを選んだ散布、散布の位置と方向への注意、飛散しにくいノズルや農薬の使用、散布後のタンクやホースの洗浄等が考えられる。

引き続き、農薬の飛散低減の取組を推進するなど、農薬の適正使用に向けた、きめ細かな指導の徹底に取り組むことが重要である。また、安全のためのコストは価格に転嫁しづらいとして、農業者の経済的負担のあり方を問う指摘もある。

(GAP(ギャップ)のさらなる普及・推進が重要)

我が国における食品の安全や環境保全等を確保するためには、農業生産工程全体を適切に管理していくGAP(*1)に取り組むことが重要である。GAPは食品安全のみならず、品質や環境、労働安全等にも配慮した生産工程の管理手法であり、生産活動の基礎となる取組である。これを産地・農業者が取り入れ、自らの営農・生産条件や実力に応じて取り組むことが、安全な農産物の安定供給、環境保全、農業経営の改善・効率化の実現につながる(図1-47)。また、生産された農産物の安全性や品質に対する消費者・食品産業事業者の信頼を得るうえでも有効である。

このため、食品安全、環境保全、国際競争力の強化等の課題に効率的かつ効果的に対応していくには、多くの産地・農業者がGAPの手法を取り入れていくことが期待されている。

18年10月現在、42道府県においてGAPの推進体制の整備が進んでいるが、GAPという生産工程管理の考え方と手法そのものが普及の緒に就いたばかりであり、一層の普及・推進が必要である。

*1 [用語の解説]を参照。

図1-47 GAPの枠組み

事例:GAPを導入したトマト生産

埼玉県北川辺町(きたかわべまち)のトマト農家が設立した研究会では、産地として安全な農産物を生産するため、14年からGAPの取組を開始した。水質や土壌中の重金属を検査し、産地のリスクを把握したうえで、作業員の衛生管理や生産履歴の記帳を中心に取組内容をチェックリストにまとめ、構成員がお互いに実施状況を確認している。

安全面だけでなく、品質面からも高水準のトマトとして自信をもって出荷しており、取組が取引先より評価され産地としての信頼向上が図られている。

埼玉県北川辺町作業員の衛生の徹底選果場の使用後の清掃

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