このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

(1)食育の推進 ア 食生活の現状

(食習慣の乱れにより肥満や生活習慣病の増加が顕在化)

食生活は、それぞれの国や地域の気候風土や経済条件のもとで形成される農業生産や食料消費、国民のし好、健康への関心の程度に影響されている。我が国では、ライフスタイルの変化等とも関係しながら、食習慣の乱れや運動不足等による生活習慣病が増加してきた。我が国の死亡原因の6割が生活習慣病に起因し、関連する医療費は10兆2千億円で医療費全体の3分の1を占めている(*1)。

また、健康寿命(*2)の延伸を妨げる「寝たきり」の原因は、その3割以上が、生活習慣病の一つである脳血管疾患となっている(*3)。生活習慣病は、その言葉のとおり日常の乱れた生活習慣の積み重ねで引き起こされ、主に食習慣や運動習慣が密接に関係しているといわれる。我が国では、食習慣の乱れや運動不足等による肥満や生活習慣病の増加に加え、過度のやせ、朝食の欠食、孤食の問題といった様々な問題が顕在化してきている。

*1 厚生労働省「人口動態統計」(15年)、「国民医療費」(15年度)データ(エクセル:15KB)

*2 健康で自立して暮らすことが出来る期間。

*3 厚生労働省「国民生活基礎調査」(16年度)データ(エクセル:20KB)

(欧米に近づく我が国の脂質割合)

主要国の食生活の現状について、供給熱量の栄養素別比率の構成比(PFCバランス、P:たんぱく質、F:脂質、C:炭水化物)を比較すると、フランス、米国等の欧米諸国では、肉類、牛乳・乳製品、油脂類の消費が多いことを反映し、脂質が4割程度を占めている。一方、ベトナム、タイ、インド等のアジア諸国では、炭水化物が7割程度を占める。

我が国では、脂質の割合が3割程度まで増加しており、PFCバランスは欧米に近づきつつある点に特徴がある(図1-52)。また、中国は、近年、経済発展に伴う食生活の多様化等により、脂質の割合が大きく増加し、我が国と似たPFCバランスとなっている。

(栄養不足人口を上回る世界の「太りすぎ」人口)

肥満は、生活習慣病の主な原因となることが認められており、健康寿命を脅かす危険因子といわれている。世界の栄養不足人口が8億人以上となる一方、「太りすぎ」と推計される人口は、10億人以上にのぼると世界保健機関(WHO)により報告されている。

欧米諸国のBMI(*1)が25以上の者の割合は、米国で男性75.6%、女性72.6%と非常に高く、フランスでは男性45.6%、女性34.7%となっている(*2)。また、中国では、男性で33.1%、女性で24.7%である。

一方、我が国の成人の肥満者の割合は、男性で28.4%、女性で20.6%であり、男性では「日本型食生活」が実現していた昭和55年に比べて増加し、30~60歳代の3割に肥満がみられる(*3)。また、子どもの肥満は26年前(昭和55年)と18年を比べると、6歳で2.7%から5.1%、9歳で5.6%から9.7%、12歳で7.4%から11.8%へとすべての年齢層で増加している(*4)。

*1 Body Mass Indexの略。体重を身長の2乗で割った数値で肥満度を示す指標。WHOでは、25以上を「太りすぎ」、30以上を「肥満」と定義し、我が国では、日本人の体質等を踏まえ25以上を「肥満」と定義している。

*2 WHO「Global InfoBase Online」データ(エクセル:15KB)

*3 厚生労働省「平成16年国民健康・栄養調査」データ(エクセル:15KB)

*4 文部科学省「平成18年度学校保健統計調査(速報)」データ(エクセル:18KB)

(我が国でも深刻な問題となっているメタボリックシンドローム)

最近では、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)(*5)が特に問題視されるようになっている。我が国では、40~74歳の男性の2人に1人がメタボリックシンドロームが強く疑われる者または予備軍と考えられる者であり、これらをあわせると約1,960万人にのぼると推定される(*6)(図1-53)。

このように、肥満やメタボリックシンドロームは深刻な問題となっており、その予防には個人の運動習慣、食習慣の改善や禁煙が重要であり、「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」を合言葉に適切な生活習慣を送ることが重要である。

*5 [用語の解説]を参照。

*6 厚生労働省「平成16年国民健康・栄養調査」における16年10月現在の男女別、年齢階級別の40-74歳人口(全体約5,700万人)を用いて推計したものである。

(若い女性に広がるやせ傾向)

我が国では、肥満傾向が広がる一方で、若い女性の間での過度のやせが指摘されている。女性でも、年齢が高いほど肥満やメタボリックシンドロームの割合は高まるが、20~40歳代では20年前(昭和59年)や10年前(6年)に比べ、低体重(やせ)の者の割合が増加し、20歳代では5人に1人がやせで、我が国の特徴的な傾向を示している(*1)。この背景には、外見のスタイルを過度に意識した強いダイエット志向が考えられる。

ダイエットでは、男性が健康管理を主なきっかけとするのに対し、女性では、おしゃれを主なきっかけとするなど、その目的意識は大きく異なっている(*2)。また、女性のうち65%は自分が「太っている」と考えているが、実際にはその84%が低体重か普通体重であること、ダイエットサポート食品を4人に1人が利用していることからも、若い女性が「やせたい」という願望をいだいていることがうかがわれる。

*1 厚生労働省「平成16年国民健康・栄養調査」データ(エクセル:17KB)

*2 キリンお酒と生活文化研究所「ダイエットに関する女性の意識調査について」(18年5月公表)。全国の20歳以上の女性を対象としたインターネット調査(回答総数2,378名)。データ(エクセル:18KB)データ(エクセル:17KB)

(朝食の欠食は子どもの学力、体力に悪い影響)

健全な食生活の実践には、朝食、昼食、夕食をきちんととることが重要である。我が国の朝食の欠食率は、男女とも20歳代で最も高く、男性で3割、女性でも2割となっている(*3)。朝食の欠食は、やる気・集中力の欠如や特定の理由もなく「疲れる」、「いらいらする」を訴えるなどの影響のほか、特に子どもでは、学力や運動への影響も指摘されている。

小学校5年生と中学校2年生に対するペーパーテストの結果(5科目)では、朝食を食べている子どもほど、得点が高い傾向にある(*4)。また、小・中・高校生の体力テストでは、特に、持久力指標の「20メートル往復持久走」において、小・中・高校生のすべてで朝食を食べる子どもが食べない子どもを上回る結果となっている(図1-54)。

子どもが朝食を食べない理由は、「起きるのが遅い」が最も多いが、「朝ごはんが用意されていない」、「太りたくない」も少数だが存在している(*5)。このため、子どもをしつける親に対しても、朝食の重要性の理解を促し、欠食を減らしていくことが重要である。

*3 厚生労働省「平成16年国民健康・栄養調査」データ(エクセル:17KB)

*4 国立教育政策研究所「平成15年度小・中学校教育課程実施状況調査」(17年4月公表)データ(エクセル:16KB)

*5 農林中央金庫「親から継ぐ『食』、育てる『食』」(17年2月公表)、「現代高校生の食生活」(18年3月公表)データ(エクセル:16KB)

(夕食を一人で食べる割合は、中・高校生で3割)

ライフスタイルの変化は、家庭の食事のスタイルを多様化させている。家族の生活の時間パターンが異なり、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでそう菜や弁当を買う中食がふえるとともに、家族が別々の時間にめいめい一人で食べる孤食化もみられる。

一家団らんの機会となる夕食では、ひとりで食べる子どもは小学生では1割にとどまるが、中・高校生では3割となっている(図1-55)。その理由として、塾や部活動で遅くなることがあげられ、子どもの多忙さが考えられる一方で、「いつもみんな好きな時に食べている」や「一人で食べるのが好き」もあげられており、家族で一緒に食べる習慣が薄れてきていることをうかがわせる。

また、家族で一緒に夕食を食べたとしても、食べている最中に携帯電話でメールを行う高校生が1割にのぼるなど、家族とのコミュニケーションが希薄になっていることがうかがわれる(*1)。

*1 農林中央金庫「現代の高校生の食生活」(18年3月公表)。首都20~50kmのドーナツ圏に居住する高校生400名を対象とした自記式留置法による調査。データ(エクセル:16KB)

(社会全体の活力を高めるうえで、望ましい食生活の実現が重要)

国民が健康で充実した生活を送り、健康寿命を延伸するためには、食が大きなかかわりをもっており、野菜の摂取不足、食塩・脂肪のとりすぎ、朝食の欠食の増加等の食生活上の問題を改善することが重要となっている。家族そろって朝食や夕食を食べる機会の減少は、家族団らんの場を減少させると同時に、食事の大切さや食文化、食事の作法等を家庭で教え、学ぶという大切な機会の減少でもあり、あらゆる食習慣の乱れにつながることが懸念される。

特に子どものころの食習慣は、成長してからも習慣として残り、大人になってからの改善が困難ともいわれており、家族や関係する人々の果たす役割が非常に大きい。

このため、子どもから大人までの各世代が栄養に関する基礎的な知識や食習慣を身に付けることが大切である。望ましい食生活の実現は、国民の心身の健康につながり、我が国の社会全体の活力を高めるうえで重要である。

お問い合わせ先

大臣官房広報評価課情報分析室
代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883