このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

(1)食育の推進 イ 食育の推進

(食育への関心の高まり)

現在の食事や食生活について、成人の4割が「少し問題がある」または「問題がある」と考えており、自分の食生活に問題があるとする者のうち食生活の改善に意欲のある者の割合は、成人で6割となっている(*1)。このほか、食育に関心があるとする者は、男性で5割、女性で7割という調査結果もある(*2)。

こうした状況のなか、我が国では、食育基本法が17年6月に成立し、食育の推進を図るための食育推進基本計画が18年3月に策定された。計画では具体的な目標が掲げられ、多様な関係者が連携・協力しながら、国民運動として食育を推進することとされている。こうした食育に関する取組は、我が国のみならず、欧米諸国でも広がっている(表1-6)。

*1 厚生労働省「平成16年国民健康・栄養調査」データ(エクセル:16KB)

*2 食生活情報サービスセンター「食生活指針・食育に関する認知度調査報告書」(18年3月公表)データ(エクセル:15KB)

表1-6 我が国と欧米諸国の食育に関する近年の主な取組

(食事バランスガイドを通じた食育の推進)

食育への関心が高まる一方で、「栄養バランスを考えたいが自分ではわからない」とする国民の割合が、20歳代で4割、30歳代で3割を超えるなど、若い世代で多くなっている(*3)。

我が国では、食生活の改善や健康増進に向け、12年に決定した「食生活指針」を具体的な行動に結び付けるものとして、食事の望ましい組み合わせやおおよその量を簡単に把握できる「食事バランスガイド(*4)」を17年6月に厚生労働省と農林水産省で決定した。

この「食事バランスガイド」を広く国民が活用できるよう、ポスター掲示、交通広告、テレビ番組等での紹介をはじめ、「一般向け」、「太り気味の男性」、「子育て世代」、「一人暮らし」といった対象者別パンフレットの作成や、ゲーム感覚で学ぶことができるホームページ(*5)の作成といった様々な取組を展開している。

*3 (社)日本惣菜協会「2006年版惣菜白書」(18年7月公表)データ(エクセル:17KB)

*4 [用語の解説]を参照。

*5 http://www3.gov-online.go.jp/gov/tsushin_flash/200509/f_food_guide_s.swf

(「日本型食生活」の実践は、食料自給率の向上に寄与)

我が国では、昭和50年代の半ばごろに栄養バランスに優れた「日本型食生活」が実践されていた(図1-56)。これは、日本の気候風土に適した米を中心に多様な主菜や副菜等から構成されている。これに加え、地域の食文化継承等を目的に、地域の農水産物を使用した郷土食を盛り込んだ地域版「食事バランスガイド」を作成・活用する取組も各地で展開され、例えば新潟県では、ごはんを中心にのっぺい汁(*1)といった郷土料理を掲載している(図1-57)。

また、社団法人日本医師会と共催し、生活習慣病予防と「日本型食生活」に関するシンポジウムが開催されるなど、食と医の連携強化に向けた取組も進められている。

「日本型食生活」は、最近の日本食ブームにみられるように、世界から注目される優れた食生活といえる。多くの人々が栄養バランスに優れた「日本型食生活」を実践し、伝統ある食文化を実感することで、食料自給率の向上や食文化の継承につながることが期待される。

*1 主にさといもをはじめ野菜で作る新潟県の代表的な郷土料理。

図1-56 栄養バランスに優れた「日本型食生活」

図1-57 地域版「食事バランスガイド」の例―「にいがた子ども食事バランスガイド」―

米食文化と非米食文化を比べてみれば

米食圏・非米食圏の心筋梗塞の10万人当たり死亡者数(年齢調整死亡率)

「高齢になっても、できる限り元気に過ごしたい。」という思いは国民共通の願いです。しかし、生活習慣病の増加等により、健康寿命の延伸が妨げられています。生活習慣病の主な疾患として、肥満、糖尿病、高血圧症、高脂血症が特に指摘され、これらが重なり合うと、心筋梗塞や脳梗塞等に直結しやすい病気になりやすく寿命も短くなります。

一般的に心筋梗塞は欧米に多く、我が国ではこれまで少なかったのです。これは、WHOの協力を得た調査(*2)によれば、お米を主食にした食生活によると指摘されています。調査では、お米を主食としている米食文化圏とそれ以外の非米食文化圏に区分し(*3)、心筋梗塞の死亡率を比較しています。その結果、非米食文化圏が米食文化圏に比べて肥満も高脂血症も多く心筋梗塞の死亡率は5倍近く高いことが分かりました。我が国では、お米を中心とした食生活が行われてきました。このことが、我が国が世界一の寿命と健康寿命を誇っている一因と考えることができます。

しかし、最近の食生活の多様化等を背景に、肥満や高脂血症、メタボリックシンドロームの増加に伴い、心筋梗塞も増加傾向にあります。このようななか、国民一人ひとりが自らの食生活を見直し、健全な食生活を実践することが重要です。

*2 WHO - CARDIAC Study(25か国61地域を対象)

*3 米食圏を日本及び中国、非米食圏を豪州、ブルガリア、フィンランド、ニュージーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、イギリス、ロシア等とした調査である。

(小売業や外食産業で広がる食育の活動)

「食事バランスガイド」を活用

スーパーマーケット、コンビニエンスストアをはじめとした小売業や外食・中食産業でも、食育に力を入れる取組がみられる。

スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、「食事バランスガイド」のリーフレット配布だけでなく、「食事バランスガイド」を活用して「日本型食生活」が実践できる弁当、レシピの提供を行い、そう菜等の商品が「いくつのサービング(*1)」になるかを示すなど、消費者が「食事バランスガイド」を参考に食生活を送れるよう工夫している。

このほかにも、農業収穫体験と「食事バランスガイド」の学習を組合わせたイベントも行われており、参加者から「テーブルにバランスガイドをおくようになり、子どもが野菜が足りないと子どもがいうようになった。」、「子どもの好き嫌いが減り、何でも感謝して食べている。」といった感想が寄せられ(*2)、食生活を見直す良い機会となっている。

また、レストランでは、外食のメニューは副菜が不足しがちであるため、主菜のサイズを小さくし、副菜(小鉢)や乳製品等を加えるメニューを追加するなど、価格、栄養バランス、おいしさに配慮したメニュー開発の取組も行われている。

*1 サービング(SV)とは、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の各料理区分における1日にとる量の目安の単位。例えば、おにぎり1個(100g程度)やほうれんそうのおひたし(小鉢)は1つ(SV)に相当。

*2 (財)食品産業センター「平成18年度小売業や外食産業等におけるモデル実証事業報告書」

(食や農を学ぶ機会が必要)

食育や健康等への人々の関心が高まる一方で、健康または栄養に関する学習の場が少ない状況にあり、食を学ぶ機会を設ける必要が生じている(図1-58)。

このため、食を生み出す場としての農林漁業に関する理解をはじめ、食や農に関する体験活動を通じて、自然の恩恵や食に関わる人々の様々な活動への理解を深める機会を提供する「教育ファーム(*3)」の取組が全国で展開されている(図1-59)。

今後、食や農へのさらなる理解の増進を図るため、市区町村をはじめ生産者、学校等の関係者が連携しながら、「教育ファーム」を通じた「学びの場」を提供することが重要である。

*3 [用語の解説]を参照。

(心身の健康増進や豊かな人間形成を図ること、生きる力を育むことが重要)

食育の推進は、米を中心に栄養バランスに優れた「日本型食生活」の実践による健全な食生活の実現等を通じて、国民の心身の健康の増進に寄与するとともに、農林漁業の体験等を通じて自然の恩恵や食に関わる人々の様々な活動への理解を深め、豊かな人間形成を図ることに寄与する。また、子どもが食を通じ生きる力を身に付けることにつながると考えられる(*1)。

このため、家庭、学校、保育所、地域等を中心に国民運動として全国での食育の推進が重要となっている。

また、福島県喜多方市(きたかたし)のように構造改革特区を活用した小学校での農業科目の新設や、多様な主体が協力した農業小学校の開校といった様々な取組が行われている。

*1 小学校学習指導要領では、「生きる力」を育むため、元年から小学校1、2年生に生活科が設置されている。

事例:家庭、学校、地域等が一体となった食育への取組

(1)子どもが生きる力を身に付ける教育ファーム「農業小学校」の開校

農業小学校での田植えの様子

長野県須坂市

長野県須坂市(すざかし)では、子どもに農業の厳しさや楽しさを体験させ、たくましい精神力・創造力を身に付け、食べ物への感謝の気持ちを育むため、市と地元の生産者、老人会、地域団体等が協力し、17年4月に信州すざか農業小学校豊丘(とよおか)校が開校された。

農家先生としてボランティア参加した地域の生産者と教育委員会による「農業小学校豊丘校職員会」が、授業内容の策定をはじめとする企画、運営全般に携わっている。毎月2回、土曜日の午前中に米や野菜、特産物等の植付け、草取り、脱穀、収穫といった農作業を行い、年間を通した一連の農作業を体験するよう計画されている。また、地域の伝統行事や伝統文化、伝統食に触れる授業も行っている。こうした年間を通した体験によって、大人や子どもの世代間交流による地域の連帯感を養い、食べ物への感謝の気持ちを学んでいる。

(2)高校生が小学生に伝える食育

高校生による食育講座の様子

兵庫県神戸市

兵庫県神戸市(こうべし)にある(社)兵庫県栄養士会では、小学生への食育を大人よりも年齢の近い高校生が行った方が、児童の関心が一層高まり、また、伝える側もより理解を深めるという相乗効果が期待できるため、18年度から高校生による食育を開始した。教材は高校生自らが作成している。

カリキュラムは、「食事バランスガイド」を活用し、9~11月に行われ、初回と最終回にバイキング形式の食事を行い、食事後に尿検査を実施することにより、食育効果を検証している。結果が数値で示されるため、教える側の高校生にとっても、食育講座のやりがいにつながっている。

この取組は、保護者の同意を得るなどの協力が必要で、武庫川(むこがわ)女子大学、市教育委員会等多様な主体の連携が極めて重要となっている。

お問い合わせ先

大臣官房広報評価課情報分析室
代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883