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農林水産省

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(2)地産地消の推進

(地産地消への関心の高まり)

地産地消は、地域で生産された農産物を地域で消費するだけでなく、生産と消費を結び付け、「顔が見え、話ができる」関係づくりを行う取組であり、各地域で盛んに行われている。こうした取組は、生産者の生産意欲を高めるとともに、全国の消費者の9割が地産地消を意識した日常生活を送るなど、消費者、生産者双方の関心が高まってきている(*1)。

*1 農林水産省「地産地消に関する意識・意向」(19年3月公表)。全国の消費情報提供協力者1,500名を対象として実施(回収率77.7%)。データ(エクセル:15KB)

(購入後の満足度が高い地元産農産物)

地元産農畜水産物に対する消費者の満足度は、味や鮮度は購入前後とも高く、価格や数量については、購入後の満足度が購入前に比べ高くなっている(図1-60)。

(全国に広がる地産地消の取組)

地産地消の取組は、地域一体となった取組が重要である。このため、市町村等を主体として地域の実情に応じた実践的な取組を進めるための「地産地消推進計画」が702地域(18年9月末現在)で策定され、課題解決に向けて積極的な取組が展開されている。19年度には、900地区まで策定市町村等を拡大することが目標とされている。

全国では、地元産農産物の産地直売所や量販店での販売、学校給食や福祉施設での活用、外食産業や農産加工場での活用、宿泊施設等の観光施設での活用等様々な取組が展開されている。例えば、農産物直売所は、全国で1万4千の施設で年間利用者数が2億3千万人となっている(*2)。

また、農家民宿や農家レストランに取り組む農業経営体も多く、利用者は、農家民宿で年間100万人、農家レストランで843万人と、多くの国民が利用している状況にある。

*2 農林水産省「農林業センサス」(17年)

(多様な効果が期待される地産地消)

地産地消には、食や農に関する理解を高め、地域の伝統的な食文化の継承につながる食育の推進、消費者と生産者の「顔が見え、話ができる」関係づくりを通じた地域の活性化、国産農産物の消費による食料自給率向上、農産物の輸送距離が短くなることにより排気ガス削減につながる環境負荷低減等の様々な効果が期待されている(図1-61)。

(活動内容や活動主体によって異なる地産地消の課題)

地産地消は、活動内容によって、地元農産物を消費者に知ってもらう「情報活動」、地元農産物を地域に流通させるための「販売・物流活動」、消費者と生産者が「顔が見え、話ができる」関係をつくるための「交流活動」に分類することができる(図1-62)。

地産地消の活動内容やその主体により課題も異なるが、地域で関係者が一体となった柔軟性や多様性をもつ取組が重要である。

(課題解決に向けた取組事例)

以上のような課題については、地域の創意工夫を活かした取組により、解決に向けた様々な努力が行われている。また、大都市における地産地消は、生産の場としての農地確保等の点で難しい面もあるが、学校給食において食育の理念を取り入れるといった取組が行われている。

事例:地産地消の課題解決に向けた取組

(1)地域の卸売市場を核に、多様な主体が連携する量販店での取組

量販店ごとにカゴ車を活用

福井県越前市

福井県越前市(えちぜんし)では、地元卸売市場を核として、南越地区管内3つの農協、13の生産部会(個人52名、団体23組織)で構成される出荷組織が設立され、行政、普及指導センター、消費者グループ等多様な主体が連携し、地元量販店での地元産コーナー設置による直売システムを構築した。推進に当たっての様々な課題を、以下のように克服している。

こうした取組は、地域全体の活性化につながっているが、今後は卸売市場のノウハウをいかに活用して、学校給食用食材を供給するかが課題となっている。

(2)都市ならではの地産地消の取組

こまつなを使用した学校給食

東京都江戸川区小松川

こまつなは、東京都江戸川区小松川(えどがわくこまつがわ)で江戸時代から作られている伝統野菜である。消費地に近いという地の利を活かし、直売所での販売のほか、高級デパートの食料品売り場をはじめ、味にこだわる顧客をつかんでいる。

また、東京の伝統野菜を地域に残そうと、JA東京スマイル江戸川地区青年部や区の学校栄養士等が連携し、地域の小学校の給食への導入や農業体験にも取り組んでいる。

なお、東京都では、18年9月に東京都食育推進計画を策定し、市区部の近隣に農地が少ない場合でも、食の生産現場を身近に感じることができるよう、都内産食材を利用でき、かつ生産者と交流できる学校給食を支援する取組が計画されている。数量や品目が少ないなかでも、食育の理念を取り入れた都市ならではの地産地消が期待されている。

(多様な主体が役割を発揮した地産地消による食料自給率の向上)

地産地消の取組は地域で草の根的に大きな広がりをみせてきているが、一時の流行で終わることがないよう、これまで関係の薄かった農業団体や教育機関、栄養士等の多様な主体が連携しながら役割を発揮することが重要である(図1-63)。

このため、地産地消のさらなる推進に向け、優良事例の収集・提供による情報・ノウハウの提供、地産地消の中心的役割を果たす地域リーダーや、連携のためのコーディネーター等の人材育成、地産地消の新たなモデルとしての優れた拠点施設整備への支援が必要である。

こうした取組により、地元農産物をはじめ国産農産物を選択する機会の提供と消費者の地域農業についての関心の向上、食料自給率の向上への寄与が期待される。

図1-63 地産地消活動における多様な主体による連携のイメージ(学校給食の場合)

事例:多様な主体が連携し、地元産小麦100%の給食パンを導入する取組

十勝産小麦100%の給食パン

北海道帯広市

北海道十勝(とかち)地域の帯広市(おびひろし)は、全国有数の小麦の産地であるが、地元ではほとんど流通していなかった。このため、市や教育委員会、給食センター、生産者、製粉業者、製パン業者、PTAが連携し、十勝産小麦の給食パンの導入に向けた検討を行った。

15年度に市内の小・中学校へ十勝産小麦50%の試作品を提供し、消費者向け試食会を開催するなど、改良を重ね、18年度には十勝産小麦100%の給食パンの供給が可能となった。

現在、市内の全小・中学校(41校)の1万7千食分が年間120回提供され、約80トンの十勝産小麦が消費されている。児童・生徒に対し、十勝産小麦や我が国の食料自給率を解説したチラシを配布する食育も始まっている。パン用品種の開発、生産量や価格の調整といった課題を克服し、食料自給率向上の観点からも効果が期待されている。

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