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農林水産省

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(4)環境保全型農業の推進

(農業の環境への負荷の低減を図るため環境保全型農業を推進)

農業の生産性は、機械化、生産基盤の整備、品種改良等が推し進められたほか、化学肥料や農薬の施用等により、大幅な向上が図られてきた。一方、耕畜連携の後退や労働力不足等に伴い、たい肥等の有機質肥料から施肥労働負担が少なくて済む化学肥料への依存度が高まるなか、過度の効率追求や不適切な資材利用・管理により、農業生産活動が環境への負荷を与える場合もある(図2-74)。

このため、農業のもつ自然循環機能の維持増進を図り、持続的な生産活動を推進するとともに、環境への負荷の低減を図るため、環境保全型農業の取組が推進されている。

(すべての営農類型で環境保全型農業の取組が進展)

17年の環境保全型農業に取り組んでいる販売農家数(*1)は、91万9千戸と5年前より83%増加しており、販売農家全体に占める割合も47%と、5年前より25ポイントの増加となっている。また、野菜を中心にすべての営農類型で取組が進展している(図2-75)。

*1 農林水産省「農林業センサス」。図2-75の注釈参照

(エコファーマーの認定件数も増加)

いわゆるエコファーマー(*1)も着実に増加しており、18年度(9月末現在)の認定件数は11万1千件と前年度より13%の増加となっている(図2-76)。

また、有機JAS規格の基準を満たし、有機農産物として格付けされた農産物の国内生産量も増加してきており、17年度は4万8,172トンと前年度より1.6%の増加となっている(図2-77)。さらに18年12月に有機農業の一層の推進に向けて、「有機農業の推進に関する法律」が成立し、19年4月に有機農業の推進に関する施策等を定めた基本方針が決定された。

こうしたなか、1ha当たりの化学肥料需要量は近年横ばいで推移しているが、過去20年間では緩やかな減少傾向にあり、また、農薬出荷量は減少の一途をたどっている(図2-78)。

*1 「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」に基づき、たい肥等による土づくりと化学肥料、化学合成農薬の使用の低減に一体的に取り組む計画(持続性の高い農業生産方式の導入に関する計画)を提出して、都道府県知事より認定を受けた農業者の通称。

(環境保全型農業の実現に向けた様々な技術の普及・定着を推進)

農業のもつ自然循環機能を活かし、生産性との調和等に留意した環境保全型農業の実現に向けて、様々な技術が導入されている(図2-79)。

図2-79 環境保全型農業技術の例

事例:環境に配慮した農業技術の実践の取組

局所施肥の様子

石川県加賀市

石川県加賀市(かがし)のJA加賀ブロッコリー部会では、消費者の安全志向の高まりや産地間競争の激化に対応するため、14年度からブロッコリー栽培において、環境と調和した持続的な農業生産方式((1)土づくり、(2)化学肥料低減技術、(3)化学農薬低減技術)を導入する取組を始めた。16年3月には、部会員40名全員で「石川県エコ農業者」の認定を受け、産地全体での取組を進めてきた。

具体的には、土づくりとして、前作のすき込み、たい肥の施用、緑肥作物(ソルゴー等)の導入を行っており、新たに食品残さたい肥の投入による資源の循環型農業も試験的に取り組んでいる。また、化学肥料低減技術として、緩効性肥料の施用を行っており、苗箱施肥や局所施肥等の新技術の導入により化学肥料を慣行栽培から3割減らす試験も実施している。さらに、化学農薬低減技術として、生物農薬を使用するとともに、非散布型農薬である性フェロモン剤による防除試験、フェロモントラップを利用した害虫の発生状況に応じて防除を実施している。

(環境に配慮した農産物の購入ニーズ)

環境保全型農業の取組の広がりの背景には、環境に配慮した農産物への消費者の購買ニーズがある。環境に配慮した農産物の購入に関する消費者の意向をみると、「購入したいと思う」が63.2%、「どちらかといえば購入したいと思う」が35.4%と、合わせてほぼ10割の者が購入したいと考えている(*1)。

また、その理由として、「安全で健康にもよいと思うから」に次いで、「環境に配慮した農業をしている生産者を応援したいから」となっている(図2-80)。

*1 農林水産省「農産物の生産における環境保全に関する意識・意向」(18年2月公表)。図2-80注釈参照データ(エクセル:15KB)

図2-80 消費者が環境に配慮した農産物を購入したいと思う理由(複数回答)

(労力負担増が課題)

一方、こうした農産物の生産について、農業者は、労力負担の増加、収量の減少や品質の低下、生産資材コストの増加等を問題点としてあげている(図2-81)。

図2-81 農業者が環境に配慮した農産物の生産に取り組むうえでの問題点(複数回答)

(農地・水・環境保全向上対策を契機とした点から面への取組拡大が重要)

今後、環境保全型農業の取組をさらに推進していくためには、このような農業者のかかえる問題点の解決に努めるとともに、特定の農業者による点としての実践から、複数農業者、さらには集落・地域全体の取組による面的拡大への進展を図ることも重要である。

このため、経営所得安定対策等大綱に基づき19年度より導入される「農地・水・環境保全向上対策」を契機として、環境保全型農業の面的な取組の拡大が図られることが望まれる。

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