このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

(2)農業集落の動向 イ 鳥獣被害の状況

(中山間地域を中心に被害が深刻な鳥獣被害)

近年、中山間地域を中心に鳥獣被害が深刻な状況にあるが、これらは集落の過疎化・高齢化による人間活動の低下、えさ場や隠れ場所となる耕作放棄地の増加、少雪傾向に伴う生息域の拡大等が影響していると考えられている。また、狩猟者の減少や高齢化が進んでおり、その影響についても懸念されている(図3-7)。野生鳥獣による農作物への被害額はおよそ200億円で、その6割が獣類、4割が鳥類によるものであり、獣類では9割がイノシシ、シカ、サルによるものである(図3-8)。

また、農業者の生産意欲の低下等により耕作放棄地が増加し、これがさらなる被害を招くという悪循環が生じており、被害額として数字に現れる以上の影響を及ぼしている。さらにドングリの不作な年には、農地や民家近くに出没したクマに遭遇した農業者や地域住民等が襲われるケースも発生しており、住民の生活にまで影響を及ぼす問題となっている。

(関係機関の支援による地域一体となった総合的取組が重要)

農作物等への被害を防止するためには、人の日常の活動域に野生鳥獣が入り込まないよう棲み分けを進める必要があり、捕獲による個体数の調整、里山の管理や緩衝地帯の設置等による生息環境の管理、鳥獣を引き寄せない営農管理や侵入防止柵の設置等による被害の防除を総合的に実施していくことが重要である(図3-9)。こうした対策の実施に当たっては、各地域において地域住民が一体となって取り組むことが重要であり、国、都道府県、市町村や関係団体が連携を図りながら、これらの取組を的確に支援、推進する必要がある。こうした観点に立って、国においては、個体数調整を的確に行うための計画の策定支援、技術指導者等人材の育成、効果的な被害防止技術の開発、侵入防止柵の設置の支援等を行っている。

(地域により工夫を凝らした対策が進展)

地域においては、耕作放棄地への牛等の放牧、犬を活用したサルの追い払いといった取組や、農家や狩猟者が鳥獣害対策を目的として新たな特定非営利活動法人(NPO法人(*1))を設立するなど、地域住民の知恵・経験や研究成果に基づく新たな知見等を活かした様々な取組が行われている。

*1 「用語の解説」を参照。

事例:鳥獣害対策の取組事例

(1)家畜放牧による耕作放棄地の管理(滋賀県木之本町(きのもとちょう)のほか、同様の取組を島根県、山口県で実施)

長野県大町市、滋賀県農業技術振興センター(安土町)、滋賀県木之元町、滋賀県近江八幡市、東京都あきる野市、三重県大台町

山際の耕作放棄地1haを刈り払い、フェンスと電気柵を設定し、繁殖和牛(13~18年)、羊、ヤギ(13~14年)を放牧し耕作放棄地が解消されたことで、イノシシ、サルの農地への出没がほぼみられなくなった。

放牧による耕作放棄地の管理(土地利用のイメージ)

(2)犬(モンキードッグ)を活用したサルの追い払い(長野県大町市(おおまちし))

17年から、集落で飼われている適性があると思われる犬を選抜してサルを追い払う訓練を行い、群れが集落周辺に出没・接近した際、飼い主や住民とともに追い払いを実施し、効果をあげている。

(3)農地と山林の遮断と、緩衝地帯を利用した山菜栽培(滋賀県近江八幡市(おうみはちまんし))

緩衝地帯の設置状況

農地に接する山林等の間に、奥行き20~50メートルの幅で緩衝地帯を設置(16~17年)することにより、イノシシが農地に侵入しにくくなった。緩衝地帯には山菜等の栽培や羊の放牧により、設置後の管理を行っている。

(4)獣害を受けにくい農作物(忌避作物)の作付け(滋賀県農業技術振興センター)

イノシシ、サルがし好的に嫌う農作物(例えば、トウガラシ、ミント、シソ)を13年度から被害調査により選定した。これらの品目の一部は防護柵と複合的に組み合わせることにより、一定の被害軽減効果を実証した。

(5)ボランティアの協力による取り残し果実の除去(東京都あきる野市(のし))

ボランティアによるゆずのもぎ取り

価格の低迷や高齢化によって、取り残したゆずが農地に鳥獣を引き寄せる誘因となっていることも考えられたため、16年よりボランティア(現在、年間30人程度が参加)の協力を得て、収穫やせん定を行い、都内の浴場組合への出荷やゆずジュースへの加工販売等を行っている。

(6)NPO法人設立によるサルの接近警戒(三重県大台町(おおだいちょう))

農家、行政職員、狩猟者等で猿害対策のための任意団体(現在NPO法人)を15年に組織し、約100名の会員へ、電波発信機を装着したサルの群れの位置情報を電子メールで一斉配信している。自分の集落へのサルの接近を知った会員は、ロケット花火等を用い一斉に追い払いを実施している。

お問い合わせ先

大臣官房広報評価課情報分析室
代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883