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農林水産省

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(2)食と農の連携を通じた農業・農村経済の活性化

(食農連携の強化が地域の農業や経済を活性化させるうえで重要)

地域の農業や経済の現状を踏まえると、その活性化のためには地域内の農業と食品産業との連携強化が重要と考えられる。食と農の連携強化は、農家にとっては地元の食品産業に対して農産物の販売を拡大できるという利点がある。また、食品産業にとっては地元の食材を調達することにより、競争相手との差別化が図られ、消費者への訴求力も高まる利点が生じる。さらには、食品産業と農業が連携強化によって相互に活性化すれば、地域経済全体の活性化も期待できる(表3-2)。

表3-2 食農連携の優良事例

(地域資源の活用をはじめとする食農連携の重要な要素)

このような食農連携の優良事例をみると、いずれも地域の特色を活かした個性的なものであるが、各事例に共通する要素を見出すこともできる(表3-3)。食農連携を通じて地域の農業・経済を活性化させるためには、これらの要素が重要であると考えられる。

表3-3 食農連携の優良事例にみられる共通の要素

(数量調整や仕入時期といった制約が食農連携を阻害)

食品製造業者を対象にした調査によると、国内農家との契約による原材料調達に取り組んでいない業者は44%であった(*1)。このような業者は、数量調整や仕入時期、価格、品質に関して制約があることや、こうした制約を乗り越えるために農家と交渉を行うことも煩雑であることを食農連携に取り組まない理由としている(図3-16)。

このため、食農連携の推進には、食品製造業者のニーズに農家が対応していく努力が必要である。その際、農家の意欲を引き出すために、業者のニーズに対応することが農家の収入増加につながるような連携の仕組みを工夫することが重要となる。その一方で、食品加工機械の開発・改良により、食材の数量や仕入時期、価格、品質面での制約を緩和することも課題となってくる。

*1 (財)食品産業センター「平成17年度食品企業動向調査」(18年3月公表)。データ(エクセル:16KB)

事例:農家の意欲が刺激され、地元の和菓子業者との食農連携が好調

岐阜県恵那市

超特選栗と栗きんとん

くりの産地として有名な岐阜県恵那市(えなし)では、くりを使った和菓子製造業が古くから盛んであったが、近年では安価な他地域産のくりが和菓子業者に調達されるようになっていた。そこで、6年に地元の21人の農業者と和菓子業者が連携し、地元産のくりだけを使った栗きんとんの再興に取り組み始めた。

8年には農業者と和菓子業者は契約制を採用し、くりの品質に関して両者が話合いのうえ厳しい基準を設定した。また、これを満たした超特選栗は通常の2倍の価格で和菓子業者に全量買い取られる仕組みとした。この仕組みが農業者の意欲を刺激して、超特選栗の生産量は8年の38トンから17年には104トンとなり、和菓子業者と契約する農業者数も18年には80戸にのぼっている。和菓子業者にとっても、高価なくりの全量買取は高くつく一方で、素材にこだわった栗きんとんは地元を中心に人気商品となっており、売上高は8年の7億円から17年には15億円へと拡大している。

(食農連携は農業や関連産業の生産を誘発し、従事者の所得や消費も拡大)

食農連携の強化が、地域の農業や経済にもたらす効果について、食品製造業が食材の調達において地元産の割合を高めたと仮定し、当該地域のGDPに及ぼす影響を試算した。この場合、当該地域の農林水産業の生産が増加するだけでなく、農林水産業の生産の増加に伴って生産資材製造業等の関連産業でも生産が誘発される。さらに、農林水産業や関連産業の従事者には追加的な所得が発生し、これらの人々の消費も拡大することになる。

以上の効果を総合すると、食品製造業や農林水産業の比重が高い地方圏では、当然ながら相対的に大きな効果が現れるという結果になった。また、同様に、食品製造業による地元産原料の調達割合が高まるにつれて、経済効果も拡大する結果となった(図3-17)。

なお、今回の試算は、食品製造業が農産物の調達について地元産の割合を高めることだけを仮定している。地元の農産物を活用した商品が人気商品に育つようになれば、商品の販売増加に伴う食材調達の量的拡大を通じて、経済効果はさらに増幅されると考えられる。

(多様な主体との連携も重要)

農業と食品製造業との連携以外にも、小売業等の多様な主体との連携も地域の農業や経済の活性化に資すると期待できる。例えば、千葉県木更津市(きさらづし)では、市街地の商店街に空き店舗が増加し、市街地住民は食料品等の買い出しにも不便を感じるようになっていたところ、商店街が空き店舗を活用して、近隣農家の生鮮野菜や地元農産物にこだわった弁当・そう菜等の販売を始めた。この結果、市街地住民にとっては不便さが解消され、商店街にとっては客足が戻り、農家にとっては販売先が確保できるといった効果が現れている。

食農連携には様々な障害があることは事実であるが、その一方で多様な効果が期待されることから、様々な障害を克服して連携の成果をあげていくことが重要である。

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