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農林水産省

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(3)農地・水・環境保全向上対策の取組

(19年度より本格導入される農地・水・環境保全向上対策)

農地・農業用水等の資源や農村環境は、農家を主体とする集落の共同作業を中心に維持保全が図られ、農業の多面的機能の発揮にも深くかかわっている。しかしながら、過疎化、高齢化、混住化等の進行に伴う集落機能の低下により、その適切な保全管理が困難となってきており、ゆとりや安らぎといった国民の価値観の変化等を踏まえ、その保全管理を図るための対応が必要となっている。また、これら資源を基礎として営まれる農業生産活動については、環境問題に対する国民の関心が高まるなかで、我が国農業生産全体のあり方を環境保全を重視したものに転換していくことが求められている。

このため、国民共有の財産である農地・農業用水等の資源と、そのうえで営まれる営農活動を、一体として、国民の理解を得つつ、その質を高めながら将来にわたり保全していくため、19年度から「農地・水・環境保全向上対策」が実施される(図3-23)。

なお、本対策では、地域の実情を踏まえた取組が適切に支援できるよう、国と地方公共団体が緊密な連携のもと一体的に事業を実施する仕組みとされた。このうち、地方の財政負担については、所要の財政措置が講じられている。

(対策のモデル的実施では多様な主体の参画が促進)

19年度からの「農地・水・環境保全向上対策」の実施に向けてモデル的取組が行われた地区では、農業者、農業関係団体だけでなく、自治会、町内会、学校、PTAといった多様な主体の参画が促進されている(図3-24)。

(多様な主体の参画で地域環境の保全向上活動の幅に広がり)

多様な主体の参画の促進により、地域環境の保全向上のための活動の幅が広がる傾向がみられる(図3-25)。例えば、学校やPTAの参画により、子どもを中心とした生物の生息状況把握や景観形成のための植栽等の取組割合の増加がみられる(*1)。

*1 農林水産省「農地・水・農村環境保全向上活動支援実験事業」(18年)データ(エクセル:18KB)

(対策の本格導入に向けた取組が進展)

19年度からの「農地・水・環境保全向上対策」の本格的な導入に向けて、現在、18年度にモデル的な支援を受けている地区の取組状況に関し、地区間の情報交換が行われるなど、施策の普及・啓発が進められている。

本対策の導入により、多様な主体の参画した活動組織が中心となって、効果の高い地域共同の取組が全国で行われることとなり、地域活性化に資する幅広い活動の展開が図られることが期待される。

事例:モデル地区における資源保全向上に向けた取組状況

(1)地域資源を活用した地域環境保全や環境保全型農業の取組

活動が行われている用水路

鹿児島県姶良町

鹿児島県姶良町(あいらちょう)の水田地帯の集落では、高齢化や混住化が進むとともにホタルがみられなくなるなど、昭和40年代まで有していた地域の豊かな自然が失われていった。このため、昔の自然を少しでも取り戻そうと、集落の農業者、地域住民を含めた自治会青壮年部が中心となり、12年に新たな活動組織を発足させた。現在、自治会等と連携した農地、農業用水路、農道の保全活動に加え、(1)ホタルの保全活動に取り組むホタル部会、(2)景観と地力の回復のため遊休地でレンゲを栽培するレンゲ部会、(3)地域の特産品である竹を活用した竹炭による水質浄化を図る竹炭部会・池部会、(4)農薬を使用しない米の栽培等に取り組む米作り部会が、地域の環境保全のため多岐にわたる活動を展開している。また、レンゲの花が咲く春先には、ウォーキングのイベントを開催するなど、地区内外の交流促進にも取り組んでいる。今後は休耕田の解消を目指すなど活動の幅を広げ、地域の活性化にも取り組み、将来は若者の地区内での就農につながればと考えている。

(2)メダカの保全活動を契機とした地域住民によるNPO法人設立の取組

子どもによる施設の保全活動

山形県庄内町家根合地区

山形県庄内町家根合(しょうないまちかねあい)地区では、ほ場整備に当たって農業用水路にすむメダカの生息環境が失われることが危ぶまれていた。このため、小学生がメダカを保全しようと活動を始めたのを契機に、学校、町、集落を巻き込んだ議論となり、ついには地域全体を動かし、地域住民の参画による整備構想が練り上げられ、ほ場整備とあわせて住民参加の自主施工によりメダカ保全池等が設置された。これらの施設や周辺の花壇の維持保全のため、15年に地域住民によるNPO法人が設立され、これらの活動は、地域のコミュニティ活動の活性化、活動を通じた地域の連帯感の醸成といった様々な効果をもたらしている。

将来の地域環境保全にかかわる関係者の話し合いを通じ、NPO法人のほか地域の様々な関係組織が参画した幅広い組織が立ち上げられ、役割分担しながら農地、農業用水路、農道や農村環境等の地域資源の保全に取り組んでいる。

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