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農林水産省

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(2)都市と農村の共生・対流の一層の促進 ウ グリーン・ツーリズムの促進と農業・農村体験学習等への取組

(農業・農村に多様なニーズを有する都市住民)

都市住民は、農業・農村とのかかわりに関し、ゆとりや安らぎへの志向とともに、安全・新鮮でおいしい農産物に対するニーズが高い(*1)。また、農作業や農村の生活・文化の体験や農家の人たちと交流するなど、年齢層や個人の志向等により多様なニーズが存在している。

*1 (財)都市農山漁村交流活性化機構「交流意向調査」(18年2月調査)。P17図の注釈参照データ(エクセル:16KB)

(地域の創意・工夫による取組が進むグリーン・ツーリズム)

都市と農村の共生・対流を一層促進させるためには、多様な都市住民のニーズを踏まえ、地域の特色のある地域資源を活用した魅力ある交流体験プログラムを提供するなど、経営感覚をもちつつ、魅力ある地域の創造に取り組んでいくことが重要である。

最近では、廃校や遊休農地、使われなくなった公的施設を、個性ある新たな価値観で掘り起こし、交流資源として活用するなどの取組がみられる。

また、健康への意識の高まり等を踏まえ、地域の温泉や食材、自然等を活用して、健康増進を核とした体験プログラムにより、グリーン・ツーリズムの推進に取り組んでいる事例もみられる。

事例:地域資源を活用し健康増進をテーマとしたグリーン・ツーリズム

地元食材の野外昼食風景

秋田県鹿角市大湯地域

秋田県鹿角市大湯(かづのしおおゆ)地域では、医療機関を中心に農家や温泉旅館、牧場等が連携し、地域を一つの健康院に見立て、地域資源を活用しつつ、参加者がストレスを解消し、いやしを受けられる健康プログラムを用意している。プログラムは、地元食材を用いた食事、そば打ち体験や農作業体験、温泉浴、森林浴、医療スタッフによる健康チェック、健康講話等を組み合わせたメニューとなっている。16年から定期的にモニターツアーを開催しており、今後も継続することで健康院の定着を目指していくこととしている。

(規制緩和を活用した農林漁家民宿開業の広がり)

農山漁村に滞在する際に利用できる農林漁家民宿は、開業、運営等に関する様々な規制緩和の実施のもとで開業の動きが広がっており、全国で3,671軒に達している(*2)。

なかでも、農林漁業体験の提供等を行い、グリーン・ツーリズムの推進に中心的な役割を果たすと考えられる農林漁業体験民宿は、「農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律」の改正(17年12月施行)により、登録要件の明確化や、農林漁業者と連携してサービスを提供する非農林漁家が営む宿泊施設も登録が可能になるなど、登録制度の見直しが行われ、普及、利用の促進が図られている。

*2 農林水産省「農林業センサス」(17年)、「漁業センサス」(15年)

(多くの国民が農業・農村体験学習の必要性を認識)

世論調査によると、89%の国民が学校は子どもへの農業・農村体験学習に取り組むべきであると考えている(*1)。小・中学校の農業体験学習は、小学校の79%、中学校の33%で実施されているが、現在、農業体験学習を実施している小・中学校では、時間の不足、学校や教師の農業に関する技術・情報の不足を課題とする学校が多い。未実施の学校ではこれらに加え、農園の確保を課題としている(図3-40)。また、小学校の教師への調査によると、収穫の喜びがあることに加えて、子どもが自然や生きもの、食について関心・興味をもち、理解を深める機会となることについて、8割以上が農業体験学習の教育的効果を評価している(*2)。

このようななか、小・中学校で、農山漁村に1週間程度滞在して農業の体験学習を行うセカンドスクール等を実施して、成果をあげている事例もみられる。

*1 内閣府「都市と農山漁村の共生・対流に関する世論調査」(18年2月)。P169図3-35注釈参照データ(エクセル:21KB)

*2 (独)農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所「農業体験学習の取り組み方と教育的効果の関連性に関する分析」(18年6月)データ(エクセル:17KB)

(農業・農村の有する福祉機能を活用した取組も進展)

農業・農村における様々な体験や活動等を通じ、人間性の回復、障害者の機能回復や社会復帰への支援、高齢者の介護予防等、福祉にかかわる様々な効果を期待した取組が行われている。また、健康と医学・農業のかかわりに着目し、大学と地域の連携による新たなビジネスモデル構築の取組もみられる。

そのほか、NPOを中心に、若者を一定期間農村に派遣し、農林業活動や地域活動等を通じて、自己の生き方をみつける機会を提供する試みも、成果をあげている。

事例:大学と市が連携し、薬草による農業・環境・医療への意識啓発と地域農業振興を図る取組

取組が行われている薬用植物園

神奈川県相模原市

北里大学は、農医連携の理念のもとに、神奈川県相模原市(さがみはらし)と提携して、遊休農地を活用した薬用植物園の指導を行っている。ここでは、市民向けの薬草栽培体験、講習、相談対応、シンポジウム等による薬草栽培の啓発・普及を行うほか、研究成果を応用した栽培技術や加工・流通システムの開発など、新たなビジネスモデルの創出に取り組んでいる。大学で生まれた技術や知見を応用した活動を通じ、市民の地域農業への関心や「農業・環境・医療」の連携への意識が高まり、地域農業の振興に成果が期待されている。

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