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農林水産省

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(2)食料自給率の向上と安全な食料の安定供給 ア 食料自給率の向上と日本型食生活の実現に向けた取組

(食料自給率は国内の食料消費が国内生産でどの程度賄えているかを示す指標)

食料自給率とは、国内の食料消費が国内生産でどの程度賄えているかを示す指標であり、食料の安定供給という観点から一般的に供給熱量ベースの食料自給率が用いられている。ただし、野菜や果実は比較的低カロリーであり、また、畜産物は輸入飼料により生産された熱量を国産供給熱量に算入しないこととされているため、供給熱量ベースでは自給率が低く算出される。このようなことから、国内生産動向を適切に捉える指標として生産額ベースの自給率も有用である。また、品目ごとに重量ベースで表す品目別自給率も算出されている(図2-14、2-15)。


(2006年度は9年ぶりに自給率が低下)

我が国の食料自給率は、長期的に低下傾向で推移している。供給熱量ベースでは1965年度の73%から33年後の1998年度には40%まで低下し、以後8年連続で横ばいで推移していた(図2-16)。しかし、2006年度には主に天候不順の影響等による砂糖類、いも類・でんぷん、みかんをはじめとした農産物の生産量の減少や、米の消費量の減少から、1ポイント減少し、39%となった。


(我が国の食料自給率は主要先進国のなかで最低水準)

主要先進国のなかでみると、我が国の食料自給率(供給熱量ベース)(*1)は最低の水準にある(図2-17)。穀物自給率(重量ベース)も、世界175の国・地域の125番目であり、人口が1億人以上の国(*2)のなかでは最下位となっている(2003年)。
*1 食料自給率には、全国ベース以外にも都道府県別食料自給率([用語の解説]を参照)も算出されている。
*2 中国、インド、米国、インドネシア、ブラジル、パキスタン、ロシア、バングラディシュ、日本、ナイジェリア、メキシコの11か国である。 データ(エクセル:20KB)


英国の食料自給率の動向

英国では、我が国とは逆に、食料自給率(供給熱量ベース)が40年間で27ポイント向上しています。

この要因としては、生産面では、1.平坦地が多いことから、効率的な農業生産が可能だったこと、2.フランスやドイツといった他のEC諸国より競争力が高かったこと、3.EC加盟により農産物価格支持と国境措置による手厚い保護を受けることとなったこと、4.我が国には冬期間や梅雨等の生育条件上の制約があるのに対して英国ではそうした制約がなく、また、品種改良等により主要穀物である小麦の単収が大きく向上したこと等があげられます。

消費面では、我が国と異なり、小麦、畜産物を中心とした食生活が大きく変化しなかったことがあげられます。


(食生活の変化が食料自給率の長期的な低下に影響)

食料自給率(供給熱量ベース)の長期的な低下は、国内で自給可能な米の消費量が減少する一方、国内生産では供給困難なとうもろこし等の飼料穀物の必要な畜産物や、油糧原料(大豆、なたね)を使用する油脂類の消費が増加するなど、食生活が大きく変化したことが主に影響している。

国民1人1日当たりの供給熱量を1965年度と41年後の2006年度で比較すると、供給熱量は2,459kcalから2,548kcalとわずかに増加したなかで、米の割合が大きく低下する一方、畜産物や、油脂類の割合が上昇している(図2-18)。


(米の消費量は半減、畜産物や油脂類の消費量は大きく増加)

これを品目別の食料消費量の変化でみると、米の消費量は1962年度のピーク時から2006年度には半減している。その一方で、畜産物と油脂類の消費量が大きく増加し、1960年度に比べて、それぞれ4.3倍、3.4倍にまで増加している(図2-19)。

また、食の外部化が進展するなかで、外食・中食(*1)や食品加工業等の実需者における加工・業務用需要の高まりに、国内生産が十分に対応できていなかったことも、食料自給率の低下に影響していると考えられる(図2-20)。
*1 [用語の解説]を参照


過去30年の食料の消費形態と国民生活の変化

1975年以降の30年間の食料の消費形態の変化を、総務省「家計調査」でみると、食料全体(調理食品や外食を含む)の支出が伸び悩むなか、調理食品や外食への支出が大幅に増大していることがわかります。このうち、外食への支出は、近年、横ばいないし減少傾向となっている一方、調理食品への支出は近年も緩やかに増加しています。

また、同じ期間には、国民の1日の時間配分も変化してきました。仕事や家事に従事する時間が減少し、レジャー・教養といった自由時間が増加しています。また、共働き世帯や単身世帯の増加といった世帯構造の変化もみられました。

今後、少子高齢化の進展に伴う国民生活の変化が予想されますが、それが食料の消費形態にどのように影響するのか、大いに注目されます。
 

(食の外部化の進展とともに食料品等の輸入が増加)

1985年ごろからの食の外部化の進展に伴い、安価で、品質が均一であり、年間をとおして安定した供給がなされるものを確保したいという加工・業務用需要が高まった。また、我が国の購買力が大きく向上したことに加え、円高の進行により輸入産品が国内産品に対して価格面で有利になったことも影響し、1985年ごろから果実、肉類、牛乳・乳製品、野菜の輸入率が上昇した(図2-21)。例えば、野菜の生産・需要動向をみると、1985年ごろから国内生産量と国内消費仕向量の間のかい離が拡大する状況がみられ、国内産地が加工・業務用需要に十分に対応できていなかったことがうかがわれる(図2-22)。

また、生鮮食料品以外にも多くの加工食品が我が国に輸入されており、これらを含めた食料品等(*1)の輸入額は2005年には5兆5千億円と、国内の農業・漁業生産額(*2)の半分に相当する額が輸入されるまでになっている(図2-23)。
*1 食料品等には、肉類、魚介類、野菜・果実類、穀物、加工穀物、コーヒー、茶、香辛料、加工食品類、その他の動植物生産品(生きている動物、乳製品、卵、はちみつ、非食用くず肉、各種かす類、飼料)が含まれる。
*2 農林水産省「農業・食料関連産業の経済計算」によると、2005年度の農・漁業分野の国内生産額は11兆5,745億円である。 データ(エクセル:16KB)


(海外現地法人からの輸入が増加)

一方、農産物輸入が増加した1985年ごろから食品産業、農林水産業での海外直接投資が増加している(図2-24)。海外現地法人は現地や第三国での販売に加え、我が国向けの輸出も行っており、開発輸入品として我が国に輸出される食料品が増加している(図2-25)。


(飼料自給率の低下が畜産物の自給率低下にも影響)

食生活の変化に伴う畜産物の需要拡大により、畜産物の国内生産も大幅に増加したが、餌となる濃厚飼料の需要も大幅に増加した。しかし、国土条件の制約等からその多くを輸入に依存したため、特に1965年からの10年間で飼料自給率は大きく低下しており(図2-26)、同時期の畜産物の自給率(供給熱量ベース)の低下にも影響している(*1)。これは、輸入飼料により生産された畜産物は自給しているといえないため、畜産物自体は国内産であっても計算上、国産熱量には算入しないことになっているためである。

また、粗飼料についても、粗飼料の自給による経営コストの引下げよりも飼養規模拡大により粗収益の増大を図る方が経営上有利であったこと等から、利便性が高く労働力負担の軽減にもつながる輸入粗飼料が利用される傾向にあったものと考えられる。
*1 1965年からの10年間で肉類(鯨肉を除く)の自給率(重量ベース)は90%から77%に低下。なお、1985年からの10年間では、主に畜産物の輸入増加の影響を受けて81%から57%に低下 データ(エクセル:20KB)


(食料自給率は短期的には横ばい傾向)

我が国の食料自給率(供給熱量ベース)は、長期的に低下してきたなかで、1998年度から2005年度までの8年間は横ばいで推移した。横ばいの要因としては、国産熱量の多くの部分を占める米の供給熱量が減少傾向であったものの、その減少幅が縮小傾向にあったことや、小麦、大豆をはじめとする品目の生産が増加したこと等により、米以外の品目からの供給熱量が横ばいから増加傾向で推移したため、国産供給熱量の減少が緩やかであったことが考えられる(図2-27)。


(低い食料自給率に対し国民は不安感)

我が国の食料の供給についての世論調査によると、我が国の現在の食料自給率水準については7割が低いと認識している(*1)。また、将来の食料供給に対しても8割が不安と認識しており、8割が現状より高い食料自給率が望ましいと回答している。
*1 内閣府「食料の供給に関する特別世論調査」(2006年12月公表) データ(エクセル:24KB)

食料自給率を意識した食事を実践

食料自給率の高い(86%)食事(ご飯、豚汁、鮭の味噌漬け、煮物、納豆、佃煮、漬物)
食料自給率の高い(86%)食事
(ご飯、豚汁、鮭の味噌漬け、煮物、納豆、佃煮、漬物)
都市住民(40人)に、食料自給率(供給熱量ベース)の高い食事をとることを意識した食生活を1週間実践してもらいました(*2)。

その結果、食料自給率は多くの参加者において、自分で予想した食料自給率に比べ低い値でした。例えば、ある男性が1日の食事(朝:パン、みかん、昼:ラーメン、夜:パスタ、ポトフ)の食料自給率を80%と予想したところ、実際の自給率は15%でした。また、米や野菜を多く取り入れた食事や、自宅で調理した食事をとる回数が多いほど、1日の食事全体の食料自給率が高い傾向がみられました。

管理栄養士からは、3食食べることの大切さや、揚げ物と炒め物を同じ日に食べることで脂質摂取量が多くなっていること等が指摘されました。

参加者からは、「自給率ということを初めて意識した」といった感想や、「自給率の高い食事にはお金や(調理に)時間がかかる」といった自給率を意識した食生活の難しさを指摘する声もありました。一方で、「手づくりの方がおいしいし、健康にもいいし、自給率も高い」、「産地の確認や表示にまで関心をもてるようになった」といった自分の食生活等の変化を感じた参加者もみられました。
*2 農林水産省「食生活とライフスタイルの定性調査」(2007年12月調査)。首都圏に居住する15~79歳までの40人を、男女別に10に分類し、各階層2人を対象として実施
 

(2015年度の供給熱量ベース自給率の目標は45%)

食料自給率は国内の農業生産の状況だけでなく、食料消費のあり方にも左右される。このため、食料・農業・農村基本計画において、食料消費と農業生産の両面にわたる国民参加型の指針として、食料として国民に供給される熱量の5割以上を国産で賄うことを目指しつつ、当面の実現性を考慮して、2015年の食料自給率目標として供給熱量ベースで45%、生産額ベースで76%とする目標が設定され、関係者が一体となった取組が推進されている。

(生産・消費の両面から集中重点事項を着実に推進)

特に、2006年度の食料自給率(供給熱量ベース)は39%と9年ぶりに低下したことから、今後、食料自給率の向上につながるよう、具体的内容を定めた行動計画を策定するとともに、すべての関係者が一致団結し、成果を意識した戦略的な取組を強化することとされている。具体的には、食料自給率の向上に向けて、食料自給率に大きく影響すると考えられる米、飼料作物、油脂類、野菜の4つの重点品目に着目し、集中的に実施すべき追加的な取組として、1.米粉利用の推進を含む米の消費拡大、2.飼料自給率の向上、3.油脂類の過剰摂取の抑制等、4.加工・業務用需要に対応した野菜の生産拡大、5.食育の一層の推進、6.国民運動を展開するための戦略的広報の推進の6つを集中重点事項と位置付け、生産・消費の両面から国民運動として取組を強化するとされている(図2-28)。

図2-28 食料自給率向上に向けた戦略的取組の強化

(米の消費拡大や油脂類の過剰摂取の抑制等につながる取組を実施)

1980年ごろの我が国は、米を中心に栄養バランスに優れた「日本型食生活」が実現しており、現在に比べ脂質の熱量比率が低く、炭水化物の比率が高くなっており食料自給率(供給熱量ベース)は、52~54%と現在より高くなっていた(図2-29)。

このようなことから、米の消費拡大、油脂類の過剰摂取の抑制等につなげるための取組として、朝食欠食率の高い若年層を主な対象に、量販店、食品製造業者等と連携し、テレビCMやWEB等を活用した「めざましごはんキャンペーン」等の広告活動が実施されている。また、米飯学校給食の週3回の早期実現に向けた働きかけの強化、米粉パン、米粉麺等の米加工品の普及・啓発に向けた取組、油脂類の使用を節約できる業務用フライヤーの普及のほか、食育の一環として「日本型食生活」の実践の促進等の取組も行われている。
 

(国産飼料の生産拡大を促進)

飼料自給率の向上については、輸入飼料に依存した畜産から国産飼料に立脚した畜産への転換が重要である。特に、近年では、バイオ燃料需要の高まり等を背景とした穀物・大豆の国際的な価格の上昇等から配合飼料価格が上昇しており、こうした点からも飼料自給率の向上が重要である。このため、とうもろこし等高栄養な飼料作物の作付拡大や、耕畜連携による稲発酵粗飼料の作付け拡大、多様な土地を利用した放牧の推進といった国産飼料の生産拡大に向けた取組や、食品残さの飼料化(エコフィード)や飼料用米の活用の推進が行われている。

(モデル産地形成等により野菜の生産を拡大)

野菜の生産拡大については、加工・業務用需要に対応した新たなモデル産地の形成を促進するとともに、加工・業務用野菜の生産に取り組む産地の共同利用施設の整備をはじめ、生産拡大に取り組む産地への重点的支援が図られている。

また、食品産業と産地との連携強化を図ることが重要であり、そのため、例えば「加工・業務用産地と実需者との交流会」を開催するなど、食品産業事業者と生産者とのマッチングが図られている。さらに、実需者と生産者とをコーディネートしていく人材を育成するための研修も開催されている。

(食料自給率に関する戦略的広報を実施)

食料自給率に関する戦略的広報については、世界の食料事情や我が国の食料の6割を海外に依存している状況等を国民に広く知らせるとともに、国民の食料自給率向上への関心が高まるような情報を発信していくことが重要である。

このため、専門家のノウハウを活用しつつ、訴求対象等を明確化したうえで多様なメディアを効果的に組み合わせた広報(メディアミックス)の手法を活用するなど、戦略的な広報を行うこととされている。

事例:飼料自給率の向上に向けた取組
(1)農家によるTMRセンターの取組
特注のTMR配送トラック
特注のTMR配送トラック
北海道中標津町
北海道中標津町(なかしべつちょう)のTMRセンターは、会員の牧草地を一括管理して農地の有効利用を図るとともに、サイレージの一元化による良質粗飼料の確保、良質飼料の給与による牛群成績の向上等を目的として、地域の2つの機械利用組合が母体になり、2006年に設立された。

TMRセンターの設立により、個々の農家のほ場の管理作業や飼料の混合作業が省力化され、労働時間の短縮や、1頭当たりの乳量の増加(平均で年間500kg増加)とともに、肥料等の生産資材の共同購入による生産コストの大幅な削減といった効果が得られている。

近年、輸入飼料価格が高騰しているなか、購入量を減らすために青刈りとうもろこしの作付拡大にも取り組んでいるほか、サイレージの利用率向上による余剰分をTMRとして、希望者に対する販売も行うなどの取組も行っている。

TMR:total mixed ration(完全混合飼料。必要とされる飼料成分が均一に配合された混合飼料)

 
(2)稲発酵粗飼料の生産の取組
収穫作業の様子
収穫作業の様子
北海道中標津町
福井県福井市(ふくいし)の農業法人は、転作作物として生産した稲発酵粗飼料を市内の畜産農家に供給している。

3年前に市内の畜産農家と稲発酵粗飼料の生産について協議を始め、2006年に4haで生産を開始したが、近年の飼料価格の高騰を背景に2007年度は20haに拡大した。稲の栽培技術や機械をそのまま利用できるうえ、助成金を含めると麦、大豆といった転作作物より収益性が高く、主食用米と同程度の収益性を実現している。ユーザーである地元の畜産農家からも、牛のし好性が良く乳量も増加したとの高い評価を得ており、飼料自給率の向上に寄与している。

現在は主食用品種を活用し生産しているが、2008年度からは飼料用稲品種を導入する予定であり、さらなる収益性の向上を図ることとしている。
 

我が国に持ち込まれる「窒素」と食料自給率

農業における窒素と環境のかかわり
我が国は多くの食料や飼料を海外から輸入しており、農産物貿易は大幅な輸入超過となっています。そのため、輸入農産物により我が国に持ち込まれる窒素の量は増加しており、2003年には117万t-Nと1975年の1.8倍となっています。

一方、我が国では環境への意識の高まり等から化学肥料の投入量は減少傾向にありますが、我が国の環境中に供給される窒素のうち、輸入農産物によるものの占める割合は増加しており、2003年には5割を超えるまでになっています。

土壌や地下水・河川中の窒素が過剰になると、人や家畜の健康に悪影響を与えるとともに、河川等の富栄養化や温室効果ガスの発生により環境に悪影響を与えます。このため、地下水や水道水について環境基準値、水質基準値が設定され、水質の維持・改善が図られているほか、温室効果ガスの発生抑制に向けた研究・取組が進められています。

国内の農業生産の振興・拡大を通じて食料自給率の向上を図ることは、海外からの窒素の持ち込みを減少させ環境負荷の低減にもつながることから、このような面からも食料自給率の向上の取組が重要です。

 

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