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農林水産省

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(2)生産資材の価格上昇が経営に与えた影響と対応 イ 畜産、施設園芸等の経営への影響と対応

(畜産経営では、飼料価格の高騰が深刻な影響)

畜産経営では、畜産物価格は牛肉を除き上昇傾向で推移しているものの(*1)、農業経営費に占める飼料費の割合が高く、飼料価格の高騰により深刻な影響を受けている。農業経営費に占める飼料費の割合は、配合飼料価格の高騰が始まる以前の2005年の2~6割から2007年には3~7割と増加している(図1-14)。
畜産経営の農業所得は2007年には2005年に比べ、農業経営費に占める飼料費の割合が低い繁殖牛経営を除き減少しており、特に、酪農経営、肥育牛経営、採卵養鶏経営でそれぞれ3割、3割、5割と大幅に減少している。2008年には、九州の畜産経営において、過去1年間で資金繰りが「苦しくなった」と回答した経営体が75%あり、経営が苦しい状況がうかがえる(*2)。
また、肥育牛経営では、飼料価格の高騰に加えて、導入時の子牛価格の相場高、枝肉販売価格の低下により、2008年度第3四半期には、物財費(飼料費、素畜費等の合計)が、粗収益を上回ったと算定されている(*3)。
*1 農林水産省「農業物価統計」 データ(エクセル:19KB)
*2 日本政策金融金庫「九州地区の畜産農家に対する経営意識調査結果」(2009年1月公表)。日本政策金融公庫九州各支店取引先畜産経営体743を対象として実施(回収率32.6%)
*3 (独)農畜産振興機構「肥育牛生産者収益低下緊急対策事業実施要綱第3の4の(3)のイの「理事長が別に定める特別補てん金単価」について」。同機構が四半期ごとに平均値を算定


(飼料価格の高騰に対し、追加の緊急対策を実施)

配合飼料価格の変動が畜産経営に及ぼす影響を緩和するため、配合飼料価格安定制度(*1)が設けられている。配合飼料価格の上昇に伴い、 2006年度第3四半期以降連続して通常補てんが発動され、2006年度第4四半期以降は2期を除いて連続して異常補てんも発動された。
このようななか、2008年2月に飼料価格の高騰に対応するために畜産・酪農緊急対策が実施されたが、その後も配合飼料価格がさらに上昇したことから、同年6月には、この配合飼料価格安定制度の安定運用のほか、畜種ごとの経営安定対策の充実・強化からなる追加緊急対策が講じられた(図1-15)。
*1 [用語の解説]を参照

図1-15 畜産・酪農緊急対策(2008年6月)の概要
*2 バター、脱脂粉乳等の加工原料乳に仕向けられる生乳は、飲用牛乳に仕向けられる生乳より価格条件が不利であり、その再生産を確保するため、加工原料乳生産者補給金が交付されている。
*3 肉用牛肥育経営安定対策(マルキン)事業は、都道府県ごとに肥育牛1頭当たりの推定所得が基準家族労働費を下回った場合に、その水準に応じて四半期ごとに肥育牛生産者に補てん金を交付する事業
*4 肥育牛生産者収益性低下緊急対策(補完マルキン)事業は、全国の肥育牛1頭当たりの推定所得が生産費(物財費)を下回った場合に、その水準に応じて四半期ごとに肥育牛生産者に補てん金を交付する事業
ほとんど輸入に頼っている飼料用穀物

我が国は、飼料用穀物等の9割を輸入に頼っており、2007年には、1,889万tを輸入しています。これは、耕地面積に換算すると、429万haで北海道の半分程度の大きさに相当します。
飼料用穀物等の中心はとうもろこしであり、配合・混合飼料の原料の半分を占めます。畜種によりばらつきがあるものの、いずれもとうもろこしが高い割合を占めています。
飼料用穀物等の輸入価格は、国際相場に加え、海上運賃や為替相場に影響を受けます。国際相場、海上運賃は、2006年以降上昇し、2008年夏には、2年前の3倍以上になりました。その後、国際相場や海上運賃が大幅に下落したことにより、飼料用穀物等の輸入価格は、下落に転じています。
このようななか、JA全農は、とうもろこし相場や海上運賃の下落を受け、2009年1~3月期の配合飼料供給価格について全国全畜種総平均で過去最大の下げ幅となる1t当たり12,200円の値下げを実施しています。
 

(施設園芸野菜作経営は、光熱動力費の上昇により深刻な影響)

原油価格急騰に伴う光熱動力費の上昇は、施設園芸農家の経営に深刻な影響を与えている。施設園芸野菜作経営では、農業経営費に占める光熱動力費の割合は、2005年の2~3割から2008年の3~4割へと増加したと推計されている(*1)。
例えば大玉トマト(冬春)の生産で得られる農業所得は2005年と比較して1割減少したと推計されている(表1-1)。
また、ピーマン(促成栽培)ときゅうり(長期促成栽培)による農家所得(2009年産)は2006年に比べ、それぞれ6%(275万円減)、38%(113万円減)となるとの試算がある(*2)。
*1 2008年産は2007年産の統計数値を基に、光熱動力費のうち9割が燃料費と仮定して農林水産省で推計
*2 宮崎県経済農業協同組合連合会「食を守りいのちを育む」(2008年8月公表)

(畑作経営では、肥料価格の上昇が経営を圧迫)

北海道の畑作経営をみると、肥料価格の上昇が経営に大きな影響を与えている。2009年は、2007年と比較して肥料費は8割、光熱動力費は2割増加し、1戸当たりの農業経営費が1割(342万円)増加すると推計されている(表1-2)。


(施設園芸経営等に対し、緊急対策を実施)

原油価格や肥料価格の高騰を受け、省エネ等の構造転換対策、税制優遇措置、金融措置等きめ細かな対策を一体的に講じ、農林漁業者の経営体質の強化が図られている(図1-17)。
また、化学肥料の施用量や施設園芸用燃油の使用量を2割以上低減する農業者グループ(既に肥料または燃油の低減に取り組んできた者を含む)に対し、肥料費または燃油費の増加分の7割を助成する対策が行われている。
このようななか、JA全農は、2008年度に、急激な生産資材価格上昇の緩和措置として4~6月期の肥料供給価格をすえ置くとともに、生産資材の手数料引下げを行うなど、生産資材価格の抑制に努めている。

図1-17 農林水産省の原油価格高騰対策の概要

青果版燃料サーチャージの取組
ミニトマト
ミニトマト
ピーマン
ピーマン

原油価格の高騰の影響を受けて、国際航空運賃等で既に導入されている燃料サーチャージ制度が農産物価格にも導入されはじめました。一般的に物の価格は、需要と供給のバランスにより市場において決められるため、コストの上昇分を価格に転嫁することは難しいといわれています。
しかし、JA宮崎経済連は、燃料価格の上昇分を農産物の価格に転嫁できるよう2008年11月から施設栽培の野菜4品目(ピーマン、きゅうり、トマト、ミニトマト)のスーパーマーケット等への直接販売を対象として、その出荷価格に燃料油価格変動分を反映させる「燃料油価格変動調整金」制度を導入しました。
例えば、ピーマンの場合、490円/kgを基準価格として、A重油価格120 ~125円/Lを基準に5円単位でランク分けし価格を反映させています。A重油価格が1ランク上がり、125 ~ 130円/Lになれば、ピーマンの価格は7円上乗せされ497円/kgに、逆にランクが1つ下がり、115 ~ 120円/Lになれば、5円差し引き485円/kgにするというものです。
 

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