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農林水産省

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(1)農村地域の現状 ウ 鳥獣被害の現状と対策

(鳥獣被害は中山間地域を中心に深刻化・広域化)

近年、鳥獣被害は中山間地域を中心に全国的に深刻化・広域化している。その背景として、特定の鳥獣の生息分布域の拡大や、農山漁村の過疎化・高齢化の進展による耕作放棄地の増加、捕獲の担い手である狩猟者の減少、高齢化等があげられる(図2-118)。鳥獣による農作物への被害額は200億円前後で推移しており、その7割が獣類、3割が鳥類によるもので、獣類ではイノシシ、シカ、サルによる被害が9割を占めている(図2-119)。

(鳥獣被害は被害額として数字に現れる以上の影響)

鳥獣被害は、農業者の営農意欲を低下させるなどにより、耕作放棄地の増加の一因ともなっており、耕作放棄地の増加がさらなる鳥獣被害を招くという悪循環を生じさせ、被害額として数字に現れる以上の影響を及ぼしている(図2-120)。
鳥獣被害対策は、捕獲による個体数調整や防護柵の設置による被害の防除、鳥獣との共存に配慮した里地里山の整備による生息環境管理を総合的に推進することが必要である(図2-121)。

図2-120 鳥獣被害による悪循環(イメージ)
図2-121 鳥獣被害対策の基本的な考え方
 

(鳥獣被害防止特措法に基づく地域主体の取組が可能となり、総合的な被害対策を推進)

鳥獣被害は、その被害状況が各地域で異なることから、地域が主体となった取組を推進することが効果的である。2008年2月に議員立法による鳥獣被害防止特措法(*1)が施行され、市町村が主体的に被害対策に取り組むことが可能となった。同法に基づき、被害防止計画を作成した市町村(*2)に対して、1.必要な措置が講じられる(*3)、2.被害防止のための鳥獣の捕獲許可権限が都道府県から委譲される、3.鳥獣被害対策実施隊を設置した場合、主として捕獲に従事する隊員に対して狩猟税が軽減されるといった措置が講じられている(図2-122)。
また、効果的な捕獲技術や防除技術の開発、野生鳥獣の生態・行動や農作物被害防止対策に関する専門的な知識・経験をもったアドバイザーの登録・紹介のほか、主な獣類・鳥類の対策方法が明示された被害防止マニュアルの配布、普及指導員に対する研修といった、各地域の計画に基づく総合的な対策が強力に推進されている。
*1 正式名称は「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」
*2 2008年12月現在、511市町村が作成し、246市町村が2008年度中に作成予定
*3 侵入防止柵の設置については、新たな措置(補助金と特別交付税措置の組合せ)を活用すれば地元負担が1割で事業を実施することが可能

図2-122 計画的・総合的な被害対策の実施

事例:全国に広がる「モンキードッグ」によるサルの追い払い

モンキードッグ
都道府県別モンキードッグ取組状況
ニホンザルによる農作物の被害を防ぐため、訓練を受けた犬を活用してサルを追い払う、「モンキードッグ」の取組が全国で広がりつつある。取り組む市町村は、2005年に2県8市町村であったが、2008年には21府県42市町村まで広がっている。
モンキードッグの取組が全国的に広まるきっかけの1つとなったのは、長野県大町市(おおまちし)での取組である。モンキードッグの導入以前は、電気柵を設置し、サルに発信器を取り付け、サルの集団が接近する度に花火で追い払っていたが、十分な効果は得られなかった。このため、2005年に、住民の飼い犬のなかで適性があると思われる犬を選抜し、民間の犬訓練場で訓練した後に追い払いを行ったところ、モンキードッグが配置された地区では被害がほとんどなくなる効果が表れた。今後は、毎年4頭を訓練するとともに、レベル維持のための再教育も行い、全市的な取組とできるよう体制を整備することとしている。
他方、徳島県では利用ガイドラインを策定したり、青森県むつ市ではモンキードッグ専用の犬を自治体が飼育したりするなど、各地でユニークな取組が行われている。
 

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