このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

(2)食生活上の課題と食育の推進 ア 食生活をめぐる課題

(食生活は栄養面で依然として課題)

昭和55年(1980年)ごろには、米を中心として水産物、畜産物、野菜等多様な副食から構成され、栄養バランスに優れた「日本型食生活」が実現されていました。しかし、近年は、当時の理想的なPFC(たんぱく質、脂質、炭水化物)バランスが崩れ、米等炭水化物の摂取不足、脂質の摂取過剰が続いています(図2-26)。



脂質の摂取については、例えば30~70歳代で20%以上25%未満という食事摂取基準内に収まっている人の割合は、どの年代の男女でも3割前後となっています(図2-27)。また、BMI(*1)が25以上の肥満者の割合は、男女とも顕著な改善はみられず、肥満傾向にある子どもの割合も、長期的には増加傾向にあります(図2-28、図2-29)。一方で、BMIが18.5未満のやせの者(低体重者)の割合についても、特に20歳代女性で最近10年間20%を下回ることはなく、高水準で推移しています。


*1 [用語の解説]を参照


また、食塩摂取量についても、男女ともに低下傾向はみられるものの、摂取目標量を上回る水準で推移しています(図2-30)。野菜摂取量についても、緑黄色野菜とその他の野菜の摂取量を合わせて300gを超えておらず、厚生労働省が平成12年(2000年)に策定した「健康日本21」における平成22年(2010年)の目標値350gに満たない状況が続いています(図2-31)。このように、食の外部化の進展の一方で、栄養面でのバランスの崩れといった問題が依然として続いています。


コラム:見えない油脂

植物油やラードのように、明らかに脂質とわかるのが「見える油脂」。これに対して、「見えない油脂」は、卵、肉、魚、穀類、野菜、海藻、豆腐、菓子、加工食品、調味料等幅広い食材に、気付かない形で含まれています。脂っこい食事を控えていても、思わぬところで脂質を摂っていることがあります。

「国民健康・栄養調査」(平成19年(2007年))をみると、1人1日当たり摂取している55.1gの脂質のうち、「見える油脂」はわずかに9.7g(17.6%)となっています。残りの「見えない油脂」の内訳をみると、肉類12.6g(22.9%)、魚介類5.4g(9.8%)等が多くなっています。

一方、栄養バランスに優れた「日本型食生活」が実現されていた昭和55年(1980年)の状況をみると、1人1日当たり52.4gの脂質のうち、「見える油脂」は12.3g(23.5%)となっています。すなわち、平成19年(2007年)では、「見える油脂」の摂取量が減っているにもかかわらず、全体として脂質摂取量がふえているのは、「見える油脂」に代わって「見えない油脂」がふえているからです。特に魚介類、菓子類(ケーキ等)、調味料類(マヨネーズやドレッシング等)といった食品群がふえています。

バランスの良い健康的な食生活を送るうえでは、「見えない油脂」の摂取にも注意し、動物、植物、魚由来の脂質をバランス良く摂取するなど、油脂を上手に摂ることが重要です。



(朝食の欠食等食習慣にも乱れ)

食生活に関しては、食習慣の乱れも続いています。朝食の欠食は、脳のエネルギーが不足し、集中力や記憶力の低下につながるといわれていますが、その割合は男女20歳代・30歳代で20~30%となっていることをはじめ、依然として高水準が続いています(図2-32)。

一方、夕食の開始時間をみると、男性では20~40歳代、女性でも20歳代等で、午後9時以降となっている人の割合が増加する傾向がみられ、平成19年(2007年)で20~30%強となっています(図2-33)。遅い時間に夕食を摂ることによって、摂取したエネルギーが消費されずに肥満につながるともいわれています。また、朝の食欲不振を招くことで朝食の欠食につながるという悪循環となり、結果として健康を害することになる可能性があります。


コラム:噛む効用

食事をする際には、よく噛んで食べることが重要です。史料をもとに、各時代における「一度の食事での噛む回数」を調べたデータによると、弥生時代の4,000回から江戸時代1,500回、戦前1,420回、現代では620回に減っています。

噛むことで、食べものの味や触感等、様々な感覚情報が脳に伝えられ、脳が活性化します。よく噛むことで、脳の思考や学習等をつかさどる部位も活性化し、高齢者の記憶や認知機能が維持・向上するという研究結果もあります。

また、食べものを噛むことにより、神経系ホルモンが働き、ホルモンが脳の視床下部にある満腹中枢に届くと、満腹信号となって満足感が得られます。よく噛むことによって、より少ない量で満腹感を得られることがわかっており、食べすぎによる肥満予防、ひいては生活習慣病の予防にもつながります。

「ごはんを食べると太る」という誤解がありますが、ごはんは粒状でよく噛む必要があることから、噛む力を高めると同時に、消化時間が長く腹もちが良いため、間食の予防、肥満の予防にも効果があります。


(生活習慣病の増加により医療費も増大)

このような食生活の状況のなかで、生活習慣病の代表である糖尿病が強く疑われる人、その可能性が否定できない人(*1)は合わせて2,210万人と推定されています(図2-34)。また、生活習慣病と密接に関係するメタボリック症候群(*2)については、40~74歳の男性で強く疑われる人(*3)が3割、予備群が2割強、女性でも強く疑われる人が1割強、予備群が1割とされています(*4)。

国民医療費(一般診療医療費)のうち3分の1程度が生活習慣病に関する医療費となっており、死因別死亡割合も生活習慣に関係する疾病によるものが6割を占めています(*5)(図2-35)。規則正しい食生活は、生活習慣病の予防や国民医療費の増大を抑制することにもつながります。


*1 (1)「糖尿病が強く疑われる人」はヘモグロビンA1cの値が6.1%以上または「現在糖尿病の治療を受けている」と回答した人の割合、(2)「糖尿病の可能性が否定できない人」はヘモグロビンA1cの値が5.6%以上で(1)以外の人
*2 [用語の解説]を参照
*3 腹囲≧85cm(女性は90cm)の人のなかで、「メタボリック症候群が強く疑われる人」は3つの項目(血中脂質、血圧、血糖)のうち2つ以上の項目に該当する人。「メタボリック症候群の予備群と考えられる人」は1つに該当する人
*4 厚生労働省「平成20年国民健康・栄養調査」 データ(エクセル:33KB)
*5 厚生労働省「平成20年人口動態統計」 データ(エクセル:31KB)



お問い合わせ先

大臣官房広報評価課情報分析室
代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883
FAX:03-3593-9467