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農林水産省

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(1)国内農業生産の動向 イ 主な品目別の動向

(米)

米については、食生活の多様化等により、1人1年当たり消費量が、最も多かった昭和37年度(1962年度)の118.3kgから平成20年度(2008年度)には59.0kgと半減し、全体の需要量も1,200万tから800万t程度と大きく減少しています。このような消費量の大幅な減少に伴い、国内生産も減少を続けており、平成21年産(2009年産)では、作付面積が162万ha(主食用米の作付面積は159万ha)、生産量は847万t(作況指数98)となっています(図3-5)。一方、米国、タイ、中国等から77万玄米t(平成20年度(2008年度))のMA米(*1)の輸入が行われています。なお、国内産出額は価格の低下とも相まって、平成2年(1990年)の3.2兆円から平成20年(2008年)には1.9兆円へと4割減少しており、また、平成20年度(2008年度)の自給率は95%(*2)となっています。


*1 MA米とはミニマム・アクセス米のこと、[用語の解説]を参照
*2 農林水産省「食料需給表」、自給率の計算方法は[用語の解説]を参照


米の需要量は、高齢化や人口減少が進むことにより、今後さらに減少する可能性があります。このため、消費者の健康志向等に対応したごはん食の普及、ごはん食関連商品の開発促進等により米の消費拡大を図る一方、需要に応じた主食用米の作付け・生産に引き続き努めていく必要があります。米の需給調整については、これまで転作作物への助成により推進されてきましたが、この方法では需給調整参加農家の努力により米価が維持されること等から、参加・非参加農家間の不公平感が指摘され、農村での閉塞感も与えてきました。このため、平成22年度(2010年度)からモデル的に導入される戸別所得補償制度(*1)のなかでは、米の需給調整については、米への支援で実効を期し、参加した農家だけがメリットを受けることで、不公平感を解消することとするなどの大転換が行われました。


また、水田を有効に活用して食料の安定供給の確保を図るため、米粉用米・飼料用米の生産増に取り組んでいくことも重要です。米粉用米・飼料用米については、「米穀の新用途への利用の促進に関する法律」が施行(平成21年(2009年)7月)されたこと等を受けて、平成21年(2009年)には生産が拡大しています(図3-6)。今後、戸別所得補償モデル対策の「水田利活用自給力向上事業」の支援とともに、需要先の確保、多収品種の普及、直播栽培(*2)等による低コスト生産等を図り、さらなる生産増・安定供給に向けた取組が行われることが期待されます。加えて、米粉用米については、多様な用途に対応した製法技術の革新、米粉の特徴を活かした商品開発、生産者と加工事業者のマッチング等により消費拡大を図ることが必要です。飼料用米については、生産地と畜産農家、配合飼料メーカー等とのマッチングや効率的な流通体制が求められます。

水田を有効に活用していくためには、麦・大豆への転作対応だけでなく、水稲と麦等の組合せによる二毛作の推進を図ることも重要です。このため、麦、水稲の二毛作に対応した晩植適応性水稲品種「さとじまん」(関東・東海地方向け)、「ふくいずみ」(九州地方向け)等が開発されていることから、二毛作が可能な地域での普及を促進していく必要があります。

なお、米の消費形態をみると、家計消費が減少している一方で、外食・中食(*3)(弁当、レトルト米飯、冷凍米飯等)での消費が増加傾向にあります(図3-7)。このため、生産・流通の各段階で、家計消費用に消費者が購入しやすい小袋包装等による販売や、外食・中食事業者、卸・小売業者等の多様なニーズに適した品種の生産・流通等により一層工夫した対応が重要となっています。また、現在作付けられている米の品種については、依然コシヒカリ等の特定品種が大半となっていますが(*4)、コシヒカリに比べアミロース含有率が低く(*5)弁当等に適した品種や、胚が大きく発芽玄米に適した品種等の新品種が次々と開発されており、今後、これらの新品種の普及が期待されます。


*1 トピックスを参照
*2 苗代の育苗を行わず、水田に直接種子をは種する方法
*3 [用語の解説]を参照
*4 農林水産省「米穀の流通・消費等動態調査」(平成21年(2009年)12月公表) データ(エクセル:34KB)
*5 アミロースは、米のでんぷんの成分で、含有率が低いほどごはんにもちもち感が出ておいしいと感じるといわれています。
 

コラム:飼料用に適した品種について
稲WCS
稲WCS
食用米(左)と飼料用稲WCS米(右)の籾と玄米
食用米(左)と飼料用稲WCS米(右)の籾と玄米

飼料用の稲については、子実を輸入濃厚飼料の代替として利用、副産物の稲わらを粗飼料として利用できるほか、稲の穂と茎葉を丸ごと乳酸発酵させて稲発酵粗飼料(*1)(稲WCS(稲ホールクロップサイレージ))として利用可能であるため、飼料自給率向上の観点からも期待されています。飼料用米の品種は、食用米と比べ籾(もみ)が大粒で、粗玄米収量800kg/10a以上の生産も可能です。さらに、重い穂を支えるため、茎が太く倒伏しにくい品種や、低コスト栽培を実現するため、いもち病等の抵抗性が強化された品種が開発されています。

飼料用米向け品種の玄米は、食用米では外観品質が低くなる腹白(はらじろ)、心白(しんぱく)等が多くみられる品種もありますが、家畜の飼料として用いる場合は問題にはなりません。また、ごはんのおいしさの要素の一つである粘りを決めるアミロース含有率が、食用米と比べ高く、食味は劣っている品種もあります。

*1 [用語の解説]を参照
 

(麦)

麦については、昭和55年(1980年)以降、需要は小麦では600万~640万t、大麦・裸麦では200万~280万tで推移しています。国内生産は、米の生産調整の影響もあり、変動を繰り返してきましたが、平成12年(2000年)ごろから水田転作の拡大等により再び増加しました。平成20年産(2008年産)では、作付面積が小麦21万ha、大麦・裸麦5万7千ha、生産量が小麦88万t、大麦・裸麦22万tとなっています(図3-8)。一方、米国、カナダ、豪州等から多くの輸入が行われており(小麦519万t、大麦・裸麦181万t)、平成20年度(2008年度)の自給率はそれぞれ14%、11%と低くなっています(*1)。

平成21年産(2009年産)小麦については、作付面積は前年産と同程度の21万haとなったものの、生産量は、北海道における7月の低温、日照不足・長雨、東海・九州地域を中心とした降雨による湿害の影響により、前年産に比べ23%減少の67万tとなりました。また、1等比率は天候不順による品質低下から63%となっており、前年産の84%と比べて減少しています。


*1 農林水産省「食料需給表」


国産小麦については、外国産小麦に比べ、たんぱく質含有量にばらつきがあるとともに(図3-9)、パン用・中華めん用に向かないといった需要面の制約が大きいといわれています。このため、その大部分が日本めん用や菓子用として利用され、パン用・中華めん用等への利用はわずかとなっていることから(図3-10)、収量性に優れた良質な品種の育成・普及や単収向上技術の普及により、パン・中華めん用小麦の生産拡大を図ることが課題となっています。また、麦類全体として、水田における単収が低位にとどまり、生産コストも低下傾向にあるものの外国産とは大きな開きがあります。さらに、水稲作付けの早期化等により、かつて広範に行われていた二毛作が大きく減少している状況です。

品種開発の動向をみると、製めん適性が豪州産のASW(*2)に匹敵し従来品種より2割程度多収の「きたほなみ」(北海道)や、製パン適性に優れた「はるきらり」(北海道)、「ゆめかおり」(関東)、中華めん適性に優れた「ちくしW2号」(九州)、中力小麦とブレンドすることにより高い製パン適性を発揮する超強力小麦品種「ゆめちから」(北海道)等が開発されています。また、衛星画像を用いた収穫期判定等による高品質・安定栽培技術、二毛作に対応した麦後の晩植適応性水稲品種等の開発も進んでいます。

今後のさらなる生産拡大のためには、実需者ニーズを踏まえつつ、生産性が高く、かつ、輸入小麦に匹敵する品質の品種開発・普及、基本技術の励行を含めた生産対策の推進が重要となっています。加えて、加工技術の確立による国産日本めん用小麦のパン・菓子用への利用拡大を図ることも必要です。


*2 Australian Standard Whiteの略。豪州産のいくつかの品種をブレンドした小麦で、主に日本めん用に使用される中力粉の原料に適しています。

図3-9 小麦(日本めん用)のたんぱく質含有量の分布状況

図3-10 小麦の用途別使用率と自給率(2007年度)

(そば)

そばについては、近年、需要は13万t程度で安定的に推移しています。国内生産は、麦・大豆と同様、平成7年(1995年)ごろからの水田転作の拡大等により作付けは増加傾向にあり、平成21年産(2009年産)の作付面積は4万5千ha、主産県の生産量は1万5千tとなりました(図3-11)。一方、中国、米国等から6万t(平成21年(2009年)計、玄そば)が輸入され、平成20年度(2008年度)の自給率は21%となっています(*1)。

国産そばは、風味が良いとされているものの、10a当たり平均収穫量は69kgと低く、また、湿害等により作柄が不安定になっています。このため、今後、水田の団地的な利用と汎用化(*2)による排水対策の徹底、麦等の後作としての作付け拡大、収穫作業等の機械化に適した多収品種の育成・普及等を通じた生産性向上に努めていく必要があります。

なお、そばは、は種から65~90日ほどで収穫でき、耐乾性や吸肥性が強いため、昔から「救荒(きゅうこう)作物」(凶作に備えるための作物)として役立ってきました。また、子実を食用とするだけでなく、そば殻を枕等に利用する、開花期間が1か月と長いことからミツバチの蜜源や景観植物として利用するなどの用途があります。


*1 財務省「貿易統計」、農林水産省「食料需給表」
*2 水稲作または畑作のいずれにも利用できるようにすること


そば畑(長野県木曽町(きそまち))
そば畑(長野県木曽町(きそまち))
赤そば(長野県箕輪町(みのわまち))
赤そば(長野県箕輪町(みのわまち))
 

(大豆)

大豆については、昭和55年(1980年)以降、食品用の需要は増加傾向にあり現在100万t程度、油糧用等加工用の需要は減少傾向にあり現在249万tとなっています。国内生産は昭和62年(1987年)ごろをピークに減少していましたが、平成7年(1995年)ごろから再び増加傾向となり、平成20年産(2008年産)では作付面積は15万ha、生産量は26万tとなっています(図3-12)。なお、平成21年産(2009年産)については、北海道における長雨・日照不足、九州における大雨等により生育が遅れ、収穫量は豊作だった前年産に比べ1割減少し、23万tとなりました。一方、輸入については、米国、ブラジル等から多く行われています(輸入量は371万t(平成20年度(2008年度))(*1)、うち7割が油糧用、3割が食品用に仕向け)。この結果、平成20年度(2008年度)の自給率は全体で6%、豆腐、納豆、みそ・しょうゆ等の食品用で25%となっています。


*1 農林水産省「食料需給表」


国産大豆については、食品用としては品質が良いとされ、煮豆、豆腐・油揚げ用で多く使用されているものの(図3-13)、は種時期が梅雨時期と重なり湿害が出やすいため、作柄が不安定になっています。

また、国産大豆を使用した製品に対する消費者の志向は高まっているものの、作柄による価格変動が大きいこと、田作での1等比率が向上せず、1等大豆の量が不安定で低位にとどまっていることから、実需者が使用しにくい状況にあるなどの課題があります(図3-14)。


図3-13 大豆の用途別需要量と自給率(2007年度)


このため、国産大豆の特徴を引き出した製品開発等による需要の開拓や、契約栽培による安定的な取引関係の構築を図るとともに、豆腐用・煮豆用としての加工適性に優れた品種や多収性品種の開発・普及を一層進めることが重要です。また、水田の団地化や、気象・土壌条件に応じた低コスト省力安定生産技術(大豆300A技術(*1)、地下水位制御システム)等の新技術の普及等を図っていくことも重要です(図3-15)。


*1 Aクラス(1、2等)品質の大豆を10a当たり300kg生産することを目標として、各地域の気象条件や土壌条件に応じた低コスト・省力化を図る耕起・は種技術で、耕うん同時畝立ては種技術、不耕起密植直播技術等があります。

図3-15 地下水位制御システムの概要

(なたね)

現在、我が国で消費される植物油は増加傾向にありますが、その原料のほとんどが輸入大豆、なたねとなっています。なたねについては、なたね油の供給量は増加傾向で推移しており、原料なたねのほとんどがカナダから輸入されていますが(輸入量207万t(*1))、自給率はわずか0.04%となっています。なたねの国内生産は、昭和31年(1956年)の作付面積25万ha、生産量32万tをピークに激減し、近年は作付面積1千ha、生産量1千t程度で推移しています(*2)。

なたねは、冬期の栽培が可能なことから、水稲等との二毛作により農地を有効活用する観点からも、生産の拡大が期待されます。また、なたねは、食用油の原料だけでなく、花は景観植物、なたね油の廃油はバイオ燃料、油かすは飼料・肥料等として多段階での利用が可能です。このため、近年、NPO(*3)や地域住民、企業等が連携した菜の花プロジェクト運動が広がり、なたね油の生産・販売の取組も各地でみられます。

今後、耕地利用率の向上の観点から、暖地向けなたね品種の開発や、二毛作が可能な地域等での輪作体系の構築を図るとともに、良品質、多収性品種の育成や、生産者と国産なたねを取り扱う搾油業者との連携が重要です。


*1 財務省「貿易統計」(平成21年(2009年))
*2 農林水産省「特産農産物生産実績」

菜の花畑(北海道滝川市(たきかわし))
菜の花畑(北海道滝川市(たきかわし))

(野菜)

野菜については、食生活の多様化・簡便化等により、だいこん等根菜類を中心に消費量が減少しています。国内生産は、農業従事者の減少・高齢化等により、根菜類をはじめ、はくさい等の葉茎菜類、すいか等の果実的野菜を中心に減少し、平成20年産(2008年産)では、作付面積44万ha(*1)、生産量1,265万tとなっています(図3-16)。一方、野菜の輸入は加工・業務用等を中心に増加していることから、平成20年度(2008年度)では輸入量は281万tとなり、平成20年度(2008年度)の自給率は82%(*2)、うち家計消費用では98%、国内需要の過半を占める加工・業務用では68%となっています(図3-17)。


*1 農林水産省「野菜生産出荷統計」(ばれいしょを除く38品目)、「地域特産野菜の生産状況」
*2 農林水産省「食料需給表」



近年の輸入食料に対する消費者の不安や、国際的な農産物需給動向等もあり、食品製造業者の国産野菜ニーズが高まっています。このため、国産野菜については、機械化等による低コスト化・省力化を進めるとともに、中間事業者を核として複数産地から原材料の安定供給を図る供給連鎖(サプライチェーン)構築や、消費者ニーズに合わせた品目転換への支援、コールドチェーン(*1)等の流通体制の整備を図り、加工・業務用需要への対応を強化していくことが重要となっています。加えて、外食・中食事業者が国産野菜の使用量をより一層拡大すること等を通じ、外食、中食における野菜摂取量の拡大等、野菜の消費拡大を図ることも重要です。

一方、温室等で野菜、果樹、花き等を生産する施設園芸は、栽培品目や出荷時期の拡大等により、高い収益性も得られることから、昭和40年代以降、急速に増加しました。近年、施設設置面積は5万ha程度で微減傾向となっていますが(*2)、1経営体当たり経営規模は拡大傾向にあり、大型栽培施設の導入や法人経営による新たな施設導入がみられます。また、高度な環境制御により季節や天候に左右されずに野菜等を計画的に生産する「植物工場」が現在全国50か所で稼働しています。植物工場では、周年で計画的な農産物の出荷だけでなく、通常の農閑期も含めた周年雇用も可能であることから、地域の雇用と所得の確保にもつながると期待されています。


*1 [用語の解説]を参照
*2 農林水産省「園芸用ガラス室・ハウス等の設置状況調査」 データ(エクセル:32KB)

コラム:最近の野菜をめぐる特徴的な動き
(1)花粉交配用ミツバチと野菜生産

ミツバチは、はちみつ等の生産だけでなく、いちご、メロン、すいか等の多くの園芸作物の生産において花粉交配の手段として用いられており、授粉作業の省力化を図るうえで欠かせないものとなっています。

平成21年(2009年)春ごろ、園芸作物の一部の生産現場において、花粉交配用ミツバチが不足し、いちごがうまく受粉できず奇形果が発生するなどの影響がみられました。この背景としては、天候不順やミツバチに寄生するダニの被害等によりミツバチが十分に繁殖できなかったことに加え、豪州産ミツバチの輸入検査においてノゼマ病がみつかったため、平成19年(2007年)11月以降、女王蜂の輸入が見合わされたこと等が関係者から指摘されています。このため、養蜂農家、園芸農家、関係機関が連携し、花粉交配に必要なミツバチの需給調整が行われたほか、生産現場では花粉交配用のミツバチに代わってクロマルハナバチの利用や人の手による授粉等の代替措置がとられました。

また、このような状況は、野菜等の生産にミツバチが大きな役割を果たし、食料生産を支えていることを広く多くの人々が知るきっかけとなりました。

(2)規格外野菜等への関心の高まり

最近の景気悪化に伴い低価格志向が高まっているなか、消費者の間では、大きさ、色、形等が不揃いで価格の安い規格外野菜等への関心が高まっているといわれています。

平成22年(2010年)1月に実施された規格外の野菜等に関する意識調査では、これまで規格外の野菜等を購入したことがある者の割合は60.0%、このうち「今後ふやす」が52.5%、現状維持が46.6%となっています(*1)。また、購入したことがない者のうち、「今後は購入したい」と回答した者が65.5%となっています。規格外の野菜等を購入する理由は、「品質の割に価格が安いから」が64.8%、「規格品と味が変わらないから」が55.5%となっています。

規格外品に対する関心の高さは、この調査からも裏付けられていますが、規格品の出荷が大部分を占める我が国の野菜等の生産や流通のあり方に大きな示唆を与えるものと考えられます。

*1 (株)日本政策金融公庫「規格外野菜・果実に関する消費者意識調査」(平成22年(2010年)3月公表)。全国の20~60歳代の男女各1千人を対象に実施したアンケート調査

(果実)

果実については、近年、需要は800万t程度とほぼ横ばいで推移しています。国内生産は、生鮮果実の需要量の減少、農業従事者の減少・高齢化等により減少傾向にあり、平成20年産(2008年産)の栽培面積は25万ha、生産量は341万tとなっています(図3-18)。品目別にみると、温州みかんの生産量が需要の減少によりピーク時の3割程度まで減少し、りんご、その他果実も減少傾向にあります。一方、果実の輸入は増加し続け(平成20年度(2008年度)で489万t)、平成20年度(2008年度)の自給率は41%、うち生食用では63%、国内需要の半分を占める加工用では12%となっています(*1)。



我が国の生食用果実の需要量は、食の多様化・簡便化に伴い、平成19年度(2007年度)では469万tと平成8年度(1996年度)の506万tに比べ7%減少しています。一方、加工用の需要量は、平成19年度(2007年度)では391万tと平成8年度(1996年度)の323万tに比べ21%増加しており、需要量全体の45%を占めています(図3-19)。このため、加工用、輸出用の果実等新たな需要の創出を含め、消費者の多様なニーズに対応した消費拡大を図ることが重要です。例えば、消費面では、生産が大きく減少している温州みかんのβ-クリプトキサンチン(*2)等の機能性成分の普及・啓発、果実消費の少ない若年層から働き盛りの世代への摂取機会の提供を進めることも必要です。生産面では、産地の販売戦略や消費者ニーズに応じた優良品目・品種への転換、効率的な生産体制の整備等を行っていく必要があります。


*1 農林水産省「食料需給表」
*2 β(ベータ)-クリプトキサンチンは温州みかん等のかんきつ類に豊富に含まれ、発ガン抑制効果がβ-カロチンの約5倍といわれています。1日当たり1~2個の温州みかんを食べることで、発ガンの抑制や生活習慣病の予防、抗酸化作用等健康増進の効果が期待されます。


(花き)

花きについては、切り花類の需要は近年横ばいないし微減、鉢もの類の需要は減少傾向にあります。国内生産は、生産農家の減少等により平成10年(1998年)をピークに減少傾向で推移し、作付面積は3万5千haとなっています(図3-20)。一方、切り花類を中心に、マレーシアやコロンビア、タイ等からの輸入がふえてきており、切り花類では国内仕向額の11%が輸入となっています。



今後、花きの需要は、1世帯当たりの購入金額は総じて減少傾向にあることから、何も手を打たないでいれば、縮小傾向に向かうことが懸念されますが、多くの無購買層・低購買層を対象として需要拡大を図る余地があります。このため、消費者に対する花きの手入れ等の知識の普及、花や緑に触れる機会をとおして、やさしさや美しさを感じる気持ちを育む「花育(はないく)」の推進、花きの色や香り等による魅力や効用に関する情報発信を図るとともに、輸出拡大の取組を促進するなどの需要拡大策を実施することが重要です。

一方、輸入花きは、低緯度高地の栽培適地での生産が増加、品質も向上していることから、今後もその輸入量が増加することが見込まれます。このため、国内においては低温開花性品種の導入による燃料費削減、低コスト耐候性ハウスの導入等による低コスト化を図るとともに、さらなる品種開発等を進め、差別化・ブランド化による高付加価値化を図り、輸入花きとのすみ分けが必要です。

また、花きは、家庭用、業務用等によって需要者のニーズが異なっています。近年、ホームセンター等の量販店での販売比率が高くなり、販売形態にも変化がみられます。このため、需要者を見極め、そのニーズにこたえた生産・流通を行うことが必要です。とりわけ、消費者ニーズが高い日持ちの良い切り花に対応する新品種の開発や、日持ち性を高い状態で維持できる湿式低温流通の導入が必要です。さらに、中央卸売市場における商物分離取引等により生産者から小売店に直接商品を届けるなど、生産者から消費者に至る関係者すべての取組が必要です。


消費者ニーズに対応した新品種・新技術

純白で茎伸長性に優れた小輪ギク
純白で茎伸長性に優れた小輪ギク
花持ちの優れたカーネーション
花持ちの優れたカーネーション
 
青色色素を蓄積させた青色系のキク(研究中)
青色色素を蓄積させた青色系のキク(研究中)

(牛乳・乳製品)

牛乳・乳製品については、需要は平成16年度(2004年度)の1,236万tまで増加を続けていましたが、需要の4割を占める飲用向けで減少するとともに(図3-21)、乳製品向けではチーズが増加傾向にあるものの、バターや脱脂粉乳は伸び悩んでいることから、近年、全体的には減少傾向で推移しています。国内の乳牛の動向をみると、飼養戸数は小規模層を中心に減少傾向で推移し、平成21年(2009年)には、配合飼料価格の高騰も影響して前年に比べ5.3%減の2万3千戸で、飼養頭数は150万頭となっています(*1)。その結果、1戸当たりの飼養頭数は65頭となっています。また、生乳生産量は前年に比べ0.9%減少の791万tでしたが、牛乳の生産量は前年に比べ9.4%減少した一方、成分調整牛乳(*2)は74.5%増加しました(*3)。これは、景気後退のなかでの消費者の低価格志向、ニーズの多様化が主な要因と考えられます。

牛乳・乳製品については、飲用牛乳はすべて国産で賄われているものの、乳製品の輸入量は、一貫して増加しており、現在350万t(生乳換算)となっています。その結果、平成20年度(2008年度)の自給率は70%(乳用牛における飼料の自給率は43%であり、これを考慮すると30%)となっています(*4)。


*1 農林水産省「畜産統計」
*2 生乳から乳脂肪分その他成分の一部を除去したものです。
*3 農林水産省「牛乳乳製品統計」
*4 農林水産省「食料需給表」


国内においては、配合飼料価格に影響されにくい経営体質に転換を図るため、生産者自ら飼料を生産・確保していくとともに、消費者の多様なニーズに対応した牛乳・乳製品の商品開発や普及により、消費拡大を図り収入を増加させることが重要です。また、経営の効率化に向け乳牛の生涯生産性や繁殖能力を向上させることや、労働力確保に向け支援組織の育成・活用の推進等を図るとともに、加工・販売に取り組む経営等多様な経営体の育成が重要です。

輸入乳製品のうち6~7割を占めるチーズについては、近年、需要量が増加していますが、輸入品が多く自給率は19%となっています(図3-22)。このため、今後、輸入チーズに対抗し得る国産チーズの競争力強化のため、ナチュラルチーズの生産体制を整備し、輸入チーズを国産に置き換える方策を講じていくこととしています。



(牛肉)

牛肉については、需要は平成12年(2000年)の160万t(*1)まで増加を続け、平成13年(2001年)に国内、平成15年(2003年)に米国で発生したBSE(*2)(牛海綿状脳症)の影響により減少したものの、平成19年度(2007年度)からは再び増加し現在は120万tとなっています(図3-23)。


*1 肉類の生産量、輸入量は枝肉(鶏肉は骨付き肉)に換算した値です。なお、枝肉とは、と畜場において肉畜を食用に供する目的でと畜し、放血して、はく皮またははく毛し、内蔵を摘出した骨付きの肉です。
*2 [用語の解説]を参照


肉用牛の飼養戸数は、小規模層を中心に減少し平成21年(2009年)には7万7千戸となっています(*1)。飼養頭数については、繁殖めす牛を中心とした増頭対策の推進等の効果により増加傾向にあり、平成21年(2009年)は292万3千頭となっており、その結果、1戸当たりの飼養頭数は38頭となっています。また、国内の牛肉の生産量は平成20年度(2008年度)では52万tで、その内訳をみると、和牛等の肉専用種が22万t、ホルスタイン種等の乳用種が30万tとなっています(*2)。一方、牛肉の輸入量は、豪州、米国産を中心に近年70万t程度で推移しており、その結果、平成20年度(2008年度)の自給率は44%(肉用牛における飼料の自給率は27%であり、これを考慮すると12%)となっています(*3)。

今後、国内においては、産肉・繁殖能力(*4)の向上、自給飼料の生産利用の拡大等を図り経営基盤を安定させていくとともに、多様化する消費者ニーズに対応した特色ある牛肉生産の推進や輸出拡大等も経営を安定させる観点から重要となっています。


(豚肉)

豚肉については、需要は平成13年度(2001年度)以降、BSEや高病原性鳥インフルエンザ(*5)の発生に伴う牛肉・鶏肉の代替として、平成16年度(2004年度)に250万tまで増加し、その後、240万t前後で推移しています(図3-24)。

豚の飼養戸数は、小規模層を中心に減少傾向で推移し、平成21年(2009年)には7千戸となっています(*6)。飼養頭数については、平成8年(1996年)以降980万頭前後で推移し、平成21年(2009年)は前年に比べ1.6%増の990万頭となっており、その結果、1戸当たりの飼養頭数は1,500頭となっています。また、国内の豚肉の生産量は、平成20年度(2008年度)では126万tで、前年度に比べ1.1%増となっています(*7)。


*1 、6 農林水産省「畜産統計」
*2 、7 農林水産省「畜産物流通統計」
*3 農林水産省「食料需給表」
*4 産肉能力とは、1日当たりに体重を増加させるなどの能力のこと。繁殖能力とは、分娩間隔を短縮させるなどの能力のこと
*5 [用語の解説]を参照


なお、平成21年(2009年)7月、豚肉の枝肉卸売価格は、高い在庫水準や国内生産量の増加等から大幅に低下し、8月以降低水準で推移しています。このため、平成21年(2009年)10月から、卸売価格の回復を目的に豚肉を市場から隔離する調整保管が補助事業により実施されました。一方、輸入量は、米国、カナダ、デンマーク産を中心に100万t程度で推移し、その結果、平成20年度(2008年度)の自給率は52%(豚における飼料の自給率は11%であり、これを考慮すると6%)となっています(*1)。

今後、国内においては、子豚の病気や死亡による資産の損耗を防ぐ観点から、衛生対策等による事故率低下に引き続き努めていくことが重要です。また、肥育・出荷頭数がふえ国内生産量が需要以上に多いことにより価格が低迷しているため、加工・業務用仕向け輸入豚肉(約30万t)を国産に転換していくことや、生産者自ら需要に見合った生産に取り組むことも重要です。


(鶏肉)

鶏肉については、需要は高病原性鳥インフルエンザの影響による一時的な減少が近年あったほかは増加傾向にありました(図3-25)。

肉用若鶏の飼養戸数は、小規模層を中心に減少傾向にあり平成21年(2009年)には2,400戸となっています(*2)。飼養羽数については、1億羽程度でほぼ横ばいで推移し、平成21年(2009年)は前年に比べ4%増の1億700万羽となっており、その結果、1戸当たりの飼養羽数は4万羽となっています。また、国内の鶏肉の生産量は、平成20年度(2008年度)は138万tで、前年度に比べ1.5%増となっています。一方、輸入量は、ブラジル産を中心に60万t前後で推移し、その結果、平成20年度(2008年度)の自給率は70%(鶏における飼料の自給率は11%であり、これを考慮すると8%)となっています(*3)。

今後、国内においては、産肉能力の向上や衛生対策の徹底、生産者自ら需要に見合った生産に取り組むとともに、加工・業務用仕向量の拡大を図ることが重要です。


*1 、3 農林水産省「食料需給表」
*2 農林水産省「畜産物流通統計」


(鶏卵)

鶏卵については、需要は近年260万~270万t程度で安定的に推移しています(図3-26)。また、我が国では鶏卵を生食するため、鮮度が求められることから国産志向が高く、平成20年度(2008年度)の自給率は96%(鶏における飼料の自給率は11%であり、これを考慮すると11%)となっています(*1)。

採卵鶏の飼養戸数は、減少傾向にあり、平成21年(2009年)には3千戸となっています(*2)。飼養羽数については、1億4千万羽程度でほぼ横ばいで推移しており、その結果、1戸当たりの飼養羽数は4万5千羽となっています。鶏卵の卸売価格は、昨今の厳しい経済情勢を反映して軟調に推移したため、卵価安定基金から多額の補てん金が支出されています。このため、需要に見合った生産への取組による鶏卵価格、養鶏経営の安定が課題となっています。


*1 農林水産省「食料需給表」
*2 農林水産省「畜産統計」


(飼料作物)

家畜の飼料全体の需要(可消化養分総量(TDN)ベース)は、平成13年(2001年)のBSE発生に伴い乳用牛・肉用牛の出荷が停滞した時期を除き、国内飼養頭羽数の減少に伴い、減少傾向で推移しています。飼料の構成をみると、飼料需要量の2割を占める粗飼料(*3)は国内生産が8割弱となっている一方、需要量の8割を占める濃厚飼料(*4)は国内生産が1割と低くなっています(図3-27)。このため、全体の飼料自給率は26%となっています(*5)。

我が国における飼料作物の作付面積は、草地の開発、既耕地への作付拡大等により増加してきたものの、畜産農家の減少に伴い、昭和62年(1987年)の105万4千haをピークに減少傾向で推移しています(図3-28)。しかし、平成18年(2006年)末からの配合飼料価格高騰のなか、関係者一体となって飼料増産を推進した結果、平成20年(2008年)の作付面積は増加に転じ、前年と比べ0.5%増加し90万haとなりました。また、稲発酵粗飼料(稲WCS(稲ホールクロップサイレージ))は、稲作農家にとっては生産しやすく、畜産農家にとっては良質粗飼料であることから、平成21年(2009年)の水田での作付面積は、平成18年(2006年)の約2倍の約1万ha(見込み)に拡大しています。


*3 イネ科、マメ科の牧草類、わら類等からなる飼料で、濃厚飼料に比べ栄養価は低いものの、繊維質を多く含みます。
*4 とうもろこし、油かす、ぬか類等からなる飼料で、粗飼料に比べ栄養価が高く、炭水化物やたんぱく質を多く含みます。
*5 飼料自給率は、飼料用穀物、牧草等を可消化養分総量(TDN)に換算して算出。[用語の解説]を参照

図3-27 飼料自給率の現状と目標


他方、海外に原料の大部分を依存している配合飼料の価格は、主要原料であるとうもろこしの国際価格が燃料用エタノール向け需要の増加により上昇したこと等から、平成18年(2006年)10月の1t当たり約4万5千円から、平成20年(2008年)10月には約6万8千円まで上昇しました。その後、世界的な不況による穀物需要の減退懸念や豊作予測等により、とうもろこしの国際価格が急落したこと等から、平成21年(2009年)4月には約5万2千円まで下落しました。平成21年度(2009年度)においては、おおむね5万円台前半で推移し、平成22年(2010年)1~3月期には約5万3千円となっています。

畜産経営においては、とうもろこし等の飼料穀物を用いてつくる配合飼料(*1)はなくてはならない生産資材であり、養豚、肉用鶏、採卵鶏では、経営費のうち飼料費が6割以上を占めることから、飼料穀物の国際相場の高騰等による配合飼料価格の上昇は、畜産経営に大きく影響します。

このため、今後、国内においては、二毛作等農地の有効利用による飼料作物の作付け拡大や、優良品種の開発・普及等による単収増を図るとともに、濃厚飼料の代替にもなり得る飼料用米の配合飼料原料としての積極的な利用、自給飼料や地域の未利用資源を活用したTMR飼料(完全混合飼料)の増産、エコフィード(食品残さ利用飼料)の利用拡大への取組等を推進していく必要があります。

また、飼料生産の労働力が不足し、作付け拡大が進まないという事情もあることから、飼料生産受託組織(営農集団、会社、農協等によるコントラクター組織(*2))による作業受託を拡大したり、耕作放棄地(*3)を放牧地として活用し省力化を図る生産形態に転換したりするなどにより、生産面積を維持・拡大していくことも重要です。


*1 複数の飼料原料や飼料添加物を動物の栄養素要求量を満たすように配合して混合したものです。
*2 飼料の収穫等の作業を請け負う組織
*3 [用語の解説]を参照

飼料となる稲わらの収穫作業(島根県益田市(ますだし))
飼料となる稲わらの収穫作業(島根県益田市(ますだし))
放牧(大分県竹田市(たけたし))
放牧(大分県竹田市(たけたし))
 

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