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農林水産省

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(2)農業経営の動向と農業生産を支える経営体・農地等をめぐる状況 ア 農業所得と農業経営の動向

(我が国全体の農業所得は、近年大きく減少)

我が国全体の農業純生産は年々減少し、平成19年度(2007年度)では、ピーク時の平成2年度(1990年度)のほぼ半分である3兆3千億円となっています(図3-29)。これを農家(*1)1戸当たりでみると、平成2年度(1990年度)を100とした場合、平成19年度(2007年度)は83の水準となっています。全体額でみても、1戸当たりでみても、農業所得は大きく減少しており、農業経営は非常に厳しい状況となっています。


*1 [用語の解説]を参照


この農業所得の減少は、農産物価格が低下したことや生産量が減少したことに加え、肥料、農薬等の農業生産資材価格が上昇したことが主な要因となっています。生産者段階の農産物価格と農業生産資材価格の相対的な関係を示す農業の交易条件(*1)指数(平成17年(2005年)=100)をみると、平成5年度(1993年度)の128をピークに年々低下し続け、平成21年(2009年)には86と大きく低下しています(図3-30)。特に、平成19年(2007年)から平成20年(2008年)にかけては、飼料や肥料、光熱動力費の上昇により、農業生産資材価格指数が前年比で8ポイント上昇したことから、農業の交易条件指数は6ポイント低下しました。なお、平成20年(2008年)秋ごろからは農業生産資材価格は下がりましたが、農産物価格も低下したことにより、農業の交易条件指数は前年とほぼ同じ低水準になっています。



(農家1戸当たりの農業所得も減少傾向)

農家類型ごとに1戸当たり総所得をみると、近年、主業農家(*2)を含め全類型で減少傾向にあります(図3-31)。主業農家では、総所得の8割程度を占める農業所得の減少等により、総所得が平成16年(2004年)の573万円から平成20年(2008年)には546万円に減少しています。農業所得と勤労者世帯の勤め先収入をみると、世帯の地域分布等が異なり単純には比べられないことに留意する必要はありますが、主業農家でも勤労者世帯の勤め先収入より相当程度低くなっています。また、主業農家の家計費はいずれの年も農業所得を上回っており、農業所得のみでは家計費を賄えていない状況にあります。

準主業農家(*3)、副業的農家(*4)の所得については、主業農家とは大きく異なり、農外所得が主となっていますが、農業所得に加え、農外所得等の減少により総所得も減ってきています。


*1 ~4 [用語の解説]を参照


(十分な農業所得を得ている農家は少数)

平成19年(2007年)において、農業所得が300万~500万円(*1)の販売農家(*2)は13万戸(販売農家全体の7%)、500万円以上の販売農家は12万戸(同7%)で、300万円以上の所得を農業で得ている販売農家は25万戸(同14%)と少なくなっています(図3-32)。一方で、農業所得が100万円未満の販売農家は全体の69%の124万戸と推計されます。これを農業地域類型(*3)別にみると、特に中間・山間農業地域では300万円以上の販売農家の割合がそれぞれ13%、9%にとどまるなど、農業所得は総じて低くなっています。

認定農業者(*4)がいる販売農家に限定してみても、300万円以上の農家の割合は、平成16年(2004年)の63%から平成19年(2007年)には60%、1,000万円以上の農家の割合は13%から9%と減少傾向にあります。他産業並みの所得を農業所得により確保することを目指して農業経営の改善に取り組む認定農業者であっても、農業所得の状況は非常に厳しいことがわかります。

このことは、今後、戸別所得補償制度の導入により、意欲あるすべての農業者が将来にわたって農業を継続できる環境を整備するとともに、地域農業の担い手を育成・確保する仕組みとして定着・普及している認定農業者制度も有効に活用して、経営規模の拡大、農業経営の多角化・複合化等の6次産業化の取組による経営の改善を後押しすることが極めて重要であることを示しています。


*1 市町村が定めている農業経営基盤の強化に関する基本的な構想においては、他産業並みの所得を300万~500万円としている市町村が多くなっています。
*2 ~4 [用語の解説]を参照


(米の価格低下が続き、販売価格で生産費を賄えなくなっている状況)

農業所得の減少は、農業生産資材価格が上昇したことに加えて、農産物価格の低下も大きな要因となっていますが、基幹作物である米についても価格は低下が続き、多くの農家が米づくりを続けることが困難な水準まで落ち込んでいます(図3-33)。

地域別にみても、販売価格に差異があることに留意する必要がありますが、多くの地域において、生産費が販売価格を上回る状況になっています(図3-34)。




また、経営規模別にみると、米生産農家数の73%を占める作付面積1ha未満層では物財費も賄えておらず、25%を占める1~5ha層では物財費は賄えても家族労働費等が賄えきれていない状況になっています(図3-35)。

稲作3ha以上層においては、平成10年(1998年)に8,510円であった経営費(物財費、雇用労働費、支払利子・地代)を平成20年(2008年)までに3.5%削減していますが、米価が21.3%も下落したこと等により所得は40.0%減少しています(表3-3)。




(すべての営農類型で厳しい収益性)

水田作も含めた営農類型別に年間農業所得をみると、平成20年(2008年)では、水田作販売農家39万円(家族農業労働時間810時間)、同主業農家377万円(同2,691時間)、露地野菜作178万円(同2,767時間)、果樹作157万円(同2,616時間)、酪農419万円(同5,473時間)、肥育牛166万円(同3,302時間)、養豚755万円(同4,321時間)等となっています(図3-36)。また、平成16年(2004年)と比較すると、多くの営農類型で減少傾向にあり、特に酪農や肥育牛経営では農業所得は大きく減少しています。

家族農業労働時間1時間当たり農業所得をみると、水田作販売農家485円、露地野菜作643円、酪農766円、肥育牛502円となっているなど、多くの類型で1千円未満あるいは1千~2千円となっています。他産業における1時間当たり給与額は、例えば、5~9人の製造業事業所従業員(男性)1,569円、ホームヘルパー1,164円、営業用バス運転手1,405円、アルバイトの飲食店従業員等(給仕)925円等となっており、農業は、他産業と比べても厳しい状況となっています。

今後、農業者が安心して営農に取り組むことができ、子や孫の世代にも自信を持って「農業を継いでくれ」といえるようにするためには、所得の向上と経営の安定が極めて重要です。



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