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(5)高齢農業者の活動状況

(高齢農業者は働けるうちはいつまでも働きたいという意向)

我が国の農業就業者は高齢化が進み、平成21年(2009年)には65歳以上の高齢者が6割を占めています。高齢農業者が普段農業にどのようにかかわっているかをみると、「自分が中心となって行っている」、「自分1人で行っている」者を合わせた割合は、65~69歳74%、70~74歳66%となっており、また75歳以上になっても50%を占めています(図3-104)。



就業形態別の退職希望年齢をみても、農林漁業では、他の就業形態に比べて、「働けるうちはいつまでも働きたい」と考えている者の割合が高くなっているとともに、かなり高齢になるまで働きたいと考える者の割合も多くなっています(図3-105)。

これら高齢農業者が「農業を行う」または「行っていた」とする最も大きな理由は、「家の農業を守るため」、次いで「生活費確保」となっており、我が国農業・農村の高齢化、後継者不足の深刻さがうかがえます(*1)。


*1 農林水産省「高齢農業者の営農や地域活動への参画に関する意向調査」(平成21年(2009年)3月公表)


(高齢者の役割の維持と活動の促進に向けた環境整備が必要)

農業者が高齢者に望む地域活性化のための活動については、「伝統芸能や祭り等の地域の文化・伝統の伝承」、「地域問題についての調整役、取りまとめ役」、「耕作放棄地を利用して景観作物を栽培するなどの環境美化活動」、「子どもに対する地域の伝統料理を使った食育活動」等が多くなっています(図3-106)。また、次世代を担う人たちへの支援・育成のために高齢者に望む活動としては、「農業経験が浅い新規就農者等への相談役」や「豊富な経験に裏打ちされた農業技術の伝授」等が多くなっています(*1)。

一方、高齢者が「行っている」または「今後行ってみたい」地域社会活動としては、「産地直売・朝市」、「地域内の農業以外の住民や都市住民との交流」、「伝統芸能、祭り等の地域の文化・伝統の伝承」等があります(図3-107)。

高齢農業者は、我が国の農業就業者が減少しているなか、農業生産活動の継続あるいは地域のサポートといった面からも重要な役割を有しています。また、内閣府の調査によると、農村地域居住者の方が都市居住者に比べて健康状態が良いとの結果が出ており、高齢農業者自身にとっても、日々の農作業、農業に関係する活動が疾病予防に有益に作用しているという考え方もあります(*2)。

このため、今後、高齢農業者が自身で農業を営んでいけるよう、地域内外での助け合い活動への支援の他、農作業を軽労化・自動化するアシストスーツや小型作業ロボット等の技術開発を進めることが必要です。また、知識や技術を活かして、地域活性化等の面での活動を積極的に進められるよう、世代間交流や地域文化の伝承活動の支援等を促進していくことが必要となっています。


*1 農林水産省「地域農業・社会における高齢者の役割に関する意向調査」(平成17年(2005年)2月公表)
*2 内閣府「高齢者の日常生活に関する意識調査結果」(平成17年(2005年)7月公表)



(高齢者を中心とした農作業死亡事故が増加)

農作業死亡事故については、近年横ばい状態が続き、平成20年(2008年)は374件となっています(図3-108)。このうち、65歳以上の高齢者の事故の割合は上昇傾向にあり、全体の79%を占めています。事故区分別にみると、農業機械作業にかかる事故が7割、それ以外の作業にかかる事故が3割となっています。


農業機械作業にかかる事故では機械の転落・転倒が全体の57%と最も多く(図3-109)、それ以外の作業にかかる事故では、農業用施設からの墜落や転落、ほ場や道路からの転落、稲わら焼却等による火傷、熱中症等を含む作業中の病気が多くなっています。


(農作業死亡事故の原因は加齢による心身機能低下等)

高齢者の農作業事故が多い要因については、加齢による心身機能や判断力の低下によるものが主なものであると考えられています。年齢が高くなると、青年期までに比べて、視力、聴力、持久力、敏しょう性、平衡機能、とっさの判断力等、体力・感覚等の機能が低下し、けがの発生率が高くなります(表3-7)。特に視力、聴力等は40歳以降に急速に低下します。

このほか、新たな機械への投資意欲が低く、安全性の低い旧型の機械をそのまま使用していること等も農作業事故を多くする要因といわれています。


表3-7 加齢による主な心身機能の低下

(高齢者の農作業死亡事故を防止するための取組が必要)

今後、高齢者の農作業死亡事故を防止していくためには、型式検査や安全鑑定に合格した安全性の高い農業機械を導入することが重要です。例えば、乗用型トラクターのキャビンやフレーム(*1)は、転落転倒時の死亡率を8分の1に抑制することが報告されています(*2)。また、マニュアルに定められた農業機械の使用方法を守ること、路肩の草刈り等を通じて作業環境の改善を図ること、講習会への参加等を通じて安全な農作業に必要な知識や技術を習得すること、高齢者が自らの心身機能の変化を十分に意識して農作業に取り組むことも重要です。さらに、現在は自営農業者でも加入できる労災保険の特別加入制度への加入者数が13万人程度にとどまっており、万一事故にあった場合のために、労災保険へ加入することも重要です。

なお、農林水産省では、平成22年(2010年)から全国の行政機関や農業機械販売店等に呼びかけ、事故が多発する春作業を前にした3月からの3か月間、最大の死亡事故要因となっている農業機械の転落・転倒事故の防止と、労災保険への加入促進に重点化した「2010年 春の農作業安全確認運動」を展開しています。


*1 トラクターの転倒時に運転者を保護するために取り付けられる運転室や、運転席を囲う金属の枠のことです。
*2 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術支援センター「農業機械の事故実態と安全装備に関する農業者調査」(平成18年(2006年)12月公表)

「2010年 春の農作業安全確認運動」パンフレット

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