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農林水産省

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(4)環境保全に向けた農業分野での取組


(バイオマスの活用が重要)

バイオマスを、電力や燃料等のエネルギー、肥料や飼料、バイオマスプラスチック等の製品として活用していく取組は、農山漁村の活性化やエネルギー供給源の多様化といった面だけではなく、地球温暖化対策や循環型社会の形成といった環境保全の面からも重要です。

バイオマスの総合的・計画的な活用に向けて、平成22(2010)年12月には、「バイオマス活用推進基本法」に基づき、バイオマスの活用を促進する施策についての基本的方針、国が達成すべき目標、技術の研究開発に関する事項等を定めた「バイオマス活用推進基本計画」が閣議決定されました。この基本計画では、平成32(2020)年までに国が達成すべき目標として、600市町村において市町村バイオマス活用推進計画を策定すること、バイオマスを活用する約5千億円規模の新産業を創出すること、炭素換算で年間2,600万tのバイオマスを活用すること等の目標が掲げられており、今後その達成に向けて、バイオマスの生産、流通、利用の段階が有機的に連携し、事業として成立し得る利用体系を構築していくことが重要です。


(バイオマスの取組拡大に当たっては、低コスト化等が課題)

我が国の農山漁村にはバイオマスが豊富に存在しています。しかし、これらのバイオマスは多くの場合、「広く薄く」存在しており、収集・運搬のためのコストが高いこと等から利用が進んでいません。例えば、年間約800万t発生している林地残材(未利用の間伐材等)は、ほぼすべてが利用されないまま、山林に放置されている状況にあります(図25)。

バイオマスの活用を拡大していくためには、それぞれのバイオマスの特性に応じて、潜在的な価値を最大限活用しつつ、効率的な利用を推進していくことが重要です。例えば、林地残材については、木材自給率の向上を図るための簡易な作業道の整備等の取組を通じて、低コストで搬出・供給できる体制を構築していく必要があります。また、これまで主に堆肥として利用していた家畜排せつ物については、バイオガスをエネルギー回収したうえで、残さをさらに肥料として活用するなどの取組が必要です。

さらに、国内クレジット制度やオフセット・クレジット(J-VER)制度を活用していくことも有効です。国内クレジット制度では、温泉施設や農場等のボイラーの燃料を重油から木質バイオマスに転換するものなど、バイオマス関連の取組で115件、約35万t–CO2の排出削減が見込まれています。また、オフセット・クレジット(J-VER)制度においては、林地残材等を化石燃料の代替として利用するプロジェクトからのクレジットが認証され、カーボン・オフセットに用いられています。

なお、農村地域に存在する豊富なバイオマスを利用した国産バイオ燃料の生産については、平成20(2008)年度は2千kLでしたが、平成19(2007)年から余剰てんさいや規格外小麦・廃木材等の原料調達からバイオエタノールの製造・販売まで地域の関係者が一体となって取り組む実証事業が行われ、平成21(2009)年度には1万8千kLとなっています。今後、施設の本格的な稼働により生産量が拡大することが期待されますが、国産バイオ燃料の増産に向けては、生産コスト面での課題等を解決するとともに、稲わら等のソフトセルロース系原料からバイオエタノールを製造する技術の確立も必要です。



事例:稲のバイオエタノール製造を核とした地域エネルギー循環の取組
バイオエタノールを混合したガソリンを販売しているガソリンスタンド
バイオエタノールを混合した
ガソリンを販売しているガソ
リンスタンド
新潟県新潟市(にいがたし)

全国農業協同組合連合会は、水田で大豆等への転換が難しい地域における農地の有効利用方策として、バイオエタノール用稲の栽培に着目しました。新潟県新潟市(にいがたし)にある同バイオエタノール製造所(平成21(2009)年2月から稼働)では、新潟県の8農協管内(取組農業者360 戸、栽培面積300ha) で栽培された多収穫米「北陸193 号」を20 円/kg で年間2,300 t買い上げて、バイオエタノールを製造しています。

製造したバイオエタノールは3%以下の割合でガソリンに直接混合されていますが、県内19 か所の農協直営ガソリンスタンドにおいて、一般のレギュラーガソリンとして平成21(2009)年7月より販売され、その量は年間3万7千kL となっています。

また、バイオエタノール製造所では、地域で発生する籾殻(もみがら)をブリケット(圧縮固形燃料)化し、エタノール製造施設の熱源としてガス化利用することで、化石燃料をできるだけ使わない工夫をしています。さらに、ブリケットのガス化残さは土壌改良材として米生産者のほ場に還元しているほか、エタノール製造過程で生じる発酵残さも飼料・肥料化するなど、エネルギーの地産地消の取組を推進しています。

バイオ燃料用米の生産については、戸別所得補償モデル対策での「水田利活用自給力向上事業」において戦略作物として10a 当たり8万円が交付されており(平成23(2011)年度においては、水田活用の所得補償交付金のなかに創設された産地資金において、都道府県の判断により助成予定)、新潟県内の農業者の関心も高く、今後より一層の取組が期待されます。



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