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農林水産省

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(2)農業就業者の動向

(農業就業人口は引き続き減少・高齢化)

農業就業人口(*1)は、平成23(2011)年には260万1千人となり、前年に比べて5千人(0.2%)減少しました(表3-16)。また、65歳以上の割合が6割、75歳以上の割合が3割を占めるなど、引き続き高齢化が進んでいます。

農業就業人口のうち基幹的農業従事者(*2)数は、186万2千人となり、前年に比べて18万9千人(9.2%)減少し、200万人を下回りました。また、65歳以上の割合は59.1%と前年に比べて2ポイント低下したものの6割を占めており、平均年齢も66歳と高齢化が進んでいます。


*1、2 〔用語の解説〕を参照


(青年新規就農者の確保・育成が課題)

農業就業人口の減少と高齢化が引き続き進む中、食料の安定供給を確保し、農業の持続的発展を図っていくためには、新規就農者を確保し、その育成を図ることが課題となっています。

このことについて、基本計画においては、新規就農者の育成・確保を図るため、「それぞれの就農形態・経路に即した各種情報提供、農業高校や農業大学校等における人材育成、農業法人や海外等での実践的な研修等を支援する」とともに、「経営開始に当たっての農地の確保や機械・施設等の整備への支援を講じる」としています。

また、再生基本方針においては、「青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を図るため、青年就農者の経営安定支援、法人雇用就農の促進、地域のリーダー人材の層を厚くする農業経営者教育の強化を推進する」としています。

このような中、平成22(2010)年の新規就農者は5万5千人となり、前年に比べて18%(1万2千人)減少しました(表3-17)。この減少の背景には、厳しい農業情勢があると考えられます。就農形態別の内訳をみると、新規自営農業就農者(*1)は4万5千人で前年に比べて22%(1万3千人)減少したのに対して、新規参入者(*2)2千人(対前年比3.0%増)、新規雇用就農者(*3)8千人(同6.2%増)とそれぞれ増加しています。他方、39歳以下の新規就農者は、1万3千人(うち新規雇用就農者5千人)と前年に比べて13%(1,880人)減少しました。

なお、農業関係の学校・研修教育機関からの就農は、平成22(2010)年度には2,404人となっており、新規学卒就農の主要ルートになっています。このうち、農業高校からは764人、道府県農業大学校等の農業研修教育機関からは1,610人、民間教育機関からは30人が就農しています(*4)。


*1~3 〔用語の解説〕を参照
*4 文部科学省「学校基本調査」、農林水産省調べ、全国農業大学校協議会調べ


(新規就農者に対しては様々な支援が必要)

新規就農者の育成・確保を図るため、これまでも、独立・自営農業を目指す就農希望者に対して、営農に必要な農業技術や経営ノウハウの習得、補助・融資による農業機械・施設等の整備への支援が行われてきました。

また、農外からの就農が促進されるよう、新規就農者自らが農地の確保や機械等の初期投資を必要としない農業法人等への雇用就農を新規就農の重要な就農ルートと位置付けて、マッチングや研修活動の実施に向けた支援が行われてきました。

しかしながら、全国農業会議所が平成22(2010)年11月に新規就農者を対象に行ったアンケート調査によると、就農後1~2年目の間に経営面で最も困っていることは、「所得が少ない」が31%と最も多く、次いで、「技術の未熟さ」20%、「設備投資金の不足」13%の順となっており、所得の確保や技術の向上が課題となっています(図3-35)。



このため、上記の支援措置に加え、平成24(2012)年度からは、青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を図る観点から、「青年就農給付金」が開始されます。これは、原則として45歳未満の独立・自営の新規就農者を対象として、就農前の研修期間(最長2年間)及び経営が不安定な就農直後(最長5年間)の所得を確保する給付金(年間150万円)を給付するものです(図3-36)。

また、今後の地域農業のリーダーとなる人材の層を厚くするため、就農希望者や経営発展を目指す農業者等に対して、高度な経営力、地域リーダーとしての人間力等を養成する高度な農業経営者教育機関等に対する支援も新たに開始されます。

関係者の努力に加えて、これらの支援等を有効に活用することにより、将来の日本農業を支える新たな人材の育成・確保が期待されます。


図3-36 新規就農者に対する支援

コラム:静岡県における新規就農者対策の先進的取組
静岡県

静岡県では、県単独の研修事業として、平成16(2004)年度から、県内での自立就農を希望するおおむね40歳未満の非農家出身者等を対象に「がんばる新農業人支援事業」を実施しています。

この事業では、研修受入農家、農協、市町、県等からなる地域受入連絡会が新規就農希望者を研修受入れすることにより、研修者は先進的な農業経営者の下で農業技術や経営ノウハウを学ぶ1年間の実践的な研修を受けることができるだけでなく、研修地域での就農に向けた農地・資金の確保や就農後のフォローアップまで総合的な支援を受けることができます。

これまでに、平成16(2004)~23(2011)年度までの研修生66人の9割に当たる59人が自立就農し、いちごやミニトマト等の産地を担う若手農業者として活躍しています。

 

(農作業事故は依然高水準で推移)

農作業事故による死亡事故件数は、近年、1年間で400件前後と横ばいで推移しており、平成22(2010)年は前年に比べて10件減少し、398件となっています(図3-37)。また、農業就業人口の高齢化が進む中、農作業死亡事故の発生件数の8割を65歳以上の農業者が占めています。

農作業中の事故には、農業機械作業にかかるもの(70%)や、作業舎の屋根からの転落等による農業用施設作業にかかるもののほか、ほ場、道路からの転落、熱中症等を含む作業中の病気等機械・施設以外にかかるものがあります(図3-38)。このうち、農業機械作業について事故の機種別の発生状況をみると、乗用型トラクター41%、歩行型トラクター18%、農用運搬車17%と、この3つで8割を占めています。

このような状況を踏まえ、基本計画においては、「農作業事故での死亡事故件数が減少していない中で、今後とも多くの高齢者が農業に従事すると見込まれることを踏まえ、農作業安全対策の強化を図る。特に、行政機関や民間事業者等の関係者の協力の下、農業者の安全意識の向上を図るとともに、農業機械の安全性を向上させるための取組を促進する」としています。

このため、平成22(2010)年からは、農作業事故情報の収集、分析体制を強化するとともに、国が旗振り役となり、都道府県、農機具メーカー、JAグループ等関係機関の協力を得て、農作業繁忙期で事故が多く発生する春と秋に「農作業安全確認運動」を実施しています。平成24(2012)年からは、新たに幅広い関係者によるネットワークを整備し、双方向でのきめ細かな情報交流を図ること等により、安全意識のさらなる向上を促すとともに、地域における活動を底上げすることとしています。

また、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センターにおいて、トラクターの転落・転倒事故を誘発する「片ブレーキ」の防止装置を民間企業と共同で開発するなど、安全性の高い農業機械の研究開発を行っており、今後とも、ハード対策とソフト対策を一体的に推進し、農作業事故の減少を図ることとしています。

さらに、万一の事故に備えるため、労働者災害補償保険(労災保険)への加入も必要です。労災保険は、雇用労働者の負傷等を補償するための制度ですが、個人事業主である農業者も、特定農作業従事者(*1)や指定農業機械作業従事者(*2)、中小事業主等(*3)のいずれかに当てはまる場合は、特別加入団体や労働保険事務組合を経由することで、任意で特別加入できます。しかしながら、労災保険の特別加入制度に加入している農業者は、平成22(2010)年度末時点では12万4千人にとどまっています。農業者が加入するためには、農協等で特別加入団体や労働保険事務組合が組織されている必要があることから、今後、農協等を通じ、加入促進に向けた一層の取組が重要となっています。


*1 年間の農業生産物総販売額が300 万円以上または経営耕地面積2ha 以上の規模で、(1)トラクター等の農業機械を使用する作業、(2)2m以上の高所での作業、(3)サイロ、むろ等の酸欠危険のある作業、(4)農薬散布、(5)牛・馬・豚に接触する作業に従事している者
*2 自営農業者(兼業農家を含む)のうち、次に指定された機械を使用し農作業を行う者。(1)動力耕うん機その他の農業用トラクター、(2)動力溝掘機、(3)自走式田植機、(4)自走式防除用機、(5)自走式動力刈取機、自走式収穫用機械、(6)トラック、自走式運搬用機械、(7)動力脱穀機や動力草刈機等の定置式または携帯式機械
*3 常時300人以下の労働者を使用する事業者本人またはその家族従事者(法人の場合は代表者以外の役員)であって、要件(1年間に100日以上にわたり労働者を使用することが見込まれ、雇用する労働者について労働保険関係が成立、労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること)を満たす者



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