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農林水産省

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第2節 我が国の食料自給率の動向


(食料自給率は低下傾向の中で近年は横ばいで推移)

昭和40(1965)年度に73%の水準であった供給熱量ベースの食料自給率は、長期的に低下傾向にありますが、平成12(2000)年度以降は、40%前後の水準で推移しています(図2-2-1)。平成23(2011)年度の供給熱量ベースの食料自給率は、前年度に不作だった小麦の生産量が回復した一方で、東日本大震災発生直後に一時的に増加した米の需要が落ち着き、需要量が減少したこと等から、前年度と同率の39%となりました。

また、生産額ベースの食料自給率も長期的に低下傾向で推移しています。平成23(2011)年度は、東日本大震災等の影響により牛肉の需要が低下し、国産品単価が下落したことや天候が安定したことで野菜の単価が低下したため、国内生産額が減少し、前年度から4ポイント低下し66%となりました。


(食料自給率低下の要因は米と畜産物の消費量の変化)

平成23(2011)年度の1人1日当たりの供給熱量は、2,436kcalであり、供給熱量ベースの自給率が73%あった昭和40(1965)年度の2,459kcalとほとんど変わりません(図2-2-2)。

しかしながら、1人1日当たりの供給熱量の変化を品目別にみると、昭和40(1965)年度から平成23(2011)年度の間で、自給可能な米の供給熱量全体に占める割合が大きく低下する一方、畜産物や油脂類の割合が大きく上昇しています。このように供給熱量ベースの食料自給率の低下の背景には、米の消費量の減少に加え、輸入飼料穀物や輸入油糧作物に依存する傾向が高い畜産物や油脂の消費量の増加があります。

また、平成23(2011)年度のたんぱく質(P)、脂質(F)、炭水化物(C)の構成比(PFCバランス)について、米を中心として、水産物、畜産物、野菜等多様な副食から構成され、栄養バランスに優れた「日本型食生活」が実現していた昭和55(1980)年度と比較すると、脂質の割合が3.1ポイント上昇する一方、炭水化物の割合が3.1ポイント低下しており、栄養バランスの崩れがみられます。



さらに、農産物の1人当たり年間供給量を品目別(重量ベース)でみると、昭和40(1965)年度から平成23(2011)年度の間で、肉類が3.2倍、牛乳・乳製品が2.4倍と大幅に増加する一方、米は111.7kgから57.8kgまで約半分に減少しています(図2-2-3)。

野菜の供給量は、昭和40(1965)年度から昭和55(1980)年度にかけてはやや増加していますが、昭和55(1980)年度から平成23(2011)年度にかけて113.0kgから91.1kgに19%減少しています。厚生労働省が平成24(2012)年7月に改定した「健康日本21(第2次)」において、1日当たりの野菜の摂取目標値が350gとされている中、平成23(2011)年における摂取量は277g(*1)となっており、PFCバランスの崩れのみならず、野菜不足による健康面における影響も懸念されます。


*1 厚生労働省「平成23年国民健康・栄養調査報告」


コラム:供給熱量と摂取熱量の差により1日1食分の熱量が喪失

国民1人当たり供給熱量をみると、昭和45(1970)年度の2,530kcalから平成8(1996)年度の2,670kcalまで増加傾向にありましたが、その後は減少傾向にあり、平成23(2011)年度には2,436kcalとなっています。一方、国民1人当たりの摂取熱量は昭和45(1970)年から減少傾向にあり、平成23(2011)年には1,788kcalとなっています。両熱量の差は、食品産業において加工工程でやむを得ず発生する食品残さを含めた廃棄分や家庭での食べ残し等のおおよその目安になるものと考えられますが、1980年代後半以降、600kcalから700kcal程度で推移しています。この熱量はおよそ1食分に相当するものとなっています。



(地域により食料自給率に大きな違い)

平成22(2010)年度における、供給熱量ベースの食料自給率を都道府県別にみると、畑作物の生産が盛んな北海道や米の生産量が多い秋田県、山形県等で高い傾向にあります(図2-2-4)。

生産額ベースでは、宮崎県、鹿児島県、青森県、北海道等で特に高く、畜産、野菜、果樹の生産が盛んな地域で高い傾向にあります。また、秋田県、富山県は、生産額に占める米の割合が高いことから、供給熱量ベースの食料自給率が生産額ベースの食料自給率を上回っています。

一方、人口が集中している東京都(供給熱量ベース1%、生産額ベース4%)、大阪府(同2%、同5%)、神奈川県(同2%、同13%)等の大都市部は、食料自給率が非常に低い水準にあるため、食料の輸入途絶等による緊急時には食料の調達面で影響を受けやすくなっています。


(諸外国に比べ低い食料自給率)

食料自給率(供給熱量ベース)を他の先進国と比較すると、我が国は最低水準となっています(図2-2-5)。

また、穀物自給率については、我が国では26%と非常に低くなっており、176の国・地域のうち127位、OECD加盟34か国のうち30位となっています(図2-2-6)。

なお、我が国以外でも、食料自給率を公表し、目標として設定している国・地域があります(図2-2-7)。食料の多くを輸入している韓国、スイス、台湾、ノルウェーでは、供給熱量ベースの食料自給率を公表しており、韓国、台湾では目標を設定しています。また、近年経済発展が著しく、食料需要が増大している中国では、穀物等の自給率について目標を設定しています。

 

図2-2-7 食料自給率を公表・目標設定している国・地域

(食料自給率の向上に向け生産・消費の両面からの取組が必要)

新興国の人口増加や食生活の改善等により、世界の食料需給が逼(ひっ)迫基調で推移すると予測されています。また、先進国の中では最低の食料自給率水準にある我が国は、異常気象による主要生産国における減産、農産物価格の急激な高騰、輸出規制による貿易量の減少といった各種の食料安全保障上のリスクに直面しています。このような状況の中、国内の農業生産増大を図ることを基本とし、これと輸入とを適切に組み合わせつつ、食料の安定供給の確保を図ることが我が国の重要な課題となっており、「食料・農業・農村基本計画」(以下「基本計画」という。)においては、関係者の最大限の努力を前提として、我が国の持てる資源を全て投入した時に初めて可能になる高い目標として、食料自給率を平成32(2020)年度までに供給熱量ベースで50%、生産額ベースで70%にそれぞれ引き上げることを掲げています。

また、基本計画では、主要な品目の平成32(2020)年度における生産数量目標を設定しており、米粉用米、飼料用米、小麦、大豆、飼料作物について大幅な生産拡大を図ることとしています(表2-2-1)。これらの品目について平成20(2008)年度から3年目となる平成23(2011)年度の生産量をみると、米粉用米や飼料用米は一定の増加がみられるものの、小麦や大豆等では作付面積が思うように拡大しない中、天候不順の影響等により生産量が減少しています。

今後の食料自給率向上に向け、生産面では、水田を始めとした生産資源を最大限活用することが必要です。特に、二毛作により小麦の作付けを飛躍的に拡大するとともに、作付けられていない水田や有効利用が図られていない畑地を活用した米粉用米、飼料用米、大豆等の作付けの大幅拡大、技術開発とその普及を通じた単収・品質の向上、耕作放棄地の解消等を通じた農地の確保を推進する必要があります。

また、消費面では、人口減少・高齢化の進行が見込まれる中で、潜在的需要の掘り起こし等を進め、消費者や食品産業事業者に国産農産物が選択される環境を形成することが必要です。特に、朝食欠食の改善や米飯学校給食の推進を通じた米の消費拡大や、健康志向の高まりを受けた脂質の摂取抑制等に取り組む必要があります。これらの取組に加え、パンや麺への国産小麦・米粉の利用拡大、飼料自給率の向上に向けた取組を全国的な活動として展開していくことが重要となっています。

 
図2-2-8 食料自給力の考え方

一方、食料自給率の水準は、緊急事態における国内農業の食料供給力の程度を示すものではありません。このため、緊急時における安全保障を維持するため、農地・農業用水等の農業資源、農業者(担い手)、農業技術から成る国内農業生産による潜在的な供給能力を示す「食料自給力」の維持向上を図ることも重要です(図2-2-8)。

 

(食料自給率向上に向けた取組を展開)

平成20(2008)年から活動を展開している「フード・アクション・ニッポン」は、食料自給率向上に向けた取組を関係者が一体となって推進するものです。具体的には、米粉の普及活動(米粉倶楽部)、被災地等の農林水産物等の消費を拡大することで東日本大震災からの復興を応援する「食べて応援しよう!」、食料自給率向上に貢献した活動への表彰(フード・アクション・ニッポンアワード)等の活動を通じて消費者や企業、団体等に国産農産物の積極的な消費拡大を働きかけています。

「フード・アクション・ニッポン」には、農業者、食品製造事業者、外食産業者、学校、行政等幅広い分野の関係者が参加しており、平成25(2013)年3月末現在の参加企業数(推進パートナー数)は7,122社・団体等となっています(図2-2-9)。

「フード・アクション・ニッポン」の推進パートナーは、イベントや売り場、食品の包装等において、推進パートナーロゴマークを掲示することを通じ、「フード・アクション・ニッポンの趣旨に賛同し、趣旨に沿った活動を積極的に推進する」という企業、団体等の意思を示すことにより、関心の高い消費者に対して企業、団体等の取組姿勢をアピールしています(図2-2-10)。


コラム:豪州における国産農産物の消費拡大の動き

豪州では、国内で生産された製品や農産物等に「Australian Made」や「Australian Grown」等のロゴマークを貼付し、国産品の購入を促す取組が広く展開されています。この取組は昭和61(1986)年に豪州政府により導入され、国産を示す公認のロゴマーク(*1)として、豪州の消費者に広く認識されています。

このような中、豪州の豚肉生産者団体(APL(*2))が消費者を対象に豚肉に関する調査を行ったところ、国内の生鮮豚肉の全量が国産であることやハム等の豚肉加工品の70%以上が輸入豚肉を原料としていること等に対する認識が低いことが分かりました。このことを踏まえ、APLは国産豚肉を示す「Australian Pork」のロゴマークを独自に発案し、平成20(2008)年から消費者に対して、国産豚肉の識別性を高める取組を行っています。

豪州の国産豚肉の供給量は、平成19(2007)年まで減少傾向で推移していましたが、平成21(2009)年に増加に転じました。これら国産品の購入を促す豪州の各種取組は、国産農産物等の消費を下支えしていると考えられます。

Australian Madeのロゴマーク
Australian Madeのロゴマーク
Australian Grownのロゴマーク
Australian Grownのロゴマーク
Australian Porkのロゴマーク
Australian Porkのロゴマーク
*1 「Australian Made」や「Australian Grown」のロゴに関する運用は、豪州の非営利公的会社「Australian Made Campaign Limited」が実施。
*2 APLは、Australian Pork Limitedの略。

(朝食欠食の改善等による米の消費拡大に向けた取組)

平成23(2011)年における朝食の欠食率をみると、年代別には20歳代が31%と最も高く、全世代の平均値は13%となっています(表2-2-2)。また、朝食欠食により失われた食数は、年間で59億食、市場規模では総額1兆8千億円と推計されます。このような中、農林水産省は朝食欠食の改善や米を中心とした「日本型食生活」の普及・啓発が食料自給率の向上に資するとの観点から、平成19(2007)年から官民一体となったキャンペーン活動(めざましごはんキャンペーン)を展開しています。具体的には、政府による朝食の重要性やごはん食の健康面の効果の普及・啓発等に併せて、キャンペーン参加企業がロゴマークの商品貼付や販促素材を活用した米関連商品の消費拡大活動等を実施しており、平成25(2013)年3月末現在で約4,400の企業がキャンペーンに参加しています。



また、米飯学校給食は、味覚を育む子供たちに米を中心とした「日本型食生活」の普及・定着を図る上で重要であるとともに、地域の食文化に触れることにより郷土への関心を深めるなどの教育的意義を有しています。

このため、農林水産省は、文部科学省と連携しつつ、米飯学校給食の一層の推進を図っていくため、モデル校において課題解決に向けた検討会を開催し、その成果を全国の学校給食関係者に情報提供するとともに、政府備蓄米の無償交付を行っています。

さらに、文部科学省は、平成21(2009)年3月に米飯学校給食を「週3回以上」とする目標を設定し(週3回以上の地域や学校については、週4回等の目標設定を促す)、米飯学校給食の推進に取り組んでいます。平成22(2010)年度の米飯学校給食の実施回数は週当たり3.2回となっており、着実に増加しています(図2-2-11)。




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