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(2)構造改革の大きな節目の到来


(年齢別にみた基幹的農業従事者の状況)

平成24(2012)年における基幹的農業従事者(*1)の年齢構成をみると、65歳以上が60%、40代以下が全体の10%であり、世代間バランスの崩れた状況となっています(図3-1-18)。


*1 [用語の解説]を参照。


この基幹的農業従事者の年齢構成を地域別にみると、平成2(1990)年から平成24(2012)年にかけて、全ての地域において65歳以上の占める割合が上昇しており、平成24(2012)年では、北海道(31%)を除く各地域で56%から75%を占めています(図3-1-19)。中でも、北陸、中国地域の高齢化率(65歳以上が占める割合)は高くなっており、それぞれ69%、75%となっています。

北海道については、65歳以上の占める割合が上昇しているものの、中心的な年齢層は50~59歳層(24%)であり、49歳以下を合わせると53%を占め、他の地域と比べて年齢構成が若くなっています。



また、基幹的農業従事者の年齢構成を農業経営組織別にみると、稲作では高齢化率が最も高く、74%を占めており、平均年齢も69.9歳と最も高齢となっていますが、一方、酪農や養豚においては高齢化率が低く、それぞれ26%(平均年齢55.1歳)、31%(平均年齢57.3歳)となっています(図3-1-20)(表3-1-6)。

これは、酪農や養豚においては、経営規模の大きい農家が多く、農業所得も多い傾向(*2)にあることから後継者が確保されやすいこと等が背景にあると考えられます。


*2 営農類型別の農業所得については第3章第4節「農業産出額と農業所得等の動向」を参照。


(基幹的農業従事者数の推移)

基幹的農業従事者数の推移を年齢別にみると、昭和一けた世代が最多階層となっているため、昭和35(1960)年は、30歳代が最多階層となっていますが、その後、最多階層は高年齢層にシフトし、平成22(2010)年では、70歳以上層が最多階層となっています(図3-1-21)。


(平成23(2011)年の新規就農者数は前年より7%増加)

今後、高齢農業者のリタイアが見込まれる中、将来における我が国の農業を支える人材となる新規就農者を育成・確保することは重要な課題となっています。

新規就農者数は、経済成長期には一貫して減少しましたが、平成2(1990)年から平成12(2000)年まで増加傾向で推移しました(図3-1-22)。その後、平成18(2006)年以降は、減少傾向で推移していますが、平成23(2011)年の新規就農者数は、前年に比べて3,550人(7%)増加し5万8,120人となりました。このうち、地域農業の担い手として期待される39歳以下の若い就農者については、前年に比べて1,070人(8%)増加し1万4,220人となりました。

これら新規就農者の約3割は生計が安定しないことから5年以内に離農しており、定着するのは1万人程度(*1)となっています。



平成23(2011)年における新規就農者数を就農形態別にみると、新規自営農業就農者(*2)は4万7,100人(対前年比5%増)、新規雇用就農者(*3)は8,920人(対前年比11%増)、新規参入者(*4)は2,100人(対前年比21%増)となっており、全体(5万8,120人)に占めるそれぞれの割合は、新規自営農業就農者81%、新規雇用就農者15%、新規参入者4%となっています(図3-1-23)。

また、39歳以下の若い就農者についてみると、新規自営農業就農者は7,560人(対前年比1%減)、新規雇用就農者は5,860人(対前年比21%増)、新規参入者は800人(対前年比25%増)となっており、39歳以下全体(1万4,220人)に占めるそれぞれの割合は、新規自営農業就農者53%、新規雇用就農者41%、新規参入者6%となっています。特に、新規雇用就農者の割合は、平成21(2009)年以降上昇傾向にあります。


*1 農林水産省調べ
*2~4 [用語の解説]を参照。


新規就農者数の割合を経営類型別にみると、新規自営農業就農者においては、稲作58%、野菜15%、果樹13%等となっており、稲作が半数以上を占めています(図3-1-24)。また、新規雇用就農者においては、畜産が32%、野菜27%、稲作15%等となっています。新規参入者においては、野菜53%、果樹15%、稲作13%等となっており、野菜が過半数を占めています。

 
事例:独立自営農業に奮闘する青年
広島県広島市
中岡亮氏
中岡亮氏

広島県広島市(ひろしまし)の中岡亮(なかおかりょう)さん(27歳)は、非農家で育ちましたが、農業を営む祖父母や近所の農家の姿を見て農業に魅力を感じ、就農を決意しました。広島県立農業技術大学校を卒業し、広島市の支援事業「ひろしま活力農業経営者育成事業」による研修(1年目の基礎研修、2年目の実地研修)を経て、平成19(2007)年に21歳で就農しました。

就農に当たって、農地は、研修2年目の実地研修を行った農地を市のあっせんにより有償で借入れ、資金は国の補助と農協からの無利子貸付(平成25(2013)年完済予定)を活用しました。

現在は、施設面積30a(11棟のハウス)で7人のパート従業員を雇用し、ほうれんそう、みずな等の軟弱野菜の周年栽培を行っています。売上高は就農6年目で1,300~1,400万円までになっており、今後は1,500~2,000万円を目標としています。

また、ヤンマーファーム(ヤンマー(株)が運営する農場)の研修生の受入れ、地域の消防団活動、広島県農業協同組合青壮年連盟の役員としての活動を通じて、できるだけ多くの人と交流するよう心掛け、意欲的に農業に取り組んでいます。

 

(非農家出身者や若者の就農ルートとして雇用就農が増加)

非農家出身者や若者が農業に従事する場合、農地の確保に加え、機械・施設の取得等の初期投資等が負担となりますが、農業法人等への雇用を通じた就農は、これらの負担がないことから、近年、新規雇用就農者数は増加傾向にあります。

平成23(2011)年における新規雇用就農者数を出身別にみると、非農家出身者数が前年に比べて1,060人(17%)増加し7,440人となっており、新規雇用就農者全体の83%を占めています(図3-1-25)。また、年齢別にみると、39歳以下の青年層が前年に比べて1,010人(21%)増加し5,860人となっており、新規雇用就農者全体の66%を占めています。



事例:一般企業並の方針で新規学卒者の採用を強化している取組
石川県白山市
営農スタッフの皆さん
営農スタッフの皆さん
店舗スタッフの皆さん
店舗スタッフの皆さん

石川県白山市(はくさんし)の(株)六星(ろくせい)は、昭和52(1977)年に5軒の農家が集まり、共同で農作業を行う生産組合をベースとして平成元(1989)年に有限会社化、平成19(2007)年に株式会社化しました。現在は、250軒以上の農家からの受託を含む約140haの栽培面積で水稲・野菜の生産・加工・販売等を行っており、約100人のスタッフ(役員9人、社員32人、パート約60人)で運営しています。

同社の社員は約9割が非農家出身者で、平均年齢は33歳と比較的若い人材が中心となっています。同社は、優秀な人材を獲得するためには、待遇面の整備が不可欠であるとの考えから、大卒の初任給19万円程度、年3回の賞与の支給等一般企業並の給与水準を確保し、各種社会保険も完備しています。社員の採用に当たっては、石川県内の各大学への求人案内やホームページ等を活用した県外学生への求人案内を行い、平成24(2012)年は30人以上の応募の中から新卒者を5人採用しました。

新入社員は、その時点での各部門(生産、加工、販売、管理等)の実情と、個人の素質に合わせて各部署へと配属されます。各部署では、「計画」、「実行」、「点検」、「改善」の一連の流れに沿って業務改善を図ることとしており、自らの考えに基づき業務を行い、課題解決ができる人材の育成を目指しています。

今後は、周辺地域農家の高齢化により受託面積の増加が予想されることから、事業の拡大に対応するための人材育成が急務となっており、一般企業人としての基礎研修を含む新卒採用者を対象とした人材育成システムの強化を進めています。

 

事例:法人における農業経営者育成の先進的な取組
山梨県中央市
田中社長(前列右)とスタッフの皆さん
田中社長(前列右)と
スタッフの皆さん

山梨県中央市(ちゅうおうし)の農業生産法人(株)サラダボウルは、平成16(2004)年に設立され、現在の栽培面積は15ha、スタッフ30人(社員・パート)で野菜を中心に農産物の生産・販売等を行っています。

同社では、人材育成に力を入れており、独自の手法・仕組みを構築しています。リーダーとなる人材を育てるためには、知識やノウハウの土台となるメンタリティの強化が最も重要であるとの考えから、自ら学ぶ姿勢を持った自立型の人材を育てることを目指して指導を行っています。

具体的には、心の中の願望を全て書き出す「WISH・LIST(ウィッシュ・リスト)」の作成、各自の強みと弱みを分析する「SWOT(スウォット)分析」の実施、キャリアプランを明確化する事業計画書の作成等を通じて、若者が農業を辞めてしまう背景にある漠然とした不安を、解決すべき課題へと転換させ、経営者としての視点の習得を図っています。

同社では、生産や販売等の経験を積み、農業経営者として独立するスタッフに対して、農地の確保や販売先の紹介の支援を行っています。これまで、独立して就農した人や他法人へのキャリアアップを行った人は20人から30人おり、全国各地で地域農業のリーダーとなっています。

同社は今後も、農業を志す人が1人でも多く農業での自己実現を果たせるよう、人材の育成を図っていくこととしています。

 

(円滑な経営資源の継承に向けた取組)

日本公庫がスーパーL資金等の融資先である農業者に対して、後継者の有無について調査を行ったところ、7.5%の農業者が「いないので、後継者を探している」と回答しています(図3-1-26)。

これまで地域の担い手として専業的な経営を展開してきた農家においても、家族や親族の後継者が確保できないケースがあり、全国の各地域において、経営資源や経営ノウハウを家族や親族以外の新規就農者等に引き渡す経営継承の事例がみられます。

経営継承には、経営の移譲を希望する新規就農者が研修生として2年から3年間、経営主らとともに働きながら農業を学び、農地や施設を引き継いでいくケースと、経営者と継承希望者が共同で法人を設立し、継承希望者が社員として働きながら法人運営にも参画し、その後、経営者を交代していくケース等があります。

しかしながら、現実には権限の委譲が不十分であったり、継承時期が明確に示されていないなどの理由により、継承希望者が不信感を抱き撤退してしまうケースや、経営継承を期待し若者を雇用したものの本人に経営参画の意志がなく、経営継承を断られるケース等、経営の引継ぎが円滑に進まない例もみられます。

このように家族や親族以外の者に経営を円滑に継承させるためには、経営者と継承希望者との信頼関係の形成や継承希望者の意欲や能力の向上がポイントとなります。また、経営資源の移譲に関する覚書や契約書の作成、共同作業による技術指導や作業記録に基づくノウハウの伝達、継承希望者が地域社会から認知されるための仲介等が求められます。さらに、経営者と継承希望者との相性の確認、移譲する資産の公正な評価、円滑な資産移譲のためのリース事業の活用、規模拡大のための農地あっせん等、第三者の立場にある関係機関の介在が重要です。

このため、平成20(2008)年度から、後継者不在農家と就農希望者を結び付けて、円滑な経営の継承のための支援を行う「農業経営継承事業」が実施されており、移譲希望者と継承希望者のマッチング、継承のための研修等への支援が行われています。


(就農に向けた技術習得)

地域農業の担い手を養成する中核的な教育機関である道府県農業大学校は、就農に必要な技術や知識の習得を図る「農業経営者育成教育機関」として42道府県に設置されています。同校では2年間の養成課程を中心に、講義と実習の組合せによる農業研修教育を実施しており、養成課程卒業者等を対象とした研究課程のほか、新規就農者や農業者の経営の発展段階に対応した多様なコースを研修課程として開設しています。

近年、道府県農業大学校の入学者数は、2千人前後で推移していますが、入学者に占める非農家出身者の割合は増加傾向にあり、平成24(2012)年度は5割を超えています(図3-1-27)。また、卒業生の就農率は5割程度で推移しており、平成24(2012)年度は雇用就農者数(416人)が自営就農者数(320人)を初めて上回りました。

このような中、平成24(2012)年度から、就農希望者や経営発展を目指す農業者等のレベルの向上を図り、今後の地域農業のリーダーとなる人材の層を厚くすることを目的として、農業経営者育成教育機関に対する新たな支援が始まりました。具体的には、全国レベルで高度な農業経営者育成教育を実施する教育機関を選定(平成24(2012)年度は(一社)アグリフューチャージャパン)し、県農業大学校等の学生や農業者を対象とした研修への支援を行うとともに、この機関が行うインターネットを活用した講義の配信や地域の中核教育機関(県農業大学校等)の講師に対する研修への支援等を行っています。また、県農業大学校等に対しては、(1)高度な農業経営者育成教育機関との連携を前提とした、教育内容の改善に向けた計画の策定、(2)改善計画に基づく新たな教育カリキュラムの実施、(3)地域の農業法人等との連携等による教育体制の強化等に必要な支援が行われています。

さらに、これらの取組に加え、(一社)アグリフューチャージャパンは、高度な経営力を備え、かつ、地域農業のリーダーとなる人材を育成することを目的とし、平成25(2013)年4月に「日本農業経営大学校」(校舎は東京都港区(みなとく))を開校しました。



コラム:日本農業経営大学校の開校と教育方針
日本農業経営大学校開校式(平成25(2013)年4月4日)
日本農業経営大学校開校式
(平成25(2013)年4月4日)

日本の農業を活性化させるためには、農業界と産業界、学界などオールジャパンの力を結集し、次世代の農業経営者を育成することが必要との認識から、農業界と産業界が参画して、(一社)アグリフューチャージャパンが設立されました(平成24(2012)年2月)。同法人は、平成24(2012)年度から農林水産省の事業等を活用して、農業大学校の学生等を対象とした農業経営セミナー等を行ってきましたが、平成25(2013)年4月に新たに「日本農業経営大学校」を開校しました。同校では1学年定員20人を対象に全寮制による2年間の教育を通じ、高度な経営力を備え、かつ地域農業のリーダーとなる人材を育成します。

同校の入学資格は19~40歳の農業実践者・新規就農見込み者であり、農業未経験者や高校卒業見込み者は、入学前に一定期間の農場実習が必要となります。平成25(2013)年度は、第1期生として、社会人や大学卒業生等21人が入学しました。

同校の教育の特徴は、農業経営者の育成に特化していることであり、農業経営に必要な「経営力」、「農業力」、「社会力」、「人間力」をバランス良く備えた人材を育てることとしています。このため、農業界、産業界、学界からのトップクラスの講師を招へいし、国内外の幅広いテーマを取り扱うことで、世界的な視野を持ちつつ、地域で実践できる能力・資質を養います。

2年間のカリキュラムは、経営戦略、マーケティングに加え、最先端の農業技術や国内外の農業政策等を学ぶ講義や演習、経営者、実務者等による特別講義、さらに先進農業経営体や農業外企業での現地実習で構成されます。1年目は、農業経営者として目指す目標を設定するとともに課題を認識し、知識・技術の習得と体系化を中心に学びます。2年目は、卒業後の進路を見定めた上で、農業外企業への派遣実習や経営計画の策定に取り組みます。

卒業後は、全寮制により寝食を共にした学生同士を始め、教員、講師陣、アグリフューチャージャパンの会員との幅広いネットワークを活かし、自らの農業経営を実践し、日本農業を牽引する存在となることが期待されています。

なお、平成25(2013)年度は東京都品川区(しながわく)での仮校舎、平成26(2014)年度以降は東京都港区(みなとく)の本校舎において授業が行われます。

 

コラム:農学系学部の人気の高まり

近年、大学入試における農学系学部の志望者数は増加傾向で推移しており、農業分野への関心の高まりがうかがえます。平成24(2012)年における志願者数は、前年に比べて国公立大学では1,117人(4%)、私立大学では3,018人(4%)増加しました。また、志願倍率は、前年に比べて国公立大学では同水準となっていますが、私立大学では0.5ポイント上昇しました。



(耕地面積は引き続き減少)

耕地面積は、工場用地、道路、宅地等への転用や耕作放棄等によるかい廃のため減少が続いているものの、その減少幅は近年縮小傾向となっており、平成24(2012)年においては前年に比べて1万2千ha減少し454万9千haとなりました(図3-1-28)。

平成23(2011)年における耕地面積は、東日本大震災の津波等により1万6,800ha減少したものの、平成24(2012)年においては3,840haの農地が復旧され、津波被災地の復旧が計画的に進められています。


(耕地利用率の向上が課題)

耕地利用率(*1)を長期的にみると、計算上の分子となる作付(栽培)延べ面積が分母となる耕地面積を上回って減少したことにより、昭和35(1960)年の133.9%から大きく低下し、近年は92%前後で推移しています(図3-1-29)。

平成23(2011)年における耕地面積は、平成22(2010)年に比べて3万ha減少し456万haとなる一方、作付(栽培)延べ面積は、平成22(2010)年に比べて4万ha減少し419万haとなりました。この結果、平成23(2011)年の耕地利用率は、前年に比べて0.3ポイント低下し91.9%となっています。

平成23(2011)年は、水田における飼肥料作物の作付(栽培)面積等が増加したものの、東日本大震災や東京電力株式会社福島第一原子力発電所(以下「東電福島第一原発」という。)の事故の影響を受けた区域において水稲の作付(栽培)面積等が大きく減少したため、耕地利用率は低下しました。

中でも、東日本大震災や東電福島第一原発の事故の影響を受けた宮城県(0.9万ha減)と福島県(2万ha減)の2県の作付(栽培)延べ面積の減少は、全体(4万ha減)の7割を占めています。


*1 耕地面積を100とした作付面積の割合。

(地域によって異なる耕地利用率)

耕地利用率を都道府県別にみると、東北、北陸、中国では低い府県が多数ある一方、九州の中でも、佐賀県(132.5%)と福岡県(112.1%)は110%を上回っています(図3-1-30)。

佐賀県や福岡県において耕地利用率が高い背景には、温暖な気候の下、以前から水田二毛作が行われてきたこと、生産された麦と製粉会社等の地元の実需者との結び付きが強いこと、水稲の田植え時期と小麦の収穫時期が重なり、水田二毛作の障害となる水稲の早生品種の栽培が行われなかったこと等があると考えられます。一方、その他の地域では、農家の兼業化や水稲の早生品種の導入等により二毛作が行われなくなったこと等から、耕地利用率が低い状況にあります。

また、平成23(2011)年の耕地利用率を平成22(2010)年と比較すると、福島県では、東日本大震災や東電福島第一原発の事故の影響により作付(栽培)延べ面積が2万ha減少したため、耕地利用率は10.3ポイント低下し75.0%となりました。一方、北海道においては、そば、麦、大豆等の作付(栽培)延べ面積が増加したことから、耕地利用率は0.2ポイント上昇し99.4%となりました。栃木県においては飼料用米、秋田県においては飼料用米とそばの作付(栽培)延べ面積が増加したため、耕地利用率は、それぞれ93.4%(1.2ポイント上昇)、85.0%(0.7ポイント上昇)となりました。

 

(土地持ち非農家による耕作放棄地の増加)

平成22(2010)年において、土地持ち非農家(*1)が所有している耕地(77万ha)のうち73%(56万ha)は他の農業者に貸し出されていますが、24%(18万ha)は耕作が放棄されています(表3-1-7)。

耕作放棄地面積は、平成に入ってから、高齢者のリタイア等に伴い、急激に拡大しています。特に、土地持ち非農家の耕作放棄地面積が急増しており、平成22(2010)年では耕作放棄地面積全体の半分を占めています(図3-1-31)。土地持ち非農家の耕作放棄地面積が増加した要因は、高齢農業者のリタイアの増加に加え、複数の相続人により農地の所有権が細分化されてしまうなど、農地の権利調整を円滑に行うことが難しくなったこと等が考えられます。また、このほかに、不在村者所有の耕作放棄地もあるとみられます。

平成17(2005)年から平成22(2010)年の間、土地持ち非農家戸数は120万戸から14%増加し、137万戸となり、その耕作放棄地面積は16万haから12%増加し、18万haとなっており、今後も、農業者の高齢化により、土地持ち非農家の耕作放棄地面積は増加すると見込まれます。

このため、耕作放棄地の発生抑制と貸借による農地集積を図る観点から、リタイアする農家から円滑に農地を継承するための取組を強化することが必要となっています。


*1 [用語の解説]を参照。
 

(農作業死亡事故の防止に向けた取組)

農作業を安全に行い、農作業事故を防止することは、農業生産の振興や農業経営の安定を図る上で、基本的かつ重要な事項です。また、近年の農業従事者の高齢化等に伴い、農作業安全対策の一層の徹底が必要となっています。

このような状況を踏まえ、平成22(2010)年から、行政機関、農業機械製造業者、販売店、農業団体等全国の関係機関の協力の下、農作業繁忙期で事故が多く発生する春と秋に「農作業安全確認運動」を実施しています。平成24(2012)年の農作業安全確認運動では、平成23(2011)年度に全国農業機械士協議会が(一社)日本農村医学会と連携して実施した調査により明らかとなった事故原因(機械作業の中断時にエンジンや作業機を動かしたままにしておいたために巻き込まれた、除草の不徹底により路肩が不明確となっていたため機械ごと転落した等)に基づいた安全対策の現場での周知浸透を推進するとともに、現場と各分野の専門家及び行政機関等によるネットワークを構築しました。

また、事故発生件数の多いトラクターの転倒事故対策として、転倒時に自動通報するシステムの実用化に向けた試験等が進められています。

これらの農業安全対策の取組もあり、平成23(2011)年の農作業事故による死亡事故件数は、前年に比べて8%(32件)減少し366件となりました(図3-1-32)。しかしながら、依然として、農作業死亡事故の8割を65歳以上の高齢者が占めていることから、高齢者に対する安全指導の強化に向けた取組を推進していくことが重要となっています。

また、万が一の事故に備えるため、労働災害補償保険(労災保険)への加入も必要です。労災保険は、雇用労働者の負傷等を補償するための制度ですが、個人事業主である農業者も、特定農作業従事者(*1)や指定農業機械作業従事者(*2)、中小事業主等(*3)のいずれかに当てはまる場合は特別加入することが可能となっています。平成23(2011)年度末において、労災保険の特別加入制度に加入している農業者は12万4千人にとどまっていることから、引き続き、労災保険制度の仕組みや加入のメリットの理解促進を図り、加入促進に向けた取組を進めていくこととしています。


*1 年間の農業生産物総販売額が300万円以上又は経営耕地面積2ha以上の規模で、(1)トラクター等の農業機械を使用する作業、(2)2m以上の高所での作業、(3)サイロ、むろ等の酸欠危険のある作業、(4)農薬散布、(5)牛・馬・豚に接触する作業に従事している者。
*2 自営農業者(兼業農家を含む)のうち、次に指定された機械を使用し農作業を行う者。(1)動力耕うん機その他の農業用トラクター、(2)動力溝掘機、(3)自走式田植機、(4)自走式防除用機、(5)自走式動力刈取機、自走式収穫用機械、(6)トラック、自走式運搬用機械、(7)動力脱穀機や動力草刈機等の定置式又は携帯式機械。
*3 常時300人以下の労働者を使用する事業者本人又はその家族従事者(法人の場合は代表者以外の役員)であって、要件(1年間に100日以上にわたり労働者を使用することが見込まれ、雇用する労働者について労働保険関係が成立、労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること)を満たす者。



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