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農林水産省

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(4)経済効果分析


政府は、TPPが発効した場合の我が国のマクロ経済に与える経済効果を分析し、平成27(2015)年12月24日にその結果を公表しています。

分析に当たっては、一般均衡経済モデルであるGTAP(*1)の最新版を使用し、関税に関する効果に加え、貿易円滑化等の非関税措置(*2)によるコスト縮減、貿易・投資促進効果、さらには貿易・投資が促進されることで生産性が向上することによる効果等も含めた、総合的な経済効果分析となっています。

分析の結果は、TPPが発効し、その効果により我が国が新たな成長経路(均衡状態)に移行した時点において、実質GDPは2.6%増加し、平成26(2014)年度のGDP水準を用いて換算すると、約14兆円の拡大効果が見込まれるとされています(表5)。また、労働供給についても約80万人の増加が見込まれるとされています。

農林水産物については、国家貿易等通常の関税と異なる複雑な国境措置があることから、その影響については、個別品目ごとに精査し積み上げた生産量の見込みをGTAPモデルに組み入れて試算しています。

農林水産分野の試算については、関税率10%以上かつ国内生産額10億円以上の品目である19品目の農産物、14品目の林水産物を対象とし、TPPの大筋合意内容や政策大綱に基づく政策対応を考慮して算出しています。

具体的には、平成27(2015)年11月に公表した影響分析「品目毎の農林水産物への影響について」を踏まえ、個別品目ごとに、国産品及び輸入品の価格を出発点として、原則として、<1>内外価格差、品質格差等の観点から、輸入品と競合する部分と競合しない部分に二分し、<2>価格については、原則として競合する部分は関税削減相当分の価格が低下し、競合しない部分は競合する部分の価格低下率(関税削減相当分÷国産品価格)の1/2の割合で価格が低下すると見込み、<3>生産量については、国内対策の効果を考慮するといった前提を置いています。

この前提の下、合意内容の最終年における生産額への影響を算出し、これを積み上げ、農林水産物の生産額への影響を試算しています。また、上記前提のうち、価格について、品目によっては、上記で求めた価格を下限値とした上で、国内対策により品質向上や高付加価値化等を進める効果を勘案し、<1>競合する部分は、関税削減相当分の1/2の価格低下、<2>競合しない部分は、競合する部分の価格低下率の1/2の価格低下として求めた価格を上限値としています。

この結果、農林水産物の生産額は、関税削減等の影響で価格低下により約1,300億円から2,100億円減少するものの、政策大綱に基づく体質強化対策による生産コストの低減・品質向上等の国内対策により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込まれています。また、食料自給率は、基準とした平成26(2014)年度の食料自給率と同水準のカロリーベース39%、生産額ベース64%となっています。

なお、この食料自給率の試算は、平成26(2014)年度の数値を前提に、今回のTPPの農林水産物の生産額への影響試算を反映した場合、食料自給率がどのように変化するかということを示したものです。試算では、食料自給率がTPPによる影響を大きく受けるものではないとの結果となっており、引き続き食料・農業・農村基本計画に定める食料自給率目標(平成37(2025)年度にカロリーベース45%、生産額ベース73%)の達成に向けた取組が必要となっています。


1 Global Trade Analysis Projectの略。貿易政策を分析するために、パデュー大学のハーテル教授らを中心にして作成された多地域型の一般均衡経済モデルの一種です。
*2 TPP税率の適用が可能な12か国内の原産地規則が統一されることによる事業者の制度利用負担の緩和、輸出入業者や生産者自らが原産地証明書を作成する制度の導入による貿易手続の円滑化、一時的な入国に関する規定の整備や電子商取引に関する先進的かつ包括的なルールの構築等が該当します。

表5 経済効果分析

農林水産省は、政策大綱の策定や経済効果分析の結果の公表を受け、政策大綱を踏まえた農林水産分野の対策について、地方公共団体及び関係団体、関係者等に説明するため、平成28(2016)年1月7日から2月10日にかけて「農政新時代キャラバン ブロック別説明会及び都道府県別説明会」を全9ブロック及び全都道府県で、延べ57回開催しました。また、農林水産省では、TPP合意の結果や農林水産物への影響、農林水産分野の国内対策に関する資料を始め、説明会で寄せられた質問への回答をまとめたQ&A集や水田畑作、畜産、園芸等の品目別パンフレットをホームページ上に公表しました。あわせて、各都道府県の地方参事官に、電話のみならずメールでも問合せや相談ができる「地方参事官ホットライン」を開設しました。このような取組を通じて、今後も丁寧に説明を行うこととしています。


コラム:世界銀行によるTPPの経済効果分析

TPPの経済効果について、世界銀行が平成28(2016)年1月に公表した「Global Economic Prospects」の中の「Potential Macroeconomic Implications of the Trans-Pacific Partnership」で記述されています。その中の試算では、平成42(2030)年までにTPP参加12か国のGDPは平均で1.1%伸びるとされています。その中で、効果が最も大きいのはベトナムの10%、次いでマレーシアの8%となっており、我が国は2.7%でTPP参加12か国のうち6番目の伸びが期待できるとされています。

また、貿易については、平成42(2030)年までにTPP参加12か国の貿易量は11%伸びるとされています。輸出について伸びが最も大きいのは、前述のGDPと同様にベトナムとなっており、次いで我が国、マレーシアの順となっています。



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