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農林水産省

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重点テーマ1 食料自給力の動向


平成27(2015)年3月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画において、食料自給力指標を初めて提示

食料自給力は、近年、低下傾向で推移


(我が国の食料を生産する潜在的な力を示す食料自給力)

我が国の食料の安定供給は、国内生産、輸入、備蓄の3つの柱で支えられています(図1-1)。このうち、国内生産について、我が国の農林水産業の食料を生産する潜在的な力が食料自給力(*1)です。食料自給力は、農産物では、農地・農業用水等の農業資源、農業技術、農業就業者、水産物では、潜在的生産量、漁業就業者を構成要素としています。

食料の輸入に関しては、異常気象等により海外の収穫量が減少する、家畜伝染病の発生等の安全面の問題により輸入が停止する、諸外国の経済事情や輸送インフラ等の障害により輸入ができなくなる、長期的にみれば、世界的な人口増加等に伴い需給の逼迫(ひっぱく)の懸念がある等の不安要素があります。

このような中で、多くの国民が将来の食料供給に対して不安を感じ、国内生産による食料供給能力の低下を危惧しており(*2)、食料安全保障(*3)についての国民的議論を深めることが重要となっています。

国内の食料消費が国内生産でどの程度賄えているかを示す指標として食料自給率(*4)がありますが、花等の非食用作物が栽培されている農地が有する食料の潜在生産能力が反映されないなど、我が国農林水産業が有する食料の潜在生産能力を示す指標としては一定の限界があります。

このため、従来の食料自給率に加え、平成27(2015)年3月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画において、その時点における我が国農林水産業が有する潜在生産能力を最大限活用することにより得られる食料の供給熱量(*5)を示す指標である食料自給力指標を初めて示しました。


1 [用語の解説]を参照
*2 内閣府「食料の供給に関する特別世論調査」(平成26(2014)年2月公表)
*3~5 [用語の解説]を参照

図1-1 食料の安定供給と食料自給力

食料自給力指標は、我が国の食料の潜在生産能力を把握するために、「花等の食用以外の農産物が作付けられている農地も含め、米やいも類を中心に作付けしたら」といった仮定の下で試算したものであり、同じ農地面積でも、作付けする農作物によって、その数値は変わります(図1-2)。

また、食料自給力指標については、<1>生産転換に要する期間は考慮しない、<2>農林水産業生産に必要な労働力は確保されている等の現実とは切り離された一定の仮定の下で試算された、潜在的な生産能力を示すものです。


図1-2 食料自給力指標の考え方

(生産のパターンによって異なる食料自給力指標)

食料自給力指標では、食料の生産について、農地等を最大限活用することを前提に、栄養バランス(*1)を一定程度考慮して、米、小麦、大豆を中心に熱量効率を最大化して作付けする場合(パターンA)、栄養バランスは考慮せずに米、小麦、大豆を中心に熱量効率を最大化して作付けする場合(パターンB)、栄養バランスを一定程度考慮して、いも類を中心に熱量効率を最大化して作付けする場合(パターンC)、栄養バランスは考慮せずにいも類を中心に熱量効率を最大化して作付けする場合(パターンD)の4つのパターンに分け、それぞれの1人・1日当たり供給可能熱量を示しています(図1-3、図1-4)。

平成26(2014)年度の食料自給力指標は、現在の食生活とは大きく異なるいも類中心型(パターンC・D)では、推定エネルギー必要量(摂取ベース)2,146kcal及び総供給熱量(供給ベース)(実績値)2,415kcalを上回っています。一方、より現実の食生活に近い米・小麦・大豆中心型(パターンA・B)ではこれらを大幅に下回っています。


1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(平成27(2015)年版)」において摂取不足の回避を目的として示されている栄養素の推奨量等

図1-3 食料自給力指標(平成26(2014)年度)(概算値)
データ(エクセル:34KB / CSV:1KB

図1-4 食料自給力指標のパターンA・Dにおける食事メニュー例

(食料自給力指標は低下)

食料自給力指標の動向について過去に遡ってみると、昭和50(1975)年代から平成2(1990)年度までは、汎用田面積の増加等により緩やかな増加傾向で推移したものの、近年は、農地面積の減少、面積当たり収穫量の伸び悩み等から低下傾向にあり、食料供給能力の低下が危惧される状況となっています(図1-5)。


図1-5 食料自給力指標等の推移
データ(エクセル:45KB / CSV:4KB

(食料安全保障に関する議論を深め、食料の安定供給の確保に向けた取組を推進していくことが重要)

国際的な食料需給に不安定要素が存在する中で、仮に輸入食料の大幅な減少といった不測の事態が生じた場合は、国内において最大限の食料供給を確保する必要があります。このため、平素から我が国農林水産業が有する食料の潜在生産能力(食料自給力)の維持向上を図ることが必要です。

食料自給率が、平成9(1997)年度以降、40%前後と横ばいで推移(*1)している一方、食料自給力指標が低下傾向で推移している現状について、国民一人一人に知ってもらい、食料安全保障に関する議論を深めることが重要です。

その上で、国において生産者には農地等の最大限の活用、消費者には国産農林水産物の積極的な消費拡大、食品産業事業者には国産農林水産物の積極的な活用・販売、地方公共団体には地域の農林水産業の更なる振興と農地や農業就業者等の確保を働きかけること等により、食料の安定供給の確保に向けた取組を推進していくこととしています。

農林水産省では、我が国の食料自給力や食料自給率、食料安全保障について解説したパンフレットや、食料自給力を分かりやすく解説するアニメーション動画を作成し、公表しました。これらをきっかけに、食料安全保障についての国民的議論の深化が進むことが期待されます。




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