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農林水産省

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(2)担い手の育成・確保


我が国の農業が持続的に発展していくためには、生産性と収益性が高く、中長期的かつ継続的な発展性を有する、効率的かつ安定的な農業経営を育成・確保し、このような農業経営が農業生産の相当部分を担う構造としていくことが重要です。また、農業就業者が著しく高齢化しており、今後、高齢農業者のリタイアが急速に進むことが見込まれる中で、青年層の新規就農者(*1)を確保することが課題となっています。

以下では、認定農業者(*2)や集落営農(*3)、新規就農者、女性農業者、一般法人の農業参入等の動向を分析し、次世代を担う意欲ある担い手の育成・確保に向けた取組について記述します。また、競争力強化、6次産業化(*4)等に取り組む先進的な担い手の事例を紹介します。


1~4 [用語の解説]を参照

(認定農業者の動向)

認定農業者制度は、農業経営基盤強化促進法に基づき、農業者が経営発展を図るため5年後の経営改善目標を記載した計画を作成し、市町村が認定する制度です。認定農業者は、自ら効率的かつ安定的な農業経営を目指す者であるとともに、地域の担い手として期待されており、農地の集積・集約化の促進や経営所得安定対策、低利融資、税制特例等の支援の対象となります。

認定農業者数は平成22(2010)年までは一貫して増加してきましたが、高齢等を理由に5年間の計画期間終了後に再認定申請を行わない者がいること等から、平成23(2011)年より減少に転じていました(図2-1-2)。しかしながら、平成27(2015)年においては、前年に比べ3%増加し、23万8千経営体となりました。この要因としては、平成27(2015)年産からは、経営所得安定対策が、全ての販売農家(*1)を一律に対象とするのではなく、認定農業者等の担い手を対象に規模要件を課さずに実施されることとなったこと等が考えられます。また、認定農業者のうち法人の数は一貫して増加しており、平成27(2015)年は、1万9千経営体となっています。

*1 [用語の解説]を参照

事例:大規模化による周年出荷体制の確立、周年雇用の実現

宮崎県宮崎市
福田誠さん
福田誠さん

宮崎県宮崎市(みやざきし)の福田誠(ふくだ まこと)さんは、地域に初めての施設しょうがを導入し、新しい栽培技術の導入により出荷期間の延長を可能にしました。現在は施設しょうが6ha、露地しょうが5ha、その他施設野菜・花き1.8haの栽培を行っています。

就農当時から施設園芸の大規模化を念頭に、収益性の高い品目の組合せと周年出荷体制の確立を模索し、現在では35人の周年雇用を実現しました。20年以上前から全従業員に対し完全週休制、能力給を取り入れ、障害者雇用にも積極的に取り組んでおり、地域雇用の受皿となるとともに、周辺地域の耕作放棄地(*)活用や離農者等からの農地借入れを主体に規模拡大を進めています。

また、農業を目指す青年等を従業員や研修生として受け入れ、独立就農への技術指導を行っています。

 

 [用語の解説]を参照

事例:新規就農からの大規模稲作への取組

埼玉県杉戸市
山﨑能央さん
山﨑能央さん

埼玉県北葛飾郡杉戸町(きたかつしかぐんすぎとまち)の株式会社ヤマザキライス代表取締役の山﨑能央(やまざき よしお)さんは、16年前に新規就農し、現在では稲作単作で80haの栽培を行っています。

80haの規模を田植機及びトラクター各1台で作業することにより固定費を下げるほか、鉄コーティング湛水直播(たんすいちょくはん)を行い、低コスト化に取り組んでいます。あわせて、もみ殻を全量リサイクルし、食品残さ等と堆肥化したものを使用するなど、環境に負荷の少ない農業を行っています。また、以前は消費者への直接販売を行っていましたが、販売を小売から大ロットによる業務用の生産に全量シフトし、販売は大手商社等に任せ、生産に徹することにしました。

現在は、フィリピンで試験栽培を行い、マレーシアでも農地を確保し、ASEAN諸国での生産の準備も始めています。

 

(集落営農の動向)

集落営農は、農作業に関する一定の取決めの下、地域ぐるみで農作業の共同化や機械の共同利用を行うことにより、経営の効率化を目指す取組です。集落営農を進めることは、農業従事者(*1)の高齢化や担い手不足が進行している地域において、農業、農村を維持する上で一つの有用な方策です。

平成28(2016)年の総集落営農数は1万5,134で、近年は横ばいで推移しています(図2-1-3)。そのうち、法人組織は増加傾向にあり、集落営農全体に占める法人の割合も上昇しています。

また、集落営農が耕作する面積は、平成17(2005)年に比べ40%増加し、49万haとなっています(図2-1-4)。


1 [用語の解説]を参照

 

事例:集落営農の6次産業化による地域の雇用確保の取組

秋田県大仙市
レストランの様子
レストランの様子

秋田県大仙市(だいせんし)にある農事組合法人(*1)中仙(なかせん)さくらファームは、地域の農地・農作業受託の集積を進め、現在は、19戸の構成農家で水稲45ha、大豆等45ha、りんどう61a、野菜57aの栽培を行っています。昭和49(1974)年に前身となる上桜田農事組合が設立され、集落営農組織として活動してきましたが、近年の米価下落による収入減少や後継者のいない高齢農家の増加に伴い、農作業受託面積の増加に対応する必要が生じたことから、平成17(2005)年に法人化しました。

法人化以降、平成22(2010)年4月には地産地消(*2)を目指した農家レストラン「元気な農家」をオープンし、地元特産物や集落営農で生産した特別栽培米、地元農場と連携し杜仲(とちゅう)茶入りの餌を食べた「杜仲(とちゅう)豚」、近隣で採れる新鮮で旬の野菜を使用したその季節にしか食べられない定食等を提供しています。

りんどう栽培等の複合部門の拡大や農家レストランへの参入により、地域の女性や高齢者を雇用するなど地域の雇用の確保に貢献しています。

*1、*2 [用語の解説]を参照

(法人化の推進)

農業経営の法人化は、効率的かつ安定的な農業経営に向けて多くのメリットがあります。

例えば、家計と経営の分離による経営管理能力の向上、財務諸表の作成による対外信用力の向上が図られるとともに、社会保険の適用等による農業従事者の福利厚生面の充実、経営継承の円滑化等が期待されます。また、雇用就農という形で就農しようとする農外出身者等の受皿としても相応の経営規模を有する農業法人の存在が不可欠です。

農林水産省では、法人経営を支援するため、スーパーL資金等の融資限度額の引上げや、アグリビジネス投資育成株式会社等による出資等の措置を講じています。また、更なる法人化を促進するため、農地の集積・集約化や事業の成長・発展に必要な資金の確保等により経営規模・事業規模の拡大を推進するとともに、法人化のメリットや手続、法人経営に必要となる財務・労務管理に関する情報やノウハウ等の普及啓発や税理士等の経営に関する専門家による相談・指導体制の整備等を推進しています。


事例:徹底した低コスト化による経営安定の実現

滋賀県近江八幡市
井狩篤士さん(右から2番目)と従業員の皆さん
井狩篤士さん(右から2番目)と
従業員の皆さん

滋賀県近江八幡市(おうみはちまんし)の株式会社イカリファーム代表取締役社長の井狩篤士(いかり あつし)さんは、14年前に就農し、現在は水稲56ha、麦45ha、大豆60haを栽培しているほか、農作業受託等も行っています。

井狩さんは、雇用による規模拡大をしていかなければ農地を守りきれないと感じ、安定した周年雇用のため、裏作で大豆を栽培することにより、農地利用率を上げるとともに、機械のメンテナンス等もすべて自社で行い、修繕費の削減、機械の稼働時間の向上等を図っています。また、生産環境における作業の合理化・最適化の取組として、全ての農業用器具にネームやナンバーをつけて管理することにより道具を探す時間等のロスを削減し、薬品の在庫量を従業員全員が把握できるよう管理して無駄な在庫を削減するなど、「見える化」をすることにより生産コストの削減に努めています。

今後は、低コスト化の取組に加え、輸出、ICT(*)を活用した農業、多収米品種の栽培等、様々な取組を行っていく考えです。

* [用語の解説]を参照

コラム:全国農業担い手サミットの開催

全国農業担い手サミットは、全国の意欲ある担い手が一堂に会し、相互研さん・交流を通じて、農業経営の概況や課題についての認識を深め、農業者自らの経営改善、地域農業・農村の発展に寄与することを目的に、平成10(1998)年度から毎年度開催されています。平成27(2015)年度は11月に宮崎県で開催され、皇太子殿下も御臨席されました。「語ろう未来を受け継ごう今を!~農業の無限の可能性を信じて~」を大会テーマに、約1,700人の農業者等が参加しました。

また、農林水産省と全国担い手育成総合支援協議会は、意欲と能力のある農業者の一層の経営発展を図ることを目的に、個人経営体(*1)、法人経営体(*2)、集落営農の各部門において、農業経営体(*3) を表彰する「全国優良経営体表彰」を実施しています。それぞれの部門において、農林水産大臣賞、農林水産経営局長賞及び全国担い手育成総合支援協議会会長賞が、農業経営の改善や地域農業の振興・活性化に優れた功績を挙げた48の経営体に授与され、全国農業担い手サミットの場で表彰されました。

*1~3 [用語の解説]を参照

(新規就農者の動向)

平成26(2014)年の新規就農者数は、5万7,650人で平成22(2010)年以降は5万人台で推移しています(図2-1-5)。新規就農者を就農形態別にみると、新規自営農業就農者(*1)は4万6,340人で最も多く、次いで新規雇用就農者(*2)は、7,650人、新規参入者(*3)は3,660人となりました。


図2-1-5 新規就農者数の推移
データ(エクセル1:144KB2:144KB / CSV1:1KB2:1KB
 

また、40代以下の新規就農者数は、2万1,860人となりました(図2-1-6)。就農形態別にみると、新規自営農業就農者は1万3,240人で最も多く、次いで新規雇用就農者は、5,960人、新規参入者は2,650人となりました。

今後、持続的で力強い農業構造を実現するためには、基幹的農業従事者と雇用者を合わせた農業就業者が少なくとも90万人必要と見込まれており、これを60代以下の年齢層で安定的に担うためには、新規就農し定着する若い農業者を倍増させる必要があります。新規就農者の定着のためには、生活を安定させることが重要な課題となっています(図2-1-7)。

また、新規自営農業就農者、新規参入者ともに、ほとんどの者が「営農技術の習得」を課題としているほか、非農家出身者を中心とする新規参入者にとっては、「資金の確保」、「農地の確保」も大きな課題となっています(図2-1-8)。

 
*1~3 [用語の解説]を参照

 

(青年層の就農促進への取組)

青年層の農業への関心は高まっており、全国各地で新規就農相談会が開催されています。相談会では、新規就農ガイダンス、就農体験紹介、農業法人等の会社説明、地方公共団体の就農支援情報の提供等を行い、就農希望者の就農を支援しています。

青年就農者の就農準備に対する支援として、全国及び各都道府県の農業会議所等が新規就農相談センターを設置し、就農に関する情報提供や就農希望者からの個別の就農相談に対応しています。また、公益社団法人日本農業法人協会が中心となり、自らの農業適性の確認や職業としての農業の認知度を高め、実際の就農に結び付けるため、大学生、社会人等を対象とした短期間の農業就業体験(インターンシップ)を実施しています。

また、農業を仕事にしたいと考えている全ての人を対象とした新規就農相談会「新・農業人フェア」(株式会社リクルートジョブズ主催)が、平成27(2015)年度には全国3か所(札幌市(さっぽろし)、東京都(とうきょうと)、大阪市(おおさかし))で合計8回開催されました。同フェアでは、就農希望者と農業法人、地方公共団体等が一堂に会し、就農に関する各種情報提供や、農業法人等による会社説明のほか、独立就農に向けた個別相談等が行われました。同フェアには、農業高校の生徒も来場し、農業法人の経営者等から話を聞くとともに意見交換が行われました。その他、大学生の農業に対する関心を向上させる機会を提供するためのガイダンスの開催や、大学のキャリアセンターを通じて農業を職業として意識させる働きかけを行いました。

今後も、就農希望者に対する情報提供や相談会、学生に対する働きかけ等を通じて、農業への関心を高めて就農につなげていくことが重要です。


(青年層への新規就農に関する支援)

農林水産省では、青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を図るため、原則45歳未満で一定の条件を満たす就農希望者・新規就農者を対象として、就農前の研修期間(準備型、150万円を最長2年間)及び経営が不安定な就農直後(経営開始型、最大150万円を最長5年間)の所得確保を支援する「青年就農給付金」の給付を行っています。平成26(2014)年度は、準備型で2,410人、経営開始型で1万90人がこの事業を活用しました。

また、農業法人等への雇用就農を促進するため、農業法人等が実施する新規就農者に対する実践研修等の実施を支援する「農の雇用事業」(最大120万円を最長2年間)を実施しています。平成26(2014)年度は、3,327経営体の農業法人がこの事業を活用し、5,288人の青年就農者に研修を実施しました。

そのほかに、農業経営の開始に必要な機械、施設の取得等のための資金について、無利子貸付けを行う「青年等就農資金」(平成26(2014)年度は、27億円の貸付)等により支援しています。


(道府県農業大学校等における就農支援対策)

農業関係の研修教育機関として、全国42道府県の農業大学校が設置されており、卒業生の就農率は59.1%(継続研修を含む。)となっています(表2-1-2)。

青年層の新規就農者を増やすためには、農業大学校とともに、農業高校等の卒業生の就農が増えることが重要です。平成26(2014)年度における農業高校卒業生の就農及び農業大学校等進学者の割合は、6.5%となっています。農林水産省では、文部科学省や都道府県等と連携して、実習の充実や就農支援体制の強化等を図り、生徒の就農意欲を一層喚起していく取組を進めています。

また、新規就農を促進するため、都道府県、市町村等、民間の各段階において独自の新規就農支援策が展開されており、農業研修、住宅や農地の取得等に対する支援が行われています。例えば、意欲と能力のある農業者を道府県知事が指導農業士として認定し、農業高校や農業大学校の実習生、就農に意欲のある者や新規就農者を指導農業士宅に受け入れての農業経営研修、既に就農して活躍している若い農業者に対しての助言等を行っており、農業・農村の活性化・発展に大きな役割を果たしています。指導農業士は、平成26(2014)年末で43道府県に9,529人の認定者がいます。そのほかにも、農外から農業に参入する者が、技術・知識を習得し、将来円滑に農業に関わることができるよう市町村が農業体験実習施設を設置するなど、各地において、様々な就農支援が行われています。


事例:他業種からの新規就農者の取組

兵庫県明石市
成田周平さん
成田周平さん

兵庫県明石市(あかしし)の成田周平(なりた しゅうへい)さんは、コンピューター関係の学校を卒業後、サラリーマンを経て、フリーの放送作家となりました。放送作家として多くの農家を取材するうちに、農業に魅力を感じるようになり、「自分でも農業をやってみたい」と考えるようになりました。農業法人の下で、1年間研修に取り組み、有機野菜の栽培技術等を習得後、研修先の仲介を受け、農地及び出荷先の確保を行うとともに、自己資金によりパイプハウスを整備し、平成23(2011)年8月に就農しました。

現在は、トマトやほうれんそう等の野菜を栽培し、基本的に農薬を使用しないため、病害虫の駆除に苦労していますが、「手のかかる子供ほどかわいいというが、手のかかる野菜ほど収穫時の喜びは大きい。体力的にはきついが、働いているという充実感で一杯です。」と語っています。

 

事例:高等学校における農業関連人材育成の取組

山形県上山市
上山明新館高等学校の生徒と先生
上山明新館高等学校の生徒と先生

山形県上山市(かみのやまし)の山形県立上山明新館(めいしんかん)高等学校食料生産科では、食品製造コース(ジュース、ジャム、みそ、くん製)、施設園芸コース(夏秋いちご、野菜、水耕栽培)の2つのコースがあり、卒業後は、農業法人や親元への就農のほか、森林組合や農業関連産業(食品製造、農業機械関連産業、生花店等)に就職している生徒もいます。

同校では、平成19(2007)年に、地域の農家等から依頼を受け、食用ほおずきの栽培を開始しました。収穫したほおずきは、ピューレにし、ドレッシングの原料として使われ、上山市内(かみのやましない)の学校給食で使用されています。

平成20(2008)年に「食用ほおずき」、「べにばな(花、茎)」、「いちご」、「桑」の4品目でJGAP(*)認証を取得し、平成25(2013)年度には14人の生徒がJGAP指導員の資格を取得しました。平成27(2015)年10月、第66回日本学校農業クラブ全国大会において、食用ほおずきの生産を拡大しJGAPを取得したプロジェクト発表が評価され、食料・生産区分の最優秀賞(農林水産大臣賞)に選ばれました。

また、平成27(2015)年に東京で開催されたアグリフードEXPO東京2015にも参加し、加工品等の展示・商談を行いました。


国内で取り組まれているGAPのひとつで、生産者、農業協同組合、大手小売業等が参加して開発され、第三者による認証を実施

 

(次世代の農業経営者教育の充実・強化)

今後の地域農業のリーダーとして、農業技術に加え、優れた経営感覚を備えた農業経営者を育成することが不可欠です。

農業界と産業界が連携して設立した一般社団法人アグリフューチャージャパンが平成25(2013)年度に開校した日本農業経営大学校では、経営戦略、マーケティングに加え、最先端の農業技術や国内外の農業政策等を学ぶ講義や演習、経営者・実務者等による特別講義、さらに先進農業経営体での研修と他産業での企業研修等、2年間の教育カリキュラムで学生の経営力や地域リーダーとしての資質を養成しています。

また、平成26(2014)年度に開講したオンラインアグリビジネススクール(*1)では、企業的な農業経営に必要な人材育成、販売、資金管理等の経営ノウハウを体系的に身に付けるための1コマ10分程度の講義や農業経営の先進事例等をインターネット配信しています。また、地域で学びの「場」を作り、ディスカッションをリードできるファシリテーター(*2)を育成する集合研修も開催され、実践的な経営力を養成するカリキュラムを通じ、農業経営者の育成に取り組んでいます。平成26(2014)年度には1,894人が同スクールを受講しました。

このほかにも、先進的な農業経営者が若手経営者の育成に取り組んでいる例も見られ、このような取組を通じて、優れた経営感覚を持ち、自らの判断で消費者・実需者のニーズの変化等に対応する農業経営者の増加が期待されます。


1 株式会社サラダボウルが実施
*2 会議等において進行役として中立の立場で会議のプロセスに関わりあいながら、会議の目的に沿って進むよう支援していく者

事例:後継者育成に取り組む担い手

山梨県山梨市
手塚一利さん(中央)
手塚一利さん(中央)

山梨県山梨市(やまなしし)の有限会社山梨フルーツラインは平成6(1994)年に法人化し、現在150人の生産者がいます。主な生産品目は、もも・ぶどう・かきで、会社名には、生産者と消費者を結ぶという意味が込められています。

手塚一利(てづかかずとし)会長は、地域に遊休農地や離農者が増え始めたことに危機感を持ち、平成15(2003)年に「営農塾マルニ」を設立しました。営農塾では生産のほかに加工品等の試作も行っています。塾生は従業員として雇用され、授業料等は徴収されません。働きながら独立するための技術や経営を学び、資金を貯め、一定の模擬経営の期間を経て、独立します。その際、塾生は、フルーツラインが遊休農地を再生し、用意した園地で栽培し、収穫した作物を、フルーツラインに出荷しています。

手塚会長は、塾生は農家の子弟が多いが、実際に組織の一員として働くことで技術だけでなく、経営的な事項も意欲的に学ぶなど意識の変化が見られると言います。今後は、卒業生が全国各地で農業を行うことを期待しています。

 

コラム:開発途上国等に対する人材育成支援(外国人技能実習制度)

開発途上国等には、経済発展・産業振興の担い手となる人材の育成を行うために、先進国の進んだ技能・技術・知識を修得させたいとするニーズがあり、我が国では、このニーズに応えるため、諸外国の青壮年労働者を一定期間産業界に受け入れて、産業上の技能等を修得してもらう外国人技能実習制度という仕組みがあります。

外国人技能実習制度は、最長3年の期間において、技能実習生が雇用関係の下、日本の産業・職業上の技能等の修得・習熟に取り組むものです。技能実習の対象は72職種131作業で、農業関係では耕種農業と畜産農業の2職種6作業(*1)が対象となっています。

平成26(2014)年における「技能実習1号」の在留資格による新規入国者は、8万3千人(*2)となっています。また、平成26(2014)年度の農業分野での技能実習生は1万1千人となっています。

外国人技能実習制度は、我が国で培われた技能等の開発途上国等への移転を通じた国際貢献を目的とした制度ですが、技能実習生を受け入れている機関の一部には、制度の趣旨を理解せず、技能実習生を低賃金労働者として扱うなどの問題が生じています。また、実習期間の延長や技能実習生の受入れ人数枠の拡大を求める声もあり、運用の適正化を前提としつつ、制度の拡大も含め、外国人技能実習制度全体の見直しが求められています。


1 耕種農業は施設園芸、畑作・野菜、果樹の3作業、畜産農業は養豚、養鶏、酪農の3作業
*2 法務省調べ


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