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農林水産省

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(1)米

(米の生産動向)

水稲作付面積は平成20(2008)年産以降、ほぼ横ばいで推移しており、平成27(2015)年産は前年産に比べ1万6千ha減少し、162万3千haとなりました(図2-3-1)。



このうち、主食用米の作付面積は、飼料用米、麦及び大豆等への転換が進展したことから、前年産に比べ6万8千ha減少し、140万6千haとなり、生産数量目標の面積換算値141万9千haを1万3千ha下回り、生産数量目標の配分を開始した平成16(2004)年産以降初めて超過作付が解消しました(図2-3-2)。主食用米の収穫量については、作付面積の減少に伴い、前年産に比べ44万t減少し、744万2千tとなりました(*1)。このため、平成27(2015)年産の主食用米の需給は引き締まり基調となり、相対取引価格(全銘柄平均)は、1万3,252円/60kg(平成28(2016)年3月)となっており、年産平均価格が過去最低であった平成26(2014)年産の同時期に比べ1,309円/60kg上昇しています(図2-3-3)。


1 農林水産省「作物統計」


主食用米を除く水稲作付面積は21万7千haとなりました(図2-3-4)。このうち、飼料用米の作付面積は前年比2.4倍の8万ha、米粉用米は前年比1.2倍の4,245haとなりました。また、平成26(2014)年産米から、清酒メーカーにおける清酒の生産増に対応した酒造好適米の増産分は生産数量目標の増減に左右されることなく、その枠外で生産を行えるようになったこと等から、酒造好適米の作付面積は前年比1.6倍の1,387haとなりました。さらに、輸出用米は、前年比1.4倍の1,547haとなりました。



(米の生産コスト削減に向けた取組)

稲作経営の農業所得(*1)を向上させていくためには、生産物の付加価値の向上に加えて、米の生産コストをより一層削減することが重要です。「日本再興戦略」(平成25(2013)年6月閣議決定)において、平成35(2023)年までの今後10年間で、担い手の生産コストを、現状の全国平均(1万6千円/60kg(平成23(2011)年産))から4割削減することを目標として掲げています。農林水産省では、目標の達成に向け、担い手への農地集積・集約、大規模経営に適した作期分散が可能な品種の組合せや直播(ちょくはん)栽培(*2)等の省力化技術の導入、低コスト仕様の農業機械の導入、鶏ふん焼却灰等の安価な未利用資源の肥料への活用等を進めています。平成27(2015)年12月には、農業者や産業界を中心に570人が参加した「稲作コスト低減シンポジウム」を開催し、先進農家や民間企業から稲作についての先進的な取組の紹介や意見交換を行いました。


1、2 [用語の解説]を参照

(飼料用米の本作化に向けた取組)

飼料用米の生産については、食料・農業・農村基本計画(平成27(2015)年3月閣議決定)において、平成37(2025)年度までに110万tに拡大するという生産努力目標が設定されました。農林水産省では、平成26(2014)年産から、飼料用米等の生産に対し、水田活用の直接支払交付金において、単収向上の取組へのインセンティブとして数量払いを導入(10a当たり最大10.5万円)し、その本作化を進めています。また、飼料用米の生産拡大に向けては、<1>生産者と実需者の結び付きの確保、<2>多収品種の導入や地域条件に応じた栽培技術の確立等を通じた収量向上、飼料原料用としての生産管理手法の導入等による生産コストの低減、<3>飼料原料用としての供給・利用体制の整備による流通コストの低減等に向け、飼料用米を給与した畜産物の付加価値の向上を図る利用拡大の取組と併せて関係者と一体となって取り組んでいく必要があります。

このうち、生産者と実需者の結び付きの確保に関しては、都道府県等と連携し、畜産農家と耕種農家のマッチング活動を実施しました。また、全国農業協同組合連合会では、各地域の農業協同組合を通じて、生産者から直接、飼料用米を買い取り、自ら畜産農家や配合飼料メーカー等の販売先を確保し、保管、流通までを行う体制を整備しています。

図2-3-5 「飼料用米生産コスト低減マニュアル」の概要

また、多収品種の導入については、全国各地域での栽培に適した品種が平成2(1990)年から平成27(2015)年までの間に21品種が育成されました。また、多収品種による取組面積は、平成27(2015)年度には平成25(2013)年度の約9千haから、3倍以上の約3万haに拡大しました(*1)。農林水産省では、平成28(2016)年産の多収品種の種子を確実に供給するため、不足する場合は、平成27(2015)年産飼料用米の 籾(もみ)の一部を種子に転換するなどの取組を推進しています。生産コストの低減に関しては、「「日本再興戦略」改訂2015」(平成27(2015)年6月閣議決定)において、多収品種の開発や、コストの削減、担い手への農地集積・集約化等を加速させ、10年後の平成37(2025)年度にコスト削減や単収増により生産性を2倍に向上(担い手の60kg当たりの生産コストを5割程度低減)させるとの目標が設定されました。農林水産省では、この目標の達成に向けて生産コスト低減策を検討し、平成27(2015)年12月に、生産者がコスト低減に取り組む際に参考となる「飼料用米生産コスト低減マニュアル」を公表しました(図2-3-5)。本マニュアルにおいては、多収品種の導入と十分な施肥による多収の達成、生産者が取り組みやすい技術による栽培の合理化、規模拡大による効率的な栽培について解説するとともに、取組ごとの生産コストの低減率や取り組む際に気を付けなければならない点等を示しています。

さらに、流通コストの低減に向けては、地域の既存施設の有効活用を図ることを基本とし、耕種側における飼料用米保管施設や畜産側における加工・保管等に必要な機械・施設の整備等に対する支援を行っています。


1 農林水産省調べ

事例:飼料用米の単収向上及びコスト低減の取組

鹿児島県姶良市

鹿児島県姶良市(あいらし)の姶良市農業再生協議会では、平成21(2009)年から飼料用米の栽培を支援しています。姶良市(あいらし)では耕地面積の80%が水田であるため、「水稲で転作ができる」という考えから、飼料用米の生産を開始しました。

当初、生産者の関心は低いものでしたが、飼料用米に関する制度説明会において、飼料用米の生産の意義を丁寧に説明するほか、地域内に飼料用米の実証ほ場を設置するなどの取組を進め、平成27(2015)年には96人の生産者が飼料用米を生産しています。

単収向上に向けては、多収品種の「ミズホチカラ」を用いるほか、ほ場での研修会を開催し、生産者同士で栽培技術について意見交換を行うなどの工夫を重ねています。平成27(2015)年産については、生産者の68%が基準単収以上の収量を達成しました。また、乾田直播(ちょくはん)栽培及び鶏ふん等の利用による低コスト生産技術の実証試験を行い、地域に適した品種や栽培技術の検討を行っています。

今後は、現在課題となっている堆肥のみの施肥体系等の低コスト栽培技術の導入等に取り組み、飼料用米の生産を通じて、地域の稲作経営の安定化を図っていく考えです。

集荷の様子
集荷の様子
ほ場での研修会の様子
ほ場での研修会の様子
 

(飼料用米の利用拡大)

我が国の気候・風土に適した米は、とうもろこしとほぼ同等の栄養価を有し、配合飼料原料となり得るほか、特徴ある畜産物のブランド化、水田農家と畜産農家の結び付きの強化とそれに伴う水田等への堆肥の還元、水田フル活用による農地の維持保全等を図ることができます。

また、多くの消費者は、飼料用米の取組によって期待できる効果として、「農地の維持」に加えて「安全に感じる」と回答しています(図2-3-6)。さらに、飼料用米を活用した畜産物については、9割の消費者が購入したいと回答しています(*1)。

飼料用米の利用を拡大するためには、地域の耕種農家と畜産農家の連携や配合飼料工場を通じた安定供給等を図っていくことが必要です。このため、国、都道府県、市町村段階の関係機関が連携し、生産要望のある耕種農家と利用要望のある畜産農家のマッチング活動、配合飼料工場での長期的・計画的な活用のための情報提供を進めることが重要です。また、畜産農家が飼料用米を利用するために必要な機械のリース導入や設備の整備を支援していくことが重要です。

飼料用米を輸入とうもろこしの代替として飼料利用するだけでなく、飼料用米を給与した豚肉、鶏卵等の付加価値向上を図る取組もみられます。今後、このような取組を通じて飼料用米の特徴をいかした畜産物の高付加価値化の取組を進めることが重要です。


1 株式会社日本政策金融公庫「平成27年度上半期消費者動向調査」(平成27(2015)年9月公表)

事例:飼料用米を利用した取組

(1)大規模養豚事業者による飼料用米を用いた高付加価値化の取組

岩手県一関市
飼料用米を給与して豚肉をブランド化
飼料用米を給与して
豚肉をブランド化

岩手県一関市(いちのせきし)の株式会社フリーデン大東(だいとう)農場では、養豚の繁殖肥育一貫経営で2万3千頭を飼養し、年間4万4,400頭を出荷しています。平成18(2006)年に、同農場は市内の地域営農組合等と「フリーデングループ飼料用米利活用推進協議会」を立ち上げ、休耕田や条件不利なほ場を活用し、農場が提供した堆肥を利用した資源循環型の飼料用米栽培に取り組んでいます。

同協議会の飼料用米の作付面積は、平成19(2007)年の11haから平成27(2015)年には119haに拡大しています。耕種農家は、栽培マニュアルに基づき多収品種の「ふくひびき」、「いわいだわら」を栽培し、十分な施肥による単収向上やタンパク含量の高位安定、農薬削減や堆肥・液肥利用等によるコスト低減に努めています。

同農場では、生産された飼料用米を15%配合し、肥育豚に出荷前60日間給与しています。飼料用米を給与した豚肉は、オレイン酸が増加する一方、リノール酸が減少するといった成分変化がみられ、風味も良くなっています。今後も耕畜連携(*)を進め地域活性化にも貢献していくこととしています。


 [用語の解説]を参照

(2)地元に根ざして飼料用米割合60%以上を実現する養豚農家の取組

岐阜県揖斐川町
山川忠一郎さん
山川忠一郎さん

岐阜県揖斐郡揖斐川町(いびぐんいびがわちょう)の菖蒲谷(しょうぶだに)牧場は、家族経営による養豚業を営み、母豚約40頭を飼養しています。代表の山川忠一郎(やまかわ ちゅういちろう)さんは、飼料用米を15haで生産するほか、地域の契約農地65haで生産してもらい、利用しています。飼料への配合率は、米の収穫時期には8割まで高めており、通年で60%以上を実現しています。

また、飼料だけでなく豚肉の販売でも地元を重視し、地元の方からの電話注文や地元JAの販売所等を通じて、加工品と併せて定期的な販売先を確保しています。飼料用米の調達は、これまでの契約農家の口コミで地域農家と直接契約しています。

今後、耕種農家と畜産農家の距離を近づけ、地域コミュニティの中で、生産から販売、消費を完結できるような地域の仕組みづくりをしていきたいと考えています。

 

(3)採卵鶏への飼料用米の利用と生産卵の加工・直売の取組

鳥取県大山町
飼料用米による卵を用いた加工品
飼料用米による卵を
用いた加工品

鳥取県西伯郡大山町(さいはくぐんだいせんちょう)の小川養鶏場は、約2万8千羽飼養し、鶏は純国産種で、飼料は安全にこだわった高価な飼料用とうもろこしを用いて、生卵や加工品を高付加価値化し、地元スーパーマーケットや運営する直売所2店舗等で販売しています。飼料用とうもろこしの国際価格の高騰等をきっかけに、平成22(2010)年から近隣の農事組合法人の協力を得て、飼料用米の品種選定や生産可能量、施肥等の栽培方法、利用した際の産卵率や黄身の色等の卵の品質について検証し、飼料用米の利用を開始しました。

現在、提携する法人から年間100tの飼料用米を買い取り、普通の卵の生産用には配合率8%の飼料を、黄身の白い卵の生産用にはとうもろこしを飼料用米に100%代替した飼料を与えています。黄身の白い卵は、直売所で販売するロールケーキ等の菓子の原料として使うと着色がとても良いことから、加工向けで利用する割合が増えています。平成27(2015)年は飼料用米の配合割合を高め飼料原料の更なる国産化を図ることとしています。

 

(米粉用米の利用拡大に向けた取組)

米粉用米については、近年、その利用が伸び悩んでおり、課題として、製粉コストが小麦粉に比べて高いことが挙げられます。このため、その低減に向けた技術開発等が取り組まれています。加えて、原料米を製粉せずに、加熱してピューレー状・ゼリー状に加工する技術等も開発されてきており、低コスト加工への期待のほか、これらを利用した食品の保湿性向上等、その機能性を活用した用途の拡大も期待されています。また、生産面では、多収性や粒度・デンプン損傷度等の加工適性に着目した米粉用品種の開発、地域に応じた栽培技術の確立に取り組んでおり、製パンに適した「ミズホチカラ」、「ゆめふわり」等の新品種が開発、導入されてきています。

農林水産省では、国産農林水産物の消費拡大に向けた国民運動であるフード・アクション・ニッポンの取組の一つである米粉倶楽部による官民一体での米粉の認知拡大や消費喚起を通じて、米粉製品の製造・販売を広げていくこととしています。

さらに、学校給食での米粉の利用は、地産地消(*1)の推進等を背景に、平成17(2005)年度の導入率2割から、平成25(2013)年度には7割まで増加しており、引き続き、導入率の上昇や利用回数の増加に向け取り組んでいくこととしています。


1 [用語の解説]を参照

(米政策改革の着実な推進に向けた取組)

我が国における一人当たりの主食用米の消費量は、昭和37(1962)年度のピーク時の年間118.3kgから、平成26(2014)年度には55.2kgと半分以下に減少しています(*1)。高齢化や食生活の変化等により今後もこの傾向は続き、人口減少もあいまって我が国の主食用米の消費量は減少傾向で推移するものと見込まれます。一方、水田は米を生産する以外にも、洪水の防止や生態系の保全等の多面的な機能を担っており、今後も維持していく必要があります。このため、優れた生産装置である水田を有効に活用し、食料自給力(*2)・食料自給率(*3)の維持向上を図る観点から、<1>飼料用米等の多様な米の生産振興を図るとともに、<2>小麦、大豆等、固定的な国産需要がありながら、その多くを海外からの輸入に依存している品目について作付けを拡大するなどの取組を進めています。

平成27(2015)年産については、水田活用の直接支払交付金による支援や、中食(*4)・外食等の需要に応じた米の生産と 播種(はしゅ)前契約、複数年契約等による安定取引の一層の推進、産地別、品種別等のきめ細かい需給・価格情報、販売進捗・在庫情報の提供等、需要に応じた生産を推進するための環境整備を行いました。

こうした中で、定着状況をみながら、平成30(2018)年産米からを目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、国が策定する需給見通し等を踏まえつつ、生産者や集荷業者・団体が中心となって円滑に需要に応じた生産を行える状況になるよう、行政・生産者団体・現場が一体となって取り組んでいるところです。

なお、平成27(2015)年産の生産数量目標の設定に当たっては、各産地において自主的に需要に応じた生産が促進されるよう従来の生産数量目標に併せて、生産数量目標よりも低位の自主的取組参考値を付記し、幅のある配分を行いました。さらに、平成28(2016)年産の生産数量目標の設定に当たっては、平成27(2015)年産と同様、生産数量目標に併せて自主的取組参考値を設定するとともに、平成27(2015)年産の都道府県別のシェアを固定して配分を行いました。これにより、各都道府県は、国からの生産数量目標等の配分がなくても、全国の生産数量目標等を基に各都道府県の生産数量目標等を把握することができるようになっています。


1 農林水産省「食料需給表」
*2~4 [用語の解説]を参照


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