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農林水産省

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(1)地球温暖化に対する緩和策と適応策の推進


(平成32(2020)年以降の新たな枠組みの合意)

平成27(2015)年11月30日から12月13日にかけて、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP(*1)21)が開催され、平成32(2020)年以降の新たな法的枠組みとなる「パリ協定」が採択されました。「パリ協定」においては、発展途上国を含む全ての国が温室効果ガス(*2)の削減に取り組み、世界全体の平均気温の上昇を産業革命前に比べ2度より十分低く抑えることが目標とされ、更に1.5度に抑えるよう努力すること等が掲げられました。この目標の達成に向け、温室効果ガスの排出量が最大となる時期をできるだけ早くするものとし、今世紀後半には人為的な排出と吸収を均衡させるために可能な限り早期の削減を行うこととされました。なお、COP21では農地等における炭素貯留機能の重要性を認識し、各国の科学的知見や経験の共有を図ることを目的とする「4/1000イニシアチブ」(*3)の立ち上げと共同声明への署名が行われ、我が国からは農地土壌に関する調査研究や施策を紹介しました。

我が国は、平成27(2015)年7月に「日本の約束草案」(地球温暖化対策推進本部決定)を策定し、国連気候変動枠組条約事務局に提出しました。約束草案においては、平成42(2030)年度における温室効果ガスの排出量を平成25(2013)年度に比べて26%削減し、約10億4,200万t-CO2とするとしています(図2-5-1)。このうち、農林水産分野においては、森林吸収源として約2,780万t-CO2(平成25(2013)年度の総排出量の2.0%)、農地土壌炭素吸収源対策の推進により約790万t-CO2(同0.6%)の吸収量の確保を目標としているほか、平成25(2013)年度総排出量の0.2%相当の排出削減に取り組むこととしています。


*1 Conference of the Partiesの略
*2 [用語の解説]を参照
*3 COP21の議長国であるフランス政府の主導で発足。農業生産性の向上と気候変動緩和を両立し得る活動として、農地等における炭素貯留機能の重要性を認識し、各国の科学的知見や経験の共有を図ることを目的としたもの。我が国を含む多くの国、国際機関及び非政府組織(NGO)等が共同声明に署名

図2-5-1 約束草案における我が国の排出削減目標と農林水産分野の位置付け

(地球温暖化に対する緩和策の導入・普及)

農林水産業における温室効果ガスの主な排出源は、燃料等の燃焼、家畜の消化管内発酵、家畜排せつ物の管理、稲作、農地土壌となっています。このため、農林水産省では、ヒートポンプや木質バイオマス利用加温設備等を用いた省エネ型施設園芸への転換による二酸化炭素の削減、水田における稲わらのすき込みから堆肥施用への転換によるメタンの削減、施肥の適正化による一酸化二窒素の削減等を推進しています。また、森林吸収源対策のほか、堆肥や緑肥等の有機物の施用による土づくりの推進を通じて、農地や草地における炭素の貯留を促進する農地土壌吸収源対策に取り組んでいます。これらの結果、平成25(2013)年度の農林水産業における温室効果ガス排出量は4,335万t-CO2(前年度比2%減、総排出量14億800万t-CO2の3.1%)、吸収量(*1)は6,100万t-CO2となりました(*2)。このうち、農林水産分野における吸収量は森林吸収源対策で5,200万t-CO2、農地管理で700万t-CO2、牧草地管理で100万t-CO2となりました。


*1 京都議定書第二約束期間からは、吸収源として森林吸収源対策及び植生回復活動に加え、農地管理活動及び牧草地管理活動も計上される。なお、吸収量の算定は京都議定書に基づいて行っている。
*2 温質効果ガスインベントリオフィス「2013年度(平成25年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について」を基に農村水産省で作成

(地球温暖化に対する適応策の導入・普及)

農林水産分野では既に、水稲や果樹、病害虫・雑草、自然災害等において気候変動の影響が生じています。このため、農林水産省では、社会、経済に特に影響が大きい品目への重点的な対応や災害対策の推進等を進めています。具体的には、温暖化による水稲の白未熟粒の発生、うんしゅうみかんの浮皮、ぶどうやりんごの着色不良・着色遅延、トマトの着色不良等の影響が報告されており、高温耐性のある品種や高温障害を防ぐ適応技術の開発・普及を進めています(図2-5-2)。これら地球温暖化による影響及び適応策の導入状況については、都道府県に実態調査を行い、平成19(2007)年より「地球温暖化影響調査レポート」として公表してきましたが、さらに、平成27(2015)年8月には「農林水産省気候変動適応計画」を定め、これまでの取組に加え、科学的な将来影響評価研究や、中長期的視点を踏まえた品種・育種素材、生産安定技術等の適応技術の開発、気候変動がもたらす機会を活用した取組(*1)を推進することとしています。

なお、政府は、農林水産分野を含む様々な分野における気候変動の影響に対し、整合のとれた取組を総合的かつ計画的に推進するため、平成27(2015)年11月に「気候変動の影響への適応計画」を閣議決定しており、同計画には「農林水産省気候変動適応計画」の内容が反映されています。


図2-5-2 気候変動による農業への影響と適応策の例

(農業分野における生物多様性保全の推進)

農林水産業は、生物の生息・生育環境の提供、特有の生態系の形成・維持等の形で生物多様性(*2)の保全に貢献している一方で、農薬や肥料の不適切な使用、経済性・効率性を優先した農地・水路の整備等によって負の影響を与えることもあります。農林水産省では、「農林水産省生物多様性戦略」を定め、生物多様性を重視した持続可能な農林水産業の推進、田園地域・里地里山の保全、生物多様性の経済的評価等に取り組んでいます。平成28(2016)年2月には、生物多様性保全を付加価値とした取組を展開している農林漁業者やそれらを支援する企業等の活動の紹介や経済的評価等を行うことで、農林漁業者と企業の新たな連携を促すことを目的としたシンポジウムを開催しました。

また、我が国の品種開発を加速化させるためには、海外の遺伝資源(*3)を円滑に取得・利用できる環境整備が必要となっています。このため、農林水産省では、遺伝資源保有国の政府との合意形成や共同研究による有用な遺伝資源の特定、国内利用者への遺伝資源の取得・利用に関する情報提供等を進めています。


*1 温暖化により亜熱帯・熱帯果樹等の栽培可能地域が拡大することを踏まえ、これらの作物を導入等する取組
*2 <1>森林・里地・里山、藻場・干潟等様々な自然環境に応じた「生態系の多様性」、<2>同じ生態系であっても、動物や植物、土壌中の微生物に至るまで、様々な生き物が生息している「種の多様性」、<3>同一種であっても、姿・形の違い、病気への耐性等個体差を生み出す「遺伝子の多様性」が存在
*3 [用語の解説]を参照


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