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パンフレット「バイオマスを使ってみよう」の解説

このページは、関東農政局で作成したパンフレット「バイオマスを使ってみよう」についての解説ページです。

関東農政局で作成したパンフレットの紹介

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「バイオマス(biomass)」は、「バイオ(bio=生物、生物資源)」と「マス(mass=量)」からなる言葉で、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」である、としています。具体的な例は、下図をご覧下さい。

廃棄物系バイオマス

・廃棄される紙
・家畜排せつ物
・食品廃棄物
・建設発生木材
・製材工場残材
・黒液(パルプ工場廃液)
・下水汚泥
・し尿汚泥
未利用バイオマス

・稲わら、麦わら
・もみ殻
・林地残材(間伐材、被害木等)
資源作物

・飼料作物
・でんぷん系作物等

    バイオマスは、太陽のエネルギーと水・土・空気を使って生物が合成したものですので、石油・石炭といった化石資源や、金属などの鉱物資源と異なり、適正に利用すれば枯渇することのない循環型の資源です。

  また、近年、石油・石炭など化石エネルギーの大量消費により、地球温暖化が国際的な問題になってきていますが、バイオマスは使用しても地球温暖化をもたらす大気中の二酸化炭素を増加させない資源として、注目されています。地球温暖化対策のための新エネルギーとしては、太陽光や風力なども注目されていますが、バイオマスはエネルギーとして使えるのみでなく、プラスチックの原料としても石油の代わりに利用できることが特徴です。

  まだバイオマスの利用は十分に進んでいませんが、平成14年12月27日、国をあげてバイオマスの利活用を進めていくための基本方針を示した「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定され、これに基づいてバイオマス利活用を進める取組が推進されています。

 

石油を使ったものには何があるかな?

石油を使ったものには何があるのかな?  バイオマスの利用には、(ア)地球温暖化の防止、(イ)循環型社会の形成、(ウ)競争力ある新たな戦略的産業の育成、(エ)農林漁業、農山漁村の活性化、といった期待が向けられていますが、このページでは主に(ア)と(イ)を対象にしています。

  現在の日本の生活は、石油をはじめとする化石資源に支えられており、もはや化石資源のない生活は考えらないといっていいくらい、日々の暮らしに深く関わっています。このうち、石油については99.7%を輸入に依存しており、石炭についても98%が輸入されるなど、私たちの生活は海外からの資源に深く依存した生活となっています。普段の生活で使っている電気・ガスや乗り物の燃料としてだけでなく、農業や工業製品などのものづくりにもこれらエネルギーが欠かせなくなっていますので、私たちの暮らしは考えている以上に化石資源に依存していることとなります。

  これら化石資源は、過去の植物や動物の遺骸からできたとされていますが、それらは人類の誕生するはるか以前から数億~数千万年かかって蓄えられてきたもので、人類のタイムスケールの中では再生されることのない有限の資源です。

  これらの化石資源の多用により、非常に便利で豊かな生活を送ることが可能となっていますが、その一方で、大量に発生する廃棄物によって環境問題が深刻化しています。廃棄物の発生を抑制し、循環型の社会へ移行する試みが行われているものの、循環利用されている資源は全体的にはまだ多くはありません。

  また、化石資源を燃焼した際に発生する二酸化炭素は、地球温暖化の原因とされる「温室効果ガス」の一つとして国際的にその削減が求められています。日本は2008年~2012年の平均で1990年に比べ6%の温室効果ガス削減を求められていますが、現実には温室効果ガスの排出量は増えており、今後一層の削減努力が求められることとなります。

(エネルギー)
  電気、ガス、燃料など国内で供給されるエネルギーを見ると、50%以上が石油から作られており、石炭、天然ガスを含めるとエネルギーの80%以上を化石資源に依存しています。(「昔のくらしはどうだったのかな?」の項の図参照)
  このうち電気は、ほぼ化石資源を燃料とする火力発電によるものが国内の総発電量の約6割を占め、ついで原子力発電が約3割となっています。また、ガスは、ほかの化石燃料に比べて環境負荷が少ないエネルギー源ですが、天然ガスが国内でもわずかに産出されている(新潟県、千葉県等)ものの、需要のほとんどは輸入に依存しています。

(乗り物)
  自動車の燃料となるガソリン、軽油や、飛行機の燃料となるジェット燃料は、いずれも石油から精製してつくられています。また、電車については電気で動いています。

(プラスチック)
  国内で生産されるプラスチックは1,500万トン近くになりますが、ほぼ100%が石油を原料として作られています。プラスチックは軽量で安定した便利な資材であり、生活の様々なところで利用されており、年間の一人あたりのプラスチック消費量は90kg以上にのぼります。一方、プラスチックはなかなか分解しないため、廃棄された後の処理が問題となっており、埋立て場所の逼迫の原因ともなっています。また、放置されたごみ袋などを野生動物が飲み込んでしまうといった被害も多く報告されています。

(衣服)
  私たちの衣服に用いられる合成繊維(ナイロン、ポリエステル等)も、石油を原料として作られる工業製品で、国内で使われる繊維のうち約半分を占めています。また、植物(綿、麻)や動物(絹、毛)についても、輸入に大きく頼っているのが現状です。

 

昔のくらしはどうだったのかな?

昔のくらしはどうだったのかな?  現在のように暮しの中に石油や石油製品が深く行きわたるようになったのはそれほど昔のことではありません。このページでは、江戸時代の暮しがほぼ植物だけで成り立っていた様子を示していますが、その中には数十年前まで使われていたものも多く含まれています。この50年ほどで、石油に代表される資源とエネルギーを使って、大量生産、大量消費、そして大量廃棄という使い捨ての社会が生まれました。

  今の生活は、とても便利で豊かな暮らしでもあり、そういった生活を手にした今、江戸時代や数十年前の暮らしに戻ることはできませんし、単に昔に戻ることが良いわけではないでしょう。しかし、現在、バイオマスなどの自然循環型の資源を私たちの暮らしに活かしていけるような新たな技術などが生まれてきており、これからはそういった資源を活用していくことも大切となると考えられます。そのような視点で、これからの社会を考えてみるとき、バイオマスに代表される自然循環型の資源と上手につきあっていた社会の智恵に学ぶことが多いのではないでしょうか。

  たとえば石油の使用量が急速に増え始めたのは終戦から10年ほど経った1955年ごろからで、その頃から「電気冷蔵庫、電気洗濯機、白黒テレビ」がいわゆる「三種の神器」と呼ばれ急速に普及し、家事労働も大きく軽減されていきました。一方、都市部と農村部で生活に違いがありましたが、その頃までは薪や炭を使ったり、洗濯板で洗濯したり、といった暮らしも広く行われていました。そうした生活では、食べ物やものを粗末にしない、使えるものは手間をかけつつ無駄なく徹底的に使う、といったことが特別なことではなく、当り前に行われていました。こういった考え方は、自然との協調が必要な資源であるバイオマスの利用においても大切な考え方となります。

一次エネルギー総供給量の推移(構成別) 最終エネルギー消費量の推移(部門別)
一次エネルギーの総供給量 最終エネルギーの消費量
※単位のPJ(ペタ・ジュール)は、エネルギーの単位であるJ(ジュール)の10の15乗を意味する。
1 PJ = 0.0258原油換算百万キロリットル = 23.9×10の10乗kcalに相当。
※エネルギー転換等の際に生じるロスにより、総供給量と消費量は一致しない。

  「バイオマス・ニッポン総合戦略」では、バイオマス利用上の課題として、広く少しずつ分散しているバイオマスを集めてくる難しさ、様々なバイオマスを分別する難しさ、水分や空気を含むためかさばり効率が低いという問題点、腐りやすいものがあるという問題点などが示されています。しかし、これらの問題点は、生物由来の資源を利用していく上で、今も昔も変わらない共通の課題であると考えられます。先人たちはこれらに対してどのような智恵を示していたでしょうか。バイオマス(という言葉ではありませんでしたが)を日常的に使っていた経験の豊富なおじいさん、おばあさん世代の方には、その頃の智恵や経験が残っているのではないでしょうか。

  もちろん、そんな便利なものではない、今思うととても不便なものだった、というところも沢山あるでしょう。しかし、そんな経験も含めて、これからのバイオマス社会を考えるにあたり、これからバイオマスを使っていくであろう孫の世代に伝えていくことはないか、何を伝えていったらいいか、みんなで考えてみてはいかがでしょうか。

 

江戸時代の暮らしの様子

以下に江戸時代の暮らしの様子を簡単に紹介します。

(調理)
煮炊きには薪や炭、わらなどが使われていました。都市部では購入されたものが使われましたが、農山村では自分で集めたりつくったりするもので、「おじいさんは山に柴刈りに」と昔話でよく言われるように典型的な生活でした。また冷蔵庫はなく、食品の保存のために干物、漬物、発酵食品など多くの技術が生まれました。

(明かり)
昔は明かりは今とは比べられないほど暗いものでしたが、それでもとても貴重なものでした。明かりをつけるには様々な油を用いましたが、その代表的なものが菜種油でした。ろうそくは更に貴重なもので庶民が日常的に用いるものではありませんでした。

(衣服)
衣服には主に木綿が使われました。絹は高級品でしたが、庶民の間でも利用が少しずつ広がっていったようです。また江戸時代以前は麻が広く用いられていました。綿、絹、麻とも現在も用いられる繊維ですが、現在は輸入に大きく頼っています。また、雨具として笠やみのが、履物としてぞうりやわらじが、稲わらなどから作られていました。稲わらは日本人の生活にとってなくてはならない資源として、さまざまなところで使われていました。

(容器・包装)
茶碗や壺、かめといった陶器、鉄なべなどの金属が用いられていましたが、竹筒やひょうたんを利用した水筒、竹やわら細工の入れ物、また葉や竹の皮などが容器や包装として用いられていました。

(乗り物)
江戸時代の乗り物は、動力を使ったものはなく、一部自然の力を動力とする舟などの他は、人が運んだり、牛馬など動物を使っての運搬でした。また、駕籠(かご)といった乗り物自体も木などから作られるものでした。

バイオマスを使ってみよう

このページでは、様々なバイオマスの紹介と、その使い方を紹介しています。

「バイオマス」という言葉を使うとイメージがわきにくいかも知れませんが、ここに載っている写真を見ていただくと、身近なところにバイオマスがあると感じられるのではないでしょうか。下表は、主なバイオマスの発生量とその使われ方を整理したものです。

対象バイオマス 年間発生量
(単位トン)
利活用の状況
家畜排せつ物 約9,100万 たい肥利用約80%
食品廃棄物 約1,900万 肥飼料利用10%未満、残り90%が焼却・埋却処理
廃棄紙 約1,400万 古紙として回収されず、その大半が焼却
パルプ黒液(乾燥重量) 約1,400万 ほとんどがエネルギー利用(主に直接燃焼)
下水汚泥(濃縮汚泥ベース) 約7,600万 建設資材・たい肥利用約60%、埋め立て約40%
製材工場等残材 約610万 エネルギー・たい肥利用約90%
林地残材 約390万 ほとんど未利用
建設発生木材 約480万 製紙原料、ボード原料、家畜敷料等への利用約40%
農作物非食用部(稲わら、もみ殻等) 約1,300万 たい肥、飼料、畜舎敷料への利用約30%

  それでは、どうしたらバイオマスを使えるのでしょうか。このパンフレットは「バイオマスを使ってみよう」を表題としていますが、皆さんがすぐにできる取組は残念ながら実はそれほど多くないのが現状です。このパンフレットでは、多くの地域で取り組まれている代表的な2つの取組を紹介しますが、お近くでこのような取組が行われていれば、まずは参加されてみてはいかがでしょうか。

バイオマスを使ってみよう  以下に、バイオマスの代表的な使い方について、簡単に説明します。

【肥料】
広く行われているバイオマス利用の例です。家畜排せつ物や稲わら、生ごみなどを微生物の力で発酵させてたい肥とし、農産物を作るのに用いるのが一般的です。生ごみの場合は、乾燥などでコンポストにすることもありますが、そのままでは良質の肥料とはならないことが多く、たい肥化などを行うことにより良質の肥料とすることが求められます。

【えさ】
食品廃棄物などであっても、家畜の飼料として使えるものはたくさんあります。かつて都市部でもよく見られた残飯養豚はその典型ですが、それ以外にも加工処理を行って家畜の飼料を作る技術が数多く生まれています。

【電気】
電気は幅広い用途に利用可能なエネルギーであり、バイオマスからも電気をつくる様々な技術が開発されています。直接燃焼したり、ガス化したバイオマスを燃焼して、それらの熱を利用しての発電が多く行われていますが、今注目されている燃料電池の燃料もバイオマスから作ることができ、今後の可能性に期待が高まっています。

【燃料(ガス)】
ガス化には多くの技術がありますが、代表的なものとしてメタンガス(バイオガス)の生成を紹介します。家畜排せつ物や生ごみなどを酸素の少ない一定条件におくと、微生物の働きで発酵し、主にメタンガスと炭酸ガスが発生します。沼などでぼこっと泡が湧き出ることがありますが、それがメタンガス(バイオガス)であり、同じ原理です。メタンガスは、普段使っている天然ガスの主成分でもあり、そのまま調理などの燃料として使えるほか、エンジンや燃料電池の燃料となり動力・電気としての利用も可能です。

【燃料(液体燃料)】
液体燃料としても様々な燃料と技術がありますが、ここではエタノールを紹介します。エタノールをつくる代表的な技術としては発酵があり、これはバイオマスのうち糖分、でんぷんなどを一定条件で発酵させるものです。これはお酒をつくるのと同じ技術であり、人類が古くから付き合ってきた技術でもあります。海外では自動車燃料として、ガソリンに一定割合のエタノールを加えている国があり、例えばアメリカでは10%、ブラジルでは24%エタノールが混合しています。

【燃料(木質ペレット)】
バイオマス由来の固体燃料の一つとして、木材を細かく砕いた後、数ミリ程度の円柱状の粒に整形した木質ペレットが注目されています。木材は直接燃料として、薪ストーブや炭ストーブなどでも使われますが、ペレットは粒状であるため燃料の自動供給が可能となるなど燃料として扱いやすいことが利点です。日本は国土の2/3が森林である世界でも有数な森林国であり、木材の利用には大きな可能性があります。ペレットストーブの普及とペレットの供給体制の整備が期待されます。

【プラスチック】
プラスチックというと石油から作られる製品の代表というイメージがありますが、植物由来のプラスチックも登場しています。代表的なものはトウモロコシなどのでんぷんを原料に乳酸発酵という過程を経て作られるポリ乳酸を原料として作られています。現在は性能も石油から作られるものと全く同じではなく、価格も高くなっていますが、これから普及していくなかで性能の改良、コストの低下が期待されます。こうしたプラスチックのなかには、土の中で微生物により分解されるものがあり、廃棄物量の削減が期待できるほか、容器やごみ袋として使用すれば分別せずとも生ごみなどと一緒にたい肥化できるという利点もあり、自治体などでの利用が増えてきています。

 

菜の花プロジェクト

菜の花プロジェクト  かつて「菜の花や月は東に日は西に」(与謝蕪村)、唱歌「おぼろ月夜」などで歌われた菜の花畑は、油資源として各地で広く栽培されていましたが、海外からの植物油の輸入などによりその栽培面積は激減しました。しかし、そんな菜の花をシンボルとして、菜の花からとれるナタネ油を使って自動車を走らせる、そんな取組が各地で行われています。取組の内容は地域によって様々ですが、このページでは代表的なものを紹介しています。

  ナタネの種から絞った油は食用油として使われた後、回収して集められ、エステル化という化学的処理を行うとバイオディーゼル燃料(BDF)となります。またナタネのしぼりかすは肥料、飼料に用いられるなど地域での循環づくりが行われています。BDFの利点は、大きな改造をしなくても軽油の代わりにそのままディーゼルエンジンの燃料となることで、実際に自動車やバス、トラック、トラクターの燃料として使われています。ドイツなど海外では燃料としてのナタネ栽培も行われており、ガソリンスタンドで給油もされています。

  この取組は、廃食油をせっけんとして再利用する取組を進めていた滋賀県環境生活協同組合が、海外の取組をヒントに、廃食油の新たな使い途として自動車燃料化に取り組みはじめたもので、今やその取組は菜の花をシンボルとして30もの道府県で様々に行われています。その中では、菜の花を使った特産品をつくったり、イベントや地域おこしを行ったり、といった地域の創意工夫による独自の取組も数多く行われています。

 

 

 

 

 

 

生ごみのリサイクル

生ごみのリサイクル  家庭や給食などで出る生ごみをリサイクルする取組も各地で行われています。ここでは大きく2つの取組を紹介します。

  緑の矢印は、生ごみをたい肥化して利用している事例で、写真は東京都北区と群馬県甘楽町で行われている取組です。ここでは、北区の学校給食で出た生ごみを、学校において一次処理(コンポスト化)した後、甘楽町で稲わらや家畜ふんなどと混ぜ、半年かけてしっかりとたい肥にします。そして、このたい肥を用いて生産された有機農産物は、北区の学校給食で使われたり、北区内で直売されたりします。北区と甘楽町では、こうしたバイオマスを通したつながりが人の交流へとつながってもいます。山形県長井市のレインボープランなどにも見られるこういった取組は生産者と消費者の連携の一つの形としてこれからも増えていくと考えられます。

  赤の矢印はエネルギー利用の事例で、ここでは神奈川県横須賀市で行われている生ごみガス化の実験の模様です。横須賀市では回収した生ごみを発酵させてメタンガスを取り出し、ごみ収集車の燃料として使う実験を行っています。このような取組はまだ多くはありませんが、埼玉県小川町では市民と行政・NPOの協力で、生ごみを分別収集し、手づくりの施設でガスと液体肥料をつくる取組が行われています。


「バイオマスを使ってみよう」~関東バイオマスフォーラムパンフレット(解説)~

問合せ先:農林水産省関東農政局企画調整室
〒330-9722 さいたま市中央区新都心2-1電話 048-600-0600(代)
関東バイオマスホームページ http://www.maff.go.jp/kanto/kihon/kikaku/biomass/index.html

お問い合わせ先

経営・事業支援部事業戦略課
担当者:猪狩・飯高・新井
代表:048-600-0600(内線3886)
ダイヤルイン:048-740-0424
FAX:048-740-0081

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