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第11回地域リーダー・有識者との意見交換会の議事概要

1   開催日時

平成17年3月14日(月曜日)13時30分~15時0分

2   開催場所

さいたま新都心合同庁舎2号館5階共用大研修室5A
(埼玉県さいたま市中央区新都心2-1)

3   出席者

(1)講師
      ①群馬県月夜野町長尾・田島(ながお・たじま)集落
      集落協定代表者 高橋清文氏
      ②埼玉県東秩父村上ノ貝戸(うえのかいと)集落
      集落協定代表者   神田 義男 氏
      花桃担当   神田良平氏
      若手代表   真下 均 氏
(2)関東農政局局長、平島次長ほか局職員
(3)その他群馬県、埼玉県、月夜野町、東秩父村及び両集落住民

4   テーマ

「中山間地域等直接支払制度の取組と今後の展開
~自律的かつ継続的な農業生産活動等を目指して~」

5   講師の紹介

○高橋 清文(たかはしきよふみ)氏

平成12年から長尾・田島集落協定代表
月夜野町農業委員(現在2期目)

○神田 義男(かんだよしお)氏

平成12年から上ノ貝戸集落協定代表

○神田 良平(かんだりょうへい)氏

花桃の生産を20年以上前から手がける
東秩父村村議会議員

○真下 均(ましもひとし)氏

次期、上ノ貝戸集落協定代表を予定

6   議事概要

○月夜野町長尾・田島集落

農業者・非農業者全員が参加した集落協定で、一体となった集落づくりに取り組んでいる。
また、12年度から交付金を積み立てて、公民館を建設することで合意を得るとともに、17年度からの次期対策では、周辺畑地も活用した都市農村交流や有害鳥獣対策にも取り組むこととしている。

○東秩父村上ノ貝戸集落

荒廃農地であった約5haを復旧し、地域の特産物であった花桃を平成12年度から約3千本植栽し、現在では、枝物として一部を出荷できるまでになった。
今後は、花見客が訪れるようになったことから、花桃の里としての観光資源を活用しながら交流型地域づくりを目指していく。

7   講演概要

①月夜野町田島・長尾集落

○高橋 清文 氏

(町の概要)

月夜野町は、群馬県の北部に位置し、いわゆる中山間地域に属している。
町の中央に利根川が流れ、昭和30年4月に東側の旧古馬牧(こめまき)村と西側の桃野(ももの)村の2ヶ村が合併して、月夜野町が構成されている。平成17年現在の人口は11,222人、世帯数は3,497となっている。面積は7,076haで、南北13km・東西8km、形状はほぼ長方形で、集落と耕地は標高350mから800mの間に点在している。
町内には、上越新幹線(57年11月)上毛高原駅と関越自動車道(58年12月)月夜野インター・北部境界に水上インターがあり、利根・吾妻地域の交通の拠点となっている。東京・新潟まで新幹線で70分、高速道路で90分の立地にある。
本地域の農業形態は、古くから水稲+養蚕の形態が主体であったが、農業従事者1,088人、農家数は604戸で内専業農家は71戸、第1種兼業農家94戸、第2種兼業農家439戸(2000年農林業センサス)であり、後継者不足に悩んでいる。生糸価格低迷による収入の減少により養蚕に変わり、果樹(リンゴ・サクランボ)、菌茸類、施設園芸等へ経営転換し経営の向上に努めている。
また、静かなたたずまいの上牧・奈女沢温泉等の国民保養温泉があり、特に、矢瀬遺跡の発掘により歴史の町として、また山紫水明なホタルの里「つきよの」として観光PRに力を入れており歴史的風土と恵まれた自然環境を損なうことのないよう、調和のとれた町づくりを推進している。

(地区の概要)

長尾(ながお)集落と田島(たじま)集落の両集落で構成される竹改戸(たけがいと)区は、町の南西部に位置し、南を沼田市、西は吾妻郡高山村に面し、人口は135人(内70歳以上27人)戸数は45戸で専業農家10戸、兼業農家24戸、非農家11戸となっている。他に別荘6戸と工場が2事業所ある。
集落は、公民館(神社)を中心に半径約200m以内に集中している。
水田約17ha、畑が約25haで海抜450mから550mの山村であるが、地区の何処からでも谷川岳が見えるため、ここ数年、都会からの定住があり世帯数は増加している。
また、嫁不足問題のない、農村には珍しい活力あふれる地区であり、主な農産物は米、枝豆、サクランボ、リンゴ、露地野菜、きのこ類となっている。

(集落協定の概要)

昭和57年から59年の長尾地区(溜め池水系)、昭和58年から59年田島地区(自然水水系)、この両地区を農村地域構造改善事業により基盤整備事業が完成し、昭和60年4月より耕作を開始する。
この時、地区内の山沿いの水田約3割5haが取り残された。以後、年々この地帯の不耕作化が進む。
昭和62年は神楽殿の新築、平成3年には太々神楽の衣装、面、道具等の新調に町と県の補助を受け取り組んだ。
平成8年から11年は、地区内県道拡幅工事を、平成12年は集中豪雨水害、平成13年から14年には天狗山公園と公民館のトイレが完成し、基盤整備完成以後4年から5年ごとに大きな事業を行ってきた。
その都度、基盤整備未実施水田の事が話題となり、小規模土地改良とか何か方法はないかと思案中の所へ、平成12年町役場より直接支払の話があり農事組合の役員が中心となり協定を結んだ。
この時、耕作者だけでなく将来的なことも考え、区民全員で協定を結ぶことを各方面に確認して、全戸が協定の参加者となった。
協定の内容については、長尾集落が11.3haで農業者41人非農業者11人、田島集落は5.5haで農業者26人非農業者11人となっており、両地区を併せて地区外から22人が協定に参加している。(非農業者11人は共通)役員構成は、代表者1人、会計・書記1人(両地区共通)法面点検担当各3人の計8人で構成されている。

(共同取組活動の概要)

主な事業は、長尾0.19haと田島0.44ha計0.63haの耕作放棄地の復旧とそれぞれの水田の有効利用であった。皆で考え、地区内の従来からの行事に直接支払の諸々の作業を複合することとした。
ここで、非農家の方々に地区の歴史や成り立ち、水路・農道の重要性、必要性、それからもたらされる環境面の重要性等を認識してもらい、一方、我々農業者も非農家の人から勉強不足と視野の狭さを教えられ、農業者と非農業者との農住一体化の村づくりへの大きな起爆点になったと思う。
直接支払制度は、農地の保全、優良農地の荒廃を防ぐという制度本来の趣旨もあるが、今の時代、特に必要とされている、土着民と新興住民との融和と協調による。
「村づくり」と言う大きな側面があると思う。いろいろの面で、非農家の人々から私たち農業者(土着民)は感化され、今の時代に10歩遅れないで3歩遅れ位の意識を持って生活することが出来るようになった。
大きな区内事業を完成させて行く中で、長年の地区内での暗黙の了解であり、懸案事項であった「公民館」の建設を、この直接支払制度を利用して進めたいと言う機運の盛り上げと、これに連動した活力ある村づくり、耕作放棄地の解消、水田の多目的利用等、集落協定の活動について関係各機関よりご指導いただき今日に至っている。

今までの活動における特筆事項

1.環境と相まって、休耕田約20aを利用した共同作業による米の生産と、その売上代金の利用方法。
2.定期巡回は、法面担当の他に毎年変わる農事組合の役員さんも一緒に点検をすること。
3.共同作業は、当初の予定よりも非農家の人達が積極的に協力してくれ、地区内の協調が予想を上回る成果を上げている。
4.耕作放棄地の復旧は既存農家の意欲を向上させ、ずさんな管理をしていた農地も見本的な農地となり、管理に対する競争意識が芽生えてきている。
5.年間数回ある地区内行事後の、懇親会での話題が多岐に渡って活発となり、村づくりに大きな力を発揮している。
6.積み立てた交付金を最大限利用した公民館の建設が、今年の1月1日の区民総会で議決をみた。

(今後の展開)

今後予想される団塊の世代の帰郷後継者による知的・人的活用と協調
私たちが気づかなかった、自然からの恵みの知識と有効的な利用
有害鳥獣対策を兼ねた、周辺畑地の有効利用
自然環境・交通立地条件を活かした、人口増を目指した村づくり

②東秩父村上ノ貝戸集落

○神田 義男 氏

(上ノ貝戸集落協定の概要)

東秩父村は、埼玉県の西部、秩父郡の東端にあって、四方を山に囲まれ、西は秩父市と皆野町、東は比企郡小川町、北は大里郡寄居町に接している。上ノ貝戸集落は、寄居町に近いことから、昔から寄居町の住民との交流がある。
東秩父村の地形は、山林が80%近くを占め、耕地は200ヘクタール余りと少なく、特に平坦な土地は極めて少なく、貴重な存在。
上ノ貝戸集落は、標高300から370mの傾斜度の強い山間地にあり、南向きの温暖な斜面に、居住集落と耕地が点在している。現在30世帯、120人程が暮らし、世帯数は60~70年前から変わってない。また、スポーツ活動や親睦行事が盛んな地域で、伝統芸能である獅子舞や祭り囃子太鼓も受け継がれている。
昔は、木炭の生産、養蚕、しいたけ、こんにゃく等の栽培が盛んな地域だったが、勤めに出る人が多くなり、農業を続けてきた人は、花桃を中心とした花卉栽培へと変わった。
農地は、傾斜地にあるため労働条件は悪く、特に、農道がないところや川沿い、急傾斜地が遊休農地となり、竹林や養蚕のなごりの老大木、雑木が繁り、それにクズ、藤つるが覆う荒廃農地となっていった。

(集落協定の概要)

この荒廃農地を何とかしたいと思っていた矢先に、中山間地域等直接支払制度が始まり、関係受益者全員の25人で組織をつくり、協定面積763アールの集落協定を平成12年11月に締結し、荒廃した農地の解消と併せて、地域を挙げての取り組みが始まった。
役員には、行政区長、認定農業者の方に就任してもらいました。当時、私が農業委員をしていた関係で、集落協定の代表に推薦され、現在に至っている。

(共同取組活動等の概要)

荒廃農地の復旧作業を共同で行い、雑木、竹等を伐採・焼却し、荒廃農地であった約5ヘクタールが、全会員の出動で、現在までに大方の荒廃農地を復旧することができた。解消された農地は、標高300メートル前後の傾斜地で、特に花卉類の色合いの良さ、花木等の花の芽つきも恵まれ、花卉の枝物の生産性に優れた地帯であり、以前から集落で生産していた花桃を植栽することにした。
植栽する苗木は、平成13年度に850本、14年度に1,700本、15年度に450本、合計3,000本を植栽し、さらに、16年度分が300本を植付けることとなっている。20年前頃からの植え付けた桃、梅等を合わせますと、4,000本ぐらいにはなる。
たった2~3年で、何十年も荒廃していた農地が復元され、美しい花桃は私たちの心を和ませてくれる。また、花桃の里の出現を夢見ながら花桃の管理に励んでいる。

○神田 良平 氏

(花桃の生産出荷について)

きれいな整地には、矢口桃という品種を選び、反当り(10a当り)75本~80本=3.6×3.6mの間隔で12月~3月都合の良い時に植え付けた。原則として、植栽年は無肥料で除草に虫害防除、2年目は少量の肥料と病虫害防除。3年目は育成管理がよければ、収穫ができる。収穫枝とは、①力のある花芽が沢山付いている、②病虫害のないもので、力のある花芽養成のために適量の肥料と病害虫防除、環状剥皮という作業を行う。樹木は形成層を切り、根からの養水分を断つことにより、子孫繁栄のためか、沢山実を付ける習性があり、この習性を活用したのが環状剥皮です。
収穫採取は1月下旬から2月中旬で、圃場で切って来て規格に合わせ切り束ねる。
切り束ねを枝折りと言い、枝折られた枝は3~7日間位水揚げをして促成をする。充分水を吸った枝は順調に蕾が脹らむか、水が足りないものは蕾の脹らみが遅く、良い花が開かない。水を充分吸った枝は真暗な促成室に入れ20度中心の温度で5~10日間位で、桃色も鮮やかに大きな蕾となり、一、二輪の開花が見られる様になる。促成で花として価値のついた花枝は温室から出され、1~2日間常温に馴らされ、箱詰めして出荷。
花桃を売るということは、高品質な素材作りと枝折り水揚げから、加温促成技術の高さと、惜しみない労働によるものである。
今年は、植付け後の管理の良かった一部の圃場の枝が、収穫販売されたが、次年度は管理状態さえ良ければ、相当量の販売が見込まれる。

○真下 均 氏

(これまでの活動)

この事業は花桃の植栽を中心に行い、荒れ果てていた耕地も解消されて、今は丁度花の最盛期を迎え、ピンクの花で埋め尽くされてすばらしい景観をかもし出している。これからも、この花桃などの花木を、みんなで大事に管理や育成をしていく。

(今後の活動)

①『観光資源としての活用』

花桃によるすばらしい景観になったので、今ではかなりのカメラマンや一般の花見客が訪れるようになった。将来、観光農地として集客するため、遊歩道の整備、アズマヤの建設、蛍やカジカの放流、できれば水車小屋の復元などもしたい。
また、四季を通じて楽しめる花卉類(あやめ、ショウブ、ムラサキツツジ等)の植栽も必要。

②『交流型地域づくり』

古い歴史と伝統が大切に受け継がれており、都市住民や村外へ転出した人たちとの交流設け、季節に応じた農業体験や文化の交流会を検討。
春には色とりどりの花が咲き乱れ(花桃、ツツジ、ヤマブキ等)、山菜摘みを楽しみ(タラノメ、フキ等)、夏は蛍が飛び交い、カジカが鳴き、秋は果物がたわわに実り、みかん狩りやきのこ狩りを楽しめるなど、四季折々の風情が満喫できる山里にしたい。

8   意見交換概要

(五十嵐農村計画部長)

群馬県月夜野町長尾・田島集落の高橋代表に教えて頂きたいのですが、非農家の参加というお話ですが、例えば、非農家の方も生活排水を出したり、道路を使ったりしているので、「地区全体としての取組なので、私共も一緒にやります。」という意味合いのものではないかと思いますが、これは中山間地域等直接支払制度を導入してから、非農家の方に特に協力して頂けるようになったという気がしますが、いかがでしょうか?
また、休耕田を20a復旧し、そこで収穫された米の使途についてのお話がありましたが、これも直接支払制度に関係する話なのかどうかお伺いしたい。

埼玉県東秩父村上ノ貝戸集落の神田代表には、耕作放棄地の解消というお話がでしたが、どう考えても10aにつき1万円程度の交付金額で耕作放棄地をまともに復旧させるのは難しいのではないかと思います。他事業で行うと30~40万円位はかかると思われます。直接支払制度の導入は動機付けの効果、要するに、本制度の導入は、集落の方々にみんなで頑張ろうという意識を持たせる機会を提供する機能が主であり、実際の活動では、集落の人がほとんど労力等を提供し合っているのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
また、聞くところによると日本一の花桃の切花の産地だということで、4月末が花の見頃だそうですが、その紹介もして頂ければと思います。

(高橋清文代表)

非農家の方の協力についてですが、我々の地区では以前から区内の行事、例えば、神社のお祭りや、県の道路愛護デイに伴う作業など常日頃から農家・非農家に係わらず協力して行っていた。道路愛護デイの作業時には、県道だけでなく地区内の農道・林道やいわゆる里道なども、農地を持っているか否かに係わらずみんなで行ったりしていた。このように、地区内の方々が運命共同体のような意識を持ち、何でも一緒にやっていこうという気持ちを持っていたので、中山間地域等直接支払制度導入の話があった時にも、地区に公民館を作るための財源を探していたという事情もあるにはあったが、非農家の方々に声をかけたところ、仲間に入れてくれるならば積極的に協力して頂けるとのことであった。結局非農家の方々の全員に参加して頂けることとなった。非農家の方々は、農業に限った話ではなく、村づくり等の視点から今回の取組内容を理解した上で、協力してくれているのだと思う。実際の作業においても、非農家の方々の方が真面目に取り組まれている位だ。
20aの休耕田復旧に伴う収穫米の使途についてですが、まず、地区に「ホタルの会」という非農家も混じった20名で構成されている団体があり、直接支払制度導入の前からその会員が中心となって、今回の休耕田の活用方策を考えていました。
(制度の導入以後)春には、この方々が共同で田植えをし、水の管理及び草刈りは気付いた者が行い、収穫は共同で行っている。
収穫米(の品種)は「ホタル美人」という販売できる米であり、毎年12~13俵を、1俵につき2万円で販売している。この収入は、年末に地区内に参加者を募って催される「お食事と買い物ツアー」のバスの借上代に当てている。

(上ノ貝戸集落神田良平氏)

五十嵐部長の指摘についてはおっしゃるとおりです。(耕作放棄地の復旧に係る全ての経費と比べると)中山間地域等直接支払交付金では一部の費用しか賄えず、復旧作業に伴う労働は(集落の方に)ほとんど無償で行って貰っています。
花桃の見頃については、昨年と比べると10日位遅れると思います。昨年、知事が3月27日にお見えになったのですが、その時は(見頃からは)少し遅いなぁという感じでしたので、(今年は)27日~月末が良いかなぁと思います。

 

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