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平成18年1月23日(月曜日)14時0分~
さいたま新都心合同庁舎2号館5階共用中研修室5B
(埼玉県さいたま市中央区新都心2-1)
(1)講師グリーンハートT&K代表取締役社長津久井富雄氏
(2)関東農政局局長、局次長ほか局職員
(3)その他都県、市町村ほか
「メガファームにおける畜産物の安全・安心確保のための取組み」
・大規模畜産経営における安全対策としての原点は「1頭の牛をいかに健康な牛に育てていくのか」ということ。
・具体的な取組は、まず環境対策。一日にかなりの量の糞尿が発生して環境にも影響する(1頭30kg/日)。これをいかにして処理していくか。さらに大規模経営の場合は、いっそう難しい問題となる。良い堆肥を作って堆肥を処理する必要がある。環境保全はなかなか難しい問題。
・次に子牛の病気対策。子牛が生まれて一番最初にするのは、産後1時間から1時間半以内に、母親のミルクを飲ませること。一時間以内に初乳を飲ませると、子牛は母親からミルクをとおして、病気にかからない移行抗体を獲得する。この移行抗体をもった子牛と、母親から上手く伝授されなかった子牛の差は、だいたい1週間から20日間の間に顕著にあらわれる。病気になりやすく、いくら治療しても、汗水流して子牛に愛情を注いでも治らず、2週間後には死んでしまう。
・さらに飼料の確保について、大規模にやっている我々畜産農家は、大半は輸入飼料を使っている。牛は稲わらや土手草を使い、そこから肉を作り、ミルクを搾る。また、牛からは糞尿がでてきて公害問題となる。この解決には堆肥の利用促進しかないが、肥料との関係もあり、糞尿の優先使用にむけた行政による行政指導を望む。
・一方、BSE、口蹄疫の発生を契機に「クリーンハート診療所」を設置し、獣医を常駐させて、即時に適切な診療を実施している。この結果、病気の発症が非常に減少し、1頭あたりの治療費も減少した。
・牛毎に発信器のついたICタグを付けている。牛が1日3回の搾乳時にゲートをくぐるが、このゲートのところで搾乳の結果等から牛の状態を確認して、具合の悪い牛は隔離する体制をとっている。これにより、病牛の早期発見、早期治療体制を確立した。
Q.経営方針、今後の課題について
A.私がこの仕事を始めたきっかけは、地域における雇用の問題もあった。しかし、その人たちのおかげでここまでこられた。
これまでは生産拡大を図ってきたが、56才という年齢を考えると、締めくくりの時期にきたと思っている。今後10年間で消費者との交流を深めるべく、農林水産省の食育に関して、自分の事業とタイアップできないものかと考えている。一番大切なのは消費者の方々の考えを知ることであるが、自分達が一生懸命やっていることを実際に見て頂けるよう、自ら発信し、来て頂くために一生懸命努力をしていきたい。以前廃止した施設を再生化させて交流施設として活用したい。
Q.ICタグでどのような情報を入手、管理しているのか。肥育牛にも使っているのか。1台あたりのICタグの価格は?
A.一日3回行う搾乳時に、牛の整理番号がコンピュータに入る。搾乳が開始されると、その牛の搾乳量の把握ができる。
この他、乳液中の電気伝導率を検索させることで、電気伝導率によって乳房炎発症の可能性がわかり、歩数計をつけることで、歩数によって発情期を把握する等、生産管理時に目視では見逃してしまうような情報を集めて、早期の対応が可能となる。
コストの関係もあり、私どもの農場では、乳牛を中心に使っており、肥育牛には使っていない。専門家に話を聞くと、乳量の増減で牛の状態を把握できるとのこと。歩数計を使わなくても、前の分娩からの時期と乳量の増加によって発情していること等の推測が可能である。
ICタグの価格は1個2万円ほど。アメリカで作っているため値段は下がらない。
Q.搾乳子牛への授乳方法について
A.子牛は、多い時は約80頭/月生まれる。子牛には保育班3名で対応している。必ず1~2週間程度は、初乳を冷凍保存しておき、子牛が生まれたら初乳を溶かして手で授乳する。
Q.雄の乳用牛の保育法について
A.繁殖・保育一貫で行っているので、肥育にまわす。雄ホルスの場合、18~22ヶ月くらいの間で出荷する。
Q.乳房炎の牛の管理方法について
A.乳房炎の牛については、隔離牛舎に移して、担当者が一人で対応する。治らない場合は、乳房を切る場合、肥育牛とする場合もある。
Q.現在の経営の中で自給飼料と購入飼料の割合はどれくらいか。
A.肥育中について粗飼料は100%自給飼料、濃厚飼料は100%輸入。搾乳牛については自給飼料というのは微々たるもので、0.0数%ほど。今年約5haのデントコーンサイレージを作った。今、草地造成しているのが約20.5ha、実質有効面積は12ha。面積的には25~30haほどが自給飼料の供給量。頭数割合だと全体の95%以上が輸入に頼っている。
資源リサイクルという観点から言うと、食品会社からでてくるビールかす、おから、醤油かすなど、食料として輸入されていて人間の口に入らなかったものを餌として活用させて頂いている。
考えようによっては、自給率を高めていく要素がそこにある。今はそれでやっていても将来は逆に努力をしていけば、荒れた農地に飼料作物を作って、自給率を高められる余地がある。
Q.稲のホールクロップサイレージについて
A.私の所はやっていないが、酪農家の仲間でやっている所もある。やっている方の話を聞くと、飼料効率が非常に良く、嗜好性も良いということで、ある程度の評価は出ている。
ただ、水田作業のため、作業効率の面と、収穫期間が限られていることが課題となっている。作業機械と作業条件がきちんと整備されていないと、なかなか普及しないのではないか。